ステフィとネッリの物語2
「睡蓮の池」
ステフィとネッリの物語
アニカ・トール著
菱木晃子・訳
新宿書房 本体2000円
ナチスの迫害から両親と別れて、中立国スウェーデンの西岸の都市のイェーテボリに近い島の家族が二人をひきうけてくれました。姉のステフィは優秀な成績で中学に進学することになり、島を離れイェーテボリに暮らすことになります。両親から来る手紙では、アメリカに亡命するのにビザがなかなか手に入らず、まだウイーンにいて状況はあまり良くありません。ステフィはイェーテボリの新しい生活のなかで、下宿先の少年スヴェンを好きになりますが、スヴェンは自分と違う階層の恋人がいて、ステフィのことは妹のようにしか思っていないことがわかります。
学校では奨学金をもらうことでしか勉学を続けられない現実のなかで、良い成績をあげることがステフィに課せられたことでした。学校では好意的な担任ビョルク先生と、ドイツ人の優位を誇りステフィのようなユダヤ人の生徒に厳しいクランツ先生、なんでも持っていて高級住宅地に住んでいるアリスや逆に貧しくたくさんの家族のなかでくらしているマイなど多様です。アリスのたくらみにカンニングの罪をきせられ、加えてスヴェンに失恋してしまったステフィは疲れ果て、絶望的になって学校を辞めて島に帰ろうとします。でも、ステフィに心から応援してくれる学友のマイ、島に残った親友ヴェーラがいました。そして、なによりもステフィの養父母になってくれた素朴で無口だけれど実直なヤンソン夫婦がいる島と海がありました。「睡蓮の池」はイェーテボリの街にあり、ステフィはここでスヴェンとのことを夢に見、別れを知り、少しづつ成長していきます。
この巻の時代背景は1940年4月デンマークとノルウエー、5月はオランダ、ベルギーがドイツの手に落ち、6月にはフランスが降伏してしまいます。6月にはイタリアがイギリスとフランスに宣戦布告、9月には日独伊三国同盟が締結されます。そのなかでスウェーデンの中立はきびしいものがありましたが、レジスタンス運動をしている人もふくめ、たくさんの亡命者、ステフィ姉妹のような子どもがいました。
この巻ではステフィの青春が物語の中心になっていますが、3、4巻ではこの姉妹と両親(=テレジン収容所へ)の運命が物語られているとのことです。史実をきちんとふまえられて丁寧に書かれていて考えることが多く、とても読み応えのある物語です。
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