絵本

2017年6月22日 (木)

つちづくり にわづくり

Photo

Photo_2
「つちづくり にわづくり」
「ゆきのうえ ゆきのした」
ケイト・メスナー文
クリストファー・サイラス・ニール絵
小梨直 訳
福音館書店 本体1600円


この2冊の本はほとんどが同じような構成で描かれています。最初に出版された「ゆきのうえ ゆきのした」では表題どおり雪におおわれた地面の上と地面の下での生き物の生の営み、今度の絵本は春からはじまって1年間の地面の様子、それは地面の上でおばあちゃんといっしょに畑作りをする、それと同じように地面の下ではいろいろの生き物が、とくに小さな生き物たちが植物が育つように土づくりをしているようすが描かれています。その小さな生き物たちの働きがあってこそ、人間は食べ物を(作物)を育てて、その恩恵に浴することができるということが、すてきなイラストで描かれています。
 この絵本は5月に出版されているのですが、ちょうど私のPCは壊れていてブログはお休みしていたころでした。いま、日本はこの生き物たちの土作りだけでなく梅雨という水の恩恵を受けているところです。梅雨は湿っぽくてなかなか動きにくい時には凶暴になる困ったものがですが、土づくり庭づくり、畑作りには欠かせない自然の恵みです。自然は時には牙をむきますが、人はその自然の一部、生き物と共生していかなければ生きていかれない、そんなことをおとなと子どもたちが話あえると良いとあらためて思います。


2017年6月21日 (水)

ホウホウフクロウ

Photo
「ホウホウフクロウ」
井上洋介 作
福音館書店 本体1700円


今日待っていた本が入ってきた。お客さまにファンがいて、”楽しみだね”と言っていた。想像以上に大型(37×27センチ)しかも画面いっぱいに描かれた生き物たち。「ふくろう」「せみ」「みみずく」「とんぼ」との作者の対話。作者でもあり子どもでもあり、わたしでもあり、あなたでもある。1ページにいっぱいに墨で描かれている絵。片面には言葉=呼び交すことば。下に記されている年は描いた年?
 今年はとくに最近あまり良いニュースがなかった。生きていることさえ無力感におそわれる。ゆっくりめくりながらみていくと、そんな思いを吹き飛ばすように生き物たちがうたう。”みんな いいこえで うたうよ あしたはまちどうしい きっとよあけはくるんだから”

2017年6月17日 (土)

つきよ

Photo_2
「つきよ」
長新太
教育画劇 本体1300円


月の明るい夜です。でも満月ではありません。山並みの一本道をたぬきが歩いています。もちろん山の住処へ帰るところです。”ぽちゃん”という音がしたのでおおいそぎでこまで行ってみました。たぬきはびっくりするものを見ました。月が山をすべって降りてきて、池に浮かんでいます。そして、月は舟になりました。それから橋になったり島になったり、ザリガニが渡って行きます。泳いでいたり、いいえ、どうみたってお風呂に入っているように気持ちよさそうです。たぬきはそんな月を一人?でじっと見ていました。後誰もいません。風が吹いているだけです。いつのまにか月は空にいます。どれくらいの時間がたったでしょうか。たぬきが一人で見たことなのでだ〜れも知りません。あなたも見たい?スマホでかざしたってわかりません。だってこれはたったひとりで見たというたぬきの話ですから。
 作者の絵本としてはとても静かな絵本、青色と月の色で描かれている絵本です。前回紹介した「よるのおと」のように、夜の静けさの中であなたの耳に聞こえるのは歌っている小さな月の声だけかもしれません。

2017年6月14日 (水)

よるのおと

Photo
「よるのおと」
たむらしげる
偕成社 本体1400円



池の側に一軒の家があります。おじいさんが本を読んでいます。もうすっかり夕闇がおりて、蛍がとんでいます。ちょうど今のような夜のこと、おじいさんは犬と一緒に一人で住んでいるようです。車が一台、池、でも大きな池?魚は鯉でしょうか?ハスの上にはカエルがいて、少し遠くからシカの姿が見えます。家のそばには大きな木が1本、やはり遠くに木々がそして、山も見えます。表紙を開くと一面にそれだけが描かれていますが、描き方が細かく描かれているわけでなく、むしろすっきりと形だけがはっきりと見えます。この絵本の主人公は「音」なのでそれも「夜の音」なので、それ以上ごちゃごちゃ描かれていてはつまらないからです。
男の子の足音が聞こえます。懐中電灯の光の中に夜の虫が”りりりり りりりり りー””ああ、やっとついたよ。おじいちゃんのいえ”男の子がつぶやきます。遠くから汽車の音”ポーツ”さっきのシカが水を飲んでいます。おじいちゃんの家には犬だけではありませんでした。猫が屋根裏からでてきます。おじいちゃんは自転車にも乗るみたい、大きな木にはフクロウがいて、でも虫の音だけが聞こえます。月の光が池に映って、汽車の光も木の間を照らし、なんといっても空にはたくさんの星、もちろん蛍もとんでいます。そして、青色のとてもきれいな色がでていて黄色の光が夜の静けさの中で描かれています。
 男の子がおじいちゃんの家につくまでのわずかな時間に池にも木々にも翔んでいる蛍にもドラマがあるのですが、虫の音と蛙の音、池の音、汽車の音で綴られています。そっと耳を澄ましてみましょう。一冊の絵本のなかに小さな宇宙がひろがっています。それは大きな宇宙につながっている。そして、あなたの宇宙にもつながっているのです。

2017年6月12日 (月)

川のぼうけん

Photo
「川のぼうけん」
エリザベス・ローズ文
ジェラルド・ローズ絵
ふしみみさを 訳
岩波書店 本体1400円


遠くの高い山に雨が降りました。雨は岩場にしみこんでやがてちいさな流れになりました。川の誕生です。でもまだ川とはいえません。その小さな流れはみんなに言います。”ぼくは大きな川になりたいんだ”まわりのものたちはそんな小さなちょろちょろした流れを気にもとめません。でも、小さな流れは”ぼくは大きな川になりたいのだ”といいながら下っていきました。魚や鳥や岸辺の草木にも川は宣言しながら流れていきます。海はまだまだ遠い、そしてちょっと一休みしたつもりだったのに小さな川は消え入りそうになってしまいました。”もう、これでおしまいかな”海まで行く元気はありません。このまま消えてしまうのでしょうか。
 水に関係がある本というとどちらかというと透明感にあふれた絵や写真で見ることが多いのですが、この絵本の絵は木版のような描き方がされているので、もっと自然に近く、土臭く、いろいろと姿を変えて海にいく様子が感じられます。山で生まれた水は澄んでチョロチョロと音をたてているかもしれませんが、川になって街を横切る時、海の近くの川、生き物が住んでいる川、みんな違います。川の一生は人の一生と同じようにも思います。

2017年6月10日 (土)

ひとしずくの水ーあめ

Photo
「ひとしずくの水」
A DROP OF WATER
ウォルター・ウィック
林田康一 訳
あすなろ書房 本体2000円


 近年は寒暖の差が激しい気候のようにおもいます。梅雨に入っても梅雨の感じが昔とちがって雨はしとしとと降らない、時には豪雨のように激しく降ります。子どもたちに本を読みに行っている人たちはこの季節「あめ」や「カサ」の絵本を読む人が多く、そんな本を探しにくる人が多くなりました。雨が主人公のお話の本では擬人化された水のつぶが雨になって、また空にかえっていくような物語になっています。その本で有名なのは「しずくのぼうけん」テルリコフスカ作・ブテンコ絵がリズムのある文と絵は楽しいのですが、しずく=水の冒険になっているので文がすこしながく感じます。最近刊行されたオルセン作「あめ」もバラバラとボトボトと名付けられたしずくの冒険のようなかたちををとった科学の本になっていますが、やはり物語が長くなってしまいます。それは科学的なことを文学的に書こうとするので少し無理がでるのかもしれません。
 この「ひとしずくの水」は文学的要素はありません。科学の写真絵本です。水の最初の単位から「水」を多角的に取り上げている、「水蒸気」からはじまって「雲」「雨」「雪」「虹」、「ひとしずくの水」の成り立ちを写真で描いています。写真はとても芸術的です。驚きと科学が結びついて好奇心がわいてきます。(ちなみに作者にはミッケなどの絵本があり子どもたちに人気があります。)梅雨もこんなふうにみたら楽しく思えるにちがいありません。小学校高学年からおとなまで。

2017年6月 6日 (火)

でかけてみよう

Photo
「たなのうえ ひこうじょう」
こどものとも年中向き7月号
さく 中村至男
福音館書店 本体389円


いましも本棚の上から飛行機が一機飛び立とうとしています。搭乗者は機長と助手。飛びました。眺め良し!時々あぶないこともあったけれどフライトは無事おわりました。着陸地は時計の上!シンプルな絵、なにもかも身近なもの、でもこの機長と助手には飛んだ世界は広い!
Photo_2
「やじるし」
平田利之
あかね書房 本体1200円


いってきまぁーす、どこにいこうかな?女の子が歩いて行くと<やじるし>があり、”こっちだよ”ついていくとうみ、うみはないはずなのにへんだなぁ。いつのまにかやじるしが船になって”のっちゃた!”海には魚が泳いでる”あれ、鳥になった、かご落としてしまった、逆さまになって・・・そんなように次々と現れるもの、やじるしはいろいろな物になって空をとぶこともありました。
 もちろん女の子は最後は”ただいま”と帰ってきました。特別のテーマがない、つぎつぎとやじるしがでて、話はすすんでちょっとした冒険です。シンプルで不思議なおもしろい世界を展開してくれます。


2017年6月 2日 (金)

絵本江戸のまち

Photo
「絵本 江戸のまち」
太田大輔
講談社 本体1600円


江戸のまちのようす、庶民のくらしが見開き12ページにわたって描かれています。案内人は東京に1000年も前から住んでいる<妖怪小僧>です。江戸は400年位前徳川家康がつくったまちです。金のしゃちほこがのった天守閣はつくられてから50年くらいで大火事で焼けてしまいますが、まず「隅田川と両国橋」「火事のこと」「日本橋と魚河岸」「長屋のお正月」「江戸の大通り」「品川宿と御殿山」「高輪の月見」「江戸湊と弁財船」「堀のまち」「雪景色」「浅草の芸人」「両国の花火」と描かれているページでは人びとの生活であふれかえっています。どのページにも紹介してくれる妖怪小僧も隠れていたり、妖怪小僧の仲間のものたちもあっちこっちにいて、それを追いながら絵解きができるようになっている楽しさがいっぱいです。川と海のまち江戸、川を挟んで家が建ち並び庶民の暮らしと娯楽、小さな屋台の物売り、季節の折々のなかに人が行き交い、歩いて、歌って、踊って、船がいき交っているなかに子どもたちが泳いでいたり、絵からたちのぼってくるまちの活力は、あふれかえった人びとと特に子どもたちの様子からみられます。その背景には病気や飢饉で死んでいったひとたち子どもたちもたくさんにいたにちがいないのですが。
 ともかく細かく描かれているのでできたら昼間明るいところでみてください。私は夜みたのでちょっと頭がくらくら?しました。

2017年6月 1日 (木)

ドームがたり

Photo
「ドームがたり」
アーサー・ビナード作
スズキコージ 画
玉川大学出版部 本体1600円


 <どうも、はじめまして。ぼくのなまえは「ドーム」。あいにきてくれて、ありがとう。>という書き出しからこの絵本はじまります。「ドーム」と聞いて「広島の原爆ドーム」思い浮かべる人も、もしかしたら少なくなっているかもしれません。この紹介文を書いている私でも広島に原爆がおとされたことはあまりよく知らないのです。でも親世代があの戦争のことが記憶にあるので、なんとなく見聞きしたり、学校でも学んだことがあります。けれどその親世代は今はもう高齢になっていたり亡くなってきています。そして、その親世代は思い出したくもなかったことだからでしょうか、生活していくのに精一杯だったからでしょうか、語ることもなく亡くなってしまうことも決して少なくはないと思います。知らない、知らされていない、その場合知りたい、考えたいと思った場合やはり本が一番です。できれば私はそれらの本を選ぶ時に、背景の歴史が描かれている、それに未来につないでいく役割が描かれている本を選びます。これは私自身の性格によるものだとおもいますが、どうしても感情に溺れて本質がみえなくなる傾向があるのを避けたいと思っているからです。
 この絵本は原爆が落とされる前のドームとその後のドームの廻りのことが描かれています。そして、その原子が少し形や名前が変わってはいるけれど福島での事故のもとになっていること、ただそれも科学としてだけでなく、わたしたちの地球全体の問題であること、残念ながらそのことを考えないで、生活の豊かさだけを追求している人がいて、これも残念ながらその人たちに押し切られそうになっている現実があります。川の側に元気な広島をアピールするために建てられた建物=原爆ドームが最後にこういっています。<ぼくは生き物がそばにいるとうれしい。>
 スズキコージの絵はかなり具象的になっていて、力強くなによりも暗くなく明るい、人びとがドームを見上げている。自分のどこかにあの見えない原子というカケラがあってみんなの体に刺さるのではないかと心配しているドームを見上げている。だいじょうぶ、たとえカケラがあったとしても、もう二度と飛び散ることはないと約束しなければならない。鳥や猫がみんながしっかりと見つめている。


2017年5月26日 (金)

庭をつくろう!


Photo
「庭をつくろう!」
ゲルタ・ミューラー作
ふしみみさを 訳
あすなろ書房 本体1500円


日本では4月の光と5月の風と6月の雨が植物を育てます。この絵本はオランダの方なので日本とはちがいますが、やはり春を迎えて小さな園芸家たちが庭づくりをする、1年間の物語です。主人公のバンジャマンと妹のキャロリーヌは両親と引っ越してきました。そこには大きな庭がありましたが荒れ放題、とても庭とよべるような様子でない空き地がありました。みんなでその荒れ地をすてきな庭にしようと計画します。自分たちの庭も造ろうかと兄妹は考えます。それから1年、どうやって庭を造ったかが細密な絵で描かれています。はじめにゴミをひろって土をいれ整える、そして、各々自分たちの庭の設計図を描いて花や野菜のタネを蒔き苗を植えていきます。バンジャマンとキャロリーヌの大げんか、でもそのことがキッカケになって車いすの友だちルイができます。古いリンゴの木を再生、リンゴの木から聞くこの街の歴史、友だちとのパーティ、鳥の死にも出会ったり、いろいろのことがありました。
 この絵本のもうひとつの大きな特徴は両親をはじめとしてタネ屋さんや樹木医のようにおとながこの物語に描かれてはいますが背景だけで出過ぎない、子どもたちのすることをそれとなく、それでいておとなに対すると同じようにちゃんとサポートすることです。車いすの少年との交歓も自然に描かれています。これは日本の絵本ではあまりない、教育観というか考え方というか、子どもやハンディキャップのある人に対してもふつうに接していく、それがべたべたしないすっきりした美しい絵本になっているように感じます。
 この絵本を今日26日毎日新聞朝刊千葉版「絵本だいすき」で紹介しました。

より以前の記事一覧

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

6月の営業とお休み

  • 6月のお休み
    *6月5日・12日・19日・26日の月曜日                    *6月4日・11日・18日・25日の日曜日は1:30〜6:00            *営業時間10:30〜6:00

お仲間にどうぞ

  • ー元気になる集まりいろいろー
    *グループ学ぼう・話そう 定例会第2月曜日12日(月)10:00〜話し合い  *ボランティア講座 定例会19日(月)10:00〜 テーマ「科学絵本を読む・非公開」              *憲法カフェ27日(火)3期・6月学習会「いま、福島は・報告と話し合い」誰でも・予約制             *グループ放課後(公共図書員・関係のある人) 定例会15日(木)7:00〜読書会・D・J・ハスケル著「ミクロの森」               *YAの本を読む会+のんき〜ず学校図書館司書  定例会8日(木)7:00〜読書会R・M・フイッツジェラルド著「スピニー通りの秘密の絵」   *よいこ連盟・絵本の会(保育士たち)定例会23日(金)7:00〜制作「絵本を読む」                *絵本の会16日(金)7:00〜方言で昔話を聞く・絵本で見る 語り手高橋峰夫さん                 *羊毛ちくちくの会22日(木)10:00〜制作                                                                                                           

これからの会

  • 子どもと本これからの会
    読書は知識や楽しみも含めて心の栄養を与えてくれます。そして考える力になります。 被災地の子どもたちに本を届けたい、身の回りの子どもたちの環境を考えていこうという、二本の柱をたててボランティア活動をすることで出発しました。 いろいろの方たちの希望と力を持ち寄って、すばやく、やわらかく、活動を続けていきたいと思います。参加される方は参加登録してください。 世話人 坂上・宮田・大山