2018年8月14日 (火)

この計画はひみつです

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「この計画はひみつです」
ジョナ・ウインター文
ジャネット・ウインター絵
さくまゆみこ 訳
すずき出版 本体1500円


1943年3月、アメリカニューメキシコ州に科学者が密かに集められました。へんぴな砂漠地帯です。集められた科学者は秘密のものをつくろうとしていました。名前も無い所で、アメリカ政府が「サイトY」と名付けたそこで科学者は何をつくろうとしていたのでしょう。「ガジェット」それは呼ばれていました。この計画のリーダーはJ・ロバート・オッペンハイマーという有名な科学者です。「ガジェット」とは何でしようか?最初の原子爆弾のことです。完成すると1945年7月16日砂漠で実験されました。ともかくそれらのことは全て秘密におこなわれました。一方ドイツナチスもまた、開発していてうわさが行き交っていました。アメリカはナチスドイツが完成する前にアメリカで成功しなければとおもっていました。そして3週間後、アメリカは2つの原子爆弾を日本におとしました。ウランで広島へ、プルトニュウムでは長崎に。その時その選ばれた理由は日本をこれ以上このままにしておくと犠牲者が増えるというものでした。
 この絵本ではそれまでのいきさつがくわしく書かれています。絵ではどういうところに、だれが原子爆弾をつくり日本にそれがおとされたのか、丁寧にわかりやすく絵で描かれています。そして、最後のの衝撃的なページ、とても良く出来た絵本です。子どもたちといっしょに読みあいたいと思います。
 ただ、私はほとんど同時に「ある晴れた夏の朝」小手鞠るい著の本を読みました。この作者は現在アメリカに住んでいます。この本については次回にブログに載せたいとおもいますが、4人ずつ2組計8人のアメリカの子どもたちがー広島と長崎つまりなぜ日本に落としたのが。ほんとうに戦争を終わらせようということで落としたのか、肯定派と否定派にわかれてコミニティのイベントとして、公開討論会をする物語です。子どもたちのメンバーは主人公の女の子(母親は日本人、父親はアイルランド系アメリカ人)をはじめとして、10代のこどもたちが歴史を調べ、実証されたことなどを調べて、繰り広げられる討論会の様子が書かれています。ただし、この本は絵本とちがって文字だけで読み込んでいくので、深く、考えながら読むことになります。
 このケースにかぎらず、はからずしも絵本と文章でかかれている本の違いが解る例になりました。
                                ー 以下次回つづくー


2018年8月 6日 (月)

ノホディとかいぶつ

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「ノホディとかいぶつ」
 イランの昔話
 こどものとも9月号
愛甲恵子 再話
ナルゲス・モハンマディ 絵
福音館書店 本体389円

昔話なので少しずつ違いますが、お話として良く聞くイギリスの昔話「かしこいモリー」に良く似ています。でも絵本にするとタッチや色使いでお話の感じがだいぶ変わってきます。いつも素話で聞くので聞いている私が勝手に色をつけてイメージをもってしまいます。「かしこいモリー」は黄色かな?モリーは百姓娘です。長い髪を三つ編みして一つに結っています。一本橋までこのお下げ髪は揺れています。この絵本の基調の色はピンク、ノホディはひよこ豆らしく小さくて、帽子をかぶっています。怪物もあんまり雄々しい怪物らしくありません。お話でわたしが想像する怪物はもっと汚くてくさい、でもちょっと間抜けです。そして、おかみさんに尻にひかれています。この絵本の怪物はちょっぴり悲しそう。
イランの国が私にはよくわからないのですが、現代の日本の子どもたちにはこの絵本の絵のほうがぴったりするかもしれません。
 ところでこの昔話は女の子でなく男の子の場合があるとのこと、でもちょっと利発な元気な女の子、がいいですね。


2018年8月 4日 (土)

ヤドカリだんちのおまつり

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「ヤドカリだんちのおまつり」
こどものとも年中版9月号
倉部今日子 作

ツックンとツンコちゃんはヤドカリ団地に住んでいます。ウニのきょうだいです。トントンと入り口の戸をたたく音がして入って来たのはアオヤドカリ団地に住んでいるサザエくんです。おまつりのお知らせをもってきました。ワァイ!一年一度のお祭り、楽しみです。当日二百十日さっそく出かけました。たくさんのお店がならんでいます。夕方になり盆踊りが始まりました。。ツックンとサザエくんが太鼓をたたきます。
太鼓にあわせてみんなで何度も踊りました。ところが上の方からなんだか暗くなってきました。たいふうおじさんがやってきておおあばれ。これはいつものことなのですがツックンがたいふうおじさんに太鼓をたたいてと頼みました。気を良くしたおじさんは大きく叩いたので渦巻きができ、みんなはその中に入って大喜びです。
 作者は鎌倉の海近くにすんでいるとのことですがプロフィールをみると新潟出身とか、この海は日本海の海のように思います。澄んださっぱり?した海の色です。二百十日といえば台風が来る日とおそわりましたが、この本ではたいふうおじさん到来を上手につかって海の生きものたちのおまつりの様子がうまく描かれています。今年は変な、あまりにも暑いお天気で海に行こうという気力もわきません。プールがあるけれど泳がなくてもやっぱり夏は海に行きたいとおもいます。あんまりしょっぱくない海のお話でした。

2018年8月 3日 (金)

たぬきのくらし

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「たぬきのくらし」
かがくのとも9月号
田中豊美さく
福音館書店 本体389円

この頃あまり話題にならなくなりましたが、一時東京に住んでいるタヌキのことが良くテレビに登場しました。この絵本のタヌキも街の中の住宅街に住んでいるタヌキの家族の物語です。神社の奥に暮らしていたひとつがいのタヌキがいます。やがて子どもを産んで子育てをします。タヌキは犬科の動物とのことで折り込み付録にはイヌ科の動物の紹介が載っています。具体的には描かれていませんが、どうも子どもは5頭誕生したようです(母たぬきのお乳を飲んでいる場面)でも蛇を相手に戦いをいどんでいる子タヌキは4頭、ゴミをあさっているタヌキも犬と戦うタヌキも3頭そして、裏表紙のタヌキは2頭です。タヌキは雑食なのでなんでも食べますし、環境に強いようですが(車はだめです)やはり生きていくのには大変です。ページのなかに猫と争う場面があり、それで私の生家のことを思い出しました。納屋にタヌキがいたようで気がついたのは、それは飼い猫とのすざましいけんかでした。飼い猫の方が強くてタヌキを追い払ってしまい、それ以来見ていません。おそらくちょっと怪我をしていたのではないかとおもいます。そのタヌキは外で暮らしているだけあって、この絵本のタヌキとはずいぶん違って見えます。もっとやせて汚い、この絵本のタヌキは良く描けていますが、リアルでとてもりりしくきれい、私の見たタヌキは汚く、まさに野のタヌキでした。いま、タヌキの話はあまり聞かなくなりましたがハクビシンの話は時々話題になります。「狸寝入り」のことが描かれていて思わず笑ってしまいましたが、人間界の狸寝入りとちがってこれも命がけなのですね。


2018年7月24日 (火)

すいぞくかんのおいしゃさん

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「すいぞくかんのおいしゃさん」
かがくのとも 8月号
大塚美加 ぶん
斎藤槙 え
福音館書店 本体389円

そういえば水族館に行ったのはずいぶん昔のことでした。しかも冬に友だちと行った、あらためてこの絵本を見てまた、行ってみようと思いました。水族館の生きものたちも病気になります。狭い(海や川や池、湖など)ところで生きているので病気になることがあるのも当然です。だからお医者さんが必要です。そして、病気を直すというだけでなく、快適に暮らせる様にいろいろと工夫するのも、お医者さんの仕事の一部だということが、折り込み付録にくわしく書かれています。この絵本の舞台は「いおワールドかごしま水族館が舞台になっていて、この絵本のお医者さんは文を書いた大塚美加さんです。大塚さんはお医者さんとして働いて23年目になるベテランのお医者さんです。ほぼ実話で「深いあいじょうを持ちながらも、心がむやみに大きくうごさかれることなく、的確に病気を治していくお医者さん。」と作者の言葉です。これはなにも水族館のお医者さんのみならず、人もふくめてお医者さん共通の願いかもしれません。「マダラエイ」「ジンベイザメ」「タツノオトシゴ」「アカウミガメ」「ヒラメ」「ハンドウイルカ」などの病気になったようすと治療の様子が描かれています。ふろくには水族館でみられるような生きものがカラーで描かれています。


2018年7月22日 (日)

エマおばあちゃん、山をいく

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「エマおばあちゃん、山をいく」
アパラチアン・トレイルひとりたび
シェニファー・サームズ作
まつむらゆりこ訳
廣済堂あかつき 本体1800円

アパラチア・トレイン?私は初めて聞く話でした。これはベントン・マッケイという人がアパラチア山脈を横断する山道があったらと考えだされたものだそうです。これらのことはこの絵本のあとがき、もっと知りたい人のためにに詳しく書かれています。ともかく長い(はんぱでない、3500kmもある。単純にいうと北海道の最北端から沖縄の最南端とのこと)山道を歩きとおしたエマ・ゲイトウッドという女の人の伝記です。エマは11人の子どもを育てた農婦?です。それが1955年67歳になった5月3日出発して1955年9月25日にトレイン北の終点カタディン山にたどり着いたまでの記録が描かれています。エマがどうして挑戦することになったかはあまりくわしく描かれていません。雑誌の記事を読んでその気になったとしか語っていません。わずかな持ち物を袋にいれて、缶詰やスープのもとやナッツやレーズンなど、途中でもらったり、野生のものを食べたり、もちろん水は川の水、あらしもあり大変ななかをひたすら歩き通したとか、アパラチアン・トレイルの歴史とその背景の社会状態などは年表にまとめられて後ろの方に描かれています。これは伝記などを読むのにとても良い手がかりになります。オビにエマおばあちゃんの写真が載っています。じっと見つめてみました。それだけで気持ちが明るくなります。それにしても、このエマおばあちゃんが1回目は失敗したけれど再度挑戦した、人間ってなんと不思議なおもしろい動物だと思います。生きていくのにほんとうはなにが必要かを語っています。


2018年7月19日 (木)

いたずらトロルと音楽隊

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「いたずらトロルと音楽隊」
アニタ・ローベルさく
安藤紀子やく
ロクリン社 本体1600円

あるところに旅回りの5人の音楽隊がいました。彼らの奏でる音楽はすばらしくて、どこへ行っても大好評でした。ある夜くたびれて眠りこけている側をトロルがとおりかかりました。音楽隊をおこして、すてきな音楽を聞こうとしましたが誰一人おきません。腹をたてたトロルは音楽隊のもっている楽器に魔法をかけました。チューバはモォーォー、チェロはメェーェー、トロンボーンはヒヒーン、トランペットがガアガア、フルートはコッコッ。メチャメチャです。音楽隊は目をさまして気がつかないままに何時もの様に演奏します。動物たちが集まってきます。演奏はとてもきかれたものではありません。ともかく集まって来た人たちから逃げた5人はそれがトロルの仕業とわかり、どうしたら魔法をといてもらえるかと相談して、トロルのよろこびそうなものをつくり、プレゼントをすることにします。はたして成功するでしょうか。
 この絵本は作者の初期の作品とのことです。往年の華やかな色をつかった絵本でなく、地味な色合いです。ただ、作者らしく細かく描写されていて、トロル一家と音楽隊がいっしょになって演奏したり、踊ったりのページは楽しさが溢れています。もちろん街の人たちも大歓迎です。トロルの子どもたちもかわいいですよ。

2018年7月15日 (日)

旅の絵本Ⅸ

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「旅の絵本Ⅸ」
安野光雅
福音館書店 本体1400円

このシリーズも9冊目になりました。この巻はスイス編です。描き方はかわりません。旅人が馬に乗って旅をします。この旅人は作者の安野さんの分身かもしれません。細かい線から描かれている風景、絵の中に絵本の主人公や場面が描かれていて、それを探すのがおもしろかった、物語の主人公なので、その物語を知っていなければなりません。今回の旅の絵本にもいろいろの絵本の一ベージが描かれていますが、最初にくらべると少なくなりました。カリジェの「ウルスリのすず」があります。クレーも描かれています。それよりびっくりしたのは山々です。スイスの山、当然マナスル初登頂を成功させた登山隊の隊長槙有恒がでてきます。私が幼かった時学校でも語られたし、映画もみました。なんだかとてもなつかしくページを繰ってみました。(ページの解説もついています。)

2018年7月14日 (土)

そうべえときじむなー

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「そうへえときじむなー」
たじまゆきひこ
童心社 本体1500円

毎日暑い!暑いの日々をおくっています。暴風雨と洪水で西の方はたいへん、でもこれからも台風が次々とやってくることでしょう。いつもそうですが、次々と狙い撃ちされるように、水のおそろしさは体験のない私は写真をみて絶句するほかありません。
 この絵本のそうべえたちが行った先は沖縄です。なぜか寒いとふるえているそうべえたちは火を燃やし熱くなった空気が入ってしまったふろしきの気球にのって沖縄に不時着してしまいます。怪しまれてしまったそうべえたちにぎじむなーがかくれみのを貸してくれますが、それをいいことにお百姓の食べ物を盗み食いをして、つかまってしまいます。
 おおらかなお話と型染めで描かれている絵が良くあっていて、シモネタもじょうずにつかい、エネルギーのある絵本になっています。それにしても、”このヤマトンチュウにはこまったものだ”ときじむなーにいわせてしまう。現代のわたしたち、ちゃんと沖縄のことを考えないと!いつまでもきじむなーにたよっていてはだめなのですよね。


2018年7月11日 (水)

シルクロードの道ーシルクロードのあかい空

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「シルクロードのあかい空」
イザベル・シムレール文・絵
石津ちひろ訳
岩波書店 本体1800円

シルクロードというのは中国、中央アジア、西アジア、ヨーロッパを結んでいる交易路のことだ。つまり成安からはじまって西はローマまで、ただいろいろのルートがあって*河西回路*天山回路*西域南道*天山北路*ステップ・ロード*西南シルクロードと名付けられている。この絵本は西安からトルファンそしてカシュガルまでの物語だ。物語といっても主人公はチョウの王女さまにひかれて旅をした昆虫学者の物語だ。チョウの王女香妃の足跡をみつけて、きれいなチョウに出会いますようにという願いがある。朝日に輝く東の空から日の沈む西にむかって。西安からはじまるシルクロードでは絹を運ぶ路だ。この絵本では作者の研究であるチョウだけでなく、砂丘、ブドウ畑、綿花畑それらの畑をうるおしてくれる水路、古代都市、ウイグル族の人びと、カザフ族の人びと、生きもの、トウバ族、カナスの湖、人びとの営み、それらがどのページでも見開きいっぱいに描かれている。沈む夕日の赤、この雄大さは日本では見られないことなのだなぁ!細密な絵は自然の息吹が強く感じられる。
この絵本を見ていてもう一つの絵本を思い出した。

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「せかいいちうつくしい ぼくの村」
小林豊
ポプラ社 本体1200円

この絵本はやはりシルクロードに関係あるアジアの真ん中の国アフガニスタンのパグマン村が舞台です。この村には果物がたわわになっていた、美しい自然いっぱいの村に、戦いにいっている兄さんのかわりに市場へサクランボを売りにいく少年の物語です。市場でサクランボを売ってかわりにヒツジを買ってきます。帰り道の描写が真っ赤な夕焼けの路を歩く親子が描かれています。同じ描写です。描き方の手法は違いますが、人びとの声までが聞こえてきそうな家々や市場、そして、なんといっても日本では見ることの出来ない雄大な自然がやはり描かれています。ただし、この村は戦いで破壊されて今はもうないそうです。アフガニスタンの戦いはまだ終わっていない、破壊つくされた大地・村にあの真っ赤な太陽はいまもなおかわらず照らしていることでしよう。この絵本の作者のお話を聞きました。雄大な自然を想像するのはなかなか難しいですが、世界はいろいろな人たちの営みがあり、歴史は続いているのだと思いました。


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