絵本

ちびフクロウのぼうけん

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「ちびフクロウのぼうけん」
ノーラ・スロイェギン/文
ピルッコ・リーサ・スロイェギン/絵
みむらみちこ/訳
福音館書店 本体1300円


 表紙を広げてみると大きなウサギのそばにフクロウの子どもが何かを訴えています。困ったような表情、雪のなかです。けれど、この雪は春に向かっての雪、本文の中にはもうそこまで春という場面がでてきます。やんちゃなフクロウの子どもが家から離れて、出会った動物の真似をして、ウサギのように飛び上がってみたり、りすのように木から木へ跳ぼうとしたり、あげくのはてには迷子、やっとおかあさんと出会って、何も出来なかったというちいさなフクロウに、おかあさんはあなたはフクロウだから飛べるといいます。食べ物をもらって、そして”飛べた!”。
 ともかく絵が良いです。描かれている生き物の表情の豊かな事、目に秘密があるのかもしれません。フクロウはフクロウらしく、ウサギはウサギらしく、機嫌が悪いというクマ、大きく荒々しく、クマは決してやさしくはありません。小さなフクロウをたたき潰しかねません。
 フィンランドの寒い自然たっぷりな森でのお話です。

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ふゆですよ

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「ふゆですよ」
さく 柴田晋吾
え  降矢なな
金の星社 本体1200円


 時には暖かい日があると思うとひどく寒くなります。11月も半ば、まわりはクリスマスの雰囲気になりました。でも、まだ霜柱ももちろんアラレや雪はまだまだです。けれど、これは千葉の話、北の方ではこの絵本のように”ふゆですよ!”かもしれません。中扉の絵では宇宙から、そしてページを開くと”こんにちはふゆはもうきましたか?”と飛行士。”ふゆですよ”とあちらこちらから返事が返ってきます。林のなかも海も川も湖も小さな駅にもふゆがきました。街で買い物をしている人たち、サンタさんがいます。園長先生が”クリスマス会をはじめます”といっています。あらあら、トナカイとサンタさんが窓からみんなを見ています。温泉につかっている猿はとっても気持ちよさそうですね。
柴田さんが”ふゆはきましたか”と聞いて、降矢さんの絵のなかのみんなが”きましたよ”と答えているようです。


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宇宙船プロキシマ号の伝説

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「宇宙船プロキシマ号の伝説」
プライアン・グリーン作
さくまゆみこ 訳
あすなろ書房 1200円


絵本の形をとっていますが、絵のところに宇宙を映した写真がつかわれています。ハッブル宇宙望遠鏡から、NASAの提供からの写真はわたしにとっては宇宙というより人の体の中のようにおもえます。エネルギーに満ちているようにもみえるし、暗く静かな世界のようにもおもえます。 
 恒星プロキシマには知生物の存在が知られていますが、地球から40兆キロメートルもの距離があるため5世代にわたり冒険にのりだすことになりました。そのプロシキマ号で生まれた少年イカロスはいまの暮らしに満足できず、自分が設計した小型機に乗ってひそかに宇宙を探検しようとします。父親の制止を振り切ってブラックホールの間をまわってこようとしたイカロスの目論みはどうなるでしようか。
そして、イカロスが出会った巨大なパトロール船のなかで、イカロスが知ったことは!
 宇宙のなかのブラックホールはまだ知られていないことがたくさんあります。ただ時間と大きなかかわりがある、となるといまの私の知識のなかではSFの世界です。つまり物語の世界、ある意味ではイメージの世界になります。はじめこの絵本の話を聞いたとき、あまりどういう絵本になるのか想像できませんでした。でも読んでいるうちにイカロスといっしょに宇宙にとびだしていくようにドキドキしました。そして、時間をはるか超えてしまい、家族と二度と会えなくなったイカロスの悲しみが伝わってきました。
 最後の宇宙から見た地球、スペースシャトルからみた地球の雲と月の写真での地球は静かに宇宙のなかに生きています。

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サラちゃんとおおきなあかいバス

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「サラちゃんとおおきなあかいバス」
ジェーン・ゴドウィン文
アンナ・ウォーカー絵
石津ちひろ訳
光村教育図書 本体1500円


 この絵本の主人公はサラちゃんというおちびさんの女の子です。お話の舞台はおおきなあかいバス、サラちゃんはこのバスに乗って学校へ通っています。サラちゃんはちょっとおとなしい子どもなので、すぐに気おくれがします。帰りのバスもいつもまごまごとしてしまいます。いつもはおねえちゃんといっしょなのに今日はおねえちゃんはお休みで、ひとりでお帰りです。そして、サラちゃんはバスのなかで眠っていまいます。誰も気がつかなくて、みんなが降りてしまってもまだ、サラちゃんは眠っていました。やがて目をさましたサラちゃんはバスのなかでたったひとりだということに気がつきます。
 なんといってもこの絵本の魅力はおおきなあかいバス、とてもきれいな赤い色です。そして、サラちゃんのように、ゆっくりと一つづつ走って、止まっていきます。見返しにはサラちゃんが暮らしているところの木や草や動物たちが描かれています。このおおきなあかいバスも自動車というより人のような存在、サラちゃんは安心して無事家に帰り着きました。最後のページではおおきなあかいバスを降りたサラちゃんをお父さんもお母さんもお姉ちゃんも犬もみんなが待っていました。

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かしこいモリー

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「かしこいモリー」
ウォルター・デ・ラ・メア再話
エロール・ル・カイン絵
中川千尋 訳
ほるぷ出版 本体1300円

 このお話はイギリスの昔話を再話しています。と、いうのは再話者によってかなり感じが違います。それを絵本にする、イメージはしっかり見えるかたちで本になります。
 このお話を語る人は私のまわりには何人かがいます。ジェイコブスの再話をもとにしている人ばかりなので、モリーはもっと元気が良く、たくましい女の子のなります。だから、大おとこのひとの良いちょっと間抜けな考えなしのおかみさんが、モリーにだまされて袋の中にはいり、殴り殺されてもあっらかんとした場面にしかなりません。
 この絵本の再話者はデ・ラ・メア、詩人であり「三びきの高貴な猿」の作者、ちょっと幻想的な物語を書いています。その意味ではル・カインの絵があっています。細密に華麗で、神秘的な絵です。シンガポール生まれで、インドや中国、日本を転々として、十代にロンドンへ行かれてアニメーションをつくる会社にいた、それらの影響が色濃く残っています。ポリーの髪は短くちょっと東洋的、そして、小さな女の子というより、もっと成熟した頭の良い若い女の人に描かれています。印刷が鮮明になって細密な画が物語を良く表現しています。

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めっちゃくちゃのおおさわぎ

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「めっちゃくちゃのおおさわぎ」
K.チュコフスキー・作
F.ヤールブソヴァ絵
田中潔 訳
偕成社 本体1400円


 なんといってもチュコフスキーの文、訳が良いこともありますが、リズムが良く声を出して読んでみました。絵も私の好きな「きりのなかのはりねずみ」を描いたヤールブソヴァの作品です。こういう絵本に出会うと幼い子どもといっしょに読みたくなります。こねこたちが「ニャーニャーなくのはあきちゃった!コブタみたいになきたいよ!」と言い出すことからはじまります。いろいろな動物たちの鳴き声がとりかえっこ、その鳴き声のくりかえしがおかしくて、私もおもわずいっしょに鳴いてみます。めがねをかけたニワトリや本を読むうさぎ、かえるが魚釣りをしていたり、ワニの消防士は大活躍、絵は写実的で動物らしいけれど、愉快で楽しいのもこの絵本の良いところです。暖かみのある土臭い絵、動きのある動物たちの絵はロシアらしい趣があります。こんど保育所の子どもたちに持っていこう!小学校1・2年生を受け持っている先生たちにも薦めてみよう!

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おじいちゃんとテオのすてきな庭

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「おじいちゃんとテオのすてきな庭」
アンドリュー・ラースン文
アイリーン・ルックスバーカー絵
みはらいずみ訳
あすなろ書房 本体1400円


 おじいちゃんとテオは大の仲良しです。おじいちゃんは庭のある家に住んでいましたがお引っ越しをしました。こんどのアパートには庭がありません。”お花を植えようか””風が強いからだめだよ”テオは考えました。つくりもののお花ならどうだろうと。2人は庭をつくることにします。つくりものの庭というのがくせものです。どんなことをするのだろうと思いながら頁をめくっていきます。しかも、おじいちゃんは出かけて留守の間、テオは一人でつくってしまいます。”うん!きれいきれい!”でもなにかがたりない、テオはそれもつくってしまいます。
 現実と願いが同じ次元で描かれる少し不思議な絵本です。絵を描くということをうまくつかって。
おじいちゃんが喜ぶものを作っていく、一体テオはなにをしたのでしょうか。
 作者紹介のところにこんなことがかかれています。ラースンはトロントに住んでいて、物語のよく育つ一軒家に、ルックスバーカーは同じトロント、居心地のいい芸術あふれるアパートに住んでいるとのことです。おもわず、うん!うん!とうなずいてしまいました。

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地球と宇宙のおはなし

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「地球と宇宙のおはなし」
チョン・チャンフン文
山福朱実 絵
おおたけきよみ訳
講談社 本体1600円


 太陽・星・地球、そして、宇宙と今年はいろいろな話題がいっぱいです。地球に関していえば温暖化の問題も含めて、なんらかの話題が毎日のぼります。けれど、小学校低学年位の子どもたちに読んでやりたい本となるとなかなかありません。じつはこの絵本が7月にでていたのを知らなかった、最近偶然に取次ぎの棚でみつけました。
 「なんにも見えないのが宇宙、そのなかには太陽も、月も、かぞえきれないほどの星も、そして、地球もある」と物語ははじまります。科学というより私にとっては宇宙は物語の世界です。だから限りなく広く、大きく、無限の世界というのもうなずけます。そのことがとてもわかりやすい言葉で書かれています。もうひとつ、この絵本の特徴的なことは描かれている絵が木版画なのです。一般的に宇宙を表しているのには写真が多い、それはそれで良いのですが、私たちが生きている世界から空などを見上げると、この本のようなかたちを感ずることもあるように思います。太陽の光も山や樹木、輝く星も、こんな厚みがある、子どもの視点が感じられる宇宙の絵本です。
 23日位まで「オリオン座流星群」が見られるとのこと、21日が極大で次は70年後とのことなので、
夜が明ける前4時頃がんばっておきて、しばし空を見上げたいと思っています。


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1つぶのおこめ

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「1つぶのおこめ」
さんすうのむかしばなし
デミ作 
さくまゆみこ訳
光村教育図書 本体1900円


 「1つぶのおこめ」=「ひとつぶのおこめ」と読みます。わざわざ1としているのは副題にあるようにさんすうのお話だからです。あるところに欲張りな王さまがいました。飢饉がやってきた時のためにお米を預かるとして取り上げ、自分の米蔵に運び入れていました。けれど飢饉の年、王さまは米蔵を閉じて人々に分け与えませんでした。かしこいラーニは考えました。こぼれ落ちたお米を拾い、王さまに届けると、そのほうびに”まず1つぶお米が欲しい、30日の間毎日、前の日の倍ずついただきたい”といいます。なんだ、そんなことかと思いますが、30日たった時にはなんと全部あわせて10億つぶ以上のお米、王さまも真っ青です。とうとう王さまはそれから心を入れ替え、皆にお米を分け与える賢い王さまになったということです。ラーニはなかなかの賢い女の子です。「インドさんすうのむかしばなし」インド数学ってこういうことなのかとすっかり感心してしまいました。
 この絵本を描いたのはアメリカ人ですが、インドの大学やその他いろいろの文化にふれながら、東方芸術や仏教芸術を学んできたとのこと、この絵本もインド細密画をつかい独特な雰囲気をもっています。金、朱、紫が印象的です。最後の頁は右側が全面朱色、左頁にはラーニがどれだけのお米をもらったか、表にして計算できるようになっています。ちなみに何粒だとおもいますか?(答えも描いてあります。)

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おばけやしきにおひっこし

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「おばけやしきにおひっこし」
カズノ・コハラ作
石津ちひろ訳
光村教育図書 本体1400円


 マージョリィとねこのオスカーはお引越しをしました。でも、その家にはおばけがいたのです。マージョリィもオスカーもすこしもこわくありません。チョイチョイのチョイ!おばけは集められて洗われてカーテンになったり、敷物、おふとんにまでなってしまいました。この強い女の子マージョリィってなにものでしょうか?
 赤色がベースに(この画像の色より実際の本はもっと赤い)版画や特殊インクをつかって、おばけはコラージュ、柔らかい和紙のような紙をつかっています。赤色がベースといってもあとは、白色と黒色なので、あまり強烈ではありません。マージョリィもおばけもなかなかかわいらしく、ユーモアがあります。

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