絵本

かしこいモリー

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「かしこいモリー」
ウォルター・デ・ラ・メア再話
エロール・ル・カイン絵
中川千尋 訳
ほるぷ出版 本体1300円

 このお話はイギリスの昔話を再話しています。と、いうのは再話者によってかなり感じが違います。それを絵本にする、イメージはしっかり見えるかたちで本になります。
 このお話を語る人は私のまわりには何人かがいます。ジェイコブスの再話をもとにしている人ばかりなので、モリーはもっと元気が良く、たくましい女の子のなります。だから、大おとこのひとの良いちょっと間抜けな考えなしのおかみさんが、モリーにだまされて袋の中にはいり、殴り殺されてもあっらかんとした場面にしかなりません。
 この絵本の再話者はデ・ラ・メア、詩人であり「三びきの高貴な猿」の作者、ちょっと幻想的な物語を書いています。その意味ではル・カインの絵があっています。細密に華麗で、神秘的な絵です。シンガポール生まれで、インドや中国、日本を転々として、十代にロンドンへ行かれてアニメーションをつくる会社にいた、それらの影響が色濃く残っています。ポリーの髪は短くちょっと東洋的、そして、小さな女の子というより、もっと成熟した頭の良い若い女の人に描かれています。印刷が鮮明になって細密な画が物語を良く表現しています。

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めっちゃくちゃのおおさわぎ

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「めっちゃくちゃのおおさわぎ」
K.チュコフスキー・作
F.ヤールブソヴァ絵
田中潔 訳
偕成社 本体1400円


 なんといってもチュコフスキーの文、訳が良いこともありますが、リズムが良く声を出して読んでみました。絵も私の好きな「きりのなかのはりねずみ」を描いたヤールブソヴァの作品です。こういう絵本に出会うと幼い子どもといっしょに読みたくなります。こねこたちが「ニャーニャーなくのはあきちゃった!コブタみたいになきたいよ!」と言い出すことからはじまります。いろいろな動物たちの鳴き声がとりかえっこ、その鳴き声のくりかえしがおかしくて、私もおもわずいっしょに鳴いてみます。めがねをかけたニワトリや本を読むうさぎ、かえるが魚釣りをしていたり、ワニの消防士は大活躍、絵は写実的で動物らしいけれど、愉快で楽しいのもこの絵本の良いところです。暖かみのある土臭い絵、動きのある動物たちの絵はロシアらしい趣があります。こんど保育所の子どもたちに持っていこう!小学校1・2年生を受け持っている先生たちにも薦めてみよう!

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おじいちゃんとテオのすてきな庭

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「おじいちゃんとテオのすてきな庭」
アンドリュー・ラースン文
アイリーン・ルックスバーカー絵
みはらいずみ訳
あすなろ書房 本体1400円


 おじいちゃんとテオは大の仲良しです。おじいちゃんは庭のある家に住んでいましたがお引っ越しをしました。こんどのアパートには庭がありません。”お花を植えようか””風が強いからだめだよ”テオは考えました。つくりもののお花ならどうだろうと。2人は庭をつくることにします。つくりものの庭というのがくせものです。どんなことをするのだろうと思いながら頁をめくっていきます。しかも、おじいちゃんは出かけて留守の間、テオは一人でつくってしまいます。”うん!きれいきれい!”でもなにかがたりない、テオはそれもつくってしまいます。
 現実と願いが同じ次元で描かれる少し不思議な絵本です。絵を描くということをうまくつかって。
おじいちゃんが喜ぶものを作っていく、一体テオはなにをしたのでしょうか。
 作者紹介のところにこんなことがかかれています。ラースンはトロントに住んでいて、物語のよく育つ一軒家に、ルックスバーカーは同じトロント、居心地のいい芸術あふれるアパートに住んでいるとのことです。おもわず、うん!うん!とうなずいてしまいました。

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地球と宇宙のおはなし

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「地球と宇宙のおはなし」
チョン・チャンフン文
山福朱実 絵
おおたけきよみ訳
講談社 本体1600円


 太陽・星・地球、そして、宇宙と今年はいろいろな話題がいっぱいです。地球に関していえば温暖化の問題も含めて、なんらかの話題が毎日のぼります。けれど、小学校低学年位の子どもたちに読んでやりたい本となるとなかなかありません。じつはこの絵本が7月にでていたのを知らなかった、最近偶然に取次ぎの棚でみつけました。
 「なんにも見えないのが宇宙、そのなかには太陽も、月も、かぞえきれないほどの星も、そして、地球もある」と物語ははじまります。科学というより私にとっては宇宙は物語の世界です。だから限りなく広く、大きく、無限の世界というのもうなずけます。そのことがとてもわかりやすい言葉で書かれています。もうひとつ、この絵本の特徴的なことは描かれている絵が木版画なのです。一般的に宇宙を表しているのには写真が多い、それはそれで良いのですが、私たちが生きている世界から空などを見上げると、この本のようなかたちを感ずることもあるように思います。太陽の光も山や樹木、輝く星も、こんな厚みがある、子どもの視点が感じられる宇宙の絵本です。
 23日位まで「オリオン座流星群」が見られるとのこと、21日が極大で次は70年後とのことなので、
夜が明ける前4時頃がんばっておきて、しばし空を見上げたいと思っています。


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1つぶのおこめ

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「1つぶのおこめ」
さんすうのむかしばなし
デミ作 
さくまゆみこ訳
光村教育図書 本体1900円


 「1つぶのおこめ」=「ひとつぶのおこめ」と読みます。わざわざ1としているのは副題にあるようにさんすうのお話だからです。あるところに欲張りな王さまがいました。飢饉がやってきた時のためにお米を預かるとして取り上げ、自分の米蔵に運び入れていました。けれど飢饉の年、王さまは米蔵を閉じて人々に分け与えませんでした。かしこいラーニは考えました。こぼれ落ちたお米を拾い、王さまに届けると、そのほうびに”まず1つぶお米が欲しい、30日の間毎日、前の日の倍ずついただきたい”といいます。なんだ、そんなことかと思いますが、30日たった時にはなんと全部あわせて10億つぶ以上のお米、王さまも真っ青です。とうとう王さまはそれから心を入れ替え、皆にお米を分け与える賢い王さまになったということです。ラーニはなかなかの賢い女の子です。「インドさんすうのむかしばなし」インド数学ってこういうことなのかとすっかり感心してしまいました。
 この絵本を描いたのはアメリカ人ですが、インドの大学やその他いろいろの文化にふれながら、東方芸術や仏教芸術を学んできたとのこと、この絵本もインド細密画をつかい独特な雰囲気をもっています。金、朱、紫が印象的です。最後の頁は右側が全面朱色、左頁にはラーニがどれだけのお米をもらったか、表にして計算できるようになっています。ちなみに何粒だとおもいますか?(答えも描いてあります。)

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おばけやしきにおひっこし

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「おばけやしきにおひっこし」
カズノ・コハラ作
石津ちひろ訳
光村教育図書 本体1400円


 マージョリィとねこのオスカーはお引越しをしました。でも、その家にはおばけがいたのです。マージョリィもオスカーもすこしもこわくありません。チョイチョイのチョイ!おばけは集められて洗われてカーテンになったり、敷物、おふとんにまでなってしまいました。この強い女の子マージョリィってなにものでしょうか?
 赤色がベースに(この画像の色より実際の本はもっと赤い)版画や特殊インクをつかって、おばけはコラージュ、柔らかい和紙のような紙をつかっています。赤色がベースといってもあとは、白色と黒色なので、あまり強烈ではありません。マージョリィもおばけもなかなかかわいらしく、ユーモアがあります。

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くまおじさん

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「くまおじさん」
こどものとも11月号
こさかまさみ さく
池谷陽子 え
福音館書店 本体390円


 忘れ物が多いわたし、でも自慢じゃないけれど落とし物はあまりしたことがありません。ところが例外が一つあります。この絵本のくまおじさんのように乗り物(おもに電車)のキップを時々なくします。キップを買うとめんどくさいのでついポケットに入れるのですが、きちんと入れないから、入れたつもりになって手から滑り落ちてしまうのかもしれません。ひどいときはポケットに穴があいていたりして、降りる時になってあわてます。滑り落ちるといったら、手袋をしている冬が多いことからも言えます。このあわてんぼのくまさんのキップはぼうしに挟んでありました。
 くまの感じかよくでています。秋の山のおはなしだから、くまおじさんのポケットからは木の実といっしょに動物がでてきます。冬にむかって体力をつけるために木の実を食べています。気の良いくまおじさんはキップを探すたびにでてくる動物たちに、おさわがせ、”ごめんよ”とあやまっています。ぼうしにあるのをみつけたぼくに真っ赤なもみじをくれました。
 ユーモラスなくまおじさんと、とってもうれしそうな子どもの顔、山の紅葉はあと少しでしょうか。

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はじまるよ

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「はじまるよ」
熊谷守一絵
ぱくきょんみ文
福音館書店 本体390円


 えぇ!熊谷守一ってあの「くまがいもりかず」、たしか100歳近くで亡くなったはず、確かにそうでした。一体だれがあかちゃん向けの月刊絵本に、この有名な画家の絵を使おうとおもったのでしょうか。この画家の絵はとても斬新です。それをトリミングなし、板絵をうまく使ってデザイン処理がなされています。折り込み付録によるとおかざき乾じろさんのレイアウトとのことです。文をつけたのは活躍中の詩人ぱくさん。日本語以上の日本語、小さな生きものたちの鳴き声、擬声、擬態が的確に、短く付けられています。おなじみのねこは「ねむたいねこ」”そっとしとこ”だって。空気はあくまで澄んで明るい!

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ベニーはおにいちゃん

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「ベニーはおにいちゃん」
バルブロ・リンドグレーン/文
オーロフ・ランドストローム/絵
うらたあつこ/訳
ラトルズ 本体1400円


 目が覚めるとあかちゃんがいて、お母さんに”おとうとよ”といわれ”ぼくしってるよ”。このセリフからいいですね。弟のおしゃぶりが欲しい、でもお母さんにあなたはもう大きいのだからといわれてしまいます。”ぼく おおきくなんかない”このセリフもおにいちゃんのペニーの気持ちが良くでていていいです。そして、おとうとを外に置き去りにして、おしゃぶりを取り上げスタコラと逃げ出します。お兄ちゃんになった子どもの気持ちがしっかり描かれていて、特に表情が豊かに描かれています。(ちょっと版型が小さい?もう少し大きいと動きがでて良いのだけれど)。
 読みながら愉快で、おもわず笑ってしまいました。そして、おかあさんの最後のセリフが決まり!”あらペニー、おもりをしくれてたの。たすかったわ”だって。

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はっぱをつかまえて

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「はっぱをつかまえて!」
オーレ・クネッケさく
ささきたづこ やく
ほるぷ出版 本体1400円

 昨日のまんまるのお月さまが見えたお天気と一転、すっかり雨の一日でした。だんだん暮れるのが早くなるので、これからの夕暮れ時はあまり好きではありません。しかも雨が降るとちょっと心細く感じます。お天気だと楽しみがあるので少しは気分が違うのですが。それは樹々の紅葉、特別山や遠くへ行かなくとも身の回りにたくさんあります。春は新緑が浮き立つように霞がかかったりしてきれいですが、秋は足下に色様々の葉が散っています。私は見るだけでなく拾って歩くものだから、朝、店に着く頃にはけっこう集まってしまいます。歩いてなので、桜とか銀杏とか柿とか、ありきたりの葉ですがとてもきれいです。
 この絵本の主人公アントンも庭掃除をしていて、落ちてきた葉っぱ、風に乗って舞う葉っぱを友だちと追いかけて、やっとつかまえたと思ったらまた、ひ〜らり!”つかまえた!”でも・・・最後が子どもの気持ちそのままでおもしろいです。漫画のような表情の子どもたちの描き方、葉っぱを追いかける子どもたちの動き、”つかまえた!”と子どもたちが声をそろえる、画面いっぱいに描き込まれている落ち葉、秋の楽しいひとときの絵本です。

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きょうは満月

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「おつきさまこんばんは」
林明子・作
福音館書店 本体700円



 この絵本のお月さまのように、今夜の月はまん丸でとてもきれいです。昨日は十五夜でした。朝ひどく雨が降って、でも、時々晴れというへんなお天気でした。それに蒸し暑くて困りました。帰りの夜空では時々月が顔をだしていました。今日は朝から良いお天気で、月はみごとにまんまるで空にあります。
 この絵本は幼い子どもが大好きです。シリーズになっていて、後は食事や服を着る、歩くなのでとても身じかなことが絵本になっています。この絵本は月が主人公なので、あかちゃん絵本を読んでもらうのに、抽象的なので難しいのではないかとはじめは思いましたが、なぜかこの絵本をいちばん喜びます。月は不思議、そして雲の間に隠れたり、顔をだしたり、まあ、「いないないばあ」の系列なのかもしれません。それともうひとつ、本だけでなく、夜、月を見せてやってください。抱っこして。そのうち月が欲しいなどというかもしれませんね。そうしたら、この絵本を読んでやりましょう。

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自分で読む絵本ーうさこちゃんとぐりとぐら

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「うさこちゃんのおじいちゃんへのおくりもの」
「うさこちゃんはじょうおうさま」
「うさこちゃんのだんす」
ディック・ブルーナぶん・え
松岡享子 やく
福音館書店  本体各600円

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「ぐりとぐらのしりとりうた」
「ぐりとぐらのおまじない」
なかがわりえこ 
やまわきゆりこ
福音館書店 本体各600円


 最近刊のうさこちゃんは少しおとなになりました。学校へ行っているので当然かもしれません。それはお話の内容からわかるだけでなく、うさこちゃんの顔はおとなびた表情をしているように感じます。
 それは、ぐりとぐらにもいえます。子どもたちは「ぐりとぐら」のどの絵本も好き、どの子も好きです。<国民栄誉賞もの>と思います。私はやはり最初の「ぐりとぐら」が好きです。この絵本は秋の絵本です。(きのこ)をとっているから・・・。とてもおいしそう、楽しそう!
 この新刊の二つのシリーズは1年生前後のこどもたちにもおすすめです。いまの子どもたちは驚くほど早く文字を読み始めます。みんながみんな文字を教えようとしているわけではありませんが、まわりの友だちにひっぱられて読むようになるようです。そして、また自分で文字が読むことができるようになると嬉しくてたまりません。自分で文字を読む、文を読みはじめた子どもたちに、この本はおすすめです。
 文のバックは白色、文のセンテンスが短い、絵が充分に描かれていて、文字を読みながらイメージを広げていきやすい、小さくて子どもの手のひらサイズ、内容もあまりあかちゃんぽくなくておもしろく楽しいなど、理由はいっぱいです。

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このラッパだれのかな

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「このラッパだれのかな」
ぶん=まど・みちお
え=なかがわそうや
瑞雲舍 本体1000円


 こんなことを言ったらまどさんに失礼でしょうか。この絵本は1972年にフレーベル館から出版されたものの復刊なのですが、あらためて読んでみると、幼い子どもになった100歳のいまのまどさんが描かれたような絵本です。動物たちがつぎつぎとラッパを吹いています。”このラッパはだれのかな?””りすさん!”りすさんのラッパの音はぷっぷくぷーという音です。そのラッパもりすも音までがのびやかに流れています。それは画家の力ですが。幼い子どもといっしょに楽しみたい絵本です。こういう絵本をみると、いっしょに読むことのできる幼い子どもを探してみたり、おかあさんやおとうさんはいいなぁ!などと思ってみます。

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旅の絵本Ⅶ

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「旅の絵本Ⅶ」
安野光雅
福音館書店 本体1400円


 いよいよ東洋、中国編です。画家の好きな「清明上河図」の部分模写から。旅人は船に乗って川上にのぼっていきます。表紙と扉、21場面、最後は黄土高原で人々が木を植えているところで旅はおわります。本の後にそれらの場面の解説がついているので、解説を読みながら中国を旅してみましょう。
 土手はあるものの土地と河があまり境目無く描かれていたり、立体的な物は(橋がたくさんでてきます)ちょっとねじれたり、画家独特の描き方はあいかわらずです。それがこの国の広さを知ることにもなります。河、橋はヴェネツィアそっくりだとのことなので水の都と思いきや、黄土高原のそそり立つ岩山と黄砂の人々の生活、中国はなにもかもがある広い国だということがわかります。自然と人間の厳しい戦いと共生が描かれています。その中に生活している人たち、お祭りやこどもたちが遊んでいる様子はいきいきと楽しそうです。

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きりのなかのサーカス

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「きりのなかのサーカス」
ブルーノ・ムナリー/作
谷川俊太郎/訳
フレーベル館 本体2300円


 デザイナーだけでなく、絵本を子どものためという視点だけにこだわらない人たちの間で、手に入らないのが残念がられていた絵本です。訳が変わりましたが、でたね!いいねぇ!と好評です。
 霧のなかのサーカスにはいっていきます。霧はトレーシングペーパを使って描かれています。でも、サーカスの中は色鮮やか、○と線で動きも感じ方もきっちり描かれています。
 この霧はイタリアの霧だから、なかは鮮明です。千葉へ引越してきたとき霧の多さにびっくりしました。ここの霧はイタリアの霧と違って水分の多い霧です。霧の中から物が鮮明に浮かび上がってくるのではなく、幕のように掛かった向こうに物が見えます。 ”冬、自然は眠る、そして夢を見る・・・本文中扉より”夢は動いています。でも、私のいるここの霧の中の夢はぼんやりと佇んでいました。

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ごきげんなライオン しっぽがふたつ

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「ごきげんなライオン しっぽがたつ」
ルイーズ・ファティオ文
ロジャー・デュボアザン絵
今江祥智 訳
BL出版 本体1300円


 ライオンくんは、ひとりぼっち。みんな家族がいます。ある日サーカスにいって見つけた王女さまライオンにひと目ぼれ。夜になってひそかに連れ出して、隠してしまいます。でも、見つかってしまいます。”みてよ。ライオンさんにしっぽがふたつもあるわ!さぁーどうなるでしょうか。
 1957年の作品です。すこしも古くさく感じません。ライオンくんの表情も、めすライオンの表情もとても豊かで楽しい。作者は「ごきげんなライオンシリーズ」でたくさんの作品を残しています。また、他の動物が主人公、たとえば「ガチョウのペチューニア」など気の良い愉快な動物がでてくる作品も子どもたちに人気があります。

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父と子ーこだぬきおーた

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「はっけよぃ のこった」
かまたのぶこ
童心社 本体950円


 シルバー連休とやら、私も休みというか、決算処理を家ですることにしました。。秋晴れの良いお天気に恵まれそうで、夕焼けの空は真っ赤に燃えていました。道路は渋滞とのこと、休みとなると現代は家族で出かけることになるのでしょうか。
 この幼い人向きの絵本をみながら、いまは子どもが父親にすもう?をとってもらうことがどれくらいあるのかなぁと思いました。毎日早くからでかけ、夜は子どもが寝てからしか帰ってこられないという日本の父親たち、この絵本のこだぬきのおーたはまんまるの目を見開いて、”はっけよぃのこった!”、かなわないとなると”こちょこちょ”とくすぐり、おとうさんたぬきに”ずるはいけないよ”とやさしくたしなめられます。おーたはつぎのてを考えます。そして、それはとても自然な終わり方でおーたは大満足です。うら表紙には木の枝をもったおーたとおとうさんたぬき、しっかり手をつないでいます。つぎはなにして遊ぼうか!おとうさんたぬきの存在感がしっかり描かれた絵本です。
 

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甲斐信枝の世界

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「小さな生きものたちの不思議なくらし」
甲斐信枝 
福音館書店 本体1400円

 福音館書店の月刊誌には折り込みふろくがつきます。著者の小文が載っていておとなはそれが楽しみです。ハードカバーの絵本になるとそれがなくなって、書籍になっていつでも手に入るのはうれしいのですが、いつもちょっと残念です。だから、この本のようにまとめて1冊の本になり、あらためて読むことができ、嬉しくなりました。
 「かがくのとも」などだけでなく、また福音館書店以外の出版社からだされたものも含めて、30冊の作品に描かれた、自然のなかの小さな生きものたちの息づかいが聞こえてきます。私たちはいつも自然がなくなったと嘆きますが、すぐそこの足下にはしっかりと生きています。なくなったわけではなく、毎日ガサガサと暮らしていると、いつのまにか見えなくなっているだけなのです。
 作者は書いています。人の心を扱う物語絵本だけでなく、自然をテーマにする科学絵本、両方で心を耕して欲しい、それで、はじめて豊かな心が育っていくのではないか、その作者の思いが本の中に宝石のように輝いています。
 この本のなかにでてくるけれど、しばらく手に入らなかったものが6冊が限定出版されました。「ぼくはたね」「こがねぐも」「みのむし」「ひがんばな」「きゃべつばたけのいちにち」「あしながばち」これを機会にあわせて自然を読んでみましょう。
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 ところでこの写真は?左ははじめてみた「コブシ」の木の実、木についているときはピンク色で、風にユラユラと揺れているのもきれいです。右はこの頃夜になるとわが家の壁に姿を見せる「ヤモリ」、見つけると大急ぎで走っていってしまいます。秋は短く、あっという間に寒くなります。

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マジック★ラビット

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「マジック★ラビット」
アネット・ルブラン・ケイト作
岡田淳・訳
BL出版 本体1600円

 手品師のレイには助手のウサギのバニーがいます。助手というより、良い相棒、というより家族です。何もするにもいっしょです。土曜日には広場にいって手品をしてみせます。レイの手品は”アブラカダブラ”と願いを唱えて帽子にステッキを振ると★が帽子に降り注ぎ、ウサギのバニーが飛び出します。きょうも広場で”アブラカダブラ”!そこまでは良かったのだけれど、隣の人とぶつかって飛び出したバニーは犬に追いかけられ、我も忘れて走ったためレイと離ればなれ、バニーは迷子になってしまいます。
 セピア色の中に★だけが金色に光っています。絵にはいろいろ描き込まれていていますが、ストーリーはとてもシンプルです。ウサギのバニーは子どもの表情、はじめは遊んであるいているけれど、夜になり暗くなって、お腹もすいて心細くなって、でもちゃんと会えました。レイに抱きしめられる場面が良いです。レイもバニーも後ろ姿で表情は見えませんが。

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くまの楽器屋

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「くまの楽器屋」
作 安房直子
絵 こみねゆら
小学館 本体1500円

 短いお話が4つはいっています。野原の真ん中のニレの木の下の小さなお店、「ふしぎや」と描いてあるかんばんのある小さな楽器屋さんのお話です。その楽器屋さんのオーナーは緑のベレーをかぶったくまです。
 最初のお話のお客は男の子、くまはトランペットを男の子に、代金はうめの実3つです。男の子は野原をどこまでもとランぺットを吹きながら歩いていきます。するとその音にあわせて空の雲が動き出す・・・安房直子のお話はいつもこんな風に始まってちょっと不思議なことがおこります。
 この絵本の絵を描いているこみねゆらはいつもはもう少しせんの細い感じ、少しばかりたよりなさそうな表情の子どもや動物がでてくるのですが、この絵本のなかのものたちは感じがちがいます。それはちょこんとすわった主人公のくまの明るいクルッとした目、表情が生きているからでしょうか。それに背景がしっかり塗ってありません。だから明るい印象がつよいのかもしれません。
 「心がやさしくなる絵本」と描かれたおたまじゃくしのシールは、この半分位でいいです。最近の絵本はオビも大きく、とってみると表紙の絵がいきいきとしてくる絵本が多くあります。
 もう秋、虫たちの演奏会で落ちついた気持ちになります。このくまの楽器屋さんにあるいろいろの楽器の音色が聞こえてきそうです。私も今度くまの楽器屋さん「ふしぎや」に行ってみようと思います。どこにある?近くの森や公園に行ってみると、きっとみつかるような気がします。


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ラストリゾート

 想像力を探しに
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「ラストリゾート」
絵 ロベルト・インノチエンテイ
文 J・パトリック・ルイス
訳 青山南
BL出版 本体1800円


 これは私の話です。私は絵描き、想像力がなくなってしまった絵描きです。それで想像力を探しに旅にでかけることにしました。私の車は心得ていて、黙っていてもつれて行ってくれました。着いたところは海辺のホテル、入り口に座って本を読んでいた男の子に”ここはどこ?”と聞くと”こころにぽっかりあながあいてしまったひとたちの、リゾートホテルさ”とにっこり答えてくれました。ホテルはいろいろの人がいて、その人たちはみんなちょっと不思議な人ばかりでした。
 この絵本には物語の主人公がでてきます。物語の主人公がこのホテルに泊まっているのです。みんな何かを探しています。たとえば、入り口で本を読んでいたそばかすだらけの男の子は、次の日波止場で釣りをしています。でも魚でなく釣っているのは手紙のようで、すてきな海の歌を歌っています。そして、ホテルにもどると白いドレスの女性、灰色ずくめのお客、入り口のオーム、一本足の男など、次々に登場する人たちはみんなどこか不思議です。物語だけだけではありません。描かれている絵も写実的でいて、描き込まれた絵のなかには不思議な人たちや空間がひろがっています。描かれている絵をとおして絵の向こうの世界を見ることができます。
 最後にこの物語の中に登場する人たちが、なにものかの種明かしがあります。オームが言っています。”有名なお話たちの世界にようこそ。きっと、いいものがみつかるよ”と。

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ホネホネのはなし2

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「ホネホネどうぶつえん」
監修/解説 西澤真樹子
しゃしん 大西成明
ぶん   松田素子
アリス館 本体1500円



 前作みんなをびっくりさせた「ホネホネたんけんたい」の続編です。表紙のホネは誰の?裏表紙には仲良く、後ろから見たおしりのホネの写真が描かれています。
 ひとくちにホネといっても、種によって随分違います。しかも皮がかぶさっていると、それが何なのか、いろいろと総合して見るからか、比較的わかりやすい。でも、それらをとってしまうと、少し想像力を働かせないと解りにくくなってしまうのです。たとえば「ゾウ」、ゾウの特徴の一つにハナがあり、長いハナをみるとゾウとわかりますが、ホネだけみるとハナにはホネがないのでゾウとわかりにくい。ハナはとびきり強くできていて、それは強い筋肉でできているとのことです。
 この絵本で取り上げられているのはホネにまつわる知識、(写真もきれいでおもしろい、)加えて後の解説が細かく書き込まれているので、ホネからみた動物図鑑のようになっています。この「ホネホネ動物園」にはゾウ、ワラビー、パンダ、ゴリラ、カバ・コビトカバ、ライオン、シマウマ、コウモリ、キリンという哺乳類がいます。哺乳類の首の骨は基本的に7つとのこと、だから「キリンは首をのばすのに、ホネそのものをながくした」なるほど!こんなことがわかると、動物を見た時に”ホネはどんなかな?”って想像してみると楽しいですね。

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ぼくのものがたり あなたのものがたり

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「ぼくのものがたり あなたのものがたり」
ー人種についてかんがえようー
ジュリアス・レスター文
カレン・バーバー絵
さくまゆみこ 訳
岩崎書店 本体1400円


 作者は”人はみんな物語をもっている”と言います。まず、どこで、いつ生まれたか、きょうだい、父母、どこでどうやって生活してきたでしょうか。そして、その生活のなかで好きなもの、嫌いなもの趣味も、作者はアフリカ系黒人でアメリカ人、宗教はユダヤ教とのこと、だんだん物語は解ってきます。
 それらの身につけているもの、考えていること、どんな生活をしているかということをのぞいてしまうと、人間としての骨格だけがのこり、それでは当然みんな同じです。あなたも、あなたも、みんないろいろのようだけれど、みんな同じです。どうして差別はおきるのでしようか。
 この絵本では作者自身を中心にして、違うこと同じことが解り易く描かれています。みんな同じけれど違うのです。。作者のハッキリとした考え方が、とてもあざやかな色と力強いタッチの絵で描かれています。そういえば人種差別というと、日本人はあまり関係ないといった人がいましたが、アイヌの人々、在日の朝鮮の人、残留孤児の人たち、その他、日本で働いていて、日本の国の発展の手助けをしている人々がいることを考えてみると、決してそうばかりは言えないことがわかります。

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夏の冒険

 そろそろ夏休みもおしまいです。今年は湿気が多くて、暑いのにすっきりとした、そして、夏のチリチリという暑さというわけにはいきませんでした。お天気、地震、インフルエンザとでかけるにも大変、まして子どもだけで冒険することはできないことになってしまいました。蝉が元気に鳴いていますが、捕虫網を振り回している子どもも見かけなくなりました。それでも青葉の森公園などでお父さんと蝉やトンボとりをしているのを見かけます。昔は子どもだけでよく遊びました。ただ、そのことはともすると事故にもつながりました。それでも親たちは子どもたちが外遊びをするのをとめませんでしたし、子どもはそのなかから大きくなっていきました。
 つぎの絵本のかんたもおっきょちゃんも楽しい冒険をしましたが、ちゃんと無事に帰ってきました。
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「めっきらもっきらどおんどん」
長谷川摂子・文
降矢なな・絵
福音館書店 本体800円

 かんたは遊ぶともだちがいなくて、ひとりでお宮に来ていました。つまらなくて大きな声で、でたらめ”めっきらもっきらどおんどん”と言ってみたらなんと木の根元にあいていた穴に吸い込まれてしまいます。ここはどこでしょう。向こうからへんな人たちがやってきます。でもおもしろい人たちでした。遊んで!遊んで!でも、ちょっとつかれたなぁ。かえろうかなぁ。さあ、どうやってかえるのでしょうか。

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「おっきょちゃんとかっぱ」
長谷川摂子・文
降矢なな・絵
福音館書店 本体800円

 この絵本で主人公のおっきょちゃんは川をのぞいていて川の中へ、川底の世界はかっぱの街でした。はじめはなじめなかったのですが、やがて仲良くなってお祭りにもでかけます。でも、そのままいてはいけない、おっきょちゃんはかっぱの子どもになってはいけません。どうやって家に帰るのでしょうか。この絵本ではスイカがだいじな働きをします。
 同じ夏の冒険のおはなしでもつぎの絵本は少しちがいます。でかけた途中でおもいもかけないことがあってこわい思いもしますが、ちょろりんはがんばります。
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「ちょろりんととっけー」
降矢なな・作
福音館書店 本体800円

 この絵本でのちょろりんは偶然に大変なことにあうのではありません。地図も食料ももってでかける、準備はOK。でも、だめだといったのに弟とっけーがこっそりついてきます。旅には思いがけないことがつきものです。最後にはちょろりんはすこし大きくおにいさんになりました。
 3冊とも福音館書店の「こどものとも」でだされ、いまはハード版になっています。「めっきらもっきらどおんどん」はセンダックの「かいじゅたちのいるところ」にお話が良く似ていて、3、4歳のこどもたちにも人気の絵本、「おっきょちゃんとかっぱ」は日本の土俗的な世界が良く描かれています。「ちょろりんととっけー」は物語もすこし長いのですが1、2年生の子どもたちの気持ちにぴったりのおはなしで読み終わった子どもの満足そうな顔、夏休みが終わった元気な子どもたちの顔とかさなります。
 私は降矢ななの絵が大好きで、子どもになった気持ちで、いつも、なんども読むたびに楽しい気持ちになります。でも、おとなの心も絵にはしっかり描かれています。

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父と子のものがたり

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「大きな大きな船」
長谷川集平
ポプラ社 本体1200円




 作者はこれまでも父と息子との物語を絵本にしてきました。この絵本に登場する父親はまわりによくいそうです。いわゆる企業戦士、いまは不況なのでサービス残業も含めて、仕事に明け暮れている父親はたくさんいます。ふと気がついたら子どもたちは何を悩み考えているかわからない、たまにの休暇にそんなこと知り愕然とします。
 息子にいわれます。無理をして母親の役割をしなくともいい、と。この家族の今に母親はいません。”母さんは泣いていた。””よく口笛をふいていた。”息子にそう言われて思い出しますが、母親は死んでしまったのか、家を出ていってしまったのか、この絵本の中では「〜だった」という存在です。思わず涙してしまう父親、”無理をしなくてもいい”とクールに言う息子です。息子はやさしい、というか息子もまた、日本の男です。2人でおもいきりかっこよく港通りを歩きます。
 見返しにはボート=小舟に乗って海に漕ぎだしていく父子が描かれています。カバーのそでのところにはシャンソン「ラ・メール(海)」を口笛で吹く、この絵本は青=父さん、黄=母さん、赤=子どもの3色で描いてあることの作者のコメントが載っています。

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肝っ玉かあさんにはかなわない

Fukurononaka


「ふくろのなかにはなにがある?」
ポール・ガルドン再話・絵
こだまともこ訳
ほるぷ出版 本体1400円

 きつねが大きな袋を担いでいます。その袋のなかにはふとったハチが入れてあります。まず、ちっちゃなちっちゃなおばさんのところにいって、袋をあずかってくれるようたのみます。でも、ぜったいのぞいたらだめ!気のいいおばさんはひきうけます。気のいいおばさん、だめと言われればのぞきたくなるのが当たり前、のぞいたとたんハチは逃げ出し、しかも、おばさんのニワトリがそのハチを飲み込み食べてしまいます。そこへ帰ってきたきつねは約束を破ったと、ハチのかわりにそのニワトリを袋に入れて持っていってしまいます。そうです、これはきつねの悪だくみです。でも、そう簡単にいきませんでした。最後には肝っ玉母さん大活躍。
 昔話のいわゆるぐるぐる話です。でも、アメリカの絵本らしくスピード感いっぱいに描かれています。そして、訳もそれをそこなわないように楽しくおもしろくなっています。紙の違いでしょうか、いままで出版されていた作者の絵本とくらべて、絵はとても鮮明になっています。
 9月になって学校がはじまりますが、なかなか調子がもどらない子どもたちに読むのもお薦めです。

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どうしてちがでるの?

Bohyun

「どうしてちがでるの?」
ソ・ボヒョン文
田島征三絵
おおたけきよみ訳
光村教育出版 本体1500円

 韓国からの科学の絵本2冊目です。田島征三の絵はすっきりとしていて、かわらずユーモアがいっぱいです。
 男の子がころんで”うわあ あ あ!”ひじとひざから血がでます。血はどうしてでるのでしょう。息を吸ったり吐いたり、心臓のはたらきで体に酸素が取り込まれます。食べ物を食べることで体に栄養が取り込まれます。その酸素や栄養を体中に運ぶはたらきをしているのが血です。また、血は健康なら固まってかさぶたを作りばい菌が入らないようにして、そのうち新しい皮膚ができると、かさぶたははがれ落ちます。ちょっとしたきりきずなら、絆創膏などをきりきりと貼らないで、空気にさらした方が早く治るといいます。そういえば、手術をした後も、いまはできるだけ早く歩いたり、体を動かすようにするほうが治りが良いといわれます。気分的にもケガをしたときなど、はやく血が流れないないほうが良いです。血がタラタラとでるのをみると痛さも増すように思います。
 男の子はかさぶたも剥がれてルンルン気分で自転車に乗っています。でも、ちゃんと前をみないと、ほら!ころんだ。”うわ あ あ あ!

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ダーウィン

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「ダーウィン」
文/アリス・B・マクギンティ
絵/メアリー・アゼアリアン
訳/千葉茂樹
BL出版 本体1600円


 チャールズ・ダーウィン生誕200年の今年、また、新しい伝記の絵本がでました。この絵本には「日記と手紙にかくされた偉大な科学者の努力と夢」という副題が記されています。絵は「雪の写真家ベントレー」でコルデコット賞を受賞した、版画で絵本の形のダーウィンの伝記です。
 ダーウンは落ちこぼれというより、自分が何をすべきか良くわからず、厳格な医者の父親になかなか認めてもらえなかった少年時代をおくりました。ただ、いろいろのものを収集するのが大好きででした。そして、植物学のヘンズロー教授と親しくなり、父親の反対を押し切ってビーグル号での航海にでかけます。ガラパガス諸島で集めた鳥についての研究、そして田舎の家「ダウン・ハウス」で綴った秘密のノートから<すべての種は変化するという進化論>を発表します。いまこそ、神の存在ということとは別に人間はサルから進化したという考えかたにはあまり抵抗がありませんが、その頃はは大変な抵抗がありました。
 壮大な自然のなかの人類の存在に思いをはせながら、暖かみのある木版画で描かれたこのダーウィンの伝記絵本をゆっくり読んでみましょう。


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夏の夜明け

 8月に入り、そろそろ人も動き出しました。駅は人でごったがえしていますし、特に子どもたちを連れてお出かけの人たち、部活などでしょうか10代の子どもたちがあつまっています。自然の中で、体験することも多い夏です。
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「よあけ」
ユリー・シュルヴィッツ作・絵
瀬田貞二・訳
福音館書店 本体1200円

 自然と接することが少なくなってしまった現代、しばしそのなかに身をおくことはとても大切なことのように思います。この間のように太陽を追いかける「動」の経験も良いのですが、夜空の月と星、そして夜明けの静けさ、自然がゆっくりと目覚めていく「静」の経験も大切だと思います。
 静かな湖に繰り広げられる自然のドラマ、おじいさんとまごがその湖にくりだしていく、くろぐろとしていた山並みに陽が昇り湖に光があたるようすは息をのむほど美しく、簡素な瀬田貞二さんの訳はその様子を味わい深く語っています。
 子どもだった頃父につれられて山の頂上で夜明けを迎えたことがあります。ご来迎で遠くの山々に赤紫の雲がたなびき、一生忘れられない経験をしました。その時はあまり意味がわからなかったけれど、静謐ななかに身をおいてみたこの経験は、それからの私を強くしてくれたように思います。
 作者の思い出が描かれている絵本「おとうさんのちず」(ユリ・シュルヴィッツ作/さくまゆみこ訳/あすなろ書房)も昨年の秋に出版されています。

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月夜のおおさわぎ

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「月夜のおおさわぎ」
きゅーはくの絵本9 埴輪
制作・画工舍
フレーベル館 本体1000円




 きゅーはく、九州国立博物館はこれまでも絵画、祭り、絵巻、建築物などをとおして、歴史、民俗、文化などを絵本にして、子どもたちにもわかりやすく情報を発信してきました。それは、単なる案内や冊子化しているだけでなく、物語性の強い内容になっているために、知識の学習をこえて読んでもおもしろいものになっています。
 この9巻目は馬の埴輪を中心にした物語、今から1500年前くらいの日本の各地に築かれた古墳の話です。土のなかから見つかった馬の埴輪、満月の夜みんなであるところに向かいます。王さまの眠るお墓、新しい王を迎えてのお祭りです。その物語を写真と動画の技術を使って絵本にしています。
 最後のページには「古墳のおまつり」といろいろの埴輪の解説がのっていて、また、埴輪を見たい人のための案内が載っています。夏休みにおでかけの人も近くの博物館に寄ってみてください。それにしても、埴輪の表情、とてもいろいろあって、見る人にさまざなことを語りかけています。
 私は千葉から一番近い「東京国立博物館」にきっと行ってみようと思っています。

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ほんちゃん

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「ほんちゃん」
スギヤマカナヨ・さく
偕成社 本体1000円


 ほんちゃんは本のこどもです。というより本のたまごです。まだ、どんな本になるのか決まっていません。学校では”けんこうにきをつけよう””みだしなみをととのえよう”と習い、それからどんな本になったら良いかいろいろな本のはなしをききにでかけます。図書館、本屋、古本屋とでかけていって話を聞きました。
 この絵本は従来の読み手の子どもたちから本の大切さや、どんな本があるのかなどが描かれているのではなく、本の側から読書のことについて描かれています。見返しには「うっとりほんちゃん」からはじまって16のほんちゃんの内容、裏の見返しには16のほんちゃんの状況=表情が載っています。そして、”ぼくはかっこいい本になりたいんだ”といっているほんちゃん、その”かっこいい”ということは”きみに手に取って読まれること”!
 本を主人公にしたので、すこしわかりにくい点がありますが、真っ赤なほんちゃんが正面をむいて子どもたちに語りかけているユニークな読書の勧めになっています。

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こんちゅうってなんだ?

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「こんちゅうってなんだ?」
アンロック ウェルさく
スティーブ ジェンキンスえ
あべけんいち やく
福音館書店 本体1300円

 この絵本はいつも読み慣れている昆虫の本とは少し違います。コラージュで描かれているので、少し絵画的と思われる、でもそのことではありません。この絵本は昆虫の名前などを知るというより、その知る手だての本だからです。つまり「昆虫分類学」の本です。
 普段あまり分類学は意識されていません。ほとんどが、たとえば捕まえてきた昆虫の名前を知るときは、それがそれぞれの違いから調べるというより、目次、見出し等から調べていくことがおおいからです。だから、年齢が低くなればなるほどおおまかに「チョウ」とか「カブトムシ」とか「テントウムシ」とかにくくられている本から調べます。だからできるだけリアルに写っている写真絵本のようなものが喜ばれます。これは虫だけでなく植物などや魚などでもおこります。実物を観察して、足が何本だとか、殻があるとかなどから名前を調べていくからではありません。つまり、実際を観察することをあまり重視しないからかもしれません。しかも、映像が発達しているので簡単に見てという傾向は強いようにおもいます。良く話題になることに、子どもたちは索引の引き方を知らないということがありますが、それも現代の生活に関係しているのでしょう。
 そのようなわけで、この絵本はユニークだけに少し難しいかもしれません。でも、科学に興味をもってもらうためには、良い入り口になると思います。
 なかに〜虫好きなおとうさんのための解説〜という折り込みがはいっていてなかなかおもしろいのですが、おかあさんだって虫好きな人はたくさんいますよ。夏休みで自然のなかに遊びにいくこともおおいので、かがくの扉をひらく本になるとおもいます。

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願いごとのえほん

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「願いごとのえほん」
 幸せを呼ぶ世界のおまじない
ローズアン・ソング 文
エリサ・クレヴェン 絵
椎名かおる 訳
あすなろ書房 本体1600円

 人は幸せになりたいと願いを祈りにこめます。こういう行為は人にしかみられないものでしょう。信仰や風習にねざすものなので、もちろん世界各国で、またひとつの国のなかでも人の生活とつながりがあるので、いろいろなかたちがあります。
 この絵本は世界のなかで私たちの日本、そして中国、タイ、インド、ロシア、イラン、イスラエル、イタリア、アイルランド、アメリカ合衆国、メキシコ、グアテマラ、ブラジル、オーストラリア、南アフリカ共和国という15カ国の願いごとの方法が紹介されています。その行事のなかの子どもたちの様子がカラフルに描かれています。
 今日は7月7日、日本のページでは七夕、願い事を短冊に書いて、笹竹につるしている子どもたちの様子が描かれています。今夜の千葉は風が強く、昼の蒸し暑さがふきとばされるようです。天の川は空が曇って見えません。でも、満月なので雲の切れ目からとてもきれいな月が見えます。星の世界の七夕は暦のことから実際は今夜ではありません。国立天文台では「伝統的七夕」という言葉をつかって、その日は2009年は8月26日(水)としています。夏休みも最後の頃、お天気さえ恵まれればきっと天の川をはさんで織り姫(こと座の一等星ベガ)と牽牛(わし座の一等星アルタイル)がよく見られます。
 毎日いろいろなニュースがはいってきますが、なんといってもみんなの願い事は、戦争のない平和な世界です。
 

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しょうぼうじどうしゃの絵本

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「ありがとうしょうぼうじどうしゃ」
 文・内田麟太郎
 絵・西村繁男
 ひかりのくに 本体1280円




 子どもたちは乗り物の絵本が大好きです。最近では女の子も大好き、でも男の子は圧倒的に働く乗り物がだいすきです。消防自動車もその働く車の代表選手のひとつ、いろいろな絵本がでていますが、この絵本はいろいろと工夫されたお話と細かく描かれている絵がおもしろいです。
 この絵本で活躍するのは河童町消防局としょうぼうヘリコプター、あかバイも最初にでてきます。そして、消防士、(かっこいいです)それになんと河童たちも大活躍します。火事は山火事なので、人はあぶなくないところにいるので消防士以外の人たちはみているだけです。でも、山にはたくさんの生き物がいるので、河童はそのものたちを助けだします。文は短くキッパリと、絵は細かく場面も繋がりがあるように描かれています。最後のページ「たばこのなげすてはやめましょう」ーどんぐり山を愛する会。
 ところで、昔消防自動車の側にいったことがあります。まわりをきょろきょろ見回して、誰もいなかったのでちょっとさわってみました。ピカピカに輝いていて、陽があたって真っ赤でとってもきれいでした。おとななので、乗りたい気持ちはがまんしました。


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韓国の絵本が元気

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「ふしぎなしろねずみ」
韓国のむかしばなし
チャン チョルムン文
ユン ミスク絵
かみやにじ訳
岩波書店 本体1500円


 魂が抜け出て宝物が埋まっているところへ行く、それを夢で教えられ宝物を得てお金持ちになる昔話は各国にあります。もちろん夢を素直に信じるやさしい人にその幸せは授かります。この韓国の昔話は老夫婦、おじいさんが居眠りをしているそばでおばあさんは縫い物をしています。するとおじいさんの鼻のあなからしろねずみが出て来て、おばあさんがあとをつけていくと、大きな水たまりでしろねずみは渡れなくて立ち止まってしまいます。おばあさんは物差しで橋をつくってしろねずみを渡してやります。でもしばらく行くとしろねずみは石垣の穴の中に入ったまま出てきません。しかたなく家へ帰ったおばあさんに、おじいさんは不思議な夢の話をします。
 全体に紺と茶、そのなかに白がとても効果的につかわれています。おじいさんとおばあさんが宝物を探し当てる見開き2ページから黄色と赤、緑が鮮やかにつかわれてお金持ちになった老夫婦の幸せが描かれています。それに、鼻のあなから顔をだしたねずみはとてもご愛嬌のかわいいしろねずみ、ねずみは神さまのお使いというのは、日本でも同じ考え方です。
 色彩の効果的な使い方だけでなく、おじいさんおばあさん、そしてねずみの動きと画面の流れ、構図の取り方等とてもうまくできています。韓国の絵本はとても元気、この絵本の作者は文、絵とも1960年代後半生まれで活躍が期待されます。

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おいで、フクマル

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「おいで、フクマル」
くどうなおこ・さく
ほてはまたかし・え
小峰書店 本体1400円




 いまから20年以上も前、一通の手紙が店に届きました。この絵本の絵を描いている保手浜さんからで、くどうなおこさんの「のはらうた」に版画をつけて、「のはらうたカレンダー」をつくったので店で扱ってもらえないかとのお話でした。それから、毎年のおつきあいがあり、11月頃にはお客様へお届けします。保手浜さんは版画家とばかり思っていたら、しばらくして個展の案内があり、油絵なのでびっくりしました。版画とは全然感じがちがいました。
 この絵本でほてはまさん=保手浜さんは油絵でフクマルという犬を描いています。犬を飼ったことがある人はわかると思いますが、犬は呼ぶとこのフクマルのようにちょっと首を傾げて、ん?!という表情をします。目をひらいてなに?!というのです。でもこれは人の子、あかちゃんもそうです。
 見開きにはフクマルだけ、バックの様々な書き込みはほとんどありません。そして、くどうさんのみじかい言葉。余計なことはいらないのです。フクマルはみんなに呼ばれてここにきたのです。フクマルはこの絵本を読んでいるあなたでもあるのですから。

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とりとわたし

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「とりとわたし」
ケビン・ヘンクス作
ローラ・ドロンゼック絵
風木一人/ひびのさほ訳
あすなろ書房 本体1400円


 表紙にも裏表紙にも樹々に集まった3羽の鳥たちが歌を歌い、何か話をしているようです。大きな鳥も小さな鳥も、様々な色の鳥たちが自由に歌い、空を飛びまわっています。飛翔できない人間はつまらない?!飛ぶことに関しては個人的にいうと私は高所恐怖症的なところがあるので、鳥のように飛びたいとは思わないのですが、不思議なことに雲になりたいとは思います。雲に乗って空を飛ぶのではなく、雲になってゆっくりと空に漂うのは魅力的です。
 今は朝の4時も過ぎると鳥の声が聞こえてきます。すると夜明けで朝になります。あぁ、今日も始まると思います。もし、朝が来ても鳥の鳴き声がしなかったら、不安、考えるのも嫌です。鳥の鳴き声は希望のしるしですから、聞こえなかったら恐怖です。
 この本は物語の絵本でもないし、詩の絵本でもない、ちょっと不思議な絵本です。
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 同じくケビン・ヘンクス作・絵の「まんまるおつきさまをおいかけて」(福音館書店刊)も私は好きで、子ネコがミルクを飲もうとすると、空にもミルクの入ったお皿がある?月をかんちがいして追いかけるという話です。色は灰色と白のトーンですが、子ネコの表情がおもしろい絵本です。
 この絵本では最後のページで鳥が女の子と楽しそうに(笑っているように?)うたっているのが同じ作者らしい描きかたです。ローラ・ドロンゼックの絵はとてもきれいな鮮やかな色がつかわれています。夕日が沈む空、鳥が眠る月夜の空、冬に春に、鳥の鳴き声も風の音も聞こえてきそうです。

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ピアノは夢をみる

 朝からとても蒸し暑い日でした。一日パソコンに向かって、学校図書館へ納品のための書誌データーを入力していました。時々外をみて伸びをしたり、ちょっとお茶を飲んだり、でもさすがに夕方になったら目も頭もボンヤリしてきました。そして、ボンヤリと夢をみるようにこの本を開きました。

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「ピアノは夢をみる」
工藤直子 詩
あべ弘士 絵
偕成社 本体1200円




 ラジオからもピアノの曲が流れています。この絵本を開いていると、ちょうどラジオからの曲がこの絵本の主人公のピアノからの言葉のように聞こえました。ラジオから流れているのは、今日は沖縄の慰霊の日でそこでのコンサートの曲です。
 ある日、いろいろのいきさつがあったということなのですが、燭台つきの古風な一台のアップライトピアノがドイツから詩人のところにきました。その「ノイマンじいさん」がうたった物語を詩人が詩にして、画家が絵にしたのがこの絵本です。
 森の中、「ノイマンじいさん」が語ります。それは少年、少女の話だったり、森や風、海の話だったり、クジラやフクロウ、ちょっとさびしかった時の自分のことだったり。その「ノイマンじいさん」の夢を画家が絵にしました。みんなが「ノイマンじいさん」の夢をきいています。
 

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山からきたふたご スマントリとスコスロノ

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「山からきたふたご スマントリとスコスロノ」
影絵芝居 ワヤンの物語より
乾千恵・再話
早川純子・絵
松本亮・監修
福音館書店 本体1700円

 インドネシアのジャワ島でおこなわれる影絵芝居・ワヤンからお話は採られています。ジャティサロノにはスマントリとスコスロノのふたごの兄弟がいました。兄のスマントリは美しい若者で、幼いうちから大切に育てられましたが、弟のスコスロノはとてもみにくかったので、生まれるとすぐに森に捨てられましたが、自力で生き延びふしぎな力を身につけました。二人は密かに時々会って仲の良い兄弟でした。いよいよ父親の意向で兄のスマントリは天界から降り立った神、いまは人間になり暮らしている王と王女のもとを訪ねて行くことになります。
 この物語は一種の嫁取り、婿取りのお話で、そのために難題に挑戦し悪しきものと戦う、この場合醜い弟のスコスロノが兄に手助けし、首尾よく戦いに勝ったのですが、王妃が醜いスコスロノをきらうため弟を殺すということがあり、最後にはスマントリにも死が訪れます。その時スマントリの魂を天界に導いたのは弟のスコスロノでした。
 以前ワヤンを一度みたことがあります。とても幻想的、歌や踊りにのって演じられる世界は不思議な雰囲気が満ちていました。夜演じられるからかもしれません。
 この絵本はどちらかというとダイナミックで、確かに登場する兄弟や魔物たちは異国風ですが、版画ということもあり日本的な絵本になっています。ある場面では風神、雷神の戦いのようにも思えました。そのため日本の古代の神々が活躍する絵巻物を見ているようです。少しお話が長いので10代の人たち向きとはいえ、人工的なゲームとちがった冒険の世界がしっかり描かれている絵本で、ドキドキとしながら楽しむことができます。

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風にのっていったダニーナ

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「風にのっていったダニーナ」
ジェイン・ヨーレン文
エド・ヤング絵
もりおかみち訳
冨山房インターナショナル
 本体1600円



 ダニーナの父親は娘から世の苦しみや悲しみを遠ざけようとします。父親は裕福な商人だったので、広い屋敷に壁を築きダニーナを外に出さないようにしました。なにも知らないダニーナはそれなりに幸せでしたが、ある日塀を越えて風の歌が聞こえてきました。風は世界のいろいろな歌を歌いました。心ひかれてダニーナは父親に風の歌の意味を聞きました。もちろん父親は驚き、ダニーナの心を惑わす者がいるにちがいないとダニーナに問いただしますが、風の歌との答えにすっかり不安になり、たった1時間の海べの散歩だけ許すことにします。ますますダニーナは風の歌に心ひかれ、自分でみたいと思います。ある日海辺を散歩していると、風の歌が聞こえてきます。必死にくい止めようとする父親の叫びも届かず、ダニーナは風に乗って海の沖遠くへ消えていってしまいます。
 ヨーレンの文は散文詩のようで、ヤングのペルシャ風の絵はダニーナの哀しみと、自由への憧れを表現しています。コラージュと水彩画で描かれていて、人物や庭の樹々、建物などが細密に描かれているのですが、風、空、浪などは色を変え流れるように描かれています。表紙の黒い浪から逃れるようにスカーフに乗って空に飛び立っていくダニーナ、空のいろはダニーナの心を表しているのでしょうか、朱に近い赤色です。風の歌と一緒に、読んでいる私の心までが自由を求めて空に飛び立っていこうとします。父親の愛も止めることはできません。自由が何かも知らないのですが、なにかが変わることを求めて、私があなたがいます。

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不思議な旅「きんぎょ」

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「きんぎょ」
ユ・テウン作
木坂涼 訳
セーラー出版 本体1500円




 真っ赤な表紙には窓が開いていて、開かれた本のそらにきんぎょが一ぴきとんでいます。
ジェジェはおじいさんが働いている森の奥の古い図書館へ連れて行ってもらいました。自転車のうしろにはきんぎょ鉢がつけてあります。図書館の古い本を見て回っているうちにねむくなってしまいました。目が覚めてきんぎょに本を読んでやろうと思ってきんぎょ鉢をみるときんぎょがいません。きんぎょは本棚の赤い本の中に、おいかけて本を開くとたくさんのきんぎょがとびだしてきます。ジェジェのきんぎょはまだ、本の中にいました。おいかけると不思議なことがおこります。
 前作「かさの女王さま」で少女の願いを描いた作者は、今度は象徴的な不思議な世界を描いています。文字のないページもあり、ひたすら読者はイメージの世界に遊ぶことになります。
あざやかな赤の本にあいた窓のなかから、きんぎょに導かれて本の世界に・・・古い図書館の本の世界に旅をしてみましょう。

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あめ じょあじょあ

 夕方以前に千葉にいて、地方に行ってしまった人が久しぶりで来店されて、店を閉めてから一緒に食事をすることにしました。その時の空模様はすでに霧雨が降っていたのですが、それから2時間ほどたって帰宅する頃にわかに雨脚が強くなりました。この絵本のように雨がじょわじょわと降ってきました。

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「あめ じょあじょあ」
イ・ミエ 文
田島征三 絵
おおたけきよみ 訳
光村教育図書 本体1500円

 この絵本のタイトルを見たとき雨が”じょあじょあ”と降る、それだけとるとあまり使われない言葉なので、絵を見ながら声に出して言ってみました。大きな傘をさして雨の中元気にあるいている子どもの絵がこの言葉にぴったりです。でも、この絵本の雨はぜんぶこんなふうに降っているわけではありません。”ぽつん、ぽつん、ぽたぽたぽた・・・”で雨は落ち地面にしみこんでいきます。そして、”あめはどうしてふるのでしょう”この絵本は科学の絵本なのです。しかも韓国の絵本で日本語に訳されています。画家の絵を見ているだけでは韓国からの翻訳絵本にはおもえませんでした。雨粒には顔が描かれていて手があって、その水粒が空に登ったり、雨になって地に降ってきたりします。
 ユーモアいっぱいのおおらかな絵と歯切れの良い訳文が国をこえて良い絵本になりました。

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フランスのナンセンス絵本

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「ペトロニーユと120ぴきのこどもたち」
クロード・ポンティさく
やまわきゆりこ やく
福音館書店 本体1500円


 また、ずいぶんと大きな絵本で棚に入らないとお客様にいわれのなぁ!と思いながらも、おもしろくて夢中になって読みました。大型絵本で正解です。なんといっても120ぴきもの子ネズミを描かなければいけないのですから。そして、わたしがタイトルをつけてよい、といわれたら「肝っ玉かあさんと120ぴきの子ネズミたち」というタイトルにしましょうか。ネズミのかあさんペトロニーユには120ぴきのこどもがいます。働き者のかあさんは日の出をみながらお茶を飲み、一日が始まります。子どもたちの世話をして、遠くにいる父さんに手紙をかかせて、郵便にだすためでかけます。帰りに買い物をする、そこまではいいのですがトンチンカンチン・めだまあぐりにつかまってしまいます。かあさんねずみのペトロニーユの冒険がはじまります。
ともかく絵が細かく描き込まれています。見返しには歌があって子ネズミたちが歌ったり踊ったり、片面に120ぴきの子ネズミが描かれています。ぜんぶがその調子、そして作者はルイス・キャロルを敬愛している画家らしく物語も絵もナンセンスで絵の中にアリスやハンプティ・ダンプティ、それに怪物や小鬼やトランプをする巨石など、ちょっと不思議なものたちが充分に遊び楽しむ様子が描かれています。日本ではあまり類のない絵本、私は隅まで眺め回して楽しみました。

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平和へのかけはし

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「むこう岸には」
マルタ・カラスコ作
宇野和美 訳
ほるぷ出版 本体1300円


 私の住んでいるところにある川、私たちはここでなんでもするの。向こう岸にも住んでいる人がいるけれど、あの人たちはへんなものを食べて、髪の毛もとかさなくて、そうぞうしくて私たちとはちがうから、川を渡ってはいけない!と、とうさんもかあさんもいいます。でもね!ほんとかな?ある日、向こう岸で手を振っている男の子がいました。おいでよ!と言っています。そして、ある朝岸辺にいったら舟があって、あの男の子が手を振っていたの。私は舟に乗ってみたら、少しづつ近づいて、雨がふってきたけれど向こうについたの。向こうの人は私とちがって金髪だったけれど、とうさんと同じように働いていて、編み物もするし、同じように遊んでいたよ。私たちは仲良しになった、今はないしょだけれどおとなになったら橋をかけたいの!
 短いセンテンスの静かな言葉がついています。絵も明るい落ちついた色で、少年と少女の願いが描かれていて、白と黒色の肌、金髪と黒髪、白色と赤い色の洋服、そして、その間を流れる川にかかった橋をみんなで渡っています。未来を託した希望の絵本です。
 10日ほど前にペシャワール会から会報の別報が届きました。一面で灌漑用水が竣工して緑の作物が育っていました。
 

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ないしょのおともだち

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「ないしょのおともだち」
ビバリー・ドノフリオ文
バーバラ・マクリントック絵
福本友美子 訳
ほるぷ出版 本体1600円


 マリーの住んでいる家にはネズミがいます。マリーとネズミは同じように暮らしていました。ある日マリーがフォークを落とし、同じ頃ネズミもスプーンを落としたことから、お互いに気がつきました。でもマリーにとってネズミは病気をもっている汚いもの、ネズミにとって人間は乱暴な危険なものといわれていたので、こっそりと手を振るお友だちになりました。やがて、マリーにはマリアという娘ができ、ネズミにもネズネズという娘ができて、やはり同じように暮らしていました。マリアとネズネズも本を落としたことからお互いに気がつきました。そして、マリアとネズネズはどうなったでしょうか?
 落ちついた色づかいですが、そのなかにはお互いの暮らしがとても細密に描かれていて、物語の愉しさもさることながら、その絵の中からいろいろなことが読みとれます。たとえば、ないしょの友だちになってから、部屋にはおたがいの肖像画が描かれています。時間まで絵で描き込まれています。そして、最後のページではおおきなひそひそごえで”おやすみなさい”!
 マリーとマリア、ネズミとネズネズ、親子どちらも本が好きですね。この絵本を読んでもらう子どもたちも本が大好きです。

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ソフィーとガッシー

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「ソフィー」
ちいさなレタスのはなし
イリヤ・グリーン作
ときありえ訳
講談社 本体1200円



こんどはソフィーの話です。もちろん子どもたち4人のうち一番大きいのはオルガ、だからオルガがなんでも決めます。オルガのポケットには4つぶのレタスのタネがあるので”やさいづくりをしよう!”一番小さいソフィーもいれてもらえました。穴を掘ってタネを植えて、水をやって、さぁ!芽がでました。でも、どうしたことでしょう。ソフィーのだけ芽がでません。そこで、ソフィーは考えました。こっそりと・・・、いかにも子どもが考えそうなことです。
 本文があって、吹き出しのように絵に子どもの言葉がちょっと描かれています。たとえば、オルガがある場面をしきって”あれ!なに、これ?”ソフィーはオルガのうしろからオルガの肩をつかんで”どいて!それ、あたしのだよ!”
 この作者の絵本はとても子どもの表情が豊です。最後は意外な展開になり、おもわず笑ってしまいました。

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しょくもつれんさのはなし

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「たべることは つながること」
しょくもつれんさのはなし
パトリシア ローバーさく
ホリー ケラーえ
ほそやあおい くらたたかし やく
福音館書店 本体1300円

 このシリーズは文も絵もわかりやすく、私は出版されるのを楽しみにしています。今回は食物連鎖のはなしです。小さいものが大きいもの、強いものに食べられて、つぎの生き物のもとになっていく、これは良く語られることです。ただ、この本では終わりがある、たとえばその最後は人だと描かれています。人は他のものに食べられることがないからです。でも、それを読んで少しばかりあれ?と思いました。このことは折り込みふろくで訳者が書いていて納得がいきました。人が頂点にたつというのはアメリカ式考え方で、日本は循環型なので人が頂点になるのではないという、たとえば人が食べて排泄する、そのなかから芽がでたりして、また生き物に食べられたりと循環するという東洋的考え方があるということが書かれています。この円のかたちの考え方は文化の違いではないかと解説されています。そうですね、人が亡くなると埋葬する、土に帰るという言い方をします。私もその考え方に同意します。そこで終わってしまうのでなく、また何かの、誰かの役にたつ、しかもそれはどんな人にも平等に訪れるものとして考えたいと思います。
 <わたしたちは食べることで、すべてとつながっている>とてもわかりやすく描かれています。

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クモのいと

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「クモのいと」
新開孝 写真・文
ポプラ社 本体1200円



 この写真絵本はクモの本ではありません。クモの糸の本です。とはいうものの、もちろんクモがでてきますがたんなるクモではなく、糸のさまざま、どうやってクモが糸を張るのかという本です。このシリーズはとても写真がきれいで、自然の不思議と楽しさをしっかり描いています。この絵本を見る前は、クモによって糸の張り方がちがうなどはあまり意識していませんでした。樹々や草むらにいくと、ネバネバした糸がうるさいとおもうくらいでした。クモは特別好きでもなけれど、なんといっても益虫なので家のなかなどでみると、ちょっと”しっ!しっ!という程度です。この本のように特別目をこらして、クモの糸をながめたことがなく、この写真をみて、あらためてずごいなぁとおもったり美しいと思いました。
 読物ではなんといってもみんなが良く知っているのは<芥川龍之介のくもの糸>、もうひとつは<シャーロットのおくりもの>です。


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「シャーロットのおくりもの」
E・B・ホワイト文
ガース・ウィリアムズ絵
さくまゆみこ訳
あすなろ書房


 この物語はシャーロットというクモが豚の命を救うというお話です。どうやって救うかというと、糸をつかって文字を描いて、人々にアピールします。農場の動物たちと少女の願いがクモの力でかなうという物語で、アメリカではもちろん必読図書の一冊ですし、日本でもかなり前から読み継がれてきた本です。
 あらためて、クモの神秘的な営みをみました。朝早く起きて観察してみようと思います。


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おかしな おかしな おかしのはなし

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「おかしな おかしな おかしのはなし」
さいとう しのぶ
リーブル 本体1500円


 おかしなはなしシリーズの三巻目はおかしの話です。絵本というより一口童話の本です。31話、これは既に出版されている2冊と同じに新聞に連載されていたからです。すこし加筆されて、見開きで一つのおはなし、片面いっぱいにユニークな画がはいっています。でてくるのはみんな動物たちです。たとえばライオンがドーナツを目の前にして、ドーナツの穴はどこにいったのだろうと考えています。別に哲学的な意味ではありません。あなのところがあったらもっと食べられたのに!と思っただけです。たとえば、トラネコのおやこが買い物にでかけます。こどものトラネコくんはソフトクリームがほしいとねだりますが、お母さんネコはお夕飯の買い物だからダメといいます。でも何にして良いかわからないので、トラネコくんに”今日のお夕飯は何にしようか?”と聞きます。トラネコくんのすばやい答え”ソフトクリーム!
 お店に良くいらっしゃる先生の受け持ちのこどもたちは、このさいとうしのぶさんの大ファンです。
毎日ちょっと読んで子どもたちと楽しむのに最適の本とのこと、こどもたちのようすが目に浮かびます。

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ジョニーのかたやきパン

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「ジョニーのかたやきパン」
ルース・ソーヤー文
ロバート・マックロスキー絵
こみやゆう訳
岩波書店 本体1600円


 ちょうど今頃読む機会の多い「かもさんおとおり」などの作者マックロスキーの絵本、こんな絵本が残っていたとは、とてもうれしくなりました。お話は「おだんごぱん」や「しょうがパンぼうや」「パンはころころ」のような形をとっています。老夫婦のもとで働いているジョニーはいつも口笛を吹いているような陽気な子です。ぶつぶつ不平を言いながらも気の良いおじいさん、いつもうたを歌って働いているおばあさんと元気なジョニーはそれなりに平和に暮らしていたのですが、飼っている動物たちがキツネたちにさらわれてしまいます。しかたがないのでジョニーはお払いばこ、いろいろの物をもらって家をでました。ところが担いでいた包みのなかからかたやきパンがころげだして、追いかけるジョニー、それだけでなく途中で動物たちも一緒についてきます。そして、なんと着いた所はもとの家でした。
 この物語はマックロスキーの妻の母親、ルース・ソーヤーはストーリーテラーでもあるので、とてもリズムがあってかたやきパンのころがるようすがよく書かれています。絵は赤茶とブルーがかったグレーが基調になっていて、アメリカのたくましい大地の匂いがします。そして、主人公のジョニーはもちろんのこと、老夫婦や動物たちの愉快な表情がこの絵本を楽しくしています。マックロスキーの本は渡辺茂男さんが訳していらっしゃったのですが、こんどは訳者も若返りました。子どもたちとぜひ読みたい絵本です。

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トン・ウーとはち

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「トン・ウーとはち」
小風さち作
小野かおる絵
講談社 本体1500円




 朝、眠くて眠くてしかたがないいたずらトン・ウーは、ねぼけまなこで母親にせきたてられてお寺に行きます。はしらのかげに大きなハチの巣を見つけて、木の枝でたたいて逃げ出します。その巣には何百年も生きているハチがいて驚いたのなんの、怒り、犯人を捜しに台所にいたトン・ウーに聞きます。トン・ウーたらとぼけて、ただではだめだから何かおもしろいことをしてくれればと答えます。ハチはお経をよみ、トン・ウーはばけものの魚のしわざと教えます。でも、ちがいました。ハチはまた聞きにきます。トン・ウーのとぼけた嘘をまじめに受けるハチ、お話は昔話風のくりかえしと言葉のおもしろさ、画は踊ったり、歌ったり、色っぽいようすのハチと魚、鳥、龍、化け物にちかい迫力のあるものたち、文と画がとてもバランスのとれたおもしろい絵本です。
もちろんトン・ウーのうそはばれて、ハチにこらしめられ喉ちんこが見えるくらい大泣きしたあと、けっしてハチの巣は叩かなかったし、ハチはその後も長生きしたということです。”おしまい”


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自然は不思議で美しい

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「たま、また たま」
星川ひろ子・星川治雄
アリス館 本体1300円




 
 自然の造形の美しさにうたれることがあります。一体だれがこんなに不思議に造ったのでしょう。
たとえばこの絵本の表紙のシャボン玉は、科学的にいうと表面張力のなせる技だということですが、それだけではない、もっと神秘的なものを感じてしまいます。シャボン玉はふわりと浮いて、転げて水玉に、まるはまるで変わっていきます。タンポポの丸い綿毛、ふわふわ風に吹かれてあなたのところにもいきます。裏表紙ではびっくりして丸まっているハリネズミとアルマジロ、ちょこんと顔の一部がみえます。
 星川さんご夫婦の写真は息の合ったコンビでいつもとてもきれいです。鮮明できれいに撮れているというだけでなく、自然に対してのお二人の目線が感じられます。自然は驚きでいっぱい、自然に対しての敬虔な思いがよく表現されています。

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あめ ぽぽぽ

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「あめぽぽぽ」
ひがし なおこ・さく
きうち たつろう・え
くもん出版 本体800円




 長い日本列島は沖縄ではもう梅雨にはいっています。関東はまだなのですが、梅雨のようなお天気です。梅雨も昔はしとしと、じとじとという感じでしたが、いまはすぐ土砂降りの豪雨になって、晴れると暑い、極端なお天気になります。
 雨の音ってどんなでしようか?降る雨にもいろいろな音があります。物にあたれば音も違うし、地上にあたればそれも違う音がします。
 男の子が黄色いレンコートを着て、黄色い傘をさしてママとおでかけです。あめがぴとぴとぽとん、と降ってきました。そして、雨にも顔があります。この絵本ではしつかり降ってくる雨には顔がありません。ぽとぽとぽと地上に降りおりてくると雨粒でなくなるので顔はつかないのでしょう。ざあざあざあ、たたきつけるような雨脚、でも、男の子はママとの帰り道、雨があがりました。きらきらきらと光が輝いてきます。
 作者は歌人、豊かな日本語つかっての、幼いこどもの絵本になりました。もちろん声にだして読みましょう。黄色が効果的につかわれています。


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ひとり ひとり

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「ひとり ひとり」
谷川俊太郎・詩
ふくだとしお・絵
成美堂出版 本体1400円



人はひとりひとりからはじまります。そして、ひとりひとりで生涯を終えます。ひとりひとりといっても、あとがきに詩人が書いているように、自立と孤立は違います。また、画家が書いているように違った物同士が集まってこの地球をつくっているのです。
 詩は「すき」(理論社)が初出、それに画家が植物の絵を描きました。9編の緻密な植物の絵はデザイナーが描いた絵らしく、美しいけれどちょっと不思議な植物が描かれた詩の絵本になりました。。それがこの詩の宇宙的ひろがりを良くあらわしています。
 (実用書の出版社からでたのでちょっとびっくりです。)


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うえから読んでも したから読んでも

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「さかさことばで うんどうかい」
 こどものとも5月号
西村敏雄 作
福音館書店 本体390円


 千葉市の市立小学校、中学校では運動会が花盛りです。この前の土曜日、今週の土曜日がほとんどです。昔は春は小運動会、秋は大運動会があったのですが、2期制になってから春一回、秋は他の学校などとスポーツ大会のようなものがあります。
 この絵本は動物たちの運動会の様子が描かれています。動物たちがいろいろ競うのですが、ちょっとちがってそれだけではありません。書かれている言葉がおかしい、絵にあわせて愉快な言葉が書かれています。たとえば、最初の競技はパンくい競争、「ぞうくんくうぞ よう くうよ ぞうくん ぱん くうぞ」このプログでは縦書きでないので、左から読んでも右から読んでも同じ、つまりさかさことば回文です。絵本に登場する動物たちの楽しいこと、絵と文がいっしょに何倍もおもしろくなっています。声に出して読んでみましょう!ところで、だれが勝ったのでしょうか。裏表紙にはかめが三匹「わたし まけましたわ」

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いそっぷのおはなし

Aesop


「いそっぷのおはなし」
降矢なな絵
木坂涼 再話
グランまま社 本体1600円

 この絵本の表紙は迫力がいっぱいのきつね、いつもの降矢さんのきつねではありません。降矢さんの絵本にはよくきつねがちょっこっと描かれていたりして、こどもたちはすぐ見つけます。画面のなかでちょこちょこと遊んでいたりします。でも、この絵本のきつねはなかなか強かです。きつねだけでなくでてくる動物たちはどれもなかなかな強者、ちょっとおろかな動物でも元気で迫力があります。中表紙のきつねがなにやらぐつぐつと煮ていて、しかも舌なめずりをしながらきつねはなにやらかき混ぜています。おなじみの「いそっぷ」のお話が9編はいっています。一つのお話が見開きいっぱいで描かれています。画家の降矢さんの描き方だけでなく、再話をしている木坂さんのいそっぷなのだと思われます。作家と画家の息のあった絵本になりました。
教訓ぽいお話が、元気に生きていくための智恵になっている、”人生なかなかすてたものではないよ”おとなにもおすすめの絵本です。

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むかしむかし とらとねこは・・・

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「むかしむかし とらとねこは・・・」
ー中国のむかし話よりー
大島英太郎 文・絵
福音館書店 本体1300円

 ほんもののとらは動物園でしか見たことがありませんが、最初見た時はどう見てもねこを大きくした動物にしかみえませんでした。大きいので怖いとは思いましたが、なんだか少々間がぬけているようにもおもえました。もともといまよりずっとのろまで上手に狩りができないようです。それで生きていくのに大切なことをねこから教わることにしました。それは狩りです。ひとつ!気づかれないように動くこと。ふたっつ!早く走ること。みっつ!高い所から飛び降りること。とらはがんばってどれもできるようになります。ところが最後にとらの言ったことは、”最後にひとつ知りたいことがある、ねこがどんなあじがするか!”そういってねこにとびかかろうとします。そんなわけにはいきません。”木に登ることは教えなかった”ねこは木に登って逃げてしまいましたので、とらは今でも木に登ることができません。アップされたとらの顔はちょっとばかり間がぬけています。ちいさいけれど賢そうにねこは描かれています。最後のページ、獲物をぶらさげて目を細めて、とらをみているねこのなんと賢そうなことでしょう。


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モモのこねこ

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「モモのこねこ」
やしまたろう・やしまみつ 作
やしまたろう 絵
偕成社 本体1400円



 とてもなつかしくうれしい気持ちがします。というのは、この本は以前他の出版社からでていて、私の好きな絵本だったからです。少し版型が変わって、色が澄んできれいになりました。文も遺族の了解を得てすこし変わっているそうですが、前の本が残念ながら手元にないので、どう変わったかそれはわかりません。
 この絵本のモモは八島夫婦の娘です。教育の原点を描いていると評価の高い「からすたろう」はひところ有名になりましたが、私はこの季節になると読むことが多い「あまがさ」(福音館書店)も好きです。幼い子どもがひとりで傘をさす、雨はその子どもの心のようにリズムが響きます。矢島太郎も光も暗い日本で反戦運動をして、追われるようにアメリカに渡りました。1943年に出された「あたらしい太陽」を読むとあの時代を生きた日本人美術家の苦悩をたどることができます。
 モモは小さな子ネコを拾い日本式にニャンニャンと名前をつけて育てます。やがてニャンニャンはおかあさんになり、モモに拾われた時のように子ネコを産みます。イスで寝ている小さなニャンニャン、お母さんになったニャンニャン、おっぱいを飲ませているニャンニャン、世界中で一番美しいネコになったニャンニャンの表情は柔らかく優しい、1961年に描かれた絵本はきびしい時代を生き抜いて来た人の命の讃歌に溢れています。


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雨がちかい

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「ほら あめだ!」
フランクリンM.ブランリーさく
ジェームズ グラハム ヘイルえ
やすなりてっぺい やく
福音館書店 本体1300円

 朝は歩いていると汗をかくくらいでしたが、一日いた展示会場は寒く長袖のシャツのまま仕事をしていました。帰り外へでるとやはり蒸し暑く、風は雨のにおいがしました。梅雨の前触れのような空模様です。
 雨はどういうふうにできて、降ってくるのでしょうか?雨は空から降って来て、雲から降ってきます。この絵本のなかでは雲をつくっている小さな水のつぶを「くもつぶ」とよんでいて、その「くもつぶ」は水蒸気があっまってできています。空気にふくまれている水蒸気を水にかえます。霧雨、どしゃぶり、氷のつぶ、雹、そして水のしずくは雲から地面に落ちて雨になる、子どもたちや動物も植物もたくさんのものに恵をあたえます。
 とてもわかり易いイラストの絵本になっています。本文に描かれていない雨についての解説が折り込みで入っています。
 

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てと てと てと て

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「てと てと てと て」
浜田桂子 さく
福音館書店 本体1500円



 昨年の4月に出版された本で、とても良い本とおもいながらも、なぜか紹介しないでしまいました。
物語の絵本ではありませんが、科学というか、いわゆる体の本ではありません。「手」人は手をどうやって使っているのでしょう。霊長類の研究者でもあり、物語をかかれている河合雅雄さんが、人が人たる大きな理由のひとつに、手の働きのことをおっしゃっていらっしゃいます。手でつかむ、握ることができたことがある、つまり道具を使うことができるということについてです。
 この絵本では人の手がとてもいろいろのことができるということが描かれています。道具としてつかうだけでなく、知る、伝える、表現する、人のすべてが手でできることがさまざまに描かれています。子どもたちの表情は力強く、未来にむかって伸びやかに、あぁ、いいなぁ!とおもいます。
 へんな言い方ですが今年の課題図書になったのが、ちょっと残念です。というのは課題図書は作文を書くということがひかえているために、もしかしたらこの本が好きにならない?かもしれない、そして小学校1・2年生用の課題図書なので高学年の子どもたちが手をださなくなるのではないかと思ったりします。高学年担任の先生、ぜひ読んで紹介してください。
 この絵本におとなが一人もでてきませんが、それも私はお気に入りのひとつです。


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野の花えほん

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「野の花えほん1」
ー春と夏の花ー
前田まゆみ 
あすなろ書店 本体1500円


 今年の春は桜の花をながく見ることができたとおもうと、藤の花は早く咲いて、もう終わってしまいました。野の花はどれもしっかり、元気に咲いています。近くの駐車場にはタンポポが群れて、早くから今も陽に輝いてキラキラと咲いています。
 この本は野の花すべての本です。つまり、良くある植物図鑑でなく、遊びもあり、食べることもいろいろと書かれています。しかも手書き、いかにも野の花にふさわしい絵本です。
 この連休おでかけですか?混むし、お金もかかりそうだしと思っているのは私だけではないと思います。私はのんびりと近くの青葉の森公園へ。この本や野鳥図鑑をもって、公園のなかの県立中央博物館やその生態園へいって遊んでこようとおもっています。

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いけないことしたうさこちゃん

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「うさこちゃんときゃらめる」
ディック・ブルーナぶん/え
松岡享子 やく
福音館書店 本体600円


 うさこちゃんの本も40冊になりました。最近のうさこちゃんは大きくなって、学校に行ったり、美術館に行ったり、友だちもたくさんできて、キャンプにいってお泊まりもできるし、おとうさんやおかあさんにお手紙も書いたし、いろいろなことができるようになりました。
 驚いたのはこの本ではうさこちゃんは万引き?をするのです。よその物を取ってしまうまでとはいかなくとも、あんがい友だちの物を黙って持って来たり、親のお金をちよっと取ってしまったり、誰にも大なり小なり身に覚えがあります。うさこちゃんはふわふわおかあさんと買い物に行って、お店から黙ってキャラメルを持って来てしまいます。その晩うさこちゃんは眠れませんでした。ふわふわおかあさんはうさこちゃんがへんなようすなのに気がつきます。当然しっかり叱られてお店にかえしに、あやまりにいきます。とてもその行為が淡々と描かれています。取った理由も言い訳もなし、お店に行って”決して二度としません”といいます。なんとシンプルで、幼い子どもに適切な本でしょう。

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いたいといえる幸せ

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「いたいよ いたいよ」
まつおかたつひで
ポプラ社 本体1100円


 昨日のブログでは喉の手術をするために入院する男の子の不安と、でも安心していいということを、いろいろの角度から話をするおとなのようすが、たんねんに描かれている絵本の紹介をしました。この男の子はある年齢以上なのでそういう方法をとることができますが、この絵本の表紙のようにとても幼い子どもにはどうしたら良いでしようか。それは昔ながらの方法”いたいの いたいの とんでいけー”です。わたしも祖父母にしてもらったことをうっすらと憶えています。(両親からは憶えていませんが)
幼い子どもに、たとえ薬や注射が必要でも抱っこして”いたいの いたいの とんでいけー”をしてもらうのはとても必要です。それだけでずいぶん良くなると思います。
 細部まで描き込むいつもの作者の絵とは少し感じが違いますが、とてもシンプルでユーモアがある幼児絵本です。

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おとのえほん

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「でんしゃはうたう」
三宮麻由子ぶん
みねおみつえ
福音館書店 本体800円


 男の子がお母さんと電車に乗って降りるまで、電車の走る音の絵本です。走るといってもどこを走るのかでいろいろ違います。12時半近く「かざま」出発なので、昼間のことです。夜だったら電車はまた違う音をたてて走るでしょう。私は昔から乗り物酔いをするので、なるべく電車では眠ることにしているから当然電車がどんな音を出しているのか知りません。だからこんなふうに電車の音=声をきいたことがありません。線路と擦りあう音でしかないのですが、まわりの景色で電車が何か言っていたり、うたを歌っているように聞こえたり、電車の好きな子どもは、きっと乗りながら電車と話をしているに違いありません。各ページにかきこまれた駅や景色をいろいろと読み取るのも楽しい絵本です。

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「どんなおと?」
さくtupera tupera
教育画劇 本体870円


 この絵本は同じ音を表現していますが、子どもたちに問いかけています。”手をたたいたら?”に始まって動物のたてる生活音、これは表紙の絵、ぞうと子どものたてるおならの音や物がぶつかりあう音、自然の音などが続きます。そして、”そっと耳を澄ませてごらん”ちょうちょが森のなかで羽を閉じる音です。ただ残念ながらこの本はこれで終わりで良いのに”太陽がふっとんだらどんな音?”これは無くて良いのではと思います。だって”太陽がふっとんだら”の音は誰にも聞くことができない、想像することのできない音?だからです。しいて言えば無の音、これは音といえるのでしようか。どんな音でも、音があるということは生きていることです。”めをとじてみみをすましてごらん いまどんなおとがきこえる?”わたしの、あなたの心臓の音、生きている音です!

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入院体験

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「びょういんにおとまり」
文バラージュ・アンナ
絵ダーノシュ・ユディット
訳うちだひろこ
風濤社 本体1900円




 子どもたちに”もしあなたが病気で入院することになったら、こんな感じですよ。”と描かれた絵本です。表紙の絵は窓で手を振っている子どもたちに別れてお母さんと出て来るところです。元気になって家に帰るのでしょう。そして、本を開くと見返しには病気の時つかう器具が並んでいます。薬や注射、顕微鏡までいろいろあるのは、この男の子が病院で使った物なのでしょう。男の子はのどが痛くなり、扁桃腺の手術で入院、いいえ!この絵本では=病院におとまりなのです。入院してから退院するまで、この男の子にどんなことがあって、どんなふうに感じたか、お医者さんや看護士さんのこと、いっしょに入院している子どもたちのこと、手術のときのこと、お父さんお母さんが来た日のこと、来なかった日のことなど、とっても丁寧に絵と文でわかりやすく、ページによっては自分で絵や文、おもに記録風に書くことができるように構成されています。
 入門書でもありますが、子どもたちの不安な気持ちに寄り添っていて、こうしたほうが良いとか、こうですよとかおしつけが描かれているわけではありません。親が見舞いに来ないとき、子どもは何をしたかなど、こんなふうに書かれています。<きようはぼくのおかあさんもおとうさんもおみまいにくることができません。ほかのこどもたちにはたくさんのおみまいがきていてうらやましいなあ。”だれもおみまいにこなかったときあなたはなにをしていましたか?”>。日本と状況がちがっていることもあったとしてもあまり類書がない絵本です。どうしたら心が元気になることができるのか、病気になって不安になっている子どもだけでなく、おとなにも読んだらよい絵本だと思いました。
 作家も画家もハンガリーの人で、作家は長い間自閉症の子どものケアにたずさわってきた小児科医です。

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姉弟の関係は

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「おとうとバーゲンします!」
作 イム・ジョンジャ
絵 キム・ヨンス
訳 星あキラ/キム・ソンミ
ひさかたチャイルド 本体1300円



 絵本の帯に「姉と弟のビミョーな関係」と書かれています。まさにそのとおりです。まったく弟ったら泣き虫で弱虫で、自分勝手で乱暴で、ちょっともおねえちゃんの言うことを聞きません。おもいきって売りに行くことにしました。聞いたおとなはそれぞれ”いいよ!○○と交換しようか”と言いますが・・・。でもね!とうとう、ばからしく嫌になって自転車の後に乗せて帰り道、おもわずおかしくて笑ってしまうオチでした。韓国の絵本ですが、韓国といえば道徳がきびしい国というイメージだったのですが、こんな絵本が出版されているのですね。カラッとした楽しい絵本です。

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カエルの季節

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「たんぼのカエルのだいへんしん」
内山りゅう 写真・文
ポプラ社 本体1200円



 桜吹雪の昨日、今日、もう若葉がではじめました。早いところでは田に水が入ります。すぐにおたまじゃくしが泳ぎだして、やがてカエルの大合唱です。
 このシリーズに新しく加わったのはカエルの写真絵本です。最近はめっきりカエルを見なくなりました。近くに田がないからでしようか。
 おたまじゃくしがカエルになるのは実は知っているようで、あらためてこの本をみると驚くことがあります。たまごがこんなにいろいろあることや、からだのみぎがわがでっぱってきて、みぎまえあしがでてくる写真、はんたいがわのえらあなから、ひだりまえあしがでてくる写真、こんなことは知らなかった、あらためてしっかり見ると不思議です。そして、いろいろのおたまじゃくしはいろいろのカエルに変身、成長していきます。
 カエルのあのヌルヌル感が嫌だという人もいますが、私はあまり気になりません。カエルの目がかわいくて好きです。

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パワーのある絵本「オルガ」

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「オルガ」
ストロングボーイTシャツのはなし
イリヤ・グリーン作
ときありえ訳
講談社 本体1200円

真っ赤な色の表紙に子どもがひとりりきみかえっています。オルガです。オルガは元気な女の子です。その秘密はオルガの着ているシャツ「ストロングボーイTシャツ」、このTシャツを着ると力もりもり”このシャツを着ている人は強いのだからみんないうことをきくのよ!”だってこのTシャツは一枚しかない強くなるTシャツ、みんなはしぶしぶ言うことを聞きます。けれどそれはウソとわかります。アイスクリームを買った子は景品にもらえるからです。みんながもらってきます。しかたがないので、このTシャツを着ていない子に命令することにします。でも小鳥だけです、Tシャツをもっていないのは。てんでんに小鳥に命令して大混乱。だれだって命令はしたいけれど、されたくないのは当然です。
 ともかくおかしくて、なんども笑ってしまいました。笑い事ではありませんよ、まるで誰かさんのことみたいですが、やっぱり最後のオチでも大笑い。子どもたちの表情がとってもいいのです。(小鳥の”ぴゃ〜だ、ぴゃ〜だ!”もいいですね。それこそ、このさい政治家にみんなで言いましょうか。
”ぴゃ〜だ、ぴゃ〜だ!こんな政治はたくさんだ!”これはおとな読みでした。


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ぺにろいやるのおにたいじ

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「ぺにろいやるのおにたいじ」
ジョーダン=文
吉田甲子太郎=訳
山中春雄=絵
福音館書店 本体800円

 ある国の山の上にお城があります。山の途中には鬼のお城があって、鬼は上のお城に行く人たちを脅しこわがらせます。王子が鬼を退治しようと馬に乗って元気に出かけますが、出て来た鬼は王子と馬をつかんで頭をぐりぐりすりあわせます。すると王子も馬も小さくなってしまいます。お城に逃げ帰った王子も馬もしばらくは小さいままでした。戦ってみたけれど鬼にかないません。皆が困っていると、お城の小さい男の子ぺにろいやるが鬼に引っ越しをしてもらうように話して来るとでかけます。持って行ったのはいしけりだまとたことたいこだけです。さあ、こんなことで鬼退治ができるでしょうか。
 物語は鬼退治にはなっていません。絵もしっかりと描かれていて動きがあるのに、鬼退治とはほど遠く静かな雰囲気があります。。私がこの絵本を初めて見たのはいつ頃だったかちょっと思い出せません。1957年4月に月刊誌「こどものとも」ででた絵本です。心に残った絵本、記憶にはしっかりとありテキストや絵に違和感はありませんでした。いま、また読み直してみると文も絵もとても不思議な雰囲気をもっています。どうしてか考えてみたら、思い当たったのは私自身がおとな?というか歳をとったからだと気がつきました。鬼退治にいくのにおもちゃをもっていく。だいいち、鬼を退治したのは王子でもなければ、ぺにろいやるでもありません。最後の場面は鬼も男の子ぺにろいやるもかわいいおもちゃのお人形のようになって、鬼のお城の後にあらわれた大きな木の下のテント小屋で仲良く遊んでいる、というおしまいの仕方です。これはこどもの想像の世界です。なかなかおとなにはわかりにくい、なんとも不思議なそれでいて心に残る絵本です。


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ひみつのカレーライス

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「ひみつのカレーライス」
井上荒野 作
田中清代 絵
アリス館 本体1400円



 フミオの家ではみんなカレーライスが大好きです。ある日食べているとフミオの口の中から小さなものがでてきました。なんでしょうか?おとうさんが調べてみると「カレーのたね」ということです。庭に埋めてみました。ただ埋めただけではだめなのです。本に書いてあるとおりにうたを唄いながら踊ります。”カレースキスキ、カレーノタネガ”とこんなふうに。すると芽がでてカレーライスの木が育ちました。そして、カレーの実とライスの実がたくさんなりました。
 この画家の絵はとてもエネルギーのあるタッチです。おいしそうなカレーライス、しかも大盛りです。ところがちょっと不思議なことにフミオのお母さんは着物をきています。お母さんだけでなくお父さんまで着物姿、二人とも下駄を履いています。家並みもみんなすこしばかり古いのです。高度成長前の日本の風景です。そう!その頃カレーライスはおおごちそうだったのです。ラーメンとならんで日本人の国民食といっても良いですね。画家の絵がいきいきとしています。
 そして、みんなですっかり食べたはずなのに、あれっ?!不思議な物語です。

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ファーディのはる

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「ファーディのはる」
ジュリア・ローリンソンさく
ティファニー・ビークえ
木坂涼やく
理論社 本体1400円


 あわてん坊ファーディのシリーズ春の巻です。ファーディは春の森を元気に歩いて行きます。でも、空から白いものが降ってきました。”ゆき?”あわてて友だちに伝えます。また、ねむり直しでしようか。みんなで森にいってみると、”な〜んだ、きれいだね!”雪ではなくて・・・。黄色が鮮やかに春色です。動物たちのはずむようなうれしさが画面いっぱいにひろがっています。
 桜が満開に近く、夕方から風がでてきたので心騒ぎます。気温も下がって来たので、週の初めの入学式まで桜はもつでしょうか。ここ近年咲くのが早くて入学式にはしっかり葉桜になってしまいます。それはそれで緑がきれいですが。(外国みたいに9月入学という声もありますが、私はやっぱり春がいい、桜の下をくぐって入学がいいですね。)
 小学校入学の一年生は嬉しいような、心配なようなきっとドキドキしているにちがいありません。

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まゆとおおきなケーキ

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「まゆとおおきなケーキ」
やまんばのむすめ まゆのおはなし
こどものとも 4月号
富安陽子 文
降矢なな 絵
福音館書店 本体390円

 春のパーティーをひらきます。もちろん、やまんばかあさんとそのむすめのまゆがひらくパーティーです。山じゅうの鳥たちがお知らせをくばってくれました。まゆは世界一大きい春のケーキを作ることにしました。特製のケーキの材料をよくかきまぜて、できたタネはおひさまの光でこんがり焼けて、大きくふくらむはずです。ところが、おひさまの光が暗く陰ってきます。さぁーたいへん!まゆはきばちを持ち上げておひさまの光のあたるところまで走ります。
 おなじみ力持ちで元気なまゆの大活躍です。子どもたちはこのシリーズが大好きです。まゆが女の子に描かれていても、男の子も大好きです。元気で食べること=おいしそうなものがでてきて、途中トラブルがありますが、最後にはみんなで食べています。とても、みんな嬉しそうです。これは「ぐりとぐら」にも共通しているモチーフです。富安さんの文はリズムがあり、物語はおおらかです。そして、降矢さんの絵もまた、エネルギーにあふれていて、絵に勢いがあります。この二つは子どもの絵本の基本です。どれもあきずに子どもたちは読んでくれます。もちろん、あたかも自分がまゆになっているように思うのでしょうが。それだけでなく、もしかしたら、各ページに描かれているこぎつねを、自分のことのようにおもうのかもしれません。

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アンデスの少女の夢

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「アンデスの少女ミア」
希望や夢のスケッチブック
マイケル・フォアマン作
長田弘 訳
BL出版 本体1500円


 アンデスの小さな村にミアは住んでいます。近くには大きな街があって、ミアのおとうさんや村の人たちは街へ行ってゴミを持って来て、それを再生して暮らしをたてています。いつかはレンガ造りの家を建てたいとおもっています。ある日街から帰って来たおとうさんが子犬を連れてきました。子犬は家族の一員になりました。けれど、ある日子犬がいなくなって探しにいったミアは、今まで行ったこともない所に迷い込んでしまいました。そこでは一面に白い花が咲いていて、ミアは夢のように思い、苗を持って来て家で育てました。ミアの育てた花はみごと咲いてゴミの村をきれいにします。そして、ミアはおとうさんが街に行く時に一緒に連れて行ってもらいました。花を売るためです。
 ミアと家族の夢を描いたこの絵本は、読む人の心に希望の灯をともします。山の尾根から街をみるミア、雪の中で愛馬サンチョところげて遊ぶ場面、粗大ゴミがミアの植えた白い花で一面におおわれる場面、ミアの希望と夢のとてもうつくしい場面です。

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大きな木のような人

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「大きな木のような人」
いせひでこ
講談社 本体1600円


深い感動をあたえた「ルリユールおじさん」の続編のような絵本です。パリの植物園、日本人の女の子さえらはひとりの植物学者に出会います。さえらはおじいちゃんへのプレゼントにひまわりが欲しくて取ろうとしますが、もちろんいけないこと、見つけられかわりにひまわりのタネをもらい育てます。それからのさえらは植物園に居場所を見つけ、働いている人と仲良くなり、見学者の案内までするようになります。一年が過ぎ日本に帰る時がきました。心の中に大きな木をもって。木は誰もの心にあってそれを育てていくことで自分も大きくなっていきます。この本の大きな木は「プラタナスの木」ですが、250年もの間根を張って、人々を見守り支えてきた木です。
 夫のいないはじめての5月3日、私は一人で日比谷公園の憲法集会にでていました。五月晴れのきれいな青空の日、スズカケ(わたしにとっては実はプラタナスというよりスズカケの名前の方がしっくりします。)のちいさな実が風にゆれていました。そして、小鳥が木のうろに巣を作っていたらしく出入りしていました。しばらくぼんやりと眺めていて、はっと思いたちました。”あぁ!私は生きているんだ”と。近くの千葉高校にも青葉の森公園にも、うれしいことに大きな木が何本もあります。時々、私はただ立ち止まって仰ぎ見ます。

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ことりのゆうびんやさん

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「ことりのゆうびんやさん」
ニコライ・スラトコフ原作
松谷さやか ぶん
はたこうしろう え
福音館書店 本体800円


 ぼくのうちの郵便受けは木でできているので、鳥が巣箱にしました。キツツキが穴をあけたけれど、それをセキレイが自分の家にしてしまいました。郵便ポストになりません。小鳥の声もするようになりました。”のぞいてはいけませんよ!”もちろんネコもだめです。やがて小鳥も飛び立ち、巣だけが残りました。木の実や枝やいろいろのもので作られていた巣、また来年もきてね!
 この絵本はニコライ・スラトコフの「セキレイの手紙」を日本に置き換えて絵本にしたのだそうです。幼い人たちのかがくの本です。
 セキレイはわたしたちの身の回りでも良く見る鳥です。また、戸袋にムクドリがよく巣をつくります。一方屋根の構造が変わってしまったのでしようか、雀の巣をあまりみなくなりました。(雀そのものがあまりいなくなったようにおもいます。)
 わが家では春になったので、パンくずの入ったかごを木に吊るすのはやめました。また、寒くなるまでお休みです。でも、ヒヨドリがギャギャとベランダの物干竿に止まりねだってさわぎます。”もう桜も咲くのだから自分で餌を探しなさい!”と知らん顔をしていますが。
 でも、この気候の変動に鳥たちはどう感じているのでしょうか。

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春がやってきた「フローラのにわ」

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「フローラのにわ」
クリスティーナ・ディーグマン
ひしきあきらこ 訳
福音館書店 本体1200円




 今日の千葉は風が強く、冷たかったけれどきれいな青空でした。寒くてもやはり春になっているのだと感じられます。私は雪国で育ったので、春には陽や光の輝きだけでなく、土や風の香り、そして水の音がします。それはやはり湿気の多い日本的感覚のように思います。
 この絵本はスウェーデンの絵本です。スウェーデンの絵本といえば、やはり好きなベスコフの絵本があります。同じ国でもベスコフの絵本はもっと土臭く、でてくるものたちも土の精そのものです。
 フローラの庭にも春がきました。フローラはあちらこちら、花や虫たちと遊びます。でも、なにかたりない、そうです友だちがいない、ひとりぽっちなのです。でも、ある日フローラの家の門の前に女の子がいました。名前はリネア、二人は手をつないで小径を歩き、大きな木に登ったりしました。どうぶつたちも一緒です。風が気持ちよく吹いています。
 ベスコフの絵本とくらべるとテキストに物語性がうすいので詩の絵本のようです。絵もすこし現代的でデザイン的です。でも、とても明るく透明感があってきれいな絵本です。画家の描く妖精のような子どもは少したれ目のやさしい小さな人です。生き物は顔がついていてちょっとおかしく、笑ってしまいます。季節が背景の樹々や草花はやさしく風に葉を揺らしています。
 やっぱりゆっくりと楽しむ絵本です。

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きようはなんだかねむれない

 特別な悩みがあるわけではないけれど、今夜はなんだかねむれない、ということがあります。

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「よぞらをみあげて」
ジョナサン・ビーン作
さくまゆみこ訳
ほるぷ出版 本体1200円



 毎日お天気が悪くて、時々驚くような青空の見える日があります。今日もそんな一日でした。でも、また明日から雨ということで、すでに夜空には月も星もみえません。あまり空気は冷たくありません。どうやらこの本を読んでもうんうん!といえる日になりました。
 ある夜、考え事をしていると気がたってきたのか、目が冴えて眠れなくなってしまった女の子、しかたがないので、忍び足で屋上にあがっていきました。屋上は昼間お母さんが洗濯物を干しているときそばで花に水をやったり、本を読んだりしていた所です。
 お母さんが女の子の足音に気がつきました。女の子は掛布をもちこんで夜空を眺めていました。夜空はどこまでもつながっていて、不思議、しばらく静かに呼吸をしていると落ちつきました。女の子はだんだんねむくなってきました。あとをついてきたおかあさん、女の子のそばでおちゃを飲みながら夜空を眺めています。こんなことは久しぶりです。屋上から見た街のうえ、穏やかな時がながれています。

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ドーナツだいこうしん

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「ドーナツだいこうしん」
レベッカ・ボンドさく
さくまゆみこ やく
偕成社 本体1400円

 毎日お天気が悪くて憂鬱です。こんなお天気なのに花粉症の人はつらいと言っています。じつは昨日の雪情報、ひそかに楽しみにしていたのですが、あぁーという結果になってしまいました。でも、雪が降ったらほんとうは困るのです。雪で交通機関が混乱するからです。でも、やっぱり”雪よ降れ降れ!
 この絵本はあまり気分が晴れないとき、今みたいなときにぴったりです。表紙を見ただけで楽しくなります。話はビリーが腰につけたドーナツからはじまります。そのドーナツをニワトリが追っかけています。そのニワトリの後はネコです。次から次とどんどんふえて大騒ぎ、しかもみんなとても楽しそう、お祭りです。そして、いかにも英語圏の本らしく、追いかけるもののなかには、マザーグースなどの登場人物がしっかり描かれています。ところで、こういう本で難しいのはテキスト、英語のリズムを日本語のなかに活かしていくのはなかなか難しい。成功しているのは、もしかしたらさくまゆみこさん唄いながら訳していたのではないでしょうか!スプーンをトントンとたたいてリズムを取っていたりして???ビリーのドーナツはとってもおいしそう、私も食べたくなりました。

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せかいをみにいったアヒル

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「せかいをみにいったアヒル」
マーガレット・ワイズ・ブラウン文
イーラ写真
ふしみみさを 訳
徳間書店 本体1400円


「ねむいねむいちいさなライオン」に続いて、イーラの写真絵本の2冊目です。お話からアヒルらしいといえば、ほんとにアヒルらしい。世界を見に行きたいとおもうだけならまあ、ありきたりですが(つまりアヒルはとても好奇心の強い生き物ですから)なんとみんなにもアヒルをみせてやろうと旅に出かけるのです。最初に出会ったのはイヌです。とてもこのイヌは気が良いイヌにちがいありません。アヒルは動物園のことを教えてもらいます。そして、そこへ行ってアヒル、(自分をですよ)みせてやろうと思います。イヌにはまっていてね!とカメに乗って出かけます。そして、いろいろの動物に出会います。ライオンやトラの前はただ通り過ぎ、子ジカや子ヤギ、カバやゾウにはとくいになって歌ったり踊ったり、おしまいにはニワトリといっしょに合唱です。イーラの写真は元気なちょっぴりなまいきなアヒルと相手をする動物たちの表情がとてもコミカルでおもしろい。アヒルは檻やガラスばかりでいやになって帰ります。そして、待っていた犬とノビノビと暮らしたそうです。アヒルと他の動物が一緒なのはどうやって写真に撮ったのでしょうか、びっくりです。
 私は幼かったときアヒルを飼っていました。わたしに卵を食べさせようと考えたことのようです。でも、卵は生まなかった、農業高校へ返したとたんに卵を産んだとか。その私の飼ったアヒルもなまいきなアヒルでした。それからすぐにうさぎを飼いました。うさぎの方が楽しかったけれど、アヒルはなぜか忘れられない生き物でした。

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空気、その存在

くうきは どこに?

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「くうきはどこに?」
フランクリンM・ブランリーさく
ジョン オブライエンえ
おおにしたけお りゅうさわあや やく
福音館書店 本体1300円


 空気はどこにあるのでしょう。見えないし、かたちもないしどうもわかりませんが、私たちは空気なしでは暮らしていかれません。なんとなくわかるのは風の力です。風はふいたり、においがしたり、空気があるのを知らせてくれます。私にはちがった気づきがあります。私は喘息があるので、発作がおきたとき、空気がなくなったようにおもいます。空気が大切なことがとても良くわかります。昔、木曽の御嶽山へ登ったとき、空気が薄くなったのを感じて、あわてて下山したことがありました。前の晩から体調が悪いのに出かけたまでは良いけれど、登るにつれて頭が痛くなり、手がしびれたようになり、その時はとても空気が薄くなったのを感じました。
 この絵本はとてもやさしく、愉快に空気のことを教えてくれます。空気がみえるようにする実験もあります。かんたんな道具でできるので、家でもすることができます。
 このシリーズも7冊目になりました。どれも身の回りの科学をやさしく描いています。不思議なことはたくさんあるけれど、この本が単に不思議を解明するのでなく、不思議を気づかせてくれる、世界が不思議に満ちているのはとてもすてきなことです。


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天のおくりもの

Tenno


「天のおくりもの」
グスターボ・マルティン=ガルソ・文
エレナ・オドリオゾーラ・絵
宇野和美・訳
光村教育図書 本体1500円



 あるところに人間のお母さんとひつじのお母さんがいました。どちらにもうっかりというより、ありえない不思議なことがおこってしまいます。各々のあかちゃんが手を離れてどっかへ行ってしまったのです。そして、なぜか人間のお母さんのところへはひつじのあかちゃんが、ひつじのお母さんのところへ人間のあかちゃんが、お母さんたちはそのあかちゃんを抱き上げて、つれて帰り育てます。けれど、ある時出会うことができて、あかちゃんはまたもとのお母さんのところへ戻ることができました。もちろん、自分の子どもはかわいいのですが、時々前に暮らしたあかちゃんのことを思い出して、すこしだけ淋しくおもうのです。きっとあかちゃんはそのことを憶えていないでしょうね。この絵本ではお母さんの心が描かれていますが、あかちゃんのその後は描かれていません。
そして、最後に「あかちゃんは天からのおくりもの」と書かれています。先日ダウン症の息子を殺してしまって、生き残ってしまったお父さんの裁判がありました。「子どもが生まれて来たことも意味があって、お父さんが生き残ったのも意味がある」というようなことを裁判官が言ったと記事になっていました。(正確でなくてすみませんが)そう、子どもは天からの授かりものとおもいます。
 この画家はインテリアデザインを学んで広告関連の会社で仕事をしていたとのこと、画面の処理の仕方や構図がデザイナーのやり方、絵がとても洗練されていています。


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しかめっつらあかちゃん

Sikamettura


「しかめっつらあかちゃん」
ケイト・ペティ文
ジョージー・バーケット絵
ほるぷ出版 本体1400円



 ほっぺたは真っ赤、ぐりぐり目玉であなたをにらんでいるあかちゃん、どうしたのでしょう。ママもパパもおじいちゃんもおばあちゃんもペットまであかちゃんを笑わせようとしますが、しかめっつらのあかちゃんは機嫌良くなりません。しかもみんな笑わせようとくふうをしますがだめです。どうしたのでしょうか?でも最後におにいちゃん登場、そうしたら・・・。裏表紙のあかちゃんのとってもうれしそうな顔、ぐりぐり目玉はなくなっています。画面いっぱいの表情は迫力があります。一体おにいちゃんはなにをしてあかちゃんを笑わせるのに成功したのでしょうか。それは絵本を読んでのお楽しみ!

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つららがぽーっとん

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「つららがぽーっとん」
小野寺悦子ぶん
藤枝つう え
福音館書店 本体800円


 子どもが聞いています。”春はどこまできていますか”つららが答えます。ねこといっしょに外をみていて、その時はそばにヒヤシンス、外は雪だらけ。すこしたって子どもがまた、”春は近いですか”と聞きます。やっぱりつららが答えています。ヒヤシンスは花が咲きました。でも、外はまだ寒くて氷っています。春が近くなるたびにつららの答えはちがってきます。そして、とうとう春がきました。
 私は幼いとき雪国で育ったので、冬の間軒先につららがさがる風景を良く知っています。知っているどころか、つららを割って氷がわりに飲み物につかったり、(おとなになってからは友だちとオンザロック?にしたり)雪とおなじくらいの冬のおなじみでした。雪国の春は最高です。まちどうしく思っていることでもありますが。春がきてうれしいのは風の匂いです。陽はまだちょっと冷たくてもキラキラ輝いて、風にのって木の芽や花の蕾や土の匂い、春の匂いがします。東京へでてきて一番いやだったのはほこりっぽい春の風、いまでもなじめません。しかも、年々梅が咲いたと思うとあっというまに桜が咲いて、あわただしく春は過ぎて行ってしまいます。
 つららは見ることができないので、”春は近いですか”とだれに聞きましょうか?

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ニコラスどこにいってたの?

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「ニコラスどこにいってたの?」
レオ・レオーニ
谷川俊太郎 訳
あすなろ書房 1500円



 大型なレオ・レオーニらしい絵本が出版されました。原書は1987年の出版になっているので、亡くなる12年ほど前の作品になります。(1999年に亡くなっています。)
 お話はねずみのニコラスたちが甘いのいちごを見つけようとしますが全然ありません。きっと鳥たちがみんな食べてしまったのだと怒ります。ニコラスは鳥にまだ見つけられていない、甘くておいしいのいちごを探しになかまたちに内緒ででかけます。ちょっと見通しの良い所を歩いていると大きな鳥にさらわれてしまいますが、やっと逃れて落ちた所が3羽のひなどりがいる鳥の巣のなかでした。かあさんどりは虫を食べないニコラスのためにのいちごを探してくれました。そうこうするうちに小鳥たちは大きくなって飛び立って行きます。ニコラスも巣を出ますが着いた所には仲間のねずみたちがいました。ニコラスの話に仲間たちは興奮して鳥をやつけようといいます。
 「スイミー」などのようにこの絵本も教訓的に読んでしまってはつまらないとおもいます。物語も大切ですが、レオニーの絵を楽しんでください。とりやねずみの小さな目、くろ目の付け方ひとつでとても表情が豊かに変わります。レオーニ独特のコラージュの手法を使った絵本ですが、これくらい大判だと白色の部分の効果で、ニコラスや他のものたちがいきてきます。鮮やかできれいです。

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おはなしのもうふ

 立春とはいえ、まだまだ寒い日が続きます。毛布が必要です。この絵本に登場する毛布はとてもカラフル、なんといっても「おはなしのもうふ」なのでそれは当然ですね。

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「おはなしのもうふ」
フェリーダ・ウルフ
ハリエット・メイ・サヴィッツ
エレナ・オドリオ・ゾーラ
光村教育図書 本体1500円



 なぜか村の人たちにくつした、マフラー、てぶくろ、ショール・・・と次々に毛糸で編んだ暖かいプレゼントが届けられます。誰からのプレゼントでしょうか?
この絵本を読んでもらっている子どもたちはわかりますね。子どもたちは「おはなしのもうふ」のうえにいるのですから。そして、ついに贈り主がわかります。誰だかそれは?!
 「おはなしのもうふ」はとてもあざやかです。おもわず笑ってしまう、ユーモアいっばいの絵本です。おばあさんも子どもたちの表情も楽しそうです。

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かわいい動物たち

 近年写真絵本が多くだされるようになりました。技術的に鮮明に撮れるようになったのと、ペットブーム、私の嫌いな言葉でいうと”いやされる!”ということでしょうか。まあ、ストレスいっぱいのおとなが、かわいい?写真をみてほのぼのするのも悪いことではないが、そんな写真ばかり子どもの絵本としてみると、なんかちがう”生きている動物はもっとおもしろいよ!”といいたくなってしまいます。

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「ねむい ねむい ちいさな ライオン」
マーガレット・ワイズ・ブラウン 文
イーラ 写真
ふしみみさお 訳
徳間書店 1400円


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「二ひきのこぐま」
イーラ作
松岡享子 訳
こぐま社 本体1700円


 どちらもイーラの写真です。活版印刷のこぐまの写真はこぐまがより野性的です。好奇心いっぱいの小さな動物たち、あったものになんでも興味をしめして嫌がられたり、しかられたり、そして泣きべそをかいたり、なんだかくたびれて眠くなってしまったり、幼いこどもそのものです。絵で描かれたイラストと別な、哺乳類らしい暖かみがイーラの写真からは感じられます。

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おいしいおと

 おいしいと感ずるのは何からでしょうか?この絵本は音を描いています。しかもおいしい音です。

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「おいしいおと」
三宮麻由子ぶん
ふくしまあきえ え
福音館書店 本体800円


 あかちゃんはおかあさんのお腹の中でかなりのことができるのだそうです。見えることも、それ以前に聞く事もできているとのこと、だからおかあさんが良い音楽を聞く事も昔風にいえば胎教に良いというのがうなずけます。食べ物をおいしいと感ずるのは見た目かもしれませんが、なんといっても匂いです。おいしそうな匂いは食欲をそそります。おいしさを絵で表現することはできますが、匂いは絵で表現する事はできません。おいしそうに食べている時の音はやはり匂いと同じで絵では表現できないと思っていました。ところが、この絵本ではできるのです。それはこの絵本では文字の部分で音を表現しているからです。子どもたちの大好きなウィンナーを食べるところでは”ウィンナーを かじったら クッ プワッ あぁ おいしい”。絵本の場合文字も絵のうちです。文字=絵=イメージ、音がウィンナーとむすびついておいしいというイメージをひろげます。
 理屈はこれまでにしても、この絵本はほんとうに「おいしい絵本」です。同じような絵本に平山和子作「おにぎり」があります。あたたかいご飯の湯気や匂いまで感ずる絵本で子どもたちの大好きな絵本です。

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かさの女王さま

 少し雨が降ったら良いのになぁと思うくらい毎日お天気が続きます。空気は乾燥しているので風邪が流行ります。センター試験もはじまり、受験生のいる家庭ではともかく風邪をひかないようにと気をつけている毎日です。
 「かさ」にまつわるお話の良い絵本がでました。

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「かさの女王さま」
シリン・イム・ブリッジズ作
ユ・テウン絵
松井るり子訳
セーラー出版 本体1500円


 タイのお話です。ヌットの住んでいる所はかさづくりの村です。ヌットは両親やおとなたちのようにすてきな「かさ」をつくり、今年のかさの女王に選ばれたら良いのにと思っています。両親のゆるしがでて、「かさ」に絵を描く事になりました。花や蝶という伝統的な絵を描いているうちに、小さなゾウが遊んでいる絵を描いてしまいました。これでは王さまはかさの女王に選んではくださらないのではないでしょうか。王さまがいらっしゃいました。ことしの女王はだれでしょうか?
 とっても落ちついた色で描かれている絵本で主人公のヌットをはじめとして、楚々とした人々が描かれていて、それでいて見開きから華やかな「かさ」が画面いっぱいに描かれています。ヌットは王さまになぜゾウを描いたときかれて、”わたしはゾウがすきなのでございます”と答えるシーンもよくこなれた訳文になっています。黒猫が1ぴきゾウと遊んでいます。画家の遊びが感じられ楽しい場面です。

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馬の涙

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「この世でいちばんすばらしい馬」
チェン・ジャンホン作・絵
平岡敦 訳
徳間書店 本体1900円




 才能を認められて絵師になったハン・ガンの描く馬はほんものの馬になるといううわさがたっていました。ある日ハン・ガンに馬を描いて欲しいと武将が訪れます。そして、ハン・ガンの描いた馬に火があたるとうわさのとおりほんとうの馬になります。どの馬よりも速く、どの馬よりも強いその馬に乗って、武将は戦場をかけまわります。けれど、戦場の惨事を見た馬は涙をながし、ある日駆け去ってしまいます。探しまわった武将がハン・ガンを訪れると”私がもともと描いた馬は5頭だったのに、今朝はそれが6頭になっています”そして、”その馬は私の絵のなかで静かに暮らしている”とハン・ガンは答えたのでした。
 ハン・ガンという絵師は8世紀の中国に実在していた人で、この絵師の馬の絵から啓発され作者はこの絵本を描いたとのことです。伝統的な中国の墨絵という技法をつかって、中国らしい作品になっていて、なによりもみごとな馬のいきいきとした絵、戦場の惨事を見た馬が鼻の穴をひらき、歯をむきだして、大粒の涙を流す場面は読者の胸にせまってきます。前作「ウェン王子とトラ」についで、大変迫力のある大型絵本です。


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きずついた鳥を見つけたら

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「きずついたつばさをなおすには」
ボブ・グラハムさく
まつかわまゆみ やく
評論社 本体1300円



 今日は朝から冷たい雨が降りました。一日中取次ぎに行って本を抜いていました。街はクリスマスで賑やかです。こんな日は鳥たちはどこにいるのでしょうか?晴れた日はビルの窓ガラスが輝いてみえますが、この絵本の鳥もビルの窓にぶつかって、街かどにおちてしまいました。誰も気がつきません。ウィルをのぞいては。ウィルは鳥を見つけて手当をします。そして、元気になった鳥は飛びたっていきます。言葉は少なく、ウィルの気持ちとしたことが描かれています。最後の大空に飛んでった鳥の姿がとてもきれいです。
 鳥には私にもつらい思い出があります。一回は私が入院してしまった時に、餌不足と寒さで死なしてしまった事、もう一回は本を立てかけておいた時に、本の紐をひっぱってその下になりあっというまに死んでしまったことです。この本に描かれているように、足の折れた鳥を直した事もあります。そのとき獣医さんは鳥は添え木をしておくしか方法はないといっていました。
 いまは鳥は飼いません。もうすこしたって冬もきびしくなると、庭の木にパンくずやくだものをぶらさげます。鳥が来て賑やかです。これは春までの楽しみです。
 

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えんぴつくん

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「えんぴつくん」
アラン・アルバーグ作
ブルース・イングマン絵
福本友美子 訳
小学館 本体1500円


 むかし、といってももしかしたら今の話かもしれません。小さな一本のえんぴつがありました。むっくりとおきあがったそのえんぴつは男の子を描きました。男の子は名前をつけて欲しいと言います。名前はバンジョー。そして、バンジョーは犬を描いて欲しいと言います。えんぴつは描きます。名前もつけます。ねこも描くといぬはねこをおいかけ物語ははじまります。えんぴつはどんどん描いてお話はひろがりますが、みんなが気に入らないと文句を言います。そこで、えんぴつに消しゴムを描いてもらって気に入らないのは消してしまいますが、消しゴムはどんどんなんでも消してしまいます。さあ!たいへん、どうしたら良いでしょうか。
 想像をふくらませていく楽しさがいっぱいですが、でもちょっと怖いお話です。つごうの悪いものは消してしまえ!とばかり消しゴムがあっというまに消しまくり世界は無なんて、でも大丈夫ちゃんと考えられています。動きのある線に色がついて、内容ができるという発想はおもしろい。(たとえば、食べ物が白黒で描かれて色がついておいしそうになるのです。)
そして、おはなしは無事おしまいです。
 

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なぜ戦争はよくないか

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「なぜ戦争はよくないか」
アリス・ウォーカー文
ステファーノ・ヴィタール絵
長田弘 訳
偕成社 本体1200円

 以前「なぜ人を殺してはいけないか」という若い人の問いかけや、戦争待望論の発言があっておとなたちにショックを与えたことがあった。戦争は気がつかないうち忍び寄って来る。また、装いをかえて人々の前にあらわれてくる。日本では戦争を経験したことのない世代が多くなってきた。かくいう私も知らないが、でもまわりには多少とも戦争をかいくぐってきた人たちがいた。その人たちの悲惨な状況を聞く機会がまるでないわけではなかった。でも、もうそれも難しい時代になってきている。
 戦争はなぜいけないのだろう。この絵本は日常の生活やありようを描く事によってなぜ戦争はよくないのかといっている。

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 窓の側の母子、子どもを抱いている若い母親の喜び、そして、赤ん坊はおっぱいを飲みながら母親の巻き毛をいじっている、こういうことが人の幸せだと作者はいう。失ってはじめてわかる小さな幸せ。
 表紙はほとんど真っ黒だけれど、ページを開くと世界の伝統絵画を研究した画家らしく、場面によっていろいろな描き方がされている現代絵画的な絵本だ。戦争が人格化されていて一人称で淡々と語られ、訴えられている。

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十二の月たち

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「十二の月たち」
ボジェナ・ニェムツォヴァー再話
出久根育 文・絵
偕成社 本体1600円



 スラブ民話です。ロシアなどにも同じようなお話があります。有名なお話にはマルシャークの「森は生きている」があり、本だけでなく劇にもなっています。12月の冬のおはなし会やクリスマスのおはなし会に子どもたちに語ることも多いお話です。
 この絵本はスラブの雰囲気がとても良くでています。少女マルシュカも十二の月の表情も体つきもスラブの人たちそのもののように感じます。森の中のようす、樹々のたたずまい、母なる大地の言葉にふさわしく土臭く、やはり日本の自然とは少し違います。
 自然を慈しむ人びとに幸せがあり、奢り、自然を敬わない乱暴な人には幸せは決して訪れない、昔話だけでなく、現代にも通ずるお話です。

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エゾオオカミ物語

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「エゾオオカミ物語」
あべ弘士
講談社 本体1500円



 講談社が出版の仕事をはじめて100年がたとうとしていて、この絵本もその記念出版とのことです。
100年というと、この絵本の主人公エゾオオカミが絶滅したのも100年前でした。フクロウがモモンガの子どもたちに語りだします。昔、北海道ではエゾオオカミがすんでいました。北のこの大地にはアイヌの人たちもいて共存していました。ところがある日、大寒波に見舞われシカがたくさん死んでしまいました。エゾオオカミは飢え、牧場にあらわれはじめます。内地から開拓で移住してきた人たちはエゾオオカミを銃で殺してしまいます。一頭のこらず!フクロウは語ります。エゾオオカミが絶滅してしまうということは人間と動物たちや草や樹々、すべての自然のサイクルが崩れてしまいます。
 画家のこの絵本は、フクロウがモモンガの子どもたちに語るという形をかりて、いまもあちらこちらで問題になっている獣害のこと、この自然はひとつだけのものではないことを訴えています。シカもサルもイノシシもクマもいろいろな生き物に共通した問題です。人間も生き物のひとつでしかない、画家の絵は広大な北海道の森のなかで繰り広げられた100年の歴史を力強く描いています。


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えほんのこども

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「えほんのこども」
荒井良二
講談社 本体1500円



講談社100周年記念のトップバッターにふさわしく、その名も「えほんのこども」。
 大きなえほんがあくびをしたら、えほんのこどもがとびだした、えほんでんしゃにのって。”よんで、よんで!”山の上でも、海のなかでも、宇宙にも、えほんのこどもはでかけていきます。
画家の絵本はいつもとかわらず、カラフルで、小さな楽しみがたくさん描き込まれていて、たんねんに絵を見る楽しみがいっぱいあります。幼い子どもが描いたような絵と、夢の中にいるような色は、おとなにとっても幼かった時のおもいでのようななつかしさがキラキラとあふれています。この画家の絵本がいろいろな年齢の人に好かれるのはそんな理由からかもしれません。

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てぶくろがいっぱい

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「てぶくろがいっぱい」
フローレンス・スロボドキン文
ルイス・スロボドキン絵
三原泉 訳
偕成社 本体1200円

 寒い冬のお話です。あなたは手袋をなくしたことがありますか。私は良くあります。ひと冬に必ず、それも片方です。この絵本のお話も手袋をなくしたお話です。ネッドとドニーはふたごです。ある日ドニーが手袋をなくしました。やっぱり片方です。でも2時間位探しまわったら出てきました。ところが
次の日近所の人が2人が手袋を探している事を聞いたといって、てぶくろ片方持って来てくれました。それから次から次から、片方だけの手袋がたくさん届けられるようになりました。ドニーの手袋はもうみつかっています。きっと、ドニーのように手袋片方なくす人がくさんいるということなのでしょう。さぁ、どうしたら良いでしょうか。でも大丈夫、ネッドが良い事を考えました。裏庭にロープをとおして、そこに集まった手袋をつるしておいて、なくして探した人が見つけられるようにしたのです。
 この絵本はクリスマスの絵本ではありませんが、あなたのとなりにいる人のことのようにとても暖かい人たちが活躍する絵本です。スロボドキンの絵は地味ですが、淡い水彩画でその気持ちが良くでています。寒い冬にゆっくり子どもたちと読みあってください。サンタさんは出てきませんが、贈り物をもらったようなほんわかした気持ちになります。

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クリスマスの絵本ーちびうさクリスマス

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「ちびうさくりすます」
ハリー・ホース作
千葉茂樹 訳
光村教育図書 本体1400円

 ちびうさシリーズ、今度はクリスマスの巻です。ちびうさはクリスマスのプレゼントに赤い橇が欲しいとお願いしました。クリスマスの朝、くつ下には橇ははいっていません。そりゃあ、当然でしょ。橇は大きいのです。がっかりしてベソをかいたちびうさに、外にいいものがあるとパパうさぎがいいます。ありました!うれしくて、もったいなくて、誰にも触らせません。みんながうるさいので、高い所へ行ってひとりで遊びます。ところがスピードが出過ぎて吹きだまりにつっこんで、橇はバラバラになってしまいました。
 ちびうさのちょっとわがままでちょっと欲張り、これは幼い子どもの気持ちそのままです。うらやましくて”だめなんだょ!”と思いながら子どもは読んでいます。
 ところで、店のスタッフと本を並べながら、一人っ子なんかはカルタもすごろくもつまらないよね、という話がでました。何人かでワイワイと遊ぶ事のおもしろさ、ちびうさの絵本のおもしろさは、うさぎという多産な動物が主人公なのでうさぎがいっぱいいて、友だちの動物の子どもたちがいつも画面いっぱいにあそんでいたり、ママうさにベットを並べて寝る前に本を読んでもらったり、それがこの絵本の楽しさの秘密かもしれません。

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たくさんのふしぎ「好奇心の部屋デロール」

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「好奇心の部屋デロール」
今森光彦 文・写真
福音館書店 本体1300円

 この絵本これはなんだ!2003年に月刊誌「たくさんのふしぎ」で出ていた本なのに、なぜか見た記憶がない。表紙の写真によると博物館のようなところ、いろいろな動物や鳥が一緒にいるので、動物園ではないのはわかるけれど、なんとも不思議な写真だ。文・写真は今森さん、読み応えも見応えもばつぐん、とてもおもしろく何回も読んでしまった。この場所はフランスにあって、世界中からいろいろな生き物の剥製や標本を集めて、それを売ったり貸し出したりしているお店とのこと、ありとあらゆる生き物はもちろんのこと、魚や鉱石などの剥製や標本もある。小さな昆虫や蝶の標本、引き出しには剥製に使われる動物の目玉まで、整然と並んでいる。その数の多さに驚いてしまう。もうひとつ興味をもったのは動物の剥製の表情が豊かなので、ほんとうに生きている様におもわれる。シマウマはいな鳴いているのか、笑っている様にもみえる。そして、それらはきちんと手入れされているからなお生きているようにみえる。それにしても、これらを作る人がいるということなのだが、そんなことにも好奇心がわいてくる。物語のなかにでてくるような不思議なお店だ。

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クリスマスの絵本ーとんがとぴんがのプレゼント

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「とんがとぴんがのプレゼント」
西内ミナミ さく
スズキコージ え
福音館書店 本体1500円


 サンタクロースからのプレゼントを楽しみにする子どもはたくさんいますが、昔、サンタクロースへありがとうの手紙とプレゼントをあげたいといった子どもがいました。
 ニコラスおじいさんと暮らしているこの絵本の主人公、ちいさなはりねずみの夫婦とんがとぴんがも
ニコラスおじいさんのくつ下に大きな穴があいているのをみて、来年のクリスマスににはあたたかい毛糸のくつしたをプレゼントすることにします。善はいそげ、とんがとぴんがは出発して、まずまきばのマオさんに羊の毛をほしいとたのみます。羊の毛は毛糸にして染めて最後に編み物工場へ、ところがここでことわられてしまいます。というのは、とんがとぴんがはお金を出して毛糸にしたわけではありません。働いてお金のかわりに手にいれてきたのです。ここの会社では働き手はいっぱいでいらないというのです。でも、だいじょうぶ。一年たったクリスマスには暖かい赤いくつ下をニコラスおじいさんにプレゼントすることができました。
 スズキコージの絵は色彩豊かで、たくさん描きこまれた絵、見開きいっぱいにいろいろのものたちがとびはねている様子は喜びに満ちあふれています。白と青と明るい赤、ちょっと幻想的で夢の中で遊んでいるような気持ちになります。
 最後の著者紹介のなかにこの絵本ができるまでのことが書かれていますが、もし最初の企画どおりに堀内誠一さんが描いていたら、とおもいこれも興味深いことでした。堀内誠一さんも赤をうまくつかいます。クリスマスの赤色は喜びと希望を表しています。

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3びきのゆきぐま

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「さんびきのゆきぐま」
「ぼうし」
ジャン・ブレット作
松井るり子 訳
ほるぷ出版 各本体1300円


 この作者の絵は細密に描かれていて、活き活きとした動物たち、色彩も豊かでとても楽しい絵本です。「ぼうし」では好奇心いっぱいのハリネズミと動物たちがくりひろげるユーモアいっぱいの絵本でした。こんどの「3びきのゆきぐま」では、あの有名な昔話「3びきのくま」がベースになっていて、くまの家に入り込むのはイヌイットの少女です。少女が橇に犬を乗せたまま釣りをしていると、橇を乗せた氷が流されてしまいます。橇の行き着いた所、追っかけた少女の着いた所が3びきのゆきぐまの家でした。昔話のようにくまの家族は留守、少女は順番にはボールのスープを飲んで、ブーツをためしにはいて、ベットで寝てしまいます。そして、帰ってきたゆきぐまの家族にみつけられにげだします。でも、この絵本の最後はゆきぐまたちは”さようなら”と手をふって、たぶん、また少女は来る?こんどはちゃんと遊びにと思ってしまいます。
 ともかく左右に描き込まれたいろいろの動物たちのしていることが細かく、ユーモアいっぱいなのは、「ぼうし」と同じです。読んでもらうのもいいけれど、じっくり絵を読み解く、何回も楽しめる絵本です。
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 ところで、このお話の絵本では福音館書店で昔から読み継がれてきている「3びきのくま」があります。トルストイの再話でロシアの絵本なので、ロシアの風土が良くでています。3びきのくま<ミハイル・イワノビッチ>とか<ナスターシャ・ペトローブナ>、<ミシュートカ>、ふしぎなことにこの名前をこどもたちはすぐに憶えてしまいます。カナダ生まれの「3びきのゆきぐま」とちがった重厚な感じのするロシアらしい絵本で「てぶくろ」(福音館書店刊)と同じにながく読み継がれて来た絵本です
また、新しいすぐれた絵本が出版されて絵本の奥深さを感じました。

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クリスマスの絵本ークリスマスのふしぎな はこ

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「クリスマスのふしぎなはこ」
長谷川摂子 ぶん
斉藤俊行 え
福音館書店 本体743円


 こどもがサンタクロースからのプレゼントを待ちわびているようすが良く描かれています。ぼくは縁側の下で見つけた箱をそっと持って帰って、ベットの下に隠しておきました。だって、そっとのぞいたその中にはサンタさんがいたのです。おかあさんはクリスマスのケーキをつくったりして大忙しです。ぼくが”サンタさん、もう出発したかな”と聞くとお母さんは”そうね、おねぼうしていないといいけどねぇ”といいます。こっそり箱をのぞいてみるとサンタさんは出発するところでした。そうやって、ぼくは心配になると、おかあさんに聞きます。このおかあさんは笑いながら、でもいつも子どもの質問にしっかり答えています。子どものわくわくする気持ち、でもちょっぴり心配な気持ち、お母さんやお父さんに聞きながらそっと自分の目で確かめる、夢と現実、親子の絆と信頼、幼い子どもの心が良く描かれている絵本です。


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クリスマスの絵本ー聖夜のおくりもの

そろそろクリスマスの絵本などが店に並び始めました。すると店はとても華やかになります。クリスチャンではないけれど、やはり楽しみです。すこしづつクリスマスの絵本を紹介していきます。
 
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「聖夜のおくりもの」
トリシャ・ロマンス 文・絵
中村妙子 訳
岩波書店 本体1900円

 小さな森の中に、ある日大工のおじいさんが住み心地の良い自分の家を建てる事にしました。森からトナカイの子どもが出て来て、おじいさんとすっかり仲良しになり、おじいさんはこのトナカイにリトル・スタート名づけました。春から夏に、そして、秋がやってくる頃、村の人たちがおじいさんの手伝いにやってきました。小さな家は完成します。やがてクリスマスが近くなり、おじいさんは村の人たちに感謝のプレゼントを作りました。ツリーも飾り、村の人たちがおじいさんとリトル・スタートクリスマスのお祝いをする為に訪れてきました。そこで見たおじいさんが作ったもの、それに村のみんなにあげるびっくりプレゼントとはなんでしようか?
 静かなクリスマスの絵本です。赤い色が鮮やかでとてもきれいな絵本です。そして、ゆっくりと語られるおじいさんの聖書の物語を読む声が聞こえてきそうな絵本です。手作りのプレゼントを交換しあってお祝いをする人たちの喜びの声も聞こえてきそうな絵本です。 

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せんをたどって せかいいっしゅう

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「せんをたどって せかいいっしゅう」
ローラ・ユンクヴィスト さく
ふしみみさを やく
講談社 本体1500円


 「せんをたどって」3冊目のこの絵本はせんをたどって世界中の国へいく話です。まず、ページをめくってせんをたどる。暑い国へ、ケニアです。ケニアはアフリカにある国、キリンやチーター、アフリカゾウ、そのどうぶつたちもどんどんせんをのばして描いてあります。つぎはページをめくって、海の生き物です。つづけてページに描かれている動物たちには簡単な文が書かれていて、どうぶつの特徴も描かれています。せんを辿って描かれている国はケニヤ・グリーンランド・サハラ・アマゾン・スリランカ・メキシコ・なんきょく・ロシア・オーストラリア・ニューヨーク・そして最後は地球をながめます。
 折り込みの付録のなかの作者の言葉によると、描かれている生き物たちは絶滅危機にあるそうです。それにしてもこんな描き方、絵本にする発想は驚きです。

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あつまるアニマル

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「あつまるアニマル」
ブライアン・ワイルド・スミス作
アーサー・ビナード訳
講談社 本体1900円

 久しぶりにワイルド・スミスの絵本をみました。この人は色の魔術師といわれていた人です。会留府が開店した頃にたくさんの絵本がだされていました。出版社のつごうで次々にお蔵入りになり、でも、箱根に美術館があるとは聞いていましたが、行く機会がありませんでした。(身じかに本がなくなるのは残念なことです。)鮮やかな色彩、リアルな迫力のある生き物たち、画面いっぱいに描かれています。そして、訳がとてもいいです。生き物たちの集まる音が書かれています。たとえば、表紙に描かれているヒョウはこんなふうに、<ヒョウたちは しゅーしゅーと あつまる><キリンたちはすらりすらりずんずーんとあつまる><オウムたちは あーでもない こーでもないと あつまる>とユーモアいっぱいのページもあります。そして、最後はきっちりとオチがあります。29種類の生き物たちの集まり方です。ところでみんな何かを見ていますがなんでしょうか?きっと”あなたたち人間はどうあつまるのですか”と問いかけているのかもしれません。さぁ!どうやってでしょうか?子どもたちに聞いてみたいですね。

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「きのこ」大好き

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「きのこの絵本」
ちいさな森のいのち
小林路子 文と絵
ハッピーオウル社 本体1600円



 わたしは「きのこ」大好きです。ぐっと寒くなった今日、ちょうど生協からの注文品も入って来て、さっそくお豆腐となめこのお汁を食べました。なめこは軸つきなので香りも残っていて天然にちかいけれど、残念ながら栽培です。栽培品は一年中手にはいります。「松茸」は手がでません。私にとっての秋の風物詩は「りんご」と「柿」「栗」そして、「きのこ」です。登山をはじめとして、子どもの頃父がよく自然のなかに連れて行ってくれました。10歳くらいのころだったと思います、弟と私は父に連れられて、山の林に「きのこ」を取りに行きました。でも、着いてどれくらいの時間もたたないうちに弟が”へびがむかってきた”と大きな声をあげました。マムシかもしれないとおおあわてでそこを離れました。その時の父のあわてぶりが今でもしっかり印象に残っています。
 この大型絵本は「早春のきのこ」からはじまって季節をおっていろいろな「きのこ」が描かれています。その絵はとてもわかりやすくしっかり描かれています。「きのこ」はいつも中毒が話題にのりますが、食べられる、食べられない、食用には向かないとしるしがついていて、おもしろいのは絵の間にいろいろな生き物がでてきていることです。その生き物は楽しそうに遊んでいたりしています。(くまが桜の花の下で「きのこ」を食べていたり)、小さい絵なのですが主人公のたくさんの「きのこ」をひきたてて楽しい絵本になっています。見返しや最後の方には探し方や見分け方や「きのこ」百科が書かれています。

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「きのこ 森の妖精」
藤澤寿 写真
谷川俊太郎 詩・構成
新潮社 本体1400円
以前紹介したことのある本です。森の中の不思議な「きのこ」たち、まるで妖精が見え隠れするような不思議な「きのこ」の写真に谷川俊太郎が短い詩をつけています。

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いきてるって どんなこと?

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「いきてるって どんなこと?」
キャスリン ウェドナー ゾイフェルドさく
ネイディーン バーナード ウェストコットえ
なかざわひろこ やく
福音館書店 本体1300円

 生きているってどんなこと?と幼い子どもに聞かれたら、どう答えて良いか、目をパチクリして”難しいねぇ!”と答えるのではないかとおもう。でも、この絵本ではじつに明確に答えている。鳥や植物、犬も猫も人間もみんないきものだということからはじまっている、本も石もいきものではない。いきているということはどんなことなのだろう?いきものは水と食べ物と空気をつかってちからをつくっている。つまりエネルギー、動物も植物も水と食べ物と空気があって生きていると答えている。
 そうなんだ。哲学的に思ったって生きるという事はいま在るということ、いま生きているということなのだ。この絵本の優れているところは、生きるということを喜びで描いていることだとおもう。死の場面もある。死んでいる小さなことりを見つけて、驚いている女の子の絵。そして、”いきものはみんないつかはしぬんだよ”と文。文は死はとてもたいせつなこととさりげなく、けれどしっかり書かれている。生きているものを絵に描いてどんどん加えて、考えるようにしようという、このプラスの思考がいい。柔らかいタッチの絵、犬や猫、遊びまわる子ネコの表情が楽しい。

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でんちゅう

 本の紹介の前に、「おさわがせしました。PCとりあえずなおりました!」とりあえずというわけは、不思議な事に修理に出す寸前に線が消えてしまって、いまのところ大丈夫なのです。OSなどが不都合だったわけではなく、ディスプレーに縦線が一本入ってしまって、それに加えてその縦線が点滅するのでひどく落ちつかなく不愉快だったのですが、なぜか、何もしないのに線が消えました。アップルのサポーターの人のはなしでは、増える事があっても無くなる事はない、ふしぎですね!ということでした。また、でてきたら考えることにして、取りあえずメデタシ、メデタシ?!
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「でんちゅう」
かがくのとも11月号
野坂勇作 さく
福音館書店 本体390円


 とてもユニークな絵本です。かがくの絵本としてだされています。でんちゅう?そうです道の端にたっているアレです。電気や電話やさまざまな線が空を区切ってしまうので、電線というか、でんちゅうはじゃま、景観を損ねるものと思っていました。外国の街なみきをみると空が広くていいなぁといつも思っていました。こうやってあらためてでんちゆうのことを知ると、あまり悪口は言えなくなりました。確かに住所を訪ねたり、広告をみたり、歩きながらじつに多くの事をでんちゅうから教わっています。しかも、下から上に、下は歩いている道の所だからこれもまた、身じか=犬がおしっこをして、マーキングすることからはじまります。私が住んでいるところではゴミの日、置き場の向かいのでんちゅうの上のほうにはいつもカラスが2羽います。ゴミの中のおいしいものを探しているのです。
 と、いうふうにでんちゅうが何でできているか、その働きなどが箱の蓋を開け閉めするように上に上に描かれています。もちろん、今はほとんど見られなくなった木のでんちゆう、これは電信柱といっていました。日本中のでんちゅうは何本ぐらいあるでしょうか。

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きかんしゃの絵本

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「はしれ、きかんしゃ ちからあし」
小風さち 文
藍澤ミミ子 絵
福音館書店 本体1500円


 きかんしゃの絵本といえば、「きかんしゃやえもん」や「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」という子どもたちに人気の本があります。先日も若いご夫婦が2歳の子ども連れで来店され、おとうさんが「やえもん」や「ちゅうちゅう」が大好きだったと懐かしそうに見ていらっしゃいました。まだ子どもは小さいけれどと話されながら、でも買っていかれました。”親に読んでもらった”と、とてもうれしそうでした。こうやって本は伝えられていくのでしょう。
 この絵本もかって活躍したきかんしゃの絵本です。戦争をはさんで、悲しいことにもめげずに活躍するきかんしゃ、文は乗り物のおはなしをたくさん書いていらっしゃる小風さんらしく、きびきびとした文体です。それと同じ位私はこの絵本の絵の描き方のすばらしさに目を見張りました。この絵本がはじめての絵本づくりとのこと、住んでいる近くの操車場を描いていらっしゃるとのこと、絵も見てみたいとおもいます。「ちからあし」という古風な名前の機関車、力強く働きものの機関車、時代の波のなかでもう働かなくてもよくなって、ちいさな機関庫のなかのさびしそうな「ちからあし」、でもまた皆を乗せて走ります。見開きいっぱい走っている「ちからあし」、最後の場面の夕焼けもとてもきれいです。読み終わるとふっと息がぬけます。子どもたちと読みたい絵本です。

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塩のはなし

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「世界を動かした 塩の物語」
作マークめカーランスキー
絵S・D・シンドラー
訳 遠藤育枝
BL出版 本体1600円

 今では塩はあたりまえにあります。むしろ、時々取り過ぎなどをいわれるくらいです。哺乳類は生きていくのに塩が必要です。それだけにいつでも誰でも勝手に得ることが難しいものでした。日本でも60代以上の人は塩は統制品だったので、売るのに免許が必要で、量り売りなどで買っていたことを憶えているとおもいます。いまでも、塩は以外と高価です。自然のものはなおさらです。どこの産地でどう作られたかによって、料理の味も違います。
 この本は塩にまつわる歴史、塩がいろいろのところで歴史を動かし、時には戦争までも引き起していた、それがわかりやすい大型な絵本になっています。日本は四方が海に囲まれているので、塩つくりはあまり不思議なことには思いませんが、中国では地下にたまった塩水から(付属品に天然ガスがみつかります)アメリカやヨーロッパの地方では地下の岩塩を掘り出しています。色も様々、縞の模様がはいっている岩塩に彫刻がされている部屋さえもあるとのことです。このように塩をめぐっての人々の歴史がたんねんに描かれています。私は塩と石油の関係等は、はじめてこの本で知りました。最後のページでは「塩からみた世界史」が順をおって描かれているのもわかりやすく、中学生などにも薦めたい本です。

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読み聞かせにも、おはなしにも向く絵本

 4月にフレーベル館から『やかましい!』という絵本が出ました。アン・マクガバン文、シムズ・タバック絵、木坂涼訳です。小さな古い家に住んでいるお爺さんが、ベッドや床のきしみがやかましくて、物知り博士に相談に行く、というパターンの話。博士は小さな家に、いろいろな動物を持ち込ませます。牛・ロバ・羊・鶏・犬・猫、やかましくて堪らなくて、動物を追い払ったら、床のきしみはもう気にならない、と言う楽しい絵本です。絵柄もぴったりです。
 東京子ども図書館の「おはなしのろうそく5」にある、メイベル・ワッツ作、松岡享子訳の『うちの中のウシ』も同じパターンです。家が狭くて困っているお百姓夫婦が、ちえのありぞう爺さんに言われて、家の中に鶏・ヤギ・豚・牛と、だんだん大きな動物を持ち込み、その暴れ回る動物の描写が目に見えるようなお話です。
 もう1冊、童話館のマーゴット・ツェマック作、渡辺茂男訳の絵本『ありがたいこってす!』も同じです。家が狭くて困っている9人家族の男が、ラビ(ユダヤの法律博士)の勧めで、小さな家に鶏・ガチョウ・ヤギ・牛と、だんだん大きな動物を持ち込んでいき、その大暴れの様子を描いています。
 2冊は絵本ですが、みんな動物の鳴き声が入っていて、3冊ともお話に向きます。特に『やかましい!』は、大きな動物を先に持ち込んでますし、題名どおり、鳴き声の繰り返しの面白さですから、絵が無くても大丈夫です。ただし、単調にならないように。あと、耳だけで聞いてると、牛を出してからロバを入れるように誤解する子もいるようです。
 意外と、あとの2冊のほうが情景描写が面白くて、耳で聞くのに向いています。
3冊とも創作ですが、『ありがたいこってす!』に“ユダヤの民話から”とありますので、もとは昔話だと思います。
       (高橋峰夫)

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シエラレオネの昔話

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「クモのつな」
西アフリカ・シエラレオネの昔話
さくまゆみこ 訳
斎藤隆夫 画
福音館書店 本体390円


 ヒョウのからだのはんてん、ラクダのこぶ、ヤマアラシのとげとげ、カメのこうら、ゾウのながいはな、そしてノウサギが穴で暮らしているわけ、みんなどうしてだか知っていますか?それにはこんなお話があります。〜昔、アフリカのシエラレオネで動物たちが雨が降らないのでみんな飢えていました。でも、クモだけは元気で太っています。母親がたくさんの食べ物を食べさせてくれたからです。ないしょにするという約束でノウサギはクモの母親にごちそうになりました。でも、みんなに話してまた、紐をよじ登っておしかけようとします。〜お話は事のいわれを語っています。おおらかなお話は独特な絵でユーモアのある昔話絵本になりました。
 この話の舞台の西アフリカシエラレオネは、訳者さくまゆみこさんの折り込みチラシによると、奴隷貿易でイギリスなどに連れていかれたアフリカ人の子孫が戻ってつくった国で、1961年にイギリスから独立した国とのことです。以前みた映画「ブラッド・ダイヤモンド」はこの国の産出するダイヤモンドを一人の男が採掘して、隠し持って逃亡することからはじまります。ささやかな人々の希望が国家の欲望につぶされていく、いま、おきている世界経済の破綻の予兆を考えさせられます。
 先日、さくまゆみこさんに来ていただいて、このアフリカの子どもたちのお話をお聞きしました。うたやおどりや子どもの遊びなど、豊かな文化をもっている人たちのお話でした。5歳までの子どもの生存率が最低のこの国にめぐみが訪れることを願います。子どもたちのようすはバオバオの木と星のうたをどうぞ。

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てのひら かいじゅうどこへ?

 10月そうそう、どうも憂鬱な月になってしまった。気温の急な変動で風邪をひいている人が多い。ごたぶんにもれず、私自身もどうも体調がかんばしくない。決算作業等仕事はたくさんあるのだけれど、ともかく休むことにしている。困るのは新刊が読めないこと。取次ぎの決算やら、景気の悪さやらで思ったように新刊がでないので救われるかな?しかも、住まいの外壁の塗装がはじまった。私は化学合成物のアレルギーがひどく、石油系が全然だめ。ガソリンはいうに及ばず、サインペンすらダメ、洗剤や着るものなども化学繊維、香料ともだめ、なんとも現代社会ではやっかいなことが多い。この間中仕事があるのでどこかにいくわけもいかず、今の所部屋を密閉して、マスクをして暮らしている。もうひとつおまけにパソコンの調子が悪い。半ばに修理にだすことにしたので、その前のいろいろの作業をしなければならないので、ため息ばかりという10月になってしまった。(ブログもお休みの時がある)

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「てのひら かいじゅう」
しゃしんとぶん 松橋利光
そうえん社 本体1100円


 そこここで良く見られるカナヘビ・トカゲ・ヤモリについての科学絵本。わたしはイモリを飼っているのだけれど、その話をすると”ああ、家にもいるよ”とよく言われる。聞くとそれはヤモリのこと、好きな子どももいるし良く見かける親しい生き物なのだけれど以外と知られていない。
 ところで外壁の塗装で足場が組まれたり、植木鉢などもすっかり取り除かれしているわが家、彼らはどこへいっただろうか?終わったら元気に戻ってくれるかな!
 

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ガタゴトシュットン なんのおと?

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「ガタゴトシュットン なんのおと?」
絵 はたこうしろう
作 富安陽子
学習研究社 本体1200円


 ゆうくんは公園の砂場でお山を作っています。とんぼやからすや千切れ雲までが遊びに行こうと誘いにきますが、大きなお山を作っているゆうくんは断ってしまいます。いよいよ、すごくおおきなお山ができて、トンネルを掘ることにします。出来たトンネルからガタゴトシュットンとあらわれたのはきかんしゃ、乗り込んで線路になった電線の上を走ります。
 良くありそうなお話なのですが、とても新鮮に感ずるのは、幼い子どもの夢を描いている富安陽子の文といきいきととした子どもを描くことで定評の画家はたこうしろうの、息の合った絵本づくりの結果と思います。強いていえば赤い柿の実がでてくるので、トンボはアキアカネのほうが良いかな。
 幼い子どもはガタゴト シュットンといいながら遊び、充分満足して一番星をみながら家に帰ることと思います。”おなかすいた!”
 今日は秋の陽ざしでいっぱい。こんな時は外で遊びましょう。

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りんごの季節

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「パパがやいたアップルパイ」
ローレン・トンプソン文
ジョナサン・ビーン絵
谷川俊太郎 訳
ほるぷ出版 本体1500円

 パパと手をつないで女の子が歌っています。パパがアップルパイを焼いたの、甘くて熱々のアップルパイ、牧場の馬や牛や動物たちみんな食べたそう。おひさまもうれしそう、食べたそう。このアップルパイはもちろんおいしいりんごがつかわれています。おいしいりんごはたくましい木になります。たくましい木になったりんごはパパが焼いたアップルパイになります。たくましいりんごの木はねじれたしっかりした根があります。しっかりした根はたくましい木になって・・・というように、いわゆるつみあげ唄を絵本にしたものです。ちょっと地味な色づかいですが、暖かみのある画風は女の子のうれしい気持ちが良く描かれています。


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「りんごのえほん」
ヨレル.K.ネースルンドさく
クリスティーナ・ディーグマンえ
たけいのりこ やく
偕成社 本体1200円

 スウェーデンののんごの木のお話、というより詩の本といっても良いでしょう。りんごの一年とそこに暮らすちいさな人といろいろな生き物、虫や鳥などの一年です。冬からはじまりますが春になって、りんごの花が咲きミツバチが飛び交い一年がはじまります。りんごの花はほんとにうすいピンクというより白色で、同じ季節に咲く杏や桃に較べると地味ですが私は大好きです。この絵本の終わりにもりんごのおかしの作り方が載っています。

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「りんごのき」
エドアルド・ペチシカ文
ヘレナ・ズマトリーコバ絵
内田莉莎子 訳
福音館書店 本体800円

 この絵本を初めて見た時なんてかわいい絵本だろうと思いました。一本のりんごの木をめぐって幼い子どものうれしい気持ちが良く描かれています。幼い男の子には犬がいて、この犬がいっしょになって喜びにあふれています。
 わたしが幼かった頃には夏の終わりにちょっとだけ青りんごが売られていました。ちょっと渋いけれど固くて、次に売られていた紅玉、やはり固くてちょっとすっぱいりんご、すると秋がやってきます。長野のすぐ隣なのに新潟にはりんごの木がありません。私はりんごが大好きです。

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にわにいるのは、だあれ?

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「にわにいるのは、だあれ?」
キティ・クローザー作 絵
平岡敦 訳
徳間書店 本体1600円


 主人公のミーヌは絵からだけだとなんだかよくわかりませんが、真っ黒い顔をしています。後はカラフルなせいか、かわいい動物です。ミーヌが庭で花をつんでいるとだれかが見ているような気がしました。探し当てておもいきって木の上の家を訪ねてみると、そこにはクモの男の子がいました。病気のようでミーヌは家へ連れて帰りました。病気もなおってミーヌとパパにプレゼント、クモのコドモだからもうなんだかわかりますね。
 幼年童話になっていて、単行本の形式でも小型な絵本といってよいとおもいます。それくらい絵がたくさん描かれていて、文は小学1・2年生が読むのにちょうど良い分量です。自分で読んでみたいと思うこの年齢の子どもたちの本選びはなかなか難しいところがあります。しかもおとなも子どもが学校に行きだすと、読んでやるということをしなくなるケースが多くなります。ちょっとドキドキするお話が好きな子どもたちにすすめられる本がたくさん出版されることを願います。
 オランダの本のためではないのでしょうが、この作者の本には母親がでてきません。これも「パパとミーヌ」お話です。パパが読んでやるにはちようど良い本です。
 

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きんいろの雨

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「きんいろの雨」
中川なをみ/文
船橋全二/え
くもん出版 本体1400円


 この間の雷と集中豪雨が過ぎると、パタッとセミの声が止みました。秋は短いのであっという間もなくセーターを着るような時節になってしまいます。そして、樹々は話しあって冬支度をはじめます。山々は赤や黄色に染まり、私が住んでいる千葉の平地でも輝きます。近くの千葉高校の銀杏はまだまだ深いみどりですが、金色に染まるのはすぐ先です。
 おじいちゃんから招待状が届きました。「山がきれいです。あそびにきてください。」と書かれています。すずはひとりでおじいちゃんの所へでかけました。山は秋の盛りになり、すずをまっていました。切り紙で描かれている秋、”シャララー”と不思議な音まで聴こえてきます。そして、音までが切り絵でまぶしいばかりの秋になります。見返しにすずのいろいろなたのしいポーズがいっぱい描かれています。とてもきれいな絵本です。


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おっぱいの絵本

Oppai


「おかあさんのおっぱい」
ホ・ウンミ文
ユン・ミスク絵
おおたけきよみ訳
光村教育出版 本体1400円

 表紙にはオラウータンの脇の下にぶらさがっているあかちゃん、鼻をあげて目をつぶっておっぱいを飲んでいるゾウ、表紙を開くとブタの子どもたちがあつまっておっぱいを飲んでいます。いろいろな動物、哺乳類にはおっぱいがあって飲んで育ちます。たまごから生まれるけどおっぱいを飲む動物、そして、おっぱいもいろんなところにあり、あせのようなおっぱいもあるのですって。最後には私たち人間のおっぱい。おっぱいはおかあさんの食べ物からつくられます。あかちゃんがとってもおいしそうに、そして、安心して飲んでいます。この絵本は韓国のおっぱいのことが描いてある科学絵本です。私には科学絵本というより幼い子どもの絵本におもえます。
 素朴な絵がそう感ずるのかもしれません。あたたかい、ユーモアのある絵本です。

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はしじめてのハミウリうり

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「はじめてのハミウリうり」
日紫喜洋子 作
こどものとも 10月号
福音館書店 本体390円


 中国のお話です。砂漠のまんなかにあるちいさな村、サンの家ではハミウリを作っていて、はじめてサンも市場へハミウリを売りにいきました。市場はとてもにぎやかです。ところが突然みまわりの役人がやってきました。道端でものを売ってはいけないと片付け遅れたおばあさんの荷物を持っていこうとします。おばあさんは売り物の袋を持っていかれては大変と抵抗しているうちに袋が破れ、中のヒマワリのタネが飛び散りました。役人はそれを蹴り散らして行ってしまいました。サンは道に残ったヒマワリのタネをポケットに入れて帰りそっとハミウリの畑に植えました。
 作者は大学の時一年間版画を専攻しています。3年の時シルクロードを旅し、多くの貧しいけれどたくましく生きているウイグルの人たちに出会います。タクラマン砂漠を縦断した時に出会った小さな村の少年がこの絵本のモデルになったとのことです。その人々の明るい逞しさと素朴な美しさを墨と木版画で描いています。荷馬車に乗っているサンと父親、大きく育ったひまわり、そして裏表紙には人々とあのヒマワリ売りのおばあさんの笑顔がみれます。
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 ところで、ハミウリってどんなものでしょう。どうもウリというよりメロンの一種のようで、中国の果物?のようです。ウリ類大好きな私は食べてみたいな!(画像「ハミウリを食べる会」より)

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こどものためのじかんのほん

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「しゃっくり1かい1びょうかん」
こどものためのじかんのほん
ヘイゼル ハッチンスさく
ケイディ マクドナルド デントンえ
はいじま かり やく
福音館書店 本体1300円



 「敬老の日」でおじいちゃん、おばあちゃんのところへ行った子どもたちもあったと思います。お年寄りだけでなく、時間は誰のところにも同じにめぐってきます。時間って?見ることも触ることもできません。時間は時計ではありません。時計といえば、私は子どもの頃時計をよむことがなかなかできませんでした。小学校4年生位でしょうか、さすがに父は困ったものだと思ったのでしょうか、大きな目覚まし時計を前に針を動かして、”何時何分?”時間の概念がわかっていない、時間の概念というより、数の概念が全然わかっていない私は”何時何分前?”となるともう混乱してわかりません。
 この絵本は<1びょうかんって どんな じかん?>ということからはじまります。<きみがしゃっくりを1かいするじかん><ママに ちゅっ>。楽しいことからはじまっています。子どもたちができることからはじまっています。そして、誕生日です。一年たってひとつ大きくなったのです。どんな時でもどんな日も時間は止まらない、みんなに平等に。これはきみがどんなときも愛されているということと同じ、変わらないことといっています。
 柔らかい優しい絵が子どもたちに語りかけています。そう、時間は希望なのですね。

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宇宙からのメッセージ「ボイジャーくん」

 今日は中秋の名月、月はきれいに見えています。実際は少し欠けているのだそうです。月の高さと天気で7月〜9月のちょうど真ん中の日の8月15日(旧暦)にきめたとのこと、実際は閏月やその他でかならずしもまんまるになるわけではないとのこと、そのあたりのくわしいことはAstroArtsをみてください。
 ところで荒井良二の新作「ボイジャーくん」は宇宙の本です。
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「ボイジャーくん」
遠藤賢司さく
荒井良二え
白泉社 本体2400円



 <きみがとてもかなしくてねむれない夜には 目をとじてじっと胸のおくをすましてごらん>ではじまる文はロッカーの遠藤賢司のことばです。遠藤賢司は文だけでなく、曲もつけていてそれがCDになってついています。大判の絵本、広い彼方の宇宙のボイジャーくんがきみに呼びかけています。「ボイジャー」は1977年にアメリカが打ち上げた2機の惑星無人探査期で冥王星の3倍以上離れた場所から地球にデーターを送っています。カルフォルニア・スペイン・オーストラリアのアンテナで受信していて、30年たっても元気で活躍しています。荒井良二の「ボイジャーくん」も元気でいつでもここにいるからおいで、おしゃべりしようと呼んでいます。
 広い暗い宇宙で星と遊ぶボイジャーくん、土星の輪くぐり、天王星のオーロラをよじのぼったり、黒と赤が対照的につかわれていて、とてもダイナミックな色の画面に、小さなボイジャーくんがまわっています。
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 長田弘の詩に絵をつけた絵本「森の絵本」(講談社刊)に近い絵本のようにおもいます。「森の絵本」は深い静かな森のなかの希望のような明るい木々や小さな家がやはりあなたを呼んでいます。”おいでよ。遊ぼうよ。”
 「たいようオルガン」がしばらく手に入らなかったのですが、偕成社から出版されることになったのもうれしいニュースです。

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きりの もりの もりのおく

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「きりの もりの もりのおく」
ニック・シャラット/作
木坂涼/訳
フレーベル館 本体1200円



 トレーシングペーパーのような紙をつかって、はじめに見えるのは影絵。そして、ページをめくると彩色されたほんらいの絵があらわれる。霧のなかの林での舞台でのお芝居を見ているようだ。まず、木が一本、霧のなかにたっている。そして、まあ〜るいキノコに座っている人、それは妖精エルフ。右のページで左のページの妖精エルフに向ってすわっているものの影絵、めくるとそれは三びきのくまがピクニック・・・と、いうふうにどんどん登場人物があらわれ(みんな物語の主人公)消えていく。ただそれだけなのだがおもしろいしかけ絵本だ。描かれている動物たちをみると、「ジャクリーン・ウィルソン」の作品に挿絵をつけている人だということがわかる。
 もちろん、このような単純な絵の展開の仕方には言葉がながれるようでないといけない。その点、シンプルな繰り返しの訳文もあっているとおもう。
 まだまだ、絵本はいろいろな可能性があっておもしろい。

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レオ・レオーニの新刊

9784751525142


「チコときんいろのつばさ」
レオ・レオーニ
さくまゆみこ 訳
あすなろ書房 本体1300円


 原書奥付けは1964年の作品で1992年にアレンジメントされています。私たちが良く知っている絵本より大きさも少し小さく、ちょっと感じが違います。どうしてなのかと思ってみました。白の部分の使い方が斬新です。そして、ことりのチコは飛ぶ場面があるので流れるように、でも他はきちんと垂直に立って描かれています。形も線もきちんと描かれています。それがすっきりとした絵本になっています。
 ことりのチコには羽根がありませんでした。はねることも飛ぶこともできないので、仲間たちが食べ物を運んでくれました。ある時、ふしぎな鳥がチコに金の羽根をくれました。ても、そうすると仲間たちはチコが特別と思っていばっていると仲間はずれにします。ひとりぽっちのチコが悲しんで飛んでいくと貧しい人たちに会います。チコはその人たちに自分の金色の羽根を抜いてあげます。抜かれた後には仲間と同じ羽根がはえます。それをみた仲間たちは自分たちと同じになったと受け入れてくれます。でも、チコは羽根の色はかわっても、自分は変わらない。みんなそれぞれなのだ、と思うのです。
 外見がかわっても中まで変わってしまうはずがないし、また外見が同じでも感じること考えることは皆違うのに、とチコは思います。
 レオ・レオーニはだからどうだと結論は描いてはいません。読む人に問いかけています。ことりのチコにあなたならなんといいますか?名作「あおくんときいろちゃん」に通じるような絵本です。


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夏のおわり

 8月最後、季節はカレンダーをめくるようにあまりきっちりしなくてゆるやかに変わるとしても、明日からは9月、気分的にも夏は終わりです。今年の夏はただ暑かったというより、雨がほとんど降らなくて酷暑になりました。けれど、後半今度は雷がひどく、土砂降りの雨が降り、ほんとに極端なお天気でした。
 明日からは学校が始まります。決算の棚卸しをしながら、ウインドや平台の本を少しかえました。やっぱり9月の声をきくと実り=食欲の秋と月かしら、スタッフといいながら。
 夏の終わり近くなるといつもひっぱりだして読む本があります。

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 「すばらしいとき」
ロバート・マックロスキー作
渡辺茂男・訳
(現在品切れ)
 夏の終わりはなんだかすこしさみしい。夏の間泳いだり、波に遊んだり、あらしの夜は家族そろってローソクをともし夜を過ごす。あらしの通り過ぎた後は太古の人たちの声が聴こえる。よーく耳を澄ましてごらん。シュルシュルと草木が伸びる音がする。

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「海べのあさ」
ロバート・マックロスキー作
石井桃子・訳
岩波書店 本体1700円



 サリーは朝歯がはえかわるためにグラグラしていることに気がつきます。みんなに見せて歩いているうちにちょっところんで、肝心の父親に見せようとした時は、もう歯がぬけてしまっていました。ちょっぴりおとなになることの得意なうれしい気持ちと初めてあじわった喪失感、この本の舞台はマックロスキーが暮らしている小さな島スコット・アイランドなのだけれど、いつひろげても私自身が幼いとき過ごした日本海沿いの海を思い出します。その海の夏の終わり、ゆっくりと陽が沈み、防砂林の松の林に闇がひろがっていきます。穏やかな海風が吹いて、大きな声で海に向って”さようなら”といった幼い子どもがいます。それは、はるか昔のことなのについきのうのこと、もしかするとつい先ほどのような気がして、穏やかに満足して本を閉じることができます。夏の終わりの一日です。

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ちょっとまって、きつねさん!

Chotto


「ちょっとまって、きつねさん!」
カトリーン・シェーラー作
関口裕昭 訳
光村教育図書 本体1400円



 お話はよくある物語できつねがまぬけで、うさぎは賢いというか、うさぎの勝ち!このお話の舞台はきつねとうさぎが出会うとかならず”おやすみなさい”をいうことになっている所だということです。誰が決めたかわからないけれそうなっていて、それを守っていることです。だからあわや食べられそうになるとうさぎのぼうやは”ちょっとまって!”といいます。その繰り返しでこうさぎは無事にきつねを追い出して、みんなでぐっすりねむります。それにしても、自分で歌う子守唄でねむってしまう、このきつねの子守唄はとても威力がありますね。
 きつねとうさぎの絵しかほとんど描かれていない絵本、そのきつねとうさぎの表情が豊かでナンセンスなユーモアがあふれています。
 次の場面に移る時、ページの最初から会話になっているので、一行とんでしまうような形になってしまいます。集団での読み聞かせのときに少し工夫が必要だとおもいます。

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ブラッキンダー

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「ブラッキンダー」
スズキコージ
イースト・プレス 本体1300円


 「ブラッキンダー」ってなんだ!いぬのフンザくんは造り続けていたおもちゃの舟がようやく出来上がり一眠り。おや?つくえの上のインクつぼからでてきたのはブランキン、机の上を歩きまわって描いた絵を見たサボテンのキンダーちゃんが嬉しがって、できあがっている舟にいっしょに乗り込んだ。このふたりをあわせて「ブラッキンダー」。さあ、出発・・・!
 このブログを書こうと思っていたら雷が鳴った。すごい音でいったんPCをきった。あらためてちょっとたってまた、はじめたらこの絵本が雷の鳴っている雰囲気にぴったりだとおもった。書き込みも多いし、文だけでなく絵も独特の色、構図、とてもにぎやか、雷が画面のなかで破裂して縦横に動き回っているような絵本だ。それでいてうるさくない。
 目が覚めた犬のフンザクンは机の上に描かれた絵をみてすっかり嬉しくなって、造った自慢の舟といっしょにみんなに自慢した。わたしには絵本にしてみせてくれたよ。

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大きいってどんなこと

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「おおきくおおきくおおきくなると」
文 佐藤ひとみ
絵 谷口靖子
福音館書店 本体1600円


 ゆうきは一年生背が低い。一年生で一番チビだなんてあんまりだ。悲しくなってとぼとぼと帰り道を歩いていると”おおきくなりたいのか?”とゆうきのかげが聞いてきた。かげはなんやら呪文を唱えると不思議なことに背がのびてきた。
 あとがきの「この絵本の秘密」によるとこの絵本の設定は7月10日ごろの午後3時頃から8時まで、ゆうきが住んでいるのは東京のひがし側とのことだ。
 幼い子どもは自分を軸にして生きているので(幼いこどもだけではない!そうですね。)実際に自分の目で見られるもの、感じられるものからはなれてくると想像するのが難しいことになる。この本は右ページの下の角にはそれが解りやすいものと対比させて描かれている。たとえば最初ゆうきが大きくなる場面、一番大きくなったゆうきの背の高さは4メートル、ゾウのたかさより少し大きいとの説明、そして、最後にはこんな書き方がされている。たとえば、東京タワーを1センチにすると宇宙にかおをだしたゆうきは9メートルと描かれている。宇宙から地球をみるゆうきは顔の長さだけでも約63メートルにもなるとのことだ。どんどん大きくなったゆうきは宇宙に飛び出し、宇宙から地球をみている。
だからおもしろいのは想像のなかではどんなにでも大きくなるとのことも描かれている。
 この絵本は想像と科学のお話で妄想とはちがう。ファンタジーと繋がる世界がある。


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教訓の本?

 今日2歳の子どもが叱られた時”ごめんなさい”と言えるように教えることのできる絵本が欲しいと相談されました。話の内容からその子の下に年子の兄弟がいること、母親が教えないのでババが心配してとのようです。会留府に良くいらっしゃる方ではありません。でも、時々ある相談なのです。いわゆるしつけの本を買いたいとのことです。結果論的にいうと、お薦めできず、また、そう切実でもなかったのでそのまま