書籍・雑誌

2017年11月25日 (土)

はたらく

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「はたらく」
長倉洋海
アリス館 本体1400円


人はなんのために働くのだろう。ついこの間近くの文化会館で教員の試験2次合格の若い人たちが集まっていた。帰りのその何人かが店に寄っていった。本を買った人はどれくらいもいなかった、けれどちょっと開放感でワイワイと話していた人たちのかたまりや、ほとんどがだまって棚をながめたり、本を見ていた若い人たちをわたしはしばらくじっとみつめていた。買っていった中の一人が子どもの時ケストナーの本が好きで読んだこと、もうどこかにいってしまったのでまた、買って読んでみようと思っていると言った。この若い人は先生になるんだ、かって先生に教わったように彼もまた、子どもたちに本を読んでやるにちがいないと嬉しくなった。教師になって働くことをこの若い人たちはどういう思いで選択したのだろうか。
 今の日本は働くことがかならずしも希望と喜びにつながるわけではない。やっと就職がきまったけれど、要求されるのは歯車のひとつのようにまわりつづけることだったり、そして働きすぎて短い生涯をおくってしまうことになりかねない。ものづくりで優秀な日本人はいつしか手抜きしてでも競争に打ち勝つことがすべての日本になってしまった。
 まずしいことはけして良いことではない。でも、この写真集のなかの子どもたち、生きることもままならない状況のなかで、おとなといっしょに、時にはおとな以上に働いている子どもたちの生き生きした表情をみるにつけ、お金でなんでも買えそうな子ども時代をおくっている今の日本の子どもたちのことを考えると、この写真の中の子どもたちが働く、生きるために懸命に働く子どもたちの顔が輝いてみえる。40枚の働いている表情豊かな子どもたちの写真がはいっています。

2017年10月29日 (日)

母の友11月号


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「母の友」11月号
福音館書店 本体505円


気がつけば10月も終わりちかくなった。後2ヶ月で新年、毎年のことだけれど少しも実感がわかない。開店記念日からクリスマス、お正月までイベントが目白押しになる。もちろん店のイベントもあるけれどクリスマス(施設によってはいろいろの国籍の子どもがいたりすると宗教的な意味合いからお楽しみ会とする)をしたりするのでそのお手伝いをしたりする。本選びから包装まで子どもたちの顔を思い浮かべながらの仕事なので忙しくて大変だけれど元気がでる。
 ところでもう雑誌は12月号が発売になるので、あわてて紹介する。ネーミングにはちょっと意見があるけれど「母の友」がおもしろい。いま、こんなふうに手軽に手頃の定価で読むことのできる雑誌はめずらしい。ある種の総合雑誌、子育てのことだけでなく読書ぺージや映画のページもあるし、社会的なことをあつかっていることも多い。自分自身にプレゼントにと、隠れてのベストセラーになっている。社会的なことはちょっと物足らなく思うこともあるけれど、充分に入門書になる。ちょっとした隙間の時間に読むことができる。この11月号、ハイライトは特別企画「一日一話」見開き一ページで読み切りちょうど三十話が入っている。創作あり昔話あり、挿絵も充分に入っていて読みやすい。それと特別記事「ラジオがすき」NHKアナウンサー村上里和さんの話がおもしろかった。これはお話をする人は読むととても参考になるとおもう。きせずして私が良く聞いている(我が家はテレビがないためもあって良くラジオを聞く)深夜便のこともでていた。聞き逃した場合ネットで聞くことができるとあった。
聴き逃しサービスちょうど松岡亨子さんのインタビューの番組があって、朝の4時仕事をしながら聞いていたのだけれどもう一度聞きたいと思っていた。
(そんな時間仕事をしているの?ときかれるけれどこれは良くあることです。)
 ぜひ「母の友」の読者に、おすすめです!

2016年11月 7日 (月)

カリブーの足音

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「カリブーの足音」ソリの旅
たくさんのふしぎ12月号
大竹英洋 文・写真
福音館書店 本体667円

久しぶりに写真家大竹英洋さんの本が出版された。ブログで少し前から発表されていたので楽しみにしていた。大竹さんには前に「ノースウッズの森で」のなかのことをお客様に聞かれてわからなかったのでメールで質問をだしたら、とっても丁寧な返信があって、それ以来ますます気にかけるようになっていた。大竹さんはその頃は完全にカナダのノースウッズの森に軸足をおいていて、日本にたまに帰っていらっしゃるようだった。こんどのこの本は前にでていた「春をさがして カヌーの旅」の冬バージョンだ。夏と森はどうかわるのか前とちがって今度はカヌーをひいて出かけたことが書かれている。旅は前と同じウェインの案内で彼が作ったさまざまな道具が紹介されている。小型飛行機で森の入り口まで運んでもらって後はカヌーで森の奥まで、そこでキャンプをしながら動物たちの観察や写真をとったりして旅は終った。本命はウッドランド・カリブー、最後の日に群れに出会うことができた。もちろんオオカミの群れにも出会う。
 森の動物たち関係なく樹木が材木や紙などを得るために人間たちはドンドンと開発をすすめていっている。ウェインがつくった道具たちをつかいながら生き物たちと共生していくことを考えたと折り込みに書かれている。
 今日は北風が強くて寒かった。北海道は雪が積もったとか。寒がりのくせにやっぱり雪国で育ったからか私は寒い時ぼど気分は元気になります。ノースウッドの森の空はきれい!今日の千葉の空もきれいだった。
 11月19日6:00〜8:00東横線学芸大学駅のそばの平均律で映像とトークの会があります。

2006年9月11日 (月)

カラー版 宇宙に行くニャ!

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「カラー版 宇宙に行くニャ!」
山田ふしぎ著
岩波書店 本体980円





あの岩波書店がねぇ!などというと叱られてしまいそうだけれど、新書ばやりのなか、かなり新しくしてはあるけれど固いというか内容的にもなかなか読みこなせない、それに、装丁も地味だし・・・それなのにこの本にはびっくりしてしまった。ジュニア新書の一冊なのだけれど、なかはマンガ、とてもわかりやすい。写真がきれい、本の作りもきれい、すっかりおもしろく読んでしまった。なぜなにネコのタンメン、もの知りネコのビーフンと宇宙旅行に出発!彗星からはじまって月・太陽・宇宙ロケット、もちろんこの間話題になった冥王星のことまでちゃんと書かれている。寒くなってくると夜空の星がきれいに見えるので、宇宙にとても興味がわく。(お月見もあるし、お団子も食べたいし)18のコラムと14の実験・観察、そして、参考文献もしっかり載っています。

2006年9月 6日 (水)

転校生(DVD)をみて

  山中恒の「おれがあいつであいつがおれで」を読んで
       (高橋峰夫) 
先日、電気店で偶然、大林宣彦監督の「転校生」のDVDを見つけて買ってきました。82年の作品ですが、上映を見逃したので今回、初めて観ました。原作は山中恒の「おれがあいつであいつがおれで」(旺文社・現在は理論社)です。ドタバタギャグな原作を、どう映画化できるのかと思っていたら、意外とさわやかな青春映画になっていました。
 現代版「とりかえばや」物語です。主人公の斉藤一夫と転校生(実は幼なじみ)の斉藤一美の体が入れ替わってしまって、その2人と家族を巻き込んだドタバタな交流が描かれます。舞台が学校ですから、ちょっと考えれば悲惨なことになるのですが、そこは原作も映画も、だいぶ軽めのHコメディーに仕上げています。ただし原作は「小6時代」の連載でしたが、映画の舞台は尾道の中学校になっています。
 映画のストーリーは、ほぼ原作どおりです。原作にある会話をうまく映画のセリフに取り込んだのは、脚本(剣持亘)の力だと思います。アクションシーンはオーバーでスピーディーですが、それ以外の映像はわりと、ゆったりとしています。監督の間の取り方でしょう。そういえば高畑勲が、アニメ「耳をすませば」の映画評論で「尾道を舞台にした大林宣彦の『転校生』などとともに、素晴らしいとは言い難い我が日本の町並みの現状に、いっとき魔法をかけ、甘美な白昼夢を見させてくれました」と言っていたのもうなずけます(コミック・ボックス95年9月号)。
Htbookcoverimage_53 さて原作ですが、作者は「あとがき」で、担当の関寿子さんに「かまいませんから、もっとはでにやってください」などとけしかけられたが、そうそうエッチなことばかり書くわけにはいかず「上品」なお話になってしまったと言っています。
 現代版「とりかえばや」の設定は、マンガやティーンズ小説で、よく使われますが、児童文学ではサトウハチローの「あべこべ玉」があります。これは戦後「少年少女講談社文庫」に「あべこべ物語」という題で入りました。私の手元に昭和50年版がありますが、中2の山上運平が、妹で小6の千枝子の体と入れ替わってしまう物語です。兄妹の家は両国にありますが、運平は千葉のおじさんの家から千葉中学に通っています。この本には「一高(いまの東京大学)」という語が出てきますので、千葉中学は旧制中学です。ということは会留府のそばの県立千葉高校のことです。「千葉中学は、小高いおかの上にあります。くねりくねった坂道をのぼりつめたところが正門です。赤土の広い運動場、その周囲の草原。とおい森」とありますが、どうでしょうか。
 山中恒の本は、同じクラスに通う2人のやりとりが核になります。サトウハチローの本は、春休みに入れ替わった2人が、それぞれの学校で悪戦苦闘するドタバタ話です。両国の学校と千葉の中学と離れています。運平になった千枝子が中学で繰り広げるトンチンカンな言動。千枝子になった運平は、着物を着せられ、合唱や裁縫をやらされ、ついにはお転婆丸出しの活躍をします。山中恒の本と同じですが、Hな場面はありません。単純に、女の子が男のような言動をし、男の子が女っぽい言動をして、まわりが驚きあきれるコメディーです。それだけに山中恒の本より気軽に笑えます。
 山中恒はサトウハチローの本を知っていたのでしょうか。たぶん知っていたと思います。もうひとひねりし、思春期の子の関心をちりばめて、現代風にしあげます。それを大林宣彦が青春映画に仕立て上げた。そういうことだと思います。
 なお山中恒は「あとがき」で長谷川集平のイラストに触れています。「ところが、このイラストが、エッチなはずなのに、すごくかわいくて、なにやら、ほのぼのとしたムードがただよっていて、とても上品なのです」。
 児童文学といいましたが、作者達は娯楽読み物、娯楽映画として、作っていると思います。それでも、このレベルの作品になっているというのは、大衆文化の厚みを示すものだと思います。

2006年8月31日 (木)

長倉洋海写真集ー新刊

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「アフガニスタン山の学校の子どもたち」
長倉洋海
偕成社 本体1800円





本を開くと山の学校の地図があります。アフガニスタン北部、標高2780メートル、ヒンズークシから流れるポーランデ川のほとりパシール渓谷に村人たちの手作りの学校が建っています。生徒は168人、一時間かけて子どもたちが集まってきます。アフガニスタンでは一応戦争が終わりました。(けれど、次々と地球のあちこちでは、絶え間なく戦争が有り、普通の人たちが死んだり怪我をしていきます。)2002年閉鎖されていた学校がやっと再開されました。著者はその中で学ぶ子どもたちの真剣な目が忘れられなく、翌年9月に再度訪れ、日本での支援組織をつくり、毎年訪れるようになり、この写真集ができました。どの写真集でもいつもたくさんの苦難の中に生き続けている人たちを撮り続けていますが、この写真集でも、険しい山間の生活、(羊の世話は子どもたちの仕事)本を読む子どもの真剣な眼差し、作物を刈り入れたあとでサッカーボールをける子どもたち、川で泳ぐ子どもたち、戦争で家族を亡くした子どもたち、残された爆薬が引火して死んでしまった子どもたち、かぞえたら切りがない苦難のなかで生きている子どもたちのはにかんだ笑い顔があります。けれど、そのまなざしは強い。
この写真集からはその子どもたち希望と笑い声が聞こえてきそうです。
アフガニスタン山の学校支援の会
は著者が支援活動をしている会のホームページです。

2006年8月18日 (金)

海の島ーあるユダヤ人の姉妹

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「海の島」
ステフィとネッリの物語」
アニカ・トール=著
菱木晃子=訳
新宿書房 本体2000円




ウィーンの裕福な家庭に育ったユダヤ人の姉妹、ステフィは12歳ネッリは7歳です。1939年8月両親は姉妹の身の安全のため、他のユダヤ人の子どもと一緒にスウェーデンへ移住させます。スウェーデン政府は救援委員会が里親を募集して、ドイツやオーストリアから500人の子どもを受け入れる事にしました。ステフィとネッリの姉妹もその中の一人でした。西海岸にある漁業が生活の小さな島、しかも二人一緒でなく、別々の家庭、宗教も生活もちがい、互いに言葉もわかりません。ステフィの養母はきれい好きで笑うこともなく、後半でその原因がわかり、その悲劇をステフィも理解するようになりますが、辛い苦しい思いをします。一方、ネッリの養母はおおらかで陽気、子どももいて、持ち前の元気な性格からネッリはすぐに馴染んでいきます。ステフィはプライドが高いとクラスの友だちからも相手にされずいじめられます。けれど、養父の漁師であるエヴェルト、同級生のヴェーラ、ステフィの才能を評価し中学校へ進学できるよう力をかしてくれたベルイストレーム先生、夏の避暑にきていた医者の家族、たくさんの人たちがステフィを応援してくれるのでした。なによりも、養母のメルタとお互いがわかりあえるようになります。
この物語は4部作からなり、戦争、人種差別のなかで生きていったユダヤ人の一人の少女の物語なのですが、家族への愛、友情、そして、夢と希望が丁寧にかかれています。とくに、養父エヴェルト、養母のメルタの不器用ながらステフィに対する愛情に胸をうたれます。
作者には他に「ノーラ、12歳の秋」(小峰書店刊)という少女の友情を描いた印象的な物語ががすでに刊行されています。

2006年8月16日 (水)

朝鮮の一家の物語

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「木槿の咲く庭」
スンヒィとテヨルの物語
リンダ・スー・パーク
柳田由紀子/訳
新潮社 本体1800円




副題に「スンヒィとテヨルの物語」とついていますが、あえて朝鮮の一家の物語としました。スンヒィは兄、物作りが好きで、飛行機に乗る事に憧れています。テヨルは妹、文字が好き、書くことが得意な少女です。日本統治下にあった朝鮮、1940年天皇の命令で日本名を名のらなければならなくなったところから話ははじまります。13歳の少年スンヒィの日本名は金山伸男、10歳のテヨルの日本名前は清子とさせられます。兄と妹の交互の語りの形をとっていますが、学者であり、教育者でもある父親、誠実な母親、スンヒィが尊敬していて抗日運動に入っていく印刷屋の叔父、テヨルの友だちの日本人の友くん、一人暮らしで日本語を話せない近所のアンさん、そして、この本の題名でもある朝鮮の国花でもある木槿(むくげ)、この兄妹を中心にめまぐるしく変わっていった人たちの5年間が書かれています。
ほんとうに私たち日本人は、特に戦後生まれの日本人は、アジアの人たちに残虐なことをしたと知識では知っていても、どういうことなのか、なぜ朝鮮の人たちが激しく怒るのか良く解っていないとこの本を読んで思いました。あまりにも知らないことが多い、この本はその怒りと哀しみを丁寧にしっかり書いています。名前と文字、それがどんな意味を持ったのか、漢字の好きなテヨルの日記、家族を守るなかで精一杯抵抗してた父親の生き方、違った意味で家族を守るために航空特別攻撃隊に志願していったスンヒィの思い、知らないふりをして抵抗していたアン、禁止の木槿を密かに育てていく母親、歴史のなかの兄妹の成長を軸にしっかり書かれていてフィクションとはおもえない重みがあります。
作者は1960年、米国イリノイ州生まれの韓国系アメリカ人二世、「モギ ちいさな焼きもの師」(あすなろ書房)で陶芸家になる朝鮮の少年モギの物語を書いています。

2006年8月15日 (火)

読んでみよう「日本国憲法」について

1945年8月15日のことを私は知りません。「日本国憲法」は意識しないままに私は日本人として生まれ、いわゆる戦後の民主主義教育のなかで育ちました。子どもの頃全文をちゃんと読んだ事がありません。はじめて意識したのは、平等(男女平等)、権利(教育を受ける)、平和(傷痍軍人・自衛隊)でした。全文を読んだのは60年安保の頃です。その時、戦争をしないことを滔々とうたいあげている、格調高いけれど難しい文章だと感じました。いま、この憲法を子どもたちと読みたいと思います。それは、私たちの生活を守っているものだからです。守るべきものは私たちひとり、ひとりの言葉の力にあることを思うからです。

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「井上ひさしの子どもにつたえる
       日本国憲法」
絵 いわさきちひろ
講談社 本体952円





国民学校生徒だった著者は、長くは生きられないといわれていたのに1945年8月15日には生きて良いといわれ、1946年の新憲法では戦わずに生きていくことの誇りを強く感じ、いまの子どもたちにも知って欲しいとの思いからこの本を手がけたと序文で書いています。そのために前文と第九条を小学生にもわかるようにし、この憲法のいちばん大切なところを知って欲しいと、著者の平和に対するおもいが溢れています。「絵本・憲法のこころ」、「お話・憲法って、つまりこういうこと」の2部構成になっていて、付録には「日本国憲法(全文)が付いています。

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「この国が好き」
鎌田實・文
木内達朗・絵
マガジンハウス 本体952円





著者はがんばらない生き方をすすめている医者、がんばらない生き方とは自分をありのまま見つめる事、自分をありのまま見つめるということは、他の人の生き方を見つめることにもなります。1948年生まれですから、戦争の直接体験はありません。原爆が投下された8月6日に生まれたおとうさんヒロタカは、やはり暑い夏に生まれた子どもに願いをこめてBAKUという名前をつけました。そして、おじいちゃんからBAKUに語りかけるという形になっています。戦争をしないと誓ったこの国が好き、そのすごい憲法を守りたいといいます。BAKUを軍隊にいかせたくないといいます。BAKUのママからの返歌、永六輔・池田香代子・鎌田實との対談、池田香代子・新訳「英文日本国憲法(前文・9条・99条)」が付いています。

2006年8月10日 (木)

日本を知るための本

    子どもが、自分の国と社会を知るための2冊の本

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 小熊英二の『日本という国』(理論社)はエルフお勧めの本です。今の日本の大枠が作られた明治期と敗戦直後を紹介する事で、現在の日本の特質を明快に説明していきます。「よりみちパン!セ」というYA新書の1冊です。児童向け双書としては岩波ジュニア新書が有名ですが、作り方は岩波新書に似てきます。その点、理論社は児童書出版社だけあって、より子供の疑問に答えやすい作りになっています。どの著者にどのテーマを頼むかを含めて、編集者の力が大きかったと思います。
 本の第2部で、アメリカが戦後日本をどのように作って来たかが書かれますが、その遠因となった明治の国作りを第1部で、教育制度をツールに説明します。義務教育は「強迫教育」とも訳されたそうです。福沢諭吉の『学問のすすめ』を引用し、脱亜入欧から隣国への侵略の流れに、教育がどう関わったか解き明かされます。日本の政策が結局、間違いで破綻する事は、敗戦で証明されました。
 戦後の教育にも触れ「子どもたちのほぼ全員が受験競争にまきこまれながら、校内暴力も不登校もいじめもなかったなんて時代は、存在しなかった」とも言っています。

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 もう1冊、上野千鶴子の『サヨナラ、学校化社会』(太郎次郎社)は教育制度をツールに民主主義の根幹まで切り込んでいきます。ブルデューは「学校とはもともと階層差のある子どもたちをもとの階層に再生産するための、ふるい分けの装置だ」と言ったそうです。 トックビルは「自由・平等をかかげる民主主義の社会は、競争の敗者が抱く恨みの感情にたいして、敗者が敗者であることをみずから納得してもらうことにコストを支払わなければならないだろう」と予言したそうです。
 そして上野千鶴子は「価値の一元化のもとでの優勝劣敗主義が、一方で敗者の不満、他方で勝者の不安という、負け組にも勝ち組にも大きなストレスを生むのだとしたら、このシステムのなかでは勝者になろうが敗者になろうが、だれもハッピーにはなっていません。学校化社会とは、だれも幸せにしないシステムだということになります」と言っています。
   この2冊は、教育問題の本ではありません。教育問題は最初の三分の一づつ位で、教育をツールに現代社会を分析し、社会での教育の位置取りを述べたものです。
 中学・高校生が「自分達は今どこにいるのか、どこに行こうとしているのか」知るために、読んでほしい2冊です。
          高橋峰夫

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12月の営業とお休み

  • 12月のお休みは28日までありません。
    *お休み 28日午後から1月4日まで *営業時間 10:30〜6:00 日曜日は1:30〜6:00

お仲間にどうぞ

  • 冬のおはなし会
    赤ちゃんからお年寄りまで、絵本を読んだりお話を聞いたり、さあ!はじまり・・・はじまり
  • 12月の定例会
    すべての集まりの定例会はお休みです
  • ー元気になる集まりいろいろー1月の予定
    *よいこ連盟(保育士・なろうとする人)12日(金)7:00〜                   *Y・Aの会 読書会(どなたでも)11日7:00〜 「とりあげる本 わたしを離さないで」     *学ぼう語ろう〜15日1:30〜「母の友1月号を読む(どなたでも) *絵本の会  19日7:00〜(誰でも)             *グループ放課後 読書会(公共図書館司書・その他)17日(水)7:00〜             *ボランティア講座 非公開 22日(月)10:00〜         *憲法カフェ30日(火)「沖縄は今」 28日(火)7:00〜(事前参加申し込み受付)        *羊毛チクチクの会 未定(事前参加申し込み受付)                                                                                                                         

できることから

これからの会

  • 子どもと本これからの会
    読書は知識や楽しみも含めて心の栄養を与えてくれます。そして考える力になります。 被災地の子どもたちに本を届けたい、身の回りの子どもたちの環境を考えていこうという、二本の柱をたててボランティア活動をすることで出発しました。 いろいろの方たちの希望と力を持ち寄って、すばやく、やわらかく、活動を続けていきたいと思います。参加される方は参加登録してください。 世話人 坂上・宮田・大山