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2017年8月30日 (水)

いえすみねずみ

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「いえすみねずみ」
ジョン・バーニンガム作
谷川俊太郎 訳
BL出版 本体1500円


この家の家族は4人、パパとママと女の子と男の子。ところがこの家に住んでいるのはこの家族だけではない。誰だかわかる?そう、ねずみの家族なのです。ねずみは大家族なので子どもがどれくらいいるかわかりません。それに、毎日の食料を集めるのも大変です。人間の家族が寝てしまってから、そっと集めます。
ともかく見つからないように。でも、ある日とうとう人間に見つかってしまい、ネズミ退治の人がくることになりました。子どもたちはおとなにどうして悪いことをしないのに退治するのかと聞いてみましたが、あんまり良い返事はもらえません。子どもたちは相談して、ねずみたちに”逃げて!”と手紙を書きます。もちろんねずみは子どもたちのいうことを信じて引越しをしました。
 ある夜子どもたちが外を見ていると、ねずみの子どもたちが遊んでいるのがみえました。それで子どもたちは子ねずみのために遊ぶ道具を作ってやります。秋が過ぎて冬が来てもう、ねずみの子どもたちの遊んでいる様子がみられません。それにブランコなども見られません。でも、ある春の夜、男の子はねずみを見ます。もちろん子どもたちはおとなにそのことは一つもいいません。
 バーニンガムは絵本の中にユーモアに包んでそっと子どもたちの主張をいれています。かわらずバーニングの絵本は色がきれいです。

2017年8月28日 (月)

ふたばからのおたより  -8月―

理想と現実と      

 皆さまの中にも新聞等で読まれた方もいるかもしれない。さまざまな事情で親と暮らすことのできない子どもたちの受け皿として、未就学児の75%を里親に委託しようという新たな数値目標を厚労省が発表した。(今現在の里親委託率は全国平均で20%に満たないという状況であるのに・・・) しかも3歳未満児は5年以内に、3歳以上の未就学児も7年以内には目標を達成しようと掲げたのである。
 現場は、呆然としている。施設の現場というより、施設の中で里親啓発を担う立場の現場職員として、掲載された夕刊の一面を見て、ぼーっとしばらく座りこんでいた。幼い子どもたちは、できるなら、その代替となる家庭で養育されてほしい。それは日々、子どもたちを育てている施設職員も同じ気持ちだ。でも、やってくる子どもたちの抱えているものの大きさ、子どもとはいえ人生の途中からの養育であることの難しさを身をもって痛感しているのも職員である。今のように里親家庭への支援体制が貧弱なまま、支援体制が絵空事のままに、足りない里親を増やせ増やせとというのには無理がある。委託された家庭でうまくいかず施設に再入所してくる子どもたちの数は一向に減らない。その一方で、里親家庭で細やかに育てられ、いくつかの山を乗り越えて、しっかりと社会に巣立っていく子どもたちの数は確実にもっともっと多い。保護された子どもたちのその後の人生は、誰が決めるのだろう。いったい誰に決められるのだろうか。突如跳ね上がった数値目標を前に考え込んでしまった。
 ある国で、頻発する児童虐待を何とかしようと法律を厳罰化したという。それでも、虐待は期待していたようには減らなかった。ところがそれから30年経って、突如激減した。何故だろう・・・、結論はこうだった。法律を厳罰化した時代に子どもだった人たちが親になったから。つい先日の研修で語られた、あるエピソードだ。
 そんなささやかなエピソードに希望を見出す。1世代2世代の単位で、物事はゆっくりと変わっていく。数値目標に振り回されず、方向を見定めたら、丁寧にゆっくり耕していきたい、そんな現場でありたいと思う。
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写真は、今年も友人たちと見に行った清里萌え木の村の野外バレイ、今年の演目は「ジゼル」でした。昔の仕事仲間たちと、もう10年近く通っています。背景の暗い木々、飛び交う羽虫、その中に浮かぶ白い群舞、ポツリと急に雨が落ちてくる山の天気・・、そんな夏の夜を今年も味わってきました。
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いつも泊めていただいているペンション、20周年だそうです。帰り際に小さなプレゼントをいただきました。「ファーストトレイン」という、木のぬくもりのする、とてもあたたかなペンションです。清里にいらっしゃったら皆様もぜひ泊まってみてください。

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2017年8月25日 (金)

アリになった数学者

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「アリになった数学者」
たくさんのふしぎ9月号
森田真生・文
脇坂克二・絵
福音館書店 本体667円


作者はある日突然アリになった。アリはどんなふうに感じ、どんなことを思うのだろうか。そのままアリになってそれらのことを体験するなかで書かれたのがこの本だ。「たくさんのふしぎ」らしい本だ。「たくさんのふしぎ」は小学校高学年向けに出版されている科学絵本だ。けれどもいつのまにかおとなのファンが増えて、今では子どもが楽しんで読んでいるとはあまり聞かないし、買いにくるのはおとなの人だ。人気で月刊誌のなかでは毎号かなりの数が売れる。思ったより女の人が多い(若い人はそうでもないけれど、)中年から上の男の人はすこしずつ増えてきているけれど、まだ子どもが生まれて絵本を手にすることが多い。どうしてかなと思うけれど、ちょっと子どもには内容が難しいのかもしれない。科学というと実際的のことのように思うけれど、じつはとても哲学的なのだ。時間がかかる、だからスピードを競う現代社会のなかで今を生きている子どもは、実際的な算数はできるけれど、数学は難しいのかもしれない。
 じつをいうと私は算数が苦手だった。子どもの時「0」という概念がどうしても理解できなくて、それはその頃の私には(小学生)「0」というのは「ない」ということと思い込んでいたから、どうして「ない」ものからひいたり「ない」ものにたしたりできるのかわからなかった。「0」は「ない」ということではなく「0」があるのだ。そのことに気がついたのはずっと後になって、とても尊敬していた先輩が亡くなった事件があった時だった。
 数学はとても哲学的な学問だ。学問というか考え方なのだ。そんなことをこの絵本を読みながら思った。その時ちょっぴりこの作者のように私もアリになったのかもしれない。

2017年8月24日 (木)

お船三部作

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淀川ものがたり お船がきた日」
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「長崎ものがたり お船が出る日」
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「チョプラン漂流記 お船がかえる日」
小林豊文・絵
岩波書店 1600円/1600円/1800円
 1600年代から1700年代、そして1800年代の各々少年を中心に日本の夜明けを描いています。それは国策であったり、まだ見ぬ地への憧れだったり、嵐にあってはからずしもたどりついた「チョプランの地」、そこからの生還だったり、いままで知ることのなかった歴史のひとこまです。異国からきた船、異国へ旅立って行った船、そして、祖国に帰ってきた船に乗った少年を中心に海でつながった風景が描かれています。今のように簡単に記録されているわけでもない、いろいろな書物から掘り起こし描かれた作者の力作に感謝します。特定された場所ですが、それを繋ぐ海と船、そして少年の夢がみごとに描かれています。
 今年の夏は偶然かもしれませんが、海を描いたすばらしい絵本を見ることができました。

2017年8月22日 (火)

サルってさいこう

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「サルってさいこう」
オーウェン・デイビー作
越智典子 訳
偕成社 本体1800円



絵本のなかでも物語のなかでも、昔話のなかでもサルは私たち人間と身近な動物です。しかも昔は人間は単純にサルから進化したものという説が当たり前に信じられていたので、進化の意味もよくわからなった人たちはサルは人間の劣ったような存在と考えられていました。「進化」の意味が良く解っていなかったのです。この本のオビには「サルってなにもの?」と書かれています。そして、「ぼくたちのいとこ」と書かれています。この絵本はその「サルってなにもの?」と生態から歴史から現代のサルのことなど多方面からサルの謎について描かれています。まず人間に近いようで大きく違うところ、人間は2本足で歩くけれどサルは4本足で歩きます。2本足で移動できるということは手があいて使えることです。同じ祖先から生まれたけれどそれぞれに進化した。それは親から子に伝えられてきました。小さいサルもいるし大きいサルもいる。住んでいるところも様々、それによって適応しながら生きてきた。同じところはいろいろとあるけれど一番人間に近いのは社会性があるということかしら?つまり群れをつくって生きているし、身体をとおして仲間同士のきずなを深めたり、意味を伝えあったりする。リーダーをつくったり、競争したりする人間臭いことも多い。えっ!もしかしたら人間がサル臭いのかもしれません。千葉市動物公園はいまこそライオンがいますがサルの動物園として出発しました。(できてすぐ見に行きました一日いてもあきませんでした)また、昔、海水で芋を洗うサルのことが話題になったことがあります。塩味がついておいしい、そしてそのことで興味をそそられたのは始めたのは若いサルで、後から年寄りザルがまねをしたということ、社会の変革はやはり若い人なのです。
 動物をあつかった絵本は写真が多いのですが、この絵本は特徴のある描き方で、作者はイラストレーター、スマートホンのアプリなどで活躍しているとのこと、とても解りやすく楽しく描かれています。訳はやはり私の好きな訳者で物語性のある科学絵本をたくさんだしています。
いま、千葉では農作物を荒らすと、ちょっと厄介者のあつかいをされていますが、なんとかこの愛すべきサルたちと共生していきたいものです。だってわたしの好きな誰とかさんに良く似ているのですから。

2017年8月19日 (土)

空襲・戦災を記録する会に参加して

     第47回空襲・震災を記録する会全国連絡会議 千葉大会に参加して

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「千葉空襲誌より」



なんとか店を休みにできたのでこの会に参加した。私は戦争をほとんど知らない世代だ。また、直接的には家族も空襲に会った経験がない。ただ母方の祖母の実家が長岡にあり、私自身もそこに2年近く住んでいたことがあるので、長岡の空襲のことは少し聞いている。それと私は戦後の民主教育を受けた世代で社会科のなかで第2次世界大戦のことは学んできた。だから戦争のことはほとんどが本から得た知識だ。それと、1度だけ広島へいったことがある。(残念ながら通り一遍の原爆跡地の訪問だった。)かなり受け身の捉え方だ。それと高校生の時歴史に興味をもっていろいろの本を読んだ中に、それは当然ながら戦争に関するものがあった。本といえば中学生の時学校の図書館から借りてきた本のなかに「アンネの日記」その頃は「光ほのかに」というタイトルの本、「基地の子」、「夜と霧」があって本に掲載された写真を見ておもわず吐いたり、夜夢にうなされて母に”あなたには早い”と叱られたことがあった。事実はただこうして今は高齢の方たちの証言を聞くと本で知るなどというものではないということを感ずる。けれどすくなくとも思春期の時、やっぱり人の口から言葉にならない言葉を聞くべきだと思った。それはうめきであり死を越えた言葉だからだ。人たちの生きたあかしは発せられ、聞いて、記録されて言葉になる。
 残念ながら会場はほとんどが50代以上、いや70代からの人たちが来ていた。なかには若い世代もちらほらいたけれど。証言にたったのは80代のかたたち。特に大学生位の若い人はほとんど見つけることができない現実。そして、どこの会でもいわれるように<若い人にどうつないでいくか><つづけていくことの財政的な問題>
 いそがなければならない。!!若い人と向き合ってどうやって継承していったらよいのかと膝付きあわせて具体的に話し合うことの必要性をあらためてとても強く思った。

2017年8月17日 (木)

ファニー 13歳の指揮官

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「ファニー 13歳の指揮官」
ファニー・ベン=アミ
ガリラ・ロンフェデル・アミット編
伏見操 訳
岩波書店 本体1500円


はじめは小説だとばかりおもっていたので、不謹慎な言い方だろうか、冒険小説のように読んでいてとても事実とは信じられなかった。あとがきなどによると映画化された時のインタビューで、今はイスラエルで暮らすファニーはこの話はメッセージだといっている。誰に対してか。それはいまなお世界中で苦しんでいる子どもたちへと言っている。今なお戦いのなかで傷つき、苦しんでいる子どもたちが後を絶たないからです。
 主人公ファニーは13歳、フランスに両親と妹で住んでいたユダヤ人です。時は第2次世界大戦時代、ヒットラーはドイツの優秀さを守るためとユダヤ人、障碍者、反政府運動者などを収容所送りにして虐殺したことはあまりにも有名です。ドイツでそのことを心配してフランスに移り暮らしていたファニー一家は隣人の密告によりつかまってしまいます。パパの逮捕後児童救済協会によりファニーと妹はスイスにむかいます。ところがリーダー役だった青年が重荷にたえきれなく逃げてしまい、リーダーの役はファニーが担うことになります。それからの危険な逃避行は続き、最後には24人のこどもたちをひきいて緩衝地帯を走り抜ける役目をファニーは決心。あぁ!助かった。
 助かったのは子どもたちが信頼をよせる特別の才能がファニーにはあったと書かれていますが、その才能とは?どうしてファニーがもっていたか、つまりどういう育てられ方をされたのかくわしくは書かれていませんが、ともかく前向きで困難をなんとか乗り切って行こうとする力が、子どもたちや手を差し伸べた一部のおとなたちを動かしていったということがはこの本のなかで充分に書かれています。もう一つ子どもたちに手を差し伸ばしてくれるおとなたちが困難な中でいつでもかならずいたということです。密告するおとながいたけれど、反面ナチに知られれば自分の命があぶない、とんでもないということを充分知りながら子どもたちをかくまった村の人たち、村ごとということすらある、このことは日本児童文学のなかにはあまり描かれていない、たとえば集団の学童疎開に関した本を読む時などに際立って違うことに気がつきます。戦争孤児に対しての人たちの行為や中国人や特に朝鮮人にたいしての仕打ち、助けるというより排斥したことの方が多く描かれている。これは運としてかたずけられる問題ではないと考えます。
 最後には、想像力をもつこと、それを力としてほかの人たちの苦しみや悲しみ(喜びも含まれるでしょう)を察することだと、それが生きていくことの困難さに立ち向かっていくことだと書かれています。
 13歳の少女ファニーの冒険小説としてもじゅうぶん読むことができるが、その冒険の意味をいま、まだ世界中でおきていることや、そんな危険な状態であることを、物語をとおして再認識しなければならない。想像力を働かせたいと思う。
 映画は「少女ファニーと運命の旅」という題名で全国ロードショーがはじまっています。
 

伝えることの難しさ

 
 bud自分としての意識をもちはじめるとそれを他の物、人に伝えたいとおもう。最初は非常に個人的なこと、たとえば、うれしいとかおなかがすいたとか、それを満たしてくれるもの、それは母親であることが多い。人だけでないあらゆる生物におよぶのは、生存という大きな役目を遺伝子上に組み込まれてきているからなのはいうまでもない。親から子へ引き継いでいく。やがてそれはものだけでなく、形のないものをも形にして伝えようとするようになった。形にするということは、残していけるからだ。本は一番簡単な方法であり、だから本・印刷の発明は人類史上画期的なことだった。やがてそれを個人でも所有していくことを考える。そして、固有の歴史として、それをまとめ、だれもが利用できるように考えた。
 bookこんな当たり前に近いことを改めて思うのは、時々本屋としての私は何をしようと思っているのか、また、どんなにがんばっても自分の命は限りがあることを強く意識するようになったからだ。たとえば、戦争はぜったいいやということを、近年できるだけはっきりと態度で示そうと努力していきたいと考える。経営的になりたたないといけない、こうやって厳しい時代になるとあまり自己主張はしないほうが良いと、いままでも何度か注意された。とくにいわゆる世間に批判的なことは差しひかえるから考えた方が良いと、店に「憲法9条を守る会」の看板をかかげたり、社会運動に積極的に参加したり、まして「憲法カフェ」をはじめたり、心配して?注意をしてくれた人がいた。耳をかさないわけではない。
 でも私は伝える方法として本の大切さを思い、自由のおもしろさを思い、本屋を自分のなりわいとして選んだし、これからもそうし続けると思う。そして、そのことを忘れないように8月には再確認することに決めた。ただ、そのことの困難さと、pencilいままでには考えられなかった「電子」化の猛スピードのなかで伝えるということの違う方法も模索状態だということを、これもまた、8月がくるたびにあふれかえる情報のなかで、本が唯一でなくなった時代のことも考えている。戦争は人間性を否定してしまうということを証言できる人たちが次々に彼岸に渡ってしまい、つぎの世代にどう橋渡しをしていくのが良いというより可能なことなのか、差し迫ってきているのを感ずることが多いからである。

2017年8月16日 (水)

夏時間がかわりました。

 
  sun 営業時間の変更お知らせ 夏時間は1時〜7時になります。

今年の暑さに夏時間というものをつくってみました。ほんとに暑くて誰もお客様がない、思い切って夕方、帰り際に寄っていただけたらとおもいました。ところがなんとちょっと涼しくなりました。それで3時というのはやめて1時から7時にと変えました。
 変えられたら困るというお客さまもいらっしゃるとおもいます。申しわけありませんが、予定表を変えていただけますようお願いいたします。急なご用命はご連絡ください。

8月に

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8月は死者を思う、もちろん広島・長崎・沖縄、そして戦争終結なのに限りない爆撃や病気や栄養失調で亡くなった方たち、今の私を育ててくれた私に繋がる人たちが帰ってくるお盆(東京は7月としても)があって、亡くなった人に呼びかける人たちも多い。私にとっては夏休みがある月なので、少し気分の転換と思う月でもある。けれど近年なんとなくぼんやりとけれど考えこむ月になった。誰にもわからない私自身もわからない、ただ残った日を時を数える年齢になって、今までの自分と私に関わりがあった人たちを静かに思う。そして、やっぱり何をするべきなのかを考える。静かに思うこと。時々私の心のなかに響く爆撃機の音を聞きながら。
 本を読む、ただ歩きまわり、大きな木に会いにいく。それが私の8月だ。


2017年8月 8日 (火)

おおきなきとであったらー広島の木に会いにいくーそして福島

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「おおきなきとであったら」
ちいさなかがくのとも9月号
くさはらかな さく
福音館書店 本体389円
”おおきなきにであったらあいさつしにいこう”作者のコメントには3年前に近所の公園で大きな木に出会ってこの絵本ができたと書かれています。私も小さな名もないような草花も好きですが、大きな木はなんといっても大好きです。この絵本の女の子のようにぐるっと探険してみるとたくさんのことがわかります。大きな木はたくさんの生き物を包み、育てます。植物は自らは動くことができない、鳥や虫や人間、風や光をうけて大きくなります。そのかわりに自然界にたくさんのものを返してくれます。形になるものだけでなく、匂いや静かさ、安らぎまでこの絵本の女の子のようにさわって、できたら木に体をあずけてみようとおもいます。
 私はできたら行きたいこころがあります。それは「広島」、広島の被爆樹木に会いにいきたいと願っています。
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「広島の木に会いにいく」
石田優子
偕成社 本体1800円


作者はドキュメンタリー作家「被爆樹木」というのは広島でいまも生きている原爆を耐えた木のことで広島市が認定する50カ所以上に170本ほどあるとのこと(あとがきから)、ゆっくり木を見て観察したり語りあったりしてほしいと書いています。被爆樹木をとおして当時のことを聞くことをすすめています。作者がはじめて大学生のときアオギリの木の下で被爆体験を語ってくれた沼田鈴子さん、そしてそれからドキュメントリー作家になって「はだしのゲン」を映画にしたときの中沢啓治さん、そして被爆樹木の前にたった時に感じた何かをわかりたいと教えを請った樹木医の堀口力さん、そして訪ね歩いた樹々と人びとのこと、それは広島だけでなく、ベトナム戦争のこと、パレスチナのこと、福島の原発事故のこと、樹々の声を聞いてきたことが記録されています。たくさんの樹々のイラストや、原爆ドームを中心に14カ所のマップ、そして資料がついています。広島の場合樹々が火災をくいとめてくれたけれど、放射能物資を吸収した樹々は生き物を抱えて育てるだけでなく、その生き物が取り込んだ放射能物資セシウムを樹々が私たちを守ってくれるわけにはいかないこと(文中P204)をもっと考える必要があると思います。被爆国の日本がすべきことなのではないかとおもいます。
「緑」の伝言プロジェクトのサイトをあけてみてください。

2017年8月 4日 (金)

タイガー・ボーイ

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「タイガーボーイ」
みたり・パーキンス作
ジェイミー・ホーガン絵
永瀬比奈 訳
すずき出版 本体1500円


インド半島の東側にあるシュンドルボン国立公園が舞台です。インドには絶滅動物のベンガルトラがいます。しかもこの地方はサイクロンや自然災害があり、ここだけの話ではありませんが人びとの生活は貧しく、野生のベンガルトラと人間の共存は難しい、しかも差別なども強く残っています。(主人公のねえさんルパは勉強したくとも女ではゆるされません)ニールは5年生、成績がよく奨学金をもらって中学校にすすむことの期待をいっぱいうけています。ところがニールは英語やベンガル語は良くできますが算数が苦手です。それになんといっても勉強をして都会にでていくことがあまりうれしくない、できたらこの地で父親のような優秀な大工として生きていきたいと考えています。それであまり勉強に身が入らないで、アジェイとヴィジュという幼い時からの親友と遊んでばかりいます。そんな時子どものトラが保護区から逃げ出したことを知ります。密猟者が捕まえようとしています。その密猟者は村の貧しい人たちの生活もにぎっています。たてつくことは生きていかれないことでもあり、誰も反抗できません。(ニールの父親以外は)
 とても気持ちの良い物語です。元気な少年がいて、家族の暖かい結束があり、ニールを理解し応援する教育者(校長)がいて、悪者はニールと姉のルパの力に破れて国外に退去してしまいます。夢と冒険と家族の愛情がいっぱいの物語は、気持ちよくこの物語にひたることができます。それだけにものたりないところもありますが、素直にこの物語を読みたいとおもいます。

2017年8月 2日 (水)

たいふうのひ

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「たいふうのひ」
武田美穂 作
講談社 本体1400円


ぼくはおねえちゃんと二人でおじいちゃんの家に来ている。パパやママは後から来るということで、なぜかおねえちゃんはぷりぷりとご機嫌が悪い。ところでどうも台風がくるというのでおじいちゃんもおばあちゃんと家のまわりを片付けたりいそがしい。台風ってどんなのかなぁ?!見てやるぞ、絶対!外の音が大きくなってきた。僕は眠れなくて、窓のそばで外を見ていたら、いつのまにかおねえちゃんも側にきた。
 なんでも好奇心いっぱいの子ども、おそらくはじめて台風がくるというので、まだ、それが怖いものかもどんなものかもわからない子どもの台風初体験が絵本に描かれている。
台風の目に入ると静かで、また荒れることなども作者はきちんと描いている。ただ作者の描く台風はきれいに感ずるのは明るい画風だから?時々外国の絵本で描かれている台風はもっと暗くて暴君だ。
 台風初体験。怖い、悲しい目にあわなくて良かったね。おじいちゃん、おばあちゃんの家でしっかり守られていたからだと思います。

2017年8月 1日 (火)

本の子

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「本の子」
作オリヴァー・ジェファーズ
サム・ウィンストン
訳 柴田元幸
ポプラ社 本体1600円

私は本の子、少女が本の上にいます。本には鍵がついています。裏表紙にはその鍵が1本、さあ本を開いてみましょう。本の子が本の世界を案内してくれます。本の子は想像力の筏に乗ってきました。あなたを誘いにきました。本の世界につれてってくれます。本の世界って?この本をひらくとこんな言葉が書かれています。「宇宙は原子でなく、物語でできている」私もそうです。いままで生きてきた私の歩みは本の世界でした。私は物語で生きてきたのです。いつかその物語から解放される時がくるでしょう。でも、物語の世界で生きてきたから私はここにいて、決して無になることはありません。
 この絵本のすごいのは、本の子の世界が40からの名作がつまっているということです。みひらきにはたくさんの名作が描かれています。ひろって読むと頭がクラクラしてしまいました。これはすべて新訳(柴田元幸による)とのことです。よくみると知っている本もあればはじめてきく書名もあります。「わたしたちの世界はだれでもこれるところ」「想像力は自由だから」さぁ!本の子の案内で冒険の道に行ってみましょう。

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10月の営業とお休み

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これからの会

  • 子どもと本これからの会
    読書は知識や楽しみも含めて心の栄養を与えてくれます。そして考える力になります。 被災地の子どもたちに本を届けたい、身の回りの子どもたちの環境を考えていこうという、二本の柱をたててボランティア活動をすることで出発しました。 いろいろの方たちの希望と力を持ち寄って、すばやく、やわらかく、活動を続けていきたいと思います。参加される方は参加登録してください。 世話人 坂上・宮田・大山