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2017年6月 1日 (木)

ドームがたり

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「ドームがたり」
アーサー・ビナード作
スズキコージ 画
玉川大学出版部 本体1600円


 <どうも、はじめまして。ぼくのなまえは「ドーム」。あいにきてくれて、ありがとう。>という書き出しからこの絵本はじまります。「ドーム」と聞いて「広島の原爆ドーム」思い浮かべる人も、もしかしたら少なくなっているかもしれません。この紹介文を書いている私でも広島に原爆がおとされたことはあまりよく知らないのです。でも親世代があの戦争のことが記憶にあるので、なんとなく見聞きしたり、学校でも学んだことがあります。けれどその親世代は今はもう高齢になっていたり亡くなってきています。そして、その親世代は思い出したくもなかったことだからでしょうか、生活していくのに精一杯だったからでしょうか、語ることもなく亡くなってしまうことも決して少なくはないと思います。知らない、知らされていない、その場合知りたい、考えたいと思った場合やはり本が一番です。できれば私はそれらの本を選ぶ時に、背景の歴史が描かれている、それに未来につないでいく役割が描かれている本を選びます。これは私自身の性格によるものだとおもいますが、どうしても感情に溺れて本質がみえなくなる傾向があるのを避けたいと思っているからです。
 この絵本は原爆が落とされる前のドームとその後のドームの廻りのことが描かれています。そして、その原子が少し形や名前が変わってはいるけれど福島での事故のもとになっていること、ただそれも科学としてだけでなく、わたしたちの地球全体の問題であること、残念ながらそのことを考えないで、生活の豊かさだけを追求している人がいて、これも残念ながらその人たちに押し切られそうになっている現実があります。川の側に元気な広島をアピールするために建てられた建物=原爆ドームが最後にこういっています。<ぼくは生き物がそばにいるとうれしい。>
 スズキコージの絵はかなり具象的になっていて、力強くなによりも暗くなく明るい、人びとがドームを見上げている。自分のどこかにあの見えない原子というカケラがあってみんなの体に刺さるのではないかと心配しているドームを見上げている。だいじょうぶ、たとえカケラがあったとしても、もう二度と飛び散ることはないと約束しなければならない。鳥や猫がみんながしっかりと見つめている。


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