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2017年6月29日 (木)

青空のかけら

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「青空のかけら」
S・E・デュラント作
杉田七重 訳
すずき出版 本体1600円


カバーにもカバーをはずした表紙にも青空の中を2羽のツバメがとんでいます。2羽のつばめはこの本の主人公姉弟かもしれません。物語の舞台は1980年代のイギリスのスキリー・ハウスです。スキリー・ハウスは日本でいうと養護施設にあたります。私のブログで毎月1回コラムを書いている(の)さんはその児童養護施設の職員です。いま、(の)さんは里親キャンペーンに力をいれています。この物語の姉はミラ、弟はザックといい両親のことは何一つ知りません。いくつかのところを転々としてきました。前に引き受けてくれた人が年をとり、突然このスキリー・ハウスにやってきました。とても古めかしい建物、階段を上って行くと天国にいけるのだと想像力豊かなミラは思います。ザックは元気というか他の思惑なんかすこしも考えなく、とんでもないことなどをしてしまうこともあります。ミラは自分が守ってやらなければならないと必死のおもいです。近いうちに自分たちを引き取ってくれる人が見つからないと、明日はないと思うくらいあせっています。(スキリーハウスにいる子どもは同じように思っています。)二人いっしょに引き取ってくれる人などいるのでしょうか。
ある日ミラは自分たちに割り当てられた部屋のベットの脇の床下から手紙をみつけます。グレンダと署名された手紙、1947年に書かれた手紙です。グレンダはスキリーハウスに暮らしている女の子で、もちろん昔の話なので、いまグレンダってだれ?ミラはグレンダに返事を書きます。
 この物語には魅力的な女の人がでてきます。とくにスキリーハウスの経営者ミセス・クランクスと一時ミラとザックを受け入れてくれた画家のマーサは二人の、とくにミラにとってはつらい状況のなかで見つけた青空をもっているおとなです。二人もこの姉弟をかわいそうという気持ちだけではありません。各々のつらい中でも自立してきた女性です。だからこそミラの気持ちもザックの行動にも寄り添えるおとななのです。
 もうひとつこの物語にはスキリーハウスの自然がすばらしく描かれています。そして、マーサの家に行った時の自然も。冬の景色そのなかでマーサの犬と遊ぶようすや新年を迎える人びとや施設の子どもたちの声が本のなかから聞こえてきそうです。
 家族とはなんだろうか。自分の意志ではなく運命にもみくちゃにされながら、必死で自分の居場所を探すこどもたち。いまでもその物語は物語だけでなく続いています。

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