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2017年3月10日 (金)

リクと白の王国

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「リクと白の王国」
田口ランディ
キノブックス 本体1500円


宇都宮に住んでいたリクは突然父親と一緒に福島に行く事になった。リクの母親は既に死んでしまってリクは父親と暮らしている。リク父子が福島にいくと決まった時はまだ大震災はおきていなかった。リクの父親は精神科の医者だ。原発の事故以来、廻りの大人たちは大混乱している福島に行く事に大反対だけれど、もともと春から転勤が決まっていた父親は医者がいなくなった福島にいかざるえなかった。リクを連れて行くか置いていく(おばさんのところへ)かしかない、リクはおばさんがにがてだ。それくらいなら福島に一緒に行った方が良いと判断した。けれど思っていた以上に福島で生活するのはたいへんだった。インフラも完全ではないし不安がいっぱい。一番リクが嫌なのは住んでいるみんなの気持ちがバラバラでいがみあっているからだ。出ていった人、そのまま留まっている人、もちろん津波でたくさんの人が死んだ。破壊つくされただけでなく、放射能で住む事ができない人たちの気持ち、子どもたちは思いきって外で遊んだり出かけたりもできない。けれどそんな子どもたちを支えたいとおもっているおとなもいる。子どもたちを自然体験がおもいっきりできるようにとプロジェクトをつくっているおとなたちが、北海道にでかけることになり、リクもなかまにいれてもらう。リクを受け入れてくれてふつうに扱ってくれたおとなたちに、自然のなかでリクは自分の意志で福島で暮らしていく決心をする。
 今日の夜仙台天文台が作ったプラネタリウムを見てきた。3.11の仙台の空は満天の星だった。あんなにきれいだったのは皮肉な事に震災で街のあかりが消えたからだ。あのころ節電で日本中が暗くなった。そして、原発が止まってしまってもなんとか暮らしていけるのではないかと人びとは思った。たくさんの流れ星があって、亡くなった人びとが星になってむこうの国にいくという、昔からのいい伝えに人びとは祈った。でも原発は再稼働、そして、福島から移り住んだ子どもたちへのいじめが次々と明らかになっている。責任をとろうとしないおとなといらだちがつのっている福島、いまなお原発の状態すらわからないままに6年経った現実だ。この物語のなかにでてくるゲンさん夫婦、野村さん、洋一くん、そしてリクのお父さんのように、これからわたしたちはどうしたら良いのだろうか。答えはでないけれど、自然に帰らない物を作り続けようとすることだけはやめなければならない。それだけはいいつづけなければならない。
 
 

2017年3月 7日 (火)

ぱくぱく はんぶん

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「ぱくぱく はんぶん」
こどものとも 年中向き4月号
渡辺鉄太 ぶん
南伸坊  え
福音館書店 本体389円

おばあさんがケーキをつくりました。大きなケーキなのですぐには食べきれないだろうと・・・でも用心に”私の分半分は残しておいて!”といって出かけて行きました。おじいさんはもちろんすぐに食べました。おいしかった!でもいいつけを守って半分残しておきました。そこへジョンがやってきてケーキをみつけます。おじいさんは”全部食べたらだめ、おばあさんのために半分残して”といいました。犬のジョンは喜んで食べました。次にねこのミーニャ、ケーキを見つけました。犬のジョンは”半分残しておかないとだめだよ”といいました。おいしいケーキ、ねこのミーニャはもちろん半分残しましたがおいしく食べました。こうやってつぎつぎとみんながやって来て半分残しはしましたがとてもおいしく食べました。おばあさんが帰って来て小さな小さなケーキを見つけました。たしかにみんな半分残しましたが、おばあさんにしかられてみんなしょんぼり。
 とぼけ顔のおじいさん、ケーキをおいしそうに食べる動物たちは幼い子どもの表情そのものです。愉快なほのぼのとしたお話です。でも、最後のページ、なんだか皆はまだ食べたそう。”おばあさん、半分残してくれないかなぁ”

2017年3月 6日 (月)

ふ・ふ・ふ

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「ふ・ふ・ふ・」
ことばのひろば
さく 梅田さとえ
え  多田ヒロシ
あかつき 本体880円

表紙、ふくろうがなにやら教えようとしています。赤ちゃんのうばぐるまにふうせんがむすばれています。そのふうせんはふっ、ふーっとふくらまされて森の家に、家にはおばあさんがふっと火をおこして料理をしています。この本では「ふ」が中心でお話がすすんでいきます。最後にはふくろうがはやくち言葉のおまけです。
 近年ことば遊びの絵本が多くなりました。メールなどの発達で伝達のひとつである言葉が変わってきてしまい、幼い時からもっと言葉、この場合は「日本語」を大切にしなければと思っているおとなが多くなりました。ただ並べていてもつまらないのでしりとりをつかったり、いろいろの方法がつかわれています。
 おとなは発見!おとなが思っているより以上に子どもたちはことば遊びを楽しみます。この絵本も幼い子どもたちがいっしょに楽しめるように絵も含めてくふうされています。絵本は子どもたちと読みあうのにとても良い方法です。

2017年3月 5日 (日)

キャスターという仕事

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「キャスターという仕事」
国谷裕子
岩波新書

いま話題の「キャスターという仕事」を読んだ。NHKの<クローズアップ現代>のキャスターを23年間つづけてきて、2016年に降りた国谷裕子さんの著書だ。「クローズアップ現代」父と暮らしていた時には毎日見ていた。父が亡くなった後思う事があって、というか毎日を本中心の生活にしたくてTVは無くしてしまった。私はどちらかというとテレビは嫌いでない。ドキュメントのようなものが中心だけれど、好きなもののひとつだ。ぼんやりとテレビを見続けてしまうおそれが多くて、すっぱりとなくしてしまった。
 23年もの間、あの緊張した生活ができる著者はほんとに強い人だと、番組を見ていた時に感じたこと、大変な努力をしていることを改めて知った。そして、文中次の言葉を知って、言葉で表現し新しいものをつくりだしていくことの大切さを改めて考えた。あとがきにこんなことが書かれている。
<インターネットで情報を得る人びとがふえているが、感情的に共感しやすいものだけに接する傾向が見られ、結果として異なる意見を幅広く知る機会が失われている。そして、異質なものに触れる機会が減ることで、全体を俯瞰したり物事の後に隠されている事実にきづきにくく、また社会の分断が進みやすくなってもいる。あとがきより>そして、<言葉の力を信じて>・・・私も肝に命じたい。

2017年3月 4日 (土)

宮沢賢治の鳥

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「宮沢賢治の鳥」
国松俊英 文
舘野鴻 画
岩崎書店 本体1700円

宮沢賢治の作品にはとてもたくさんの鳥が登場する。なんでも70種類以上の鳥たち、それに鳥の種類だけでなくいろいろな場所や季節に登場する鳥、鳥の状態、鳥のおもいまで、それらはあたかも宮沢賢治の心象が鳥に表現されているようだ。
フクロウ、そしてミミズクは一番多く登場するのではないだろうか。今は勝手に飼えなくなったが、昔は北海道から九州まで山林や平地の林の良く見られた鳥だ。賢治自身がフクロウと思っていた様な気がする。自然の守り神、自然と神と人間の間を橋渡しする役目がフクロウ=己とおもっていたのではないだろうか。
 この絵本では賢治の作品にでてくる鳥たち「フクロウ」「かわせみ」はちどり」「よだか」「おおじしき」「かっこう」「とき」「からす」「もず」「はくちょう」それらの鳥がでてくる作品10場面の絵が描かれているページが交互になっている。文は鳥の事について、自然のことについての作品がたくさんある作家、そして、なによりも画家の力が充分に見開きで描かれている細密で華麗な鳥たち、また1冊宮沢賢治の世界を表している絵本が出版された。
 もう少しすると冬鳥が帰っていく。

2017年3月 1日 (水)

ぼくの草のなまえ

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「ぼくの草のなまえ」
長尾玲子 さく
福音館書店 本体1100円


春になってチューリップに水やりをしていた太郎は小さな草を見つけました。植えたおぼえがないのと草の名前もわかりません。おじいちゃんに聞いてみることにしました。おじいちゃんは畑らしくて携帯で太郎くんの話を聞きます。会っていればすぐに名前を聞く事ができるかもしれませんが、電話なのでひとつひとつ丁寧に聞く事になります。太郎くんは一生懸命に説明します。まず、小さな草のようでてっぺんに白い花があること、葉っぱの形や大きさやどんなふうについているかということなど・・・。たとえば図鑑で調べる時の調べ方のように、おじいちゃんは太郎に聞き、太郎も良く見ておじいちゃんの質問に答えます。ところでこの絵本は刺繍で描かれてして、かえってリアルで解りやすいようになっています。
 今日は夕方から雨になりました。ちょっと逆戻りの寒さのお天気です。でも晴れた時の陽は光が輝いています。bud一雨ごとに春になる。春はもうすぐそこです。

くまさん 

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「くまさん」
まど・みちお 詩
ましませつこ 絵
こぐま社 本体900円


まどさんの詩に絵が描かれてわらべうた絵本のような感じになりました。教科書にものっているので有名な詩ですが、こうして絵が描かれていると絵本のなかに春風が吹いているようにおもいます。しばらく暖かかったのにここ2・3日は風も冷たくて寒い、でも確実に春にむかっているのです。それは風でも感じますがなによりも陽の光が輝いてきたからです。どこかのやまでくまの子どもがめをさまします。まだ、ちょっとぼんやりしていて自分がだれだったろうと思います。川に映った自分をみて”あぁ!ぼくはくまのこだったっけ。
くまの毛皮が筆で丁寧に描かれているので、いつものこの画家の絵よりリアルになっています。でもまん丸の目がかわいい、裏表紙のくまの子、”ぼくは元気なくまのこだ”と言っているようです。

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