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2017年1月31日 (火)

スマート

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「スマート」
ーキーラン・ウッズの事件簿ー
キム・スレイター作
武富博子 訳
評論社 本体1400円

ぼくは母さんと父さん?と兄さん?と住んでいる。父さんにも兄さんにも?をつけたのはほんとうの父さん。兄さんではないからだ。ほんとうの父さん、兄さんでないからといって嫌っているということにはならない。けれどトニーはぼくにも母さんにも気に入らない事があると暴力を振るう。兄さんのライアンはトニーの子どもで一日中ゲームをしている。どっちもぼくは嫌いだ。ぼくは中等学校の9年生(日本でいると中学2年生くらい)学校へいくのは好きだけれど、嫌いな先生もいるし、嫌いな勉強もある。ただぼくは将来イブニング・ポスト新聞の記者になるつもりだ。だからなんでもノートに書いている。将来記事を書く能力を認めてもらうために、なんでも書き留めておくことにしている。 
 ジーンさんがベンチで泣いていた。ジーンさんはホームレスのおばあさんだ。声をかけたらジーンさんは川に浮かんでいるぼろきれを指差した。けれど、ぼろきれと思って川をのぞきこんだらそれはぼろきれでなく人だった。昔、消防隊で活躍したコリン、けれど英雄になったコリンは大やけどと心に傷をおってやっぱりホームレスになってしまった。警察はあやまって川に落ちて死んだといったけれど、ぼくは殺人だと思う。ぼくはなんでもノートに書いていたけれど、文だけでなく絵も描く。コリンさんは殺されたのだ。ぼくは犯人をみつけようとおもった。
 この物語には場所や人の固有名詞がたくさんでてきて、この物語に厚みをあたえています。事件の始まりの川、ノッティンガムの街の様子、人気のテレビドラマ、なによりもキーランが尊敬している画家ラウリーとその絵のこと。登場人物もキーランの学校のクレーン先生、ウガンダからの転校生カーワナ、そしておばあちゃん、どの人も個性的で魅力的だ。
 トニーにおびえてキーランのことをちゃんと考えられなかった母さんにおばあちゃんは言う。「人間って、誰かといっしょにいないと生きていけなって思う事もあるんだよ」「でも、覚えておくんだよ。本当はいつもたよりにできるたったひとりの人間は、自分自身なんだってね」P294より
 読者はキーランに特定の固有名詞はつけられていないけれど、たぶんアスペルガー症候群とよばれる少年なのだと思うかもしれない。そのことについて、作者は学校で長く働いていて、キーマンのような個性的なものの見方をする子どもたちをたくさん見ていたにちがいない。読者がそれをどうとらえるか、社会のやっかいもの、困った人、かわいそうな人。私はとても興味深くこの本を読む事ができた。そして、この人たちが絵を描くことがすぐれているという特質を考える。豊かなイメージ=絵、これは私の課題にしたい。

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