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2017年1月29日 (日)

紅のトキの空

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「紅のトキの空」
ジル・ルイス=作
さくまゆみこ=訳
評論社 本体1600円


物語の始めから最後まで文から立ちのぼる熱気にあてられっぱなしになって読んだ。その熱気というのはこの物語の主人公スカーレットだったり、母親だったり、スカレットの里親になったルネやその夫のシーオだったり(この家族が一番あたりまえにある家族のかたちか)、魔女といわれているマダム・ポペスク、どの人をとっても尋常ではないように思える。主人公スカーレットは12歳で肌は褐色、会った事のない父さんと同じだ。弟のレッドは実年齢は8歳だけれど4歳位にしかみえない。肌の色は白、オレンジ色の髪の色をしている。母さんも白い肌、薬とタバコが片時も離せない、もちろん子どもたちの世話もできなく一日中タバコを手に家の中にいる。幼くて自閉症でアスペルガーのレッドは鳥にしか興味を示さない。だからこの家の主婦はスカーレットだ。家をきれいにして、食事をつくり、レッドのめんどうをみて学校に行く、尋常ではない生活だけれどスカーレットにはなにものにも変え難い生活だった。それは3人でいられるということが理由だ。ベランダの隙間にリトルレッドが巣をつくり卵を産んだ。レッドのためだけでなく、スカーレットはこの卵から孵るヒナを守る事が家族を守る事だと思っている。それは自分自身の存在にかかわることだ。けれど、母親のタバコの不始末から火事になり、3人は別べつに、母親は入院、レッドは保護施設、そして、スカーレットはルネとシーオ一家のもとに一時ひきとられることになる。このままではレッドといっしょに暮らす事にはならないとレッドをひっさらって逃げる決心をして、魔女といわれながらも傷ついた鳥の世話をしているマダム・ポペスクにかくまってもらうように頼み連れて行く。スカレットはルネとシーオ一家と暮らすなかで、自分の渇望だけでなく、少しづつ客観的に考えることができるようになる。
 登場人物のどの人をとっても描写がしっかり描かれているので、読む人は引き込まれてしまう。「家族」この深くて心を包み込むもの、でも深く傷つけあうものでもある。この物語のなかにはいろいろの家族の形がでてくるので、読む人は自分と置き換えて読む事ができる。スカレットの絶望感と渇望と望みが熱気のなかに胸にせまってくる。
 ありきたりの疑問、家族ってなんだろう。血の繋がりだけが家族ではない、とすると!

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