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2016年10月29日 (土)

ホイッパーウイル川の伝説

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「ホイッパーウイル川の伝説」
キャシー・アッペルト&アリスン・マギー
訳=吉井知代子
あすなろ書房 本体1400円


昔、ある兄弟がいた。二人は同じ娘を好きになった。どちらと結婚するか決まらなくて娘に選んでもらうこともできなくて、川に選んでもらうことにした。地下の空洞を流れる川を泳ぎきって先に池に出た方が娘と結婚するという伝説がある。兄が娘と結婚する、けれどそのことには大きな秘密があった。サムはこの伝説を思っている。サムの兄さんエルクは親友とジークとアフガニスタンへ行った。サムはエルクが帰って来るまで願い石を川になげるだろう。もし、帰ってこれなかったらジュールズに「石の洞窟」に行ってこの石を置いて来て欲しいとエルクは言って出発していった。ジュールズはサムときょうだいのように仲良く育った石少女だ。4歳のころから石を集め石のことならなんでも知っている。二個の瑪瑙をあずかったジュールズ、でも「石の洞窟」がどこにあるかは知らない。そして、エルクはアフガニスタンから帰って来たけれどジークは戻っては来なかった。ジュールズにはママがいない。ママは死んでしまった。ねえさんのシルヴィとパパの3人暮らし、願い石を投げる川の側、奈落の渕に行ってはいけないと固く言われている。ママが死んでからシルヴィは突然走り出した。ともかく早く、ジュールズはとてもついていけない早さで。どうしてそんなに早く走って行ってしまうのかジュールズにはわからない。ママが死んだとき、その前におこった小さな出来事も幼かったジュールズは何も理解できなかった。ある雪の降った日の朝、シルヴィたちは小さな雪だるまを作った。そして、シルヴィはジュールズがとめるのも聞かずに奈落の渕へ向ってやっぱり走っていってしまった。ジュールズにはおいつけない。シルヴィはとうとう帰ってこなかった。
 森の中ではキツネが生まれていた。3匹のうちの1匹は雌、セナと名付けられた小さなキツネは自分を呼んでいる者を知っている。それは人間の女の子だ。セナはその子に渡さなければならないものをもってる。それは洞窟の中にあり、ある日やっとジュールズを連れて行く事ができた。そのために生まれて来たといっても良いセナ、ジュールズはシルヴィの秘密と願いを知る事ができた。
 この物語は大切なものを失ったものたちの魂と再生がいくつも交差しながら描かれている。森や川、クマやピューマン(これは実際にいるのかわからない)そして、母ギツネと3匹の子ギツネたち、特にエマと兄さんギツネがつないでいく。
 この物語は二人で書かれているそうです。この物語を読んでいる私にはその事についての違和感はありませんでした。おそらく二人で交互に呼び合って書かれたからだと思います。それはジュールズとシルヴィ、エルクとジーク、その生者と死者の間でサムがいて、パパがいて、セナはもう帰って来なかったけれど、セナを語るものは残った。こうやって魂はつながっていくと思うからです。
 
 

2016年10月28日 (金)

いのる

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「いのる」
長倉洋海
アリス館 本体1400円


久しぶりに長倉さんの写真をみた。「いのり」この写真集のなかにはたくさんの人の「いのり」の写真がおさめられている。ひとりもあれば集団だったり、部族の人たちがたくさん集まって祈りの儀式をあげている写真もある。長倉さんは世界の紛争地帯の庶民の人たちを写真に収めて私たちに見せてくれた。日常的に戦争がうずまいているなかで暮らしている人々、特に子どもたちの様子を知らせてくれた。決して悲惨なことばかりではない、死と隣り合わせのなかで子どもたちは精一杯毎日を過ごしている。
 この写真集のなかにいる人たちも「いのり」という形はとっているがそこには死と隣り合わせの生のなかの人たちだ。どのページのなかにも長い戦いのなかで傷ついた人々の「いのり」がある。ある人は子どもが争いにまきこまれないようにと、ある人は亡くなった人がいいところにいくようにと、ある人たちは平和のため、自分をみつめ心に平安をたもつため、忘れないで欲しい、昔の人とも未来とも「いのり」でつながっていたい、人々はいのり続け、たくさんの「いのり」が繋がったとき、希望をすてないかぎり、人々の「いのり」は繋がっていく。
 なにをいのっているのだろうか。少女の目から静かに涙がこぼれていく。たくさんの「いのり」が灯された河原、森では小さな祈りの炎がゆれている。

2016年10月27日 (木)

ふたばからのおたより -10月―

       
                七五三

 もうすぐ11月、七五三の季節だ。うちの施設でも、毎年何人かの子どもたちが着物を着せてもらい、千葉神社にお参りをする。馬子にも衣装とはよく言ったもので、いつもギャーギャー、ピーピー言っている子たちが薄化粧なぞし、すましている様子は、何ともかわいい。
 うちの二人の息子の七五三は、山で祝った。山と言っても、小学生が遠足に行くような低い山だ。長男の時は東京の高尾山、次男の時は秩父の三峰山だった。別に私たち夫婦が登山家だったわけではない。旦那は山好きだったが、私は陸の列車に乗っている方が好きなタイプ。ただ、ずっと昔に読んだ新聞の投稿に、裏山の神社に登ってお参りさせ、真っ黒になって戻ってきた手にオメデトウと千歳飴を手渡して祝ったというのがあって、こういう祝い方っていいなあと心に残ていたのを真似しただけだった。
 高尾山の時は保育園のクラスメートの女の子家族や旦那の同僚も一緒に賑やかに登った。途中までケーブルカーで行き、長男はケーブルカー中に響き渡る声で「線路は続く~よ、ど~こまでも~♬」と歌い続けていた。
 次男の時の三峰山へは、家族だけで行った。たまたま券が手に入り、寄居駅から三峰口までSLに乗った。登りはロープウェイを使い山頂の三峰神社でお参り、千歳飴を渡して、下りはブラブラと2時間ほど歩いた。食い意地の張った次男は、大きな飴を独り占めできることにそれはそれは喜んで、飴を折ってポケットを膨らませ、自分は大きな塊を頬張って、他の家族には信じられないほど小さなかけらをもったいぶって渡していた。それでも秋の紅葉の中、千歳飴をなめなめ歩く山道は、なかなか風流なものだったな、と今になって思う。
 おかげで二人とも、何やかやあっても、健やかに育ってくれたととほっとしている。
 それぞれの七五三があるように、それに続くそれぞれの人生がある。今年照れくさそうに着物を着て、「かわいいね」と皆に声かけられて千葉神社へと手を引かれていく子どもたちの人生も、しなやかで健やかであってほしいと、心から願う。

P1010118

写真は三峰山に行った日のことを書いた通信の挿絵。子どもたちが小さい頃は家族通信を年に1、2度発行して、友人や親戚に配ってました。     (の)


2016年10月23日 (日)

女探偵☆ケイト・ウォーン

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「女探偵☆ケイト・ウォーン」
リンカーン大統領の命をすくえ!
エリザベス・ヴァン・スティーンウィク文
ヴァレンティナ・ベローニ絵
おびかゆうこ 訳
光村教育図書 本体1400円

今から150年くらいも昔、アメリカでは探偵社がありました。有名なのはピンカートン探偵社、今でもあるとのことです。ある日その探偵社に若い女の人がやってきて、ここに勤めたいと言います。その頃は女の探偵はいなくてピンカートンは断りました。けれどこの女の人=ケイト・ウオーンは引き下がりません。自分にできることなどを売り込みます。女の人の時は安心させるので有利とか、話を聞くために変装してサロンなどに行くことがたやすくできるとか、熱心に言うのでピンカートンは採用することにしました。女探偵ケイト・ウォーン誕生です。
 リンカーンが暗殺されたことは本を読んで(学校で習った?)知っていましたが、この本に書かれているのはリンカーンが死んだ時の事件ではなく、その前のこと、暗殺計画を女探偵ケイトが活躍して阻止したということです。その頃女の探偵がいたことは知りませんでした。それにこの本にはそのケイト自身が謎の人のように描かれています。ケイトの活躍はちょっとドキドキして読むことでしょう。ケイトという人のノンフィクションなのですが、絵本の形式で描かれているのも斬新です。ただ、映画とも関係がありそう、できればあとがきにもう少しその時代のアメリカ史が描かれていたらおもしろいのにと思いました。でも、これでも充分エンターテイメントとしてのリンカーン暗殺未遂事件として楽しむことができます。

2016年10月22日 (土)

まどべにならんだ五つのおもちゃ

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[まどべにならんだ五つのおもちゃ」
ケビン・ヘンクス作・絵
松井るり子・訳
徳間書店 本体1600円

広い窓のある家、その窓辺には五つのおもちゃが並べられています。ふくろうは夜が好きなので月がでて夜になるのをまっています。ぶたのおじょうさんにはお気に入りのかさがあります。だから雨が降るのをまっています。くまのぼうやは凧揚げがしたい、それにはなんといっても風が吹かないと、だから風が吹くのをまっています。子犬は雪が降るのを待っています。雪が降れば大好きなそり遊びができるからです。ゆらゆらうさぎは楽しい事がみえないかと窓のそとをみています。待ちきれなくてちょっと出かけたり、おひるねをしたり、プレゼントがあったり、でもみんなはお気に入りをまっています。お客さんがきたこともありますが、いなくなってそのまま戻らない、悲しいこともありました。みんなで窓の外を見ていると、ふしぎな物やきれいなものがみえたりします。ある日ころころしたねこがやってきてみんなといっしょになにかをまっていました。わぁ!
 なにかうれしいことがおきないかと窓辺でまっています。こんどはなにがおこるでしょうか。
 画家の絵は柔らかいパステルで描かれている事が多いのですが、静かなささやかなやさしい希望が感じられます。なかにはちょっぴり皮肉が描かれていることもありますが、それでも自然やちいさな生き物たちを主人公に日常的なささやかなしあわせを描いているのが特徴です。あなたはなにを待っていますか。

2016年10月18日 (火)

わたしたちのカメムシずかん

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「わたしたちのカメムシずかん」
やっかいものが宝ものになった話
 たくさんのふしぎ11月号
鈴木海花 文
はたこうしろう 絵
福音館書店 本体667円


 この本は以前から出版案内があって出たらともかくと思っていたのに、とうとう紹介するのに2週間もたってしまった。私に出版の案内をくださったのは全国農村教育協会という出版社の大久保清樹さんだった。向かいの県立中央図書館で「図鑑」のフェアをした時、中年?の男の人が入って来て名乗られ、東北の話がでて、あそこで生きていた生き物たちはどうしているのかと問いかけたことに、ある小学校の話をしてくださった。岩手県葛巻町立江刈小学校、そこで子どもたちがカメムシの研究活動をしていて、そのことを少年写真新聞社が出している「理科教育ニュース」にかかわった先生たちの紹介記事が連載されていて、大久保さんも寄稿されていること、「たくさんのふしぎ」11月号で刊行されるということだった。
 この本にもあるようにその話を聞いた時おもわず”カメムシ!あのくさい虫ですか?”と聞いてしまった。小学生くらいの子どもがカブトムシなどに興味をもつのは良く聞く事だけれど、カメムシなんて害虫でしかない(私にとってはゴキブリと同じ)ちょっと信じられなかった。
 大久保さんがおくってくださった「理科教育ニュース」のコピーを読みながら「たくさんのふしぎ」を楽しみにしていた。魔の8月、昨年に続いてさんざんな月になって、9月になっても本を読む事がなかなかできないままに、やっと10月に入ってから読むことができた。それは「カメムシ」のことというより子どもたちの学ぶということの原点を示してくれるような本だった。少しばかりのチャンスとねばり強いおとなの助言で子どもたちはびっくりするような力を発揮して、それはおとなを動かす力になる事を示してくれる。この町は人口7000人くらい、江刈小学校は全校生徒29人、東北の自然の厳しい、かといって観光資源もないきびしい町とのこと、校長先生のひらめきで子どもたちがカメムシの研究をする、それはおとなを動かしていき、おとなたちの生きていくエネルギーになっていくようすが描かれている。教育の基本をあらためて思った。
 ところで「カメムシ」が私の好きな「アメンボ」の仲間とのこと,ワァィー!!
 

2016年10月17日 (月)

プーさんとであった日

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「プーさんとであった日」
リンジー・マティックぶん
ソフィー・ブラッコール絵
評論社 本体1500円


副題が「世界でいちばんゆうめいな クマの ほんとうにあったお話」と書かれています。世界で一番有名なクマといったらプーさん以外にはありません。この本の表紙は兵隊の足にしがみついてあなたを見ているクマ、でも、裏表紙のクマはパジャマをきた人と手を繋いでいるクマです。表のクマはとてもリアル、上目づかいであなたをみているやんちゃなクマです。裏に描かれているクマはぬいぐるみのクマでおとなしいクマの表情です。ここに描かれているクマはその有名なプーさんのことです。ブーさんは女の子、カナダからイギリスの動物園にやってきました。連れて来たのはこの本の作者のひいじいさん、カナダの獣医さんです。カナダの広い林の中で生まれたクマの子は、戦地にいくひとりの獣医師に買われました。そして、訓練のあいだはいっしょにいられたのですが、戦地に行くことになったのでつれてはいけない、そこでロンドンの動物園で飼われる事になりました。その動物園へたびたび行ってクマとなかよくなった少年がクリストファー・ロビン、「クマのプーさん」の誕生です。獣医師ハリーにはフレッドというむすこができて、フレッドにはローリーンというむすめが生まれ、そしてリンジーという子どもができます。この絵本の中で少年コールに絵本を読んでやっているのがリンジーです。
 一頭のクマをめぐって家族がつながっていきます。そして、そのクマと仲良しになった少年からあの名作「クマのプーさん」が生まれたのです。子グマのころにハリーたちに可愛がられて大きくなったウィニーはクマのプーさんそのもののようでした。そのクマをみている、というよりいっしょに遊んだクリストファーがパパに手をつながれてウィニーに会いにきている場面があります。そして家に帰るとぬいぐるみのクマをもって近くの森で遊んだそうです。お父さんのミルンはそれをお話にしました。
 現代出版事情で「プー」さんの本はみんなアメリカ版になって、表情の乏しいただ丸っこいかわいいぬいぐるみになっているのが私は不満でしたが、この本を見てうれしくなりました。後のページにはハリーとクマのウィニーの写真、クリストファーと遊ぶウィニーのちょっとセピアいろの写真が載っています。穏やかな暖かい空気が流れています。
 2016年のコルデコット賞をもらった絵本です。

2016年10月11日 (火)

もりモリさまの森

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「もりモリさまの森」
田島征三 作
さとうなおゆき 絵
理論社 本体1400円


林太郎が学校から帰って来るとおじいちゃんのヤマタロウさんが穴があいた葉っぱを眺めていて突然森へ行くと言い出した。もう暗くなってきているし”えっ?”といっても明日の朝出かけるから準備をするように言う。森に大変な事がおこっているので行かなければとおじいちゃん、ぼくとママと友だちのみずきちゃんとは出かける事にした。一番大きなナラの木のところでヤマタロウさんが出したちょっと甘酸っぱい飲み物を飲んだ。少したつとなんだか暑い、そのはずぼくたちの身体には毛がはえて動物にかわっていった。でもみんな同じ動物ではない。ヤマタロウさんはタヌキ、ママはアナグマ、みずきちゃんはちいちゃなイタチ、そして、ぼくはテン、林の奥からは大きなタヌキがでてきて、ヤマタロウさんと抱き合って挨拶をかわした。もっともヤマタロウさんは前はタヌキだったそうでグーキチドンと呼ばれているとのこと、やがてキツネやたくさんの動物が集まっているところに来て森一番のお年寄りというミワワさまのところにやってきた。話によるとこの森は<もりモリさまの森>といってみんなのとても大切な所という。ところが最近人間がへんな物(機械)をもってきてどうもこの森を無くそうとしているようだということで、ヤマタロウさんを呼んだということだ。その森を市長を中心にして廃棄物の埋め立て地に使おうとしていること、じゃまな木は全部きりたおしてしまう計画だという。林太郎は動物たちといっしょに困難な戦いをはじめることになる。
 ここまで読むと作者が20年程前に住んでいた日の出町での廃棄物処分場の反対運動を思い出す人もいるとおもう。その戦い(まさに戦い)は造られてしまい、作者は癌で日の出町を離れることになるけれど活動は続けられていった。いまは、奇跡的に作者は元気になって、自然をテーマに創作活動を続けている。この作品はその戦いがベースになっていることはあきらかで、作者もあとがきに書いている。
 元気になったのだと読んでうれしかった。スピード感のある文はいかにも作者らしい。私はこの作者の正直なところが好きだ。林太郎のパパは市の清掃職員、死んでしまった動物たち、そして、タヌキとして森に残っていくおじいちゃんの役目、人間と獣たちとの共生を担うものとしていくという行動は作者の処分場反対運動のその後の決意のような気がする。そして。この物語を書いて次の林太郎についでいこうとする、こういう物語ではとかく<がんばりましょう!>式が多いなかでの一つの生き方なのだとおもう。この物語を読みながら私は福島の原発事故のことをしきりと思っていた。
 この本の挿絵を描いている画家は最初は処分場賛成派の新聞に絵を描いていた人だとのこと、動物たちが好きな人なのではないかとおもう。神木のカツラの木が倒されたときカツラの木から飛び立ったミワワさまがたくさんの小鳥になって飛び立っていくシーンにも作者や画家の願いが込められていると思う。子どもたちはどう読むだろうか。

2016年10月 9日 (日)

くじらのくじらん

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「くじらのくじらん」
市川宣子 さく
村田エミコえ
リーブル 本体1300円

このページもくじらのお話です。この本にでてくるくじら、名前はくじらん、うたが大好きなちょっとのんびりやさんです。そんなくじらんくんが活躍するおはなしが8話はいっています。たとえば第1話「くじらんとバナナの話はこんなもの。
 バナナを誰も知らない海のはなしです。落ちていたバナナを見た鳥たちが騒いでいるとくじらんがきてこれはお月さまだといいます。お日さまに向って迎えにきてと騒いでもお日さまは知らん顔、それでくじらんがしおを吹いて空に発射、でもお日さまは知らん顔なので踊ろうという事になりました。みんなで踊っていると
かもめがおそってきます。くじらんがかもめを口にいれてくれたものでカモメはたべそこなった、すかさずくじらんはカモメの口にバナナをつっこみました。やがて夜がきて空には三日月がのぼってきました。月は空に帰れたようです。
 この本のお話は福音館書店の月刊誌「母の友」に連載されたのを1冊にまとめたとのこと、ちょっとナンセンスな穏やかなお話集です。お休み前に1つずつ読んでやるにはちようど良い、カラーの絵がしっかり描かれていて、楽しそうな海のお話集です。


2016年10月 7日 (金)

シロナガスクジラ

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「シロナガスクジラ」
さく ジェニ・デズモンド
やく 福本由紀子
BL出版 本体1600円

迷走台風で夏の気候は不順、10月になってもまだ昨日などはひどく暑い一日でした。7月に出版されていたこの本も東京BCが閉鎖になってなかなかタイムリーに新刊を見る機会がなくやっとみることができました。期待以上のとてもきれいなそして解りやすい絵本になっています。男の子が本棚から1冊の本を取り出します。その本はシロナガスクジラの本です。シロナガスクジラは地球上最大の哺乳類です。長さは30メートルにおよび(その長さを乗り物を並べて解りやすく描いています。)色はほんとうは灰色なのだけれど水の中では青くみえます。(この本の見返しは海のなかを泳いでいる青い親子のシロナガスクジラです)目は小さくてほとんど見えないけれど、耳は抜群に感度が良いし、大きな声、重さは160トンくらい(60頭くらいのカバが積み重なっている重さ)、その他シロナガスクジラの特徴をわかりやすいものに置き換えて描いています。それにどの場面にも男の子がいて解説?をしています。この絵本はいわばあたらしい描き方をしている図鑑のような本なのですが、絵本の特徴をいかして描かれていて、こんなシロナガスクジラの説明があるのだとうれしくなります。
 いつのまにか男の子はうつらうつら、シロナガスクジラはひんぱんに息継ぎをしないといけない、だから寝込んでしまうなどできないのだよ・・・男の子は夢の中・・・私もシロナガスクジラに会ってみたいなぁ
夢のなかでもいいから。

2016年10月 6日 (木)

おばあちゃんとバスにのって

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「おばあちゃんとバスにのって」
マット・デ・ラ・ペーニャ作
クリスチャン・ロビンソン絵
石津ちひろ訳
すずき出版 本体1500円


ジェイは教会の帰りおばあちゃんとバスに乗ってでかけます。雨が降って来ました。ジェイは本当はバスに乗りたくはありません。友だちは車に乗って手を振って帰っていきました。バスが来ました。運転手のデニスさんはジェイににっこり、おばあちゃんは乗客のみんなに笑顔で”こんにちは”といいます。でも、ジェイはこれから行く所もふくめてなんとなく気乗りがしません。やがて、少し走ると目のふじゆうな人がのってきました。おばあちゃんはジェイに”目が見えなくたって鼻でもみえるのよ”といいます。バスにはいろいろな人が乗っています。おばあちゃんの話にジェイはしだいに魔法にかかったように楽しくなりました。やがて、バスは止まり、バスをおりたジェイとおばあちゃんはある場所に入っていきます。
 ジェイは雨のためもありますが、ずっと気持ちが晴れずなんでも否定的です。でも、このおばあちゃんはそんなジェイに魔法をかけてしまいます。おばあちゃんはジェイの気持ちを楽しくさせます。そして、どんな時でもどんな所でも楽しい事、きれいなものはあるということを教えてくれます。ジェイとおばあちゃんがやってきたのは「ボランティア食堂」です。”ぼくきてよかった”とジェイは元気にお手伝いをはじめました。
 デザイン的なきちっとした絵なのですがバスのなかの人たちの表情等よく表現されています。ジェイの気持ちが広がる見開きのページ、ジェイが想像し見るいろいろなものが画面いっぱいに描かれている場面もとてもきれいで楽しい。最後の「ボランティア食堂」の場面も明るくきれいに描かれていているのが良い、登場する人たちが人種もふくめていろいろの人たちがでてくるのがあたりまえに描かれていて印象に残ります。
 2016年ニューベリー賞、コールデコット賞のダブル賞受賞絵本です。

2016年10月 4日 (火)

いもさいばん

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「いもさいばん」
文・きむらゆういち
絵・たじまゆきひこ
講談社 本体1500円

今年のいもは上出来、おじいさんはほくほくと喜んでいました。ところが毎晩いもどろぼうが持っていってしまいます。だれがどろぼうなのか見張ってもわかりませんので、とうとうおじいさんは自分で見つける事にして穴蔵にひそんでいました。夜になってあらわれたのはなんとウリボウとイノシシ、まてっ!追いかけて問いただすと見つけたのは俺たちとイノシシ、しかもここには昔から俺たち動物が住んでいて、そこからできたのは俺たちのものと言いはります。怒ったのは丹誠込めてつくったとおじいさん、どちらもゆずりません。人間が畑を作って独り占めするのがまちがっている、おじいさんが育てたのでなく土も雨もみんな自然!はておじいさんは考え込んでしまいますが一生懸命育てたので、そんなふうに言われて悔しくてなりません。さあ、この言い分はたしてどちらが正しいのでしょうか。
 おじいさんも動物たちもぜったい負けまいとする表情が大きく描かれています。おおらかなおかしいくらいのお話にたいへん迫力がある絵が型染めで描かれています。

2016年10月 2日 (日)

ことばあそびー数え歌の巻

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「ひょっこり ひとつ」
佐々木マキ
福音館書店 本体900円


「おいしいかぞえうた」
岸田衿子 文
古矢一穂 え
福音館書店 本体900円

9月の福音館書店は「ことばあそび」の絵本のオンパレードです。この二冊はことばあそびでもちょっとちがいがあります。子どもたちがだいすき食べ物1・2・3・・・と数を数えながら動物たちが好きな物を食べます。「ひょっこり ひとつ」も数を数えながら女の子と犬がちょっと冒険?するお話になっています。
どちらも身体を動かしながら歌うように読むのがおもしろい。
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「10ねこ」
岩合光昭
福音館書店 本体900円
これも数のことばあそびというか増えてくる猫がポイントです。岩合さんの猫はおとなのファンが多い
猫ブームなので猫ずきのおとなが買っていきます。それにしてもいつものことながらこのたくさんの猫の写真にぴったりの文がついています。ひと様々というように猫様々ですね。ちなみに私は猫を10匹位かっていたことがあります。見知った猫、猫を見つけてとてもなつかしくなりました。


2016年10月 1日 (土)

佐々木マキの小さな絵本2冊

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「あかいけいと」
「あおいともだち」
佐々木マキ
偕成社 本体各800円

あかい毛糸玉を見つけました。ぐるぐる巻き取っていくとハートの形になったり、お花の形になったり、スプーン、ホォーク、そのうち走る人、踊る人とどんどん大きくなって、ぞうさん!あっ、大きな大きなおばあさんが編み物をしていました。こうやってどんどん一筆書きで描くように形がかわっていく絵本に「はろるどシリーズ」がありますが、それよりもう少し幼い子どもが楽しめるようになっています。
あおいともだちから遊びに来てね、という手紙がきたのででかけていきます。あおいともだちってだれだろう?うさぎに会います。”きみがあおいともだち”と聞くとうさぎは”ちがうね、しろいうさぎ”と答えます。次に会ったのはサイ、聞いてみると”ちがうね、はいいろサイ”つぎつぎに会う動物はみんなちがいます。いったいだれでしょう?色にからんだ動物がでてくる絵本になっています。
 画家らしい大きな目をした子どもとおなじみの動物たちがでてきます。幼い子どもは持ちやすいからでしょうか小さな絵本が大好きです。おでかけの時にもちょっとカバンのなかに入ります。2、3歳位の子どもにどうぞ。

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10月の営業とお休み

  • 10月のお休み
    *お休み 2日(月)・9日(月)・16日(月)23日(月)30日(月) *営業時間 10:30〜6:00 日曜日は1:30〜6:00

お仲間にどうぞ

  • ー元気になる集まりいろいろー
    *よいこ連盟(保育士・なろう とする人)13日(金)7:00〜  「絵本をみる」        *Y・Aの会 読書会(どなたで も)12日7:00〜 「とりあげ る本 赤川次郎の本を読む」   *絵本の会 「絵本づくりの現場から」講師光村教育図書編集・吉崎さん 20日7:00〜(誰でも)           *グループ放課後 読書会「蜜蜂と遠雷」(公共図書館司書・その他)18日(水)7:00〜                  *ボランティア講座 非公開 16日(月)10:00〜       *憲法カフェ26日(火)「教育と憲法2」講師千葉県若手弁護士の会・中島弁護士 9月31日(火)7:00〜         *羊毛チクチクの会ハロウィーンのカボチャをつくる 19日(木)10:30〜                                                                                                                         

これからの会

  • 子どもと本これからの会
    読書は知識や楽しみも含めて心の栄養を与えてくれます。そして考える力になります。 被災地の子どもたちに本を届けたい、身の回りの子どもたちの環境を考えていこうという、二本の柱をたててボランティア活動をすることで出発しました。 いろいろの方たちの希望と力を持ち寄って、すばやく、やわらかく、活動を続けていきたいと思います。参加される方は参加登録してください。 世話人 坂上・宮田・大山