これからの会

  • 子どもと本これからの会
    読書は知識や楽しみも含めて心の栄養を与えてくれます。そして考える力になります。 被災地の子どもたちに本を届けたい、身の回りの子どもたちの環境を考えていこうという、二本の柱をたててボランティア活動をすることで出発しました。 いろいろの方たちの希望と力を持ち寄って、すばやく、やわらかく、活動を続けていきたいと思います。参加される方は参加登録してください。 世話人 坂上・宮田・大山   
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2016年9月30日 (金)

日の鳥 2

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「日の鳥 2」
こうの史代 
日本文芸社 本体900円

突然姿を消してしまった妻を探し求めての旅、雄鶏はいまもなお妻を探す。けれど妻の姿はどこにもない。樹が静かにたっている。誰も住んでいない家、自然が誰もいない家に入り込んでくる。ぐるぐる、高く高くつるは空に巻き付いて。でも、ずっと月には決して届かない願い、もう一度会いたい。
東日本大震災から5ヶ年、2年8ヶ月後の山元・多賀城・塩釜にはじまって4年3ヶ月後の東海まで、雄鶏はひたすら探して旅をする。
 原発の再稼働をめぐって反対の力は消える事はない。でもすっかりひっそりとなった福島原発、炉はどうしているか。ひっそりと生きている炉たち、そして、ひっそりと福島の地に朽ちようとしている人たち、生活を共にしていたものたちとの物語。

2016年9月29日 (木)

ふたばからのおたより   -9月―

        プラネタリウムに行きました・・・

 先日、きぼーるにあるプラネタリウムに行ってきた。ハープとチェロのミニコンサートがあり、早々にチケットを購入した。仕事関係の飲み会も断った。
 千葉市のプラネタリウムは、座席がふかふかと柔らかい。リクライニングをいっぱいに倒す。頭上を覆う大きな球形。場内が暗くなり始めると、その球形にちりばめられた星々が輝きだす。その瞬間が好きだ。静かに低く、チェロの音色が響いてくる。
 昔の渋谷、五島プラネタリウムへは、幼かった息子たちを連れて、何度か出かけた。大きなプラネタリウムだった。息子たちと並んで座り、椅子を傾ける。半球を縁取るように描かれている家々の影、電信柱、夕暮れの街の風景。暗くなるにつれ、浮かび上がる無数の星々が、真っ暗になる中、まるで押しつぶさんかという息づかいで天井から迫ってくる。「ああ・・・」隣で幼い息子が息をのむ。この瞬間が本当に本当に好きだった。
 今でも時々思う。同じ何かを見て、同じ何かに触れて、言葉にならぬ気持ちを共有したと感じる時、何故こんなに震えるような嬉しさに満たされるのだろうか。親子だからとか、血が繋がっているとかいないとか、里親子だとか、施設の子だとか、子どもだとか、大人だとか、男だとか、女だとか、そんなことを超えて、同じ時間を生き、やがて消えていくだろう今、同じ地で息をし、同じ気持ちを重ねたと感じる温かさを、やはり私は伝えたいのだと思う。息子たちにも。出会ってきた子ども達にも、おはなし会で目の前に座る子供たちにも。
 
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そのきぼーるのアトリウムで、明日から1週間、また里親制度啓発のパネル展示を行う。今年は会場をとれたのが、この時期だけで、例年よりもかなり早い。里親制度のもとで育つ子ども達も親たちも、施設で育つ子ども達も職員も、特別な人たちじゃあない。立派というのとも、少し違う。悩むし、毒づくし、ふてくされる。それでも時に触れる小さな温かさに励まされ、背中を押され、ほんのちょっと明日を夢見る。当たり前のことが当たり前だと自然に思われるようになる日を夢見て、今年もきぼーるでの展示が始まる。
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展示には昨年同様、親子連れに足を止めてもらおうとハロウィンカラー。段ボールの魔女の家や大きなジャック・オー・ランタン、魔女の衣装も置いています。写真は、昨年の展示風景とさっき完成させた魔女の帽子です。 
きぼーる展示  9/29 午後 ~ 10/5 午後4時
1日と2日の土日には、子ども参加のゲームあり。 待ってます。  (の)

2016年9月28日 (水)

かげはどこ

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「かげはどこ」
木坂涼 ぶん
辻恵子 え
福音館書店 本体900円

かげはいつもぼくといっしょ、そして同じことをするよ。走ると影も走る。ぼくが手をあげるとかげも手をあげる。ただかげは時間によってちょっとちがってみえる。朝のかげ、昼間のかげ、夕方のかげ。夜は?かげどこかへいっちゃったよ。どこへいったのかなぁ。でも朝目が覚めて太陽が輝いていたら、またぼくといっしょにいる。水のなかのかげは?水の中でめちゃくちゃしたらかげもばらばらになってしまった。大きな木のそばにいくとぼくのかげはまた、どこかにいってしまった?でもね、木から離れるとぼくのかげも離れてぼくだけについている。かげとぼくは大の仲良しだから、いつでもいっしょ。あぁ!自分にかげがないなんておもってもみなかった。もし、なかったら。ぼくはどんなふうに見えるのかな!紙のようになってぺらぺら?この絵本は質問に答えてくれました。かげはいつでもいっしょだよ。かげもぼくなんだって。
 昔、シャミッソーの「影をなくした男」を読んだ事を思い出しました。一体自分は何者だろうかと思っていた時なので、影がない=死者なのかと思ったらちょっとぞっとした。この絵本にはしっかりぼくにはかげがある。そして、かげと元気に遊んでいる。ご安心を!

2016年9月23日 (金)

おおきなねことちいさなねこ

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「おおきなねことちいさなねこ」
石黒亜矢子 再話・絵
好学社 本体1500円


「むかし、むかし」とはなっていないけれど「あるところに、たいへんなかのよいおおきなねことちいさなねこがおりました。」昔話の定型な出だしです。おにぎりを見つけました。小さなねこがおおきなおにぎりをおおきなねこがちいさなおにぎり、お腹のすいた猫はすかさず相手のねこのおにぎりに視線がいって、おおきなねこは大きいのだから大きいおにぎりが必要だと言います。ちいさなねこはこれから大きくならなければならないのだから、自分こそおおきなおにぎりが必要だと言いはります。当然けんか、ますますおなかがすいてきたので誰かに仲裁をしてもらわねば、そこでさるに頼みます。このさるはなかなか曲者、二ひきのねこは騙されてしまいます。気の良いまぬけなねこ、対するさるはしたたかな知恵者、人間の世界でもそうやって庶民はいつも権力者に騙されてきていました。
 作者は妖怪ものを描かれる現代では第一人者かもしれません。妖怪というよりホラーとごっちゃになっていてなんだかきたなく?つまらない作品というか絵本が多いのですが、「恐怖」とか「妖怪」だか幼いこどもには「怪獣」だかごちゃごちゃになっていています。表情が豊かだということ、描き込みが多くて楽しめること、そして現代的なのだけれどしっかりと表現されていること、日本人の得意とする分野アニメのような表現が動きがあっておもしろいことなどがこの絵本の特徴です。本文はタテ組なので空間に描き込みが多いのが特徴的です。
 ところでこの絵本にはさるに対しての仇討ちが描かれていません。二ひきのねこは反省しますがおなかはぺこぺこです。かわいそうにね・・・・いいのですよ!こんどは賢くなるでしょうか。生きていくということはそれくらいシビアです。でも決して暗く終っていません。まん丸の月が煌煌と空に浮かんでいます。

2016年9月22日 (木)

とうだい

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「とうだい」
斉藤倫 文
小池アミイゴ 絵
福音館書店 本体1300円

新しい灯台です。だから廻りをながめてもまだなんだか良くわかりません。わからないけれど自分のしなければならないことは良くわかっているつもりです。まず、まわりにはいろいろなものがいて、いろいろことがあります。それがどういう意味を持つのかはまだ良くわかりませんが、いつもまわりを照らすことが灯台の仕事なので一生懸命に光を送ります。今日はたくさんの船が通って行きました。海のなかにもたくさんの生き物がいます。群れをつくっている魚たち、大きな海の生き物もいます。やがて冬が近くなって渡り鳥がやってきます。外の様子を知らない灯台にとって、外の世界の話をきくのは楽しみ!春になるとその渡り鳥たちは北の海をめざして飛んで行ってしまいます。灯台は鳥たちといっしょに飛んで行けない事を知ります。
 ある夜海は大嵐になりました。遠くの浪間に船がいるのが灯台にわかりました。助けをもとめています。灯台は自分のすることに気がつきます。どうか光が届きますように!
 この灯台はどこの灯台でしょうか。私の住んでいる千葉県には大きな灯台があります。鳥が帰ってきて鳥から話を聞く、この鳥はウミネコでしょうか?ウミネコと話を交わす場面、嵐の場面、夕焼けのなかの灯台、絵本というより詩画集の趣があります。私も夕ぐれの空の下の灯台を訪ねたくなりました。

2016年9月21日 (水)

アウシュヴィッツの図書係

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「アウシュヴィッツの図書係」
アントニオ・G・イトゥルべ
小原京子・訳
集英社 本体2200円


アウシュヴィッツの強制収容所には囚人たちによって学校が作られていた。1944年のこと、この本はそこに送られていたユダヤ人少女ディタ・クラウスの実際にあったことをもとにして書かれた小説だ。著者はスペインの作家、実際は「本」にまつわるエピソードを探していたところ、学校がありそこには秘密の図書館があって、その図書係の少女のことを知ったことからこの物語ができた。ディタは1929年プラハ生まれ、1939年ドイツ軍のチェコ進軍でプラハを追われテレジーのゲットで1年過し、1943年12月貨車に乗せられアウシュヴィッツ第二強制収容所に送られた。(くわしくはP44〜45あとがきに)すべてが死と背中合わせのそこに青少年のリーダー、フレディ・ヒルシュは密かに学校をつくり、8冊だけの図書館があった。先生の授業に本を貸出し終わったら回収して秘密の場所に隠すという行為、それがディタに託された事だった。ナチに見つからないように服の内側にポケットをつくり持ち運ぶ、もちろんナチに見つかったら直ちに死へ、しかもディタだけでなくまわりの者の命がないことはいうまでもない。8冊の本だけではない、そこにもっていなくとも先生が自分の読書の記憶をたよりに子どもたちに語る場面がある。ホロコーストの状況はすざましい、吐き気がするほど、時にはとても読み進めることが難しいようなことがあった。じつをいうと最近立て続けに友人の死の報に立ち会うことがあり、気持ちは沈むばかりだった。何度読むのをやめようかと思った。けれどこの極限のなかに子どもたちは本を読んでもらい、おもしろいところは笑いさえしたという。ちなみにこの8冊の本は[バラバラになりそうな古い地図帳」「幾何学の基礎」「世界史概観(ウェルズ作)」「ロシア語文法」「傷みの激しいフランス語の小説」「精神分析入門 フロイト著」「表紙のないロシア語の小説」「チェコの小説=兵士シュヴェイクの冒険 かろうじて本の状態」到底私にはきっと読む事ができない本だろう。本というもの、一体これは何だろう。明日は、いや、いまにもナチの気分でまわりのものも一緒に何千人とガス室に送られてしまうなかで本を読む。先生が読むのを楽しむ子どもたち。
 ディタがアウシュヴィッツ収容所に来る前1年いたというテレジン収容所の子どもたちのことを書いている本が出版されている。
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「テレジンの小さな画家たち」
野村路子
偕成社

その頃テレジン収容所には15000人のユダヤ人の子どもがいてその子どもたちのたったひとつの楽しみは絵を描く事、4000枚の絵を残してほとんどはアウシュヴィッツに送られてガス室で殺され、生き残ったのは100人だけという。
 絵も本も音楽もこの子どもたちの命は救えなかった。おなかがいっぱいになるわけでもなく、命がたすかったわけでもない、でも、子どもたちがわずかな命を輝かせてくれたのも事実だ。そして、子どもたちは絶望した大人たちの、やはりほんとに細い光りだったのだ。本が命を救うなどという空疎な言葉は言うまい。ただ少しだけでも本と出会えることがあるようにと願うだけだ。本は自由の象徴だと思うから。

2016年9月20日 (火)

船を見にいく

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「船を見にいく」
アントニオ・コック作
ルーカ・カインミ絵
なかのじゅんこ訳
きじとら出版 本体1600円


どっしりとした船体の船、もちろん船は人々の生きていくための物を運ぶ。けれどこの本のなかにでてくる、いや!でてこない「みえない旅人」も運ぶ。船はたんなる物を運ぶものではない。見えないもの、時にはふわふわと形のないもの、時にはしっかりと見えるもの、人はそれを夢と呼ぶ。夢を運ぶのに船ほどふさわしいものはない。
 男の子はパパと船を見にくる。人々が働いている、潮の匂いのなかに汗の匂いがする。そして、人々の夢の匂いがする。時々男の子は一人で船を見にくる事がある。パパもママもそのことがわかっているけれどなにも言わない。昔パパもママも一人で船を見にきたことがあったからだ。
 男の子はこれから自分も船に乗って見えない旅人になる事を知っている。ただ船は海という相棒がいることはまだあまり気がついていない。旅人は孤独だけれど、いつかは孤独を知り分かち合える相棒が必要な事を男の子は知るだろう。
 存在感のある船と働く人々、しっかりと表現された絵が良い!

2016年9月17日 (土)

きょうは そらに まるいつき

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「きょうは そらに まるいつき」
  荒井良二
偕成社 本体1400円


今夜は満月です。残念ながら雲に覆われてぼんやりとしかみえません。
 公園にあかちゃんをのせた乳母車がいます。見上げた空にはまあるいお月さま。女の子はバレエのおけいこの帰りです。男の子もあたらしい運動靴をもってバスに乗ります。バスのなかから見上げた月はまん丸です。だんだん暗くなって灯がついて洋裁店ではカーテンをひきました。今日はもう仕事は終わりです。そばで子どもがねこを抱いています。今夜の月はまん丸です。ギターの練習をしている人、空にはまるい月が見えます。
 遠くの山では熊が、遠くの海ではクジラが泳ぎ、近くの空地では猫たちが集まっています。空には丸いお月さま、あかちゃんも空を見上げています。みんなの空には丸い月。
 最後のフレーズ「ごほうびのような おつきさま」です。そう、それは生まれてきたことへのごほうびです。だれのうえにも、だれのところにも やさしく月は輝いています。
 「きょうは そらに まるいつき」とくりかえされる言葉、人々がいつものように夜を迎える、静かに月の光りが降り注いでいます。いつものように、みんなに、あなたに。

2016年9月13日 (火)

スコットくんとポワロくん

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「スコットくんとポワロくん」
 フィリケえつこ さく
あすなろ書房 本体1500円


スコットとかパウロのネーミングからのイメージといえ、ちょっと見ると翻訳絵本かと思った。クロとシロの切り絵、鮮やかな色は原色にちかく、とても洗練された色をつかつてのデザイン的な絵のページをめくっていくたびに物語はすすんでいく。日本人離れした絵は画家がながくフランスにいたということで納得した。絵に穏やかな丸さがない、細かい影絵のような人やものがぺージのなかでうごいている。親友のポワロくんからのお誕生日パーティに呼ばれたスコットくん(ガイコツですぞ!)は3つのものを持ってくるようにたのまれる。1、上からみるとまる、よこからみるとながしかく、けみたいのものが1本2、うえからみるとまる、よこからみるとさんかく3、うえからみるとおはなのようのなまる、よこからはボコボコしたさんかく。名探偵ポワロくんがだしたなぞなぞつきの手紙をたよりに、スコットくんは謎解きをしながら頼まれた物を探しあててパーティーにでかけます。表紙の絵は中世のヨーロッパの街に見られる広場です。(そういえば日本には広場がない)飛行船が大空に浮かんでいます。スコットくんとパワロの風船はどこまでとんでいくでしょうか。あなたのところまで!

2016年9月10日 (土)

せなか町から、ずっと

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「せなか町から、ずっと」
斉藤倫
福音館書店 本体1400円




ここは ゆかいな
せなか町

せなか かいかい
でかい かい?

せなか かいかい
せかい かい?
(p13より)
せなか町ってどこにあるのでしょう。だいいちせなか町ってなんだ?ある海の水平線とそのうえが空色。下が水色。その間を気がとおくなるほど長い月日、ただよっているのがこのお話をしているエイです。その凄く大きいエイがある日空を飛んでいた鳥に魅かれて鳥を追いかけます。つかまり自分も飛ぼうとおもったけれど、できなくて落下してからそこにずっといたら、いつの間にか背中に町ができてしまった、その町に住んでいる少年や少女の物語です。とはいえ少年や少女だけではありません。人以外の物があります。(あっ、最初の話は少女でなくマチルダばあさんとカーテンの話です。)少女の涙から極上のハチミツがとれた話やだれも鳴らし方がわからない楽器を演奏する事になった少年、箱の中にはねこがいると言ったために街中大騒ぎになった話、エイは白い鳥に聞かれて話はじめます。どの話もほんとうのようでほんとうでないようです。この暑い忙しかった夏に読み始めたものの、ちゃんとエイのお話にはいきれなくて私はそのままにしていました。少し気持ちが落ちついてと思った時に友だちが亡くなったという連絡があり、茫然としてただ本を読んでいました。
 静かなそれでいてちょっとこっけいなくらいの話ばかりです。白い鳥にひかれて空をとぼうとおもったエイ、そういえば友だちも小説を書きたいといっていたのに、原因不明の病気で毎日生きていくのが精一杯だった。(このエイの語った話はどれも最後には願いが叶っています。)孤独の果てにエイが語った物語をやっとゆっくりゆっくりと聞くことができました。
 今年の夏はこんなふうに終わりました。


2016年9月 9日 (金)

にわとりかあさん

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「にわとりかあさん」
こどものとも年少版10月号
木坂涼 文
高畠純 絵
福音館書店 本体389円

にわとりが一羽何をしているのでしょう、なんだかあらぬ方向をみて一生懸命です。あっ!卵をあたためているのです。だんだん卵は大きくなっていきます。にわとりかあさんの困った様なびっくりするような表情ととぼけたような様子がおかしくて。それに言葉のはぎれの良いリズムがその楽しさを何倍にもしてくれます。温めていた卵どんどん大きくなって、生まれたのは?
 今夜保育士さんの勉強会があって幼い子ども(この場合例にでたのが2歳くらいの子どものことでした)が最初は口まね、それがだんだん憶えてどんなに楽しんでいるかという話がでました。この絵本もきっと元気に聞いてくれることだとおもいます。

2016年9月 6日 (火)

はこぶ

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「はこぶ」
文 佐々木幹郎
絵 いわむらかずお
復刊ドットコム 本体2500円


「はこぶ」というと人か車などが荷物を運ぶことを考えがちです。この絵本は自然が運ぶものからはじまります。風、水、波、何を運ぶのでしょう。また、虫たち、獣、鳥、みんな生命、生命のもとの食べ物などを運んでいます。ところが人間は食べ物だけではありません。人自身さえ運びます。運び方もいろいろです。道具を使って運びます。車が発明され船も飛行機もロケットも。運ぶのは人です。人が人を運びます。運ぶのに便利なように道をつくったりします。ところでものばかりではありません。水、人間の体の中のはどうなっているでしょう。ウィルスを運ぶ事もあります。そして、人間しかできないもの、言葉を運びます。
それは電話やラジオが発明されて映像までも運ぶようになりました。もっと、もっと速く、遠くへ!
 文を詩人が書いているので簡素で力づよく、絵はそれを細かく楽しく描いています。(表紙を見ているだけでおもしろい、運び方にも運ぶ人も運ぶ方法もたくさんありますね。)
 8月24日にブログで紹介した「ゆめのはいたつにん」は夢を配達している人の話、8月28日に紹介した「駅鈴」は天皇からの命令を馬に乗って伝える女の子の話でした。そして、会留府はその伝えることの大きな力になる「本」を扱う仕事をしています。「本」をとおして子どもたち(だけではありませんが)に伝えたいものがあります。運びたいものがあります。

2016年9月 5日 (月)

ひまなこなべ

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「ひまなこなべ」
アイヌのむかしばなし
文・萱野茂
絵・どいかや
あすなろ書房 本体1400円


アイヌのひとたちは沖縄の人たちと同じように日本人であるようなないような、とても切り離されている存在です。アイヌのひとたちは日本のあちらこちらに昔から住んでいた人たちです。山や川や自然全てに神(たましい)が宿っていたと信じていました。でもその事はアイヌの人たちだけでなく、日本人はすべてそう思っていました。その思いは現実の生活としっかり繋がっていた、現代の機械文明のなかでの私たちの意識のなかに今でも残っています。でも、現代はすっかり忘れてしまっているのも事実です。だから原発の問題もおこります。すべての頂点にたった人類は神のように全てを作り出し支配していくことができると思ってしまいます。アイヌの人たちはものにはすべて神が宿り、それらのものを私たちに与えてくれるかわりに、感謝の気持ちを含めて神をもてなし、神は天にかえったあともまた人々に豊かな物をあたえてくれます。神は熊のすがたに宿って私たちに恵をもってきます。この絵本はそのお話をもとにしています。昔ユペッ川上流の一番高い山を守るために天の国からやってきた神がありました。アイヌの人たちは大きいの熊なのでユペッ川の山の神と思い家まで運んで感謝の宴をもちました。踊りのなかに小さなかわいい踊りの上手な若者を見つけます。その若者をみそめた神は若者の正体を知ろうとたびたびアイヌの人たちにたくさんのお土産をもってきますが、若者の正体はいつもわかりません。
 文はアイヌの人たちの復権に力をつくした人です。それに画を描いた画家の絵はかわいい神さまになっています。どうしても、わたしたちがもっているイメージは厳つい荒ぶる神としているので今までの絵本などとちがいます。布と糸をふんだんに使い柔らかい楽しい神さまになっています。この神さまの名前が「ひまなこなべ」です。

2016年9月 4日 (日)

アニマリウム ようこそ、動物の博物館へ

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「アニマリウム ようこそ、動物の博物館へ」
ジェニー・ブルーム 著
ケイティ・スコット 絵
日本語監修 今泉忠明
汐文社 本体3200円


みごととしかいえない本です。何がみごとかというとまず描かれている絵が細密でわかりやすい。文も総ルビがふってあるのでゆっくり興味にまかせて読む事ができます。表題「アニマリウム」とはAnimal(動物)+rium(場所を表す接尾語)を組み合わせた造語とのことです。ここでは「動物の博物館」の意味でつかわれていると中の袖に説明されています。そして監修者が説明しているところによると<今、地球上には、およそ190万種の生き物がいます。それは、私たちが存在に気づき、ひとつひとつに名前をつけたものです。P3より>人類はそれらを分類学という方法で理解しようとしました。ところがその方法では大航海時代のヨーロッパにはたくさんの動物がもちこまれて難しくなり、スェーデンのリンネが新しい分類法を考え出しその標本は博物館に保存されるようになりました。
 この本は分類された動物が進化していく過程が描かれています。種が何百万年かけてどのように進化していったかがわかります。8〜9Pにわたって見開きいっぱいに「動物界の生命の樹」が描かれていて、ダーウィンが「種の起源」に説明している「生命の樹」のこと、まず第1展示室は<無脊椎動物-海綿動物・軟体動物・刺胞動物・節足動物そしてそれらさまざまな無脊椎動物がすんでいる礒や浜>とすすんでいきます。第2展示室は<魚類>第3展示室は<両生類>第4展示室は<爬虫類>第5展示室は<鳥類>第6展示室は<哺乳類>もちろん各々が住んでいるいる所の背景や様子なども描かれています。
 大型のしっかりした図鑑なので家庭で購入するのはいろいろの面で難しいとおとなは言います。それに、万人向けの本ではないかもしれませんが、ぜひ図書館や学校では購入して子どもたちに見せてほしい、私たちの地球は決して人間だけが、私だけが生きているわけではない、共生の意味がすこしでも理解できるように願います。とても美しい本です。

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連休の会留府

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