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2016年6月29日 (水)

ふたばからのおたより -6月―

      
             とと姉ちゃん

 「暮らしの手帳」を創刊した大橋鎮子さんと花森安治さんがモデルと聞いていたので
始まる前から、ちょっと楽しみにしていた。NHKの朝の連ドラである。ほぼ毎朝、出勤前に欠かさず見ている。
 うちの母は5人姉弟の下から二番目、早くに父親(つまり私の祖父)を亡くしたからといって、結びつきの強い伯母や叔父たちだった。一番上の姉であった伯母が教師になって稼ぎ、家計をずっと支え続けたという。90の半ば頃まで背筋を伸ばして、タッタと歩く伯母の姿を記憶している。
 自分の家庭を持たなかったその伯母は、いつまでもいつまでも妹や弟の面倒を見続け、私たち姪っ子や甥っ子もずい分世話になった。家に風呂のなかった時代には、学校の休み時間に駆けつけて、赤ん坊だった私を銭湯に抱いていっては泣かれていた、と何度か聞いたことがある。「家族は、本当にいいものよ」「寄り添い合って生きていく、それが家族なのよ」そうした伯母の言葉は、中学高校時代の私には、申し訳ないけど重苦しく、いくつになっても、どこか君臨してくるような空気に、一番敏感な年頃だったからかもしれない。
 それでも皆が集まった折々に聞く昔話は甘酸っぱかった。貧しく暗かった戦前の時代、若い伯母たちや母の四姉妹の道行く姿は、想像の中でも華やかだ。写真館に飾られたという伯母の話、若草物語を真似て、金持ちの隣の家と窓越しに手紙のやり取りをしたこと、集まってはしゃいだ闇鍋やかるた会、それぞれがペンネームまで持って、作った雑誌。「貧しかったけどね、みんなで手を取り合い助け合って生きてきたの。家族って、そういうものなの。」 
 本当に、本当に、そうなのですか? 中学高校時代をはるかに過ぎた今でも、私には、やはり息苦しく思う時がある。甥っ子姪っ子世代である私たちは、もっと自信なく、逃げ出したいという思いと逃げ出せないという思いの間をうろうろしながら、家族を、親を、親たち世代を背負っている。その気持ち、わかりますか? 問いかけたいけど、問いかけられない。
祖父は、出張中に琵琶湖の近くで亡くなったと聞く。いつもの出張から帰ってくる時の習慣で、玄関のポストを開ける音がコトンとした。女学生だった伯母が覗きに行ってみると、誰もいない。おかしいな、お父さんじゃなかったのかな? それから間もなく、死んだという知らせが届いた。
その日から、伯母は「とと姉ちゃん」として生き、今年3月、104歳になった。

Photo
 写真は昔々、伯母の家の縁側での私。            (の)

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