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2016年6月20日 (月)

小さなサンと天の竜

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「小さなサンと天の竜」
チェン・ジャンホン絵
平岡敦 訳
徳間書店 本体2000円


むかしむかしのお話です。谷間の小さな村が豪雨で山が崩れ土砂に埋まりました。村人たちは諦めてこの地を離れて行きましたが一軒だけとどまった一家がありました。山の向こうに畑があるのとまもなく子どもが産まれる予定だったからです。崖崩れの三日後子どもが生まれサンという名前をつけました。サンは産声をあげなかったどころか笑いながら産まれて来たので、おばあさんも父親も心配したりちょっと気味悪く思ったりしましたが、母親はサンをかわいがりました。毎日サンを背負って山をこえて畑に行き、帰ってくるので大変です。6歳のたんじょうびにサンは母親に竜の形をした枕を買ってもらいました。その夜山を背負って空を飛ぶ夢をみました。疲れて仕事ができなくなった母親のためにサンは山を崩すといい、みんなは絶対できないと言いましたが、母親を元気にするために、サンは岩や石をしょって捨てにいきます。でもそんなに簡単にできるわけではありません。
 表紙の三びきの竜のみならず、山や谷の様子、人々の顔の表情等ワイドでリアルな描き方です。仙人のようなおじいさんも日本の老人とはちょっと違います。もっと神に近い存在で、竜を呼びサンの偉業を助けます。サンが毎日ひたすら岩をしょって捨てに行く、高く積み上げられた岩山の奥に不思議なきのこがはえていて、老人はそのキノコでお茶をつくりサンの拾って来た石から三つ選び、お茶を注いで祈りなさいと薦めます。サンの祈りの言葉は竜を呼ぶ言葉になり、三頭の竜があらわれて岩をとりのぞいてくれます。
 中国では竜は川ともいわれます。川を制したものは国を制するともいわれています。この絵本の物語はそんなことを思い出してくれました。壮大な物語絵本です。
作者は中国の水墨画の技法を取り入れていますが、パリに移住しています。構成の仕方、書き割りの手法等日本の劇画やアニメに通ずるように思うのはわたしだけかもしれませんが、気持ちを元気に奮い立たせてくれる力があります。

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