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2016年4月27日 (水)

ふたばからのおたより -4月―

      
            むかし、ある春の日に・・・

 早稲田大学文学部のそばに、穴八幡という小さな八幡宮がある。今でこそ冬至の時期を中心にちょっと有名になったようだが、昔は、あまり人も来なかった。
 高校2年生になった頃から、プツッと学校に行かなくなった。今思えば、本当に馬鹿みたいなどうしようもない理由で、人生を変えてしまった。学校に行かないとやることもなく、家から近かった穴八幡下の公園ブランコに座って本を読んだりしていた。
「高校生?」ある時、ふいに声をかけられた。顔を上げると、痩せた人と太った人と、二人の若い男の学生さんが立っていた。「学校は?」「休んでいるから・・」「フーン」私の方から「早稲田大学の方ですか?」を聞くと、二人は顔を見合わせて笑った。そうして多分痩せた人の方が、頭を掻きながら「いいや、予備校だよ」と言った。こんな風に誰かと話をしたの久しぶりだな、と思った。手を伸ばせば、空気中を漂う声に触れられそうな気さえした。
 翌日だったかな、痩せたほうの人だけがやってきた。どこか待っていたはずなのに、ぎこちない気持ちを持て余して「もう帰らなきゃ」と、私はすぐ立ち上がっていた。勢いでブランコが大きく揺れて、膝の後ろにぶつかったことも覚えている。並んで穴八幡の石段を降りながら「僕がいると迷惑なのかな・・」ポソリと痩せた人は言った。
 ただそれだけの話だ。それから私の上にも、たくさんの時間が流れ、たくさんの瞬間瞬間を重ねて、いや、きっと痩せた人の上にも、太った人の上にも同じだろう。それでも、ゆっくり春が通り過ぎていく季節の中で、揺れるように時おり、思い出される時間というものもある。

P1010014

 写真は、以前ひたち海浜公園で見たネモフィラがあまりにきれいだったので、庭に種を蒔いてみたもの。海浜公園ほどではありませんでしたが、風に揺らぐ青は、なかなかいいものです。                    (の)

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