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2016年4月29日 (金)

むかし日本狼がいた

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「むかし日本狼がいた」
菊地日出夫 文・絵
福音館書店 本体1500円


こどもたちがおばあちゃんに話をねだります。おばあちゃんがしてくれたのはこどもの頃聞いた狼の話でした。だからこの絵本の舞台は江戸時代、場所はたぶん信州、作者の故郷の佐久地方でしょう。見返しに描かれている連なった山々は佐久地方から秩父地方に連なった山々の風景です。連なった山々に会いたくなります。今はもう絶滅したといわれている日本狼、おとこやまのくろおおかみとおんなやまのあかおおかみがてんぐやまのてっぺんで出会い、仲よくなって春三頭のこどもが産まれます。こどもたちは親狼に生きていくすべてを教わり大きくなります。一方ふもとの村では人間が子育てをしています。ある日父親は牛を買いに行き、子牛をつれて帰りの峠を越えようとしています。そして、狩りに出かけてきた狼の一家と出会います。どうやったら狼から逃れられる?火を焚きますが狼はじりじりと囲んだ輪を縮めてきます。命をすくったのはもらった赤飯でした。
 狼は夜狩りをします。昔は人も獣もみんな山の恵で生きていたのでした。迫力のある狩りの場面
、ここに描かれている狼たちはなにかの本や映像でみたことのあるカナダの狼よりいくぶん身体が丸い、ただ、実際はもっとよごれて?いるのかもしれません。もう少し精悍な姿に描かれるのかもしれませんが、なにぶん見る事がなくなってしまい、物語のような世界で考えられた姿なのでしょう。ヨーロッパなどと違って農耕民族である日本人にとって狼は神聖な獣のようにおもっていた。つまり農地を荒らす獣を退治してくれる存在だった。狼が絶滅した理由は確かに人間が殺したのかもしれないが、狼を殺しつくしたことより、銃の伝来と発達で狼が食糧にしていた獣を簡単に退治する事ができるようになり、飢えた狼はもはや人々にとって神に近い獣というより、ただ害をなす獣になってしまったからではないかという考えに納得してしまいます。前に買ってあった「オオカミはなぜきえたか 千葉徳爾・著」をひっぱりだして再読。いっしょにこれは狼の本ではないけれど「山の声 辻まこと・著」を本棚からみつけて読みふけってしまった。

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