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2016年3月10日 (木)

少年の成長ー「まく子」の続き

昨日のこのブログに西加奈子の「まく子」をとりあげて、キラキラと輝いている青春の書の評価をするものの、おとなになっていく体についての描写がおばあさんの私にはよくわからない、そして、とまどっていると書いた。それは作者が女であることに関係するのではないかとも思う。はたして男の子は自分の体に対してこんなように書かれているような見方をするのだろうか。私はどうしても男の生理がよくわからない。いつもなんとなくまわりの男の子を見て漠然とした性を想像していた。私には父も祖父も弟もいたけれど、男というより家族という目でみていた。男の子の生理がなまなましく描写されていると、そのことだけにとらわれてしまって男という性に思いがおりてこない。
 一方この本を読んでいてやはり思春期の男の子の成長を書いている長薗安浩の本を思い出してみた。
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「最後の七月」理論社

Photo_2
「あたらしい図鑑」ゴブリン書房




「最後の七月」にもおとなになりつつある体のことを書いている場面がある。しかも安治と友だちのカズは学校へ行く前から松浦という体の不自由な同級生の登下校に手を貸して来た。松浦は医者の息子、決して、自分の方からお礼を言ったり謝罪の言葉はない。男の子たちは松浦の体に対しての扱いがストレートであからさまだ。でもそれは松浦をあわれにおもうからではない。同級生の女の子に対してのささやかな恋?や不安も男ではないけれど同じ様な不安と戸惑いとして(たとえば生理がある)共通につかむこと、イメージができた。
「あたらしい図鑑」は13歳の男の子純、背が低いことにコンプレクスをもっている。ある日ひときわ背の高い老人村田に出会い、その老人の家に友だち(この子は今風にいうと性同一障害と呼ばれかねない男の子だ。)と訪ねていく。純も自分の性にとまどい、それは自分のおもうようにならないモヤモヤとしたもので、老人はそのモヤモヤをスケッチブックに貼付けることをすすめる。あたらしい図鑑を自分でつくっていくこと、その行為の中で思索をふかめていくことを教え死んでいく。村田は詩人の田村隆一と思われる。
 読者は本を通じて読むという行為のなかから、存在の不安を言語化していく。やはり青春の書はそうやって自分のなかに残っていくのではないだろうか。私は10代、小学校6年から中学・高校生くらいのあの不安な苦しい時代を思い出していた。

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