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2015年11月28日 (土)

丸天井の下の「ワーオ!」

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「丸天井の下の「ワーオ!」
今井恭子
くもん出版 本体1300円


マホが住んでいる所に古ぼけた市民資料館がある。みんなは博物館といっているけれどそんなものではないとマホはおもっている。取り壊しの話があるのだけれどマホはこの資料館が好きだ。今年の夏はとりわけちょこちょことここに来るようになった。それはこの建物の中心の丸天井の下に市内の子どもたちの中から優れた作品が展示されていて、マホがつくったものもここにあるとのことで見に来たのが始まりだった。マホがつくったのは「ミトコンドリア・イブの頭がい骨」ミトコンドリアとよばれる小器官の遺伝子情報によると現在地球上にいる人類すべては20万年前アフリカにいたたったひとりの女性からはじまっているといわれている。そのたったひとりの女性「ミトコンドリア・イブ」の頭がい骨が発掘されたらこんなようなものではないかと思ってつくったものだ。ところが来てみると展示の説明ラベルにはたんなる「イブ」としか描かれていません。マホは先生に抗議しようと思ってもできない、読み書きがとても困難なディスレクシアだからだ。ディスレクシア=読んだり書いたりする事が非常に困難な学習障害、しゃべることは人一倍達者で、自分の考えている事や感じたことを言葉にして話す語ることはできるのに、読んだり書いたりする事ができない。文字はみんなばらばらにミミズや虫が蠢いているようにしか見えない。小さな時にはそんな状況に気がつかなかったけれど、はっきりそれがわかってから母親はつきっきりで配慮したり教えたりしている、家中がはれものにさわるようにする、それがまたかまってもらえない妹の反抗になっていることをマホは気がつきながらもどうにもならなくイライラしてしまう。ある日マホはこの資料館で絵を描いている少年正樹と知り合います。正樹もまた、家族との軋轢と自分の才能に間で悩んでいる。はじめのうちマホは自分がディスレクシアだということは正樹に内緒にしていますが、反発しあいながらも自分の気持ちに素直になっていきます。それは読み書きが難しくても物語を紡ぐ事ができるということを正樹に指摘され良かったと言われ、正樹もまたマホの紡ぐ太古の物語、ミトコンドリア・イブの物語を聞く事で、できることに自分の未来を賭けてみようとおもいます。
 マホが正樹に「ディスレクシア」は病気ではない障害なんだよ、病気なら治る可能性があるけれど障害は一生なおらない」と正樹もまた「おまえのうそつき、ほらふきは才能だ。自分でつぶすのだけはやめろよな」と本音をさらけだして言いあう最後のところは、この物語をたんなるお涙の物語にしない迫力があります。決して結論づけはされていない、自分で考え悩みあるいていくことに意味があるのだと作者は言いたいのだと思われますが、それを作中からしっかり感じさせる力がこの物語にあると思われます。

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