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2015年10月24日 (土)

おねえちゃんにあった夜

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「おねえちゃんにあった夜」
シェフ・アールツ文
真リット・テルンクヴィスト絵
長山さき訳
徳間書店 本体1700円


すっかり風邪をひいてブログを書く事がなく日を過ごしてしまった。じつはこの時期毎年程度の差はあるけれど風邪をひく。決算の作業のため睡眠不足が続いてしまうからだ。のどかぜだったけれど咳きはほとんどでなくて熱が上がったり下がったり、一日仕事をしてくると疲れて寝てばかりだった。
 ここしばらくの傾向、ずいぶんと「死」をあつかった絵本が出版された。寿命がのびて「死」は身近に話題にされることが多くなった。ただ、それは生命の終焉というような「死」でなく経済的な不安感から生活面として長寿が問題にされること、具体的にいうと介護と認知症のことや、お葬式のことになっている。そのなかで、なぜか子どもの本の世界では「死」そのものについての本が多く、東日本の大災害にあらわれるように、突然そのことにさらされた子どもがいることが原因かと思われる。いまの日本では戦争で死ぬことはない、病気、交通事故、災害などで突然家族がうばわれてしまう。そう!こどもにとって「死」は幸せを奪っていく憎きものなのだ。昔は生活の延長のうえで「死」がみえていた。そばで死にいく人を見送っていった。「死」が見えなくなったのは近代、戦争からか。いまはボタンひとつで遠くの人を殺すことができる。生活のためといって目に見えない自然界に存在しない放射能を作り出し、原発の事故で何年続くかわからない恐怖と不安をつくりだしてしまった。それでもなお原発をつぎつぎに稼働させていく。
 この絵本の主人公、ぼくのおねえちゃんはぼくが生まれる前に死んでしまって、おねえちゃんは灰色の写真のなかにいる。ある日突然ぼくの耳におねえちゃんの声が聞こえる。そして、夜迎えにきたおねえちゃんと自転車にのってでかけていく。町並み、森、野原、空まで登って月に行こうとしたり(でも遠かったのでやめたー月の世界、むこうの世界にはいくことがなかった)教会の墓地にいく。(お墓の下にはおねえちゃんの骨がある)そして、おねえちゃんが命を落とした病院へ、そのあと公園の大きな池の浮かべた舟に乗る(はじめて大きな悲しみがぼくをおそってくる)その悲しみはぼくだけでなく、パパのつくった家具にもママのつくるスープのなかにもなにもかもにあるものだ。それからおねえちゃんが持ってきてといった鳥のおかしを半分に割って食べた。(命をわかちあう)”おいしいね”家に帰っておねえちゃんとからだをくっつけて寝たはずだけれど朝にはおねえちゃんはいなかった。ぼくはおねえちゃんに会った事、夢でなくおねえちゃんはほんものだったとババやママに話す。”ほんとに?””うん”パパがかけている音楽が聞こえ、あったかいパンの匂いがながれている。この絵本はおねえちゃんを失った家族の悲しみと再生の物語だ。その情感がおさえた画風のなかに色で表現され描かれている。
 「チャーちゃん」保坂和志・作/小沢さかえ画はオビに<ぼく、チャーちゃん。はっきり言って、いま死んでます>死んでしまったチャーちゃん、ネコは死んでいるのでなく、踊っています。ババとママが寝ているときでも、見えないところでいつでもチャーちゃんは<走って、歌って、踊っている、みんな一緒です>残念ながら作者の言葉が伝わってこない、古典調のきらびやかな画風も心に響かない。
 そして、「ママがおばけになっちゃった!さく・のぶみ 主人公は4歳の男の子、ママは交通事故で死んでしまい、ママのかわりをおばあちゃんがしてくれるのに泣いてばかりいるので、死んだママがおばけになってぼくを元気づけるという絵本だ。<日本中のママがおもわず子どもを抱きしめた感動の絵本>とのオビ、腹が立つというより、日本のママはずいぶんみくびられたものだと、こういう本が学校や保育所・幼稚園などで読まれたりするのかと思うと腹立たしい。私は本に良い本も悪い本も原則的にはないと思っている。けれど、なんだろう、何を誰に言いたいのだろう、しかも最後はこの子はずっとママが側にいるようにとママのパンツをはいて寝るという、一体この絵本はなんなんだろう。これはおとなの暴力でしかない。
 先日機会があって縄文時代の土器からはじまって縄文人の話を聞く機会があった。復元作品の幾つかのなかに土偶があった。おなかのおおきい人の形、子どもを抱いているもの、命を産み育てることと背中合わせの死に対しての畏怖の心が伝わってくる。人々は過酷な自然のなかで命を繋いできたのだ。そのことこそ子どもたちに伝えていきたい。(このようすはFace book エルフの仲間たち、またはHobbit Elfで)
 


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