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2015年10月 1日 (木)

稲と日本人

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「稲と日本人」
甲斐信枝 さく
佐藤洋一郎 監修
福音館書店 本体2000円


あなたはご飯を良く食べますか?現代の日本人はお米をあまり食べなくなったといわれています。確かにそうかもしれません。その理由のひとつはあまり肉体労働をしなくなったからかもしれません。ご飯を焚いて食事をすることにくらべればパンは手軽に食べられます。また、豊かになるにつれて、お米と漬け物という長い食生活が健康にマイナスになることがよくいわれます。落語ではないですが梅干しをみて、それだけでご飯が結構食べられてしまう、栄養のバランスや塩分の撮り過ぎなどがいわれます。私は朝にはかならずご飯を食べます。しかもおかずもたくさんしっかり食事をしないと一日仕事に力が入りません。
 この絵本は稲と日本人のかかわり、日本の稲をとおしての生活、歴史、文化が描かれています。もちろん稲という植物の面もありますが、もっとひろい日本人の精神史を読む事ができます。まず、絵のみごとなこと。手にしたらゆっくりページ全体の絵をみてください。現代のまったくコンクリートの建物で育っている子どもたちはどう感ずるかわかりませんが、日本は狭いのでちょっと歩くと田や畑があります。ところで田のことを知っていますか?稲がどう育ってお米ができるか知っていますか?私は子どもの時新潟で育ちましたが、家が農家ではなく、親戚もなかったので正直のところお米がどう育つのかは知識のうえでしか知りませんでした。だから田んぼには底があること、土手の話、田んぼが生物の共生になることなど、治水の役割もあることなど、おとなになって知った事でした。でも、この絵本のような田んぼのありさまは私の意識の中に根付いていて、良くも悪くも緩やかな意識、日本的共同体が自分のなかにしっかりとあることを感じます。10代20代のときはそこからなんとか脱したいと、欧米とくにヨーロッパにたいする憧れと劣等感のようなものがありました。簡単に崩れる事のない石造りの建物、乾いた風土、なぜかそこには自由と希望があるようにおもったものです。残念ながらひどい乗り物酔いと、病気がちだったために、なおのこと日本の自然も土地も湿度いっぱいにそこに縛り付けられるようにおもったからです。
 この絵本は日本の国を稲をとおして多面的に描いています。農家育ちではないけれど、私自身の心のなかにこの絵本の風景があります。田も稲も働いている人々も、そして、幾たびかの飢饉を経験して、飢えないで生きていく、人々の忍耐と努力と働くこと、時代はかわってもかわらず必要なことだと思います。なんといっても生きていくことは未来につながるという当たり前のことをこの絵本を見ながら考えました。
 新米をいただきました。何物にも代え難くおいしくいただきました。

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