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2015年9月21日 (月)

長崎ものがたり お船が出る日

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「長崎ものがたり お船が出るよ」
小林豊 文・絵
岩波書店 本体1600円




「日本の歴史と風土・船」シリーズ2册目になります。この本の舞台は西のはずれの長崎です。長崎は肥後の国の深江浦といわれた浜に交易のためにつくられた港町との説明が表中表紙に描かれています。裏の中表紙にはその頃16世紀の航海図がでています。主人公海太郎は野母半島に昔海賊だったという船大工の源蔵じいさんに育てられましたが、源蔵じいさんは海太郎が11歳のとき死んでしまいました。形見は小さな像、これをもって長崎の船大工の七兵衛のところへ行くように遺言します。海に流す弔いをした後、海太郎は長崎をめざします。街道を下って行く海太郎の見たようすが描かれています。まさに交易の町です。海太郎は訪ねていった七兵衛親方のもとで修業をすることになりました。そこには森太郎という少年がいて2人は仲良くなり一生懸命働きました。親方に連れて行ってもらった南蛮船、2人はますます海に出ていきたいと思います。2人は「媽祖さま」のお祭りに唐船のハウ船長に船に乗せて欲しいと頼みます。1年経ってハウ船長はガイコツのような幽霊船をひいてきて、七兵衛に直して欲しいといいます。七兵衛は引き受け海太郎も森太郎も働きます。そして、完成いよいよ出航です。もちろん2人も見習い船乗りとして乗船できました。
 海の向こうには知らない国、でも広い世界につながっています。長崎にたくさんの外国人が訪れ、見たこともないもの、知らないことがたくさん入ってきました。その雰囲気が画面いっぱいに描かれています。よく絵を見ていくとその人たちの息づかいや声が聞こえてきそうです。前作で作者は川を渡って来た船が新しい息吹を運んできたようすを描いていました。こんどは海、島国の日本では海や川をとおして異文化が入ってきました。そして、今以上に庶民はそれらを歓迎し、自分たちの生活に取り入れてきました。いまは、インターネットが世界を繋ぎます。しかし、どの時代にしろ海太郎や森太郎のような若者がそれら未来の担い手なのです。
 時代はちがいますが今回の政局を見ていて感じました。その若い人たちを後方で経験の豊かな熟年者が守る、それが戦争のない未来をつくっていくもとなのだと思いました。

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