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2015年7月18日 (土)

あひる

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「あひる」
石川えりこ
くもん出版 本体1500円




わたしの家ではニワトリを飼っていて、毎朝卵をとるのがわたしの役目です。あるひ、となりまちのおじさんがあひるをもってきてくれました。次の日少し弱っていたあひるを川につれていったら、安心したのか元気になりました。そして、また次の日大急ぎで学校から帰ってあひるを見にいくとあひるがいません。その日の夕食はお肉と野菜の煮ものでした。おいしかった、でも、この肉はあひる?
 私の家にも昔あひるがいました。農家でなかったために、戦中も戦後しばらく食糧を手に入れるのにとても苦労したそうです。母の着物はほとんど食べ物にかわったようで、母の前で着物の話をするのはタブーでした。あひるは身体の弱かった私に卵を食べさせようと考えたようです。あひるの卵はにわとりより大きかったので飼う事にしたようですが、いつまでたっても卵を産まないので、とうとう農業高校へ返したら、次の日に産んだとのことで残念だったと言っていた父の笑い声がしっかり記憶に残っています。この絵本のようにあひるをつれて川へ行って泳がせたりもしました。
 この絵本のわたしは昔の私といっても良いです。商店街にあったお肉屋さんに天井から肉がぶらさがっているのを見て、その前を通るのがこわくて、目をつぶって走った私がいます。そのためではないですが私はあまり肉を食べません。魚は大好きで自分でもじゅうぶんに捌く事ができます。肉と魚とどうちがうと自分の矛盾した気持ちもあったり、人は何かを食べなければ生きていかれない、そして他の生きもののように食べられることはないという不条理さのなかで生きていることを考えることができるのはおとなの私です。そして、この絵本のなかのお母さんのように、”あれ、あひるではないよね”と聞いた弟に”ちがうよ”とやさしく答えられるだろうかと思います。この絵本のわたしはきっとおとなになってやさしい声で答えられるおかあさんになれるとおもいます。
 モノクロの静かな考える絵本です。

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