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2015年6月24日 (水)

ふたばからのおたより -6月―

            スピーチコンテスト

 先日の土曜日、四谷にスピーチコンテストを聞きに行ってきた。奨学金をもらい大学や専門学校に進学する児童養護施設等の子どもたちの決意表明発表会とも言える。ただ月々お金を渡すだけでなく、何とか卒業まで支えたいという団体の意思から、スピーチ原稿を時間をかけて作り上げるところからボランティアがつく。子どもとボランティアがチームとなってコンテストに参加する。大勢の人たちの前で堂々と意見を述べる体験も大きいが、原稿を作る作業を通して、自分自身の今までを振り返ることが何より貴重な経験になる。何故自分は施設で育たなければならなかったのか、友達にも隠してきた施設のことや絶対に同情されまいと肩ひじ張った気持ち、それがふとした一言で変わったこと、実の親への想いや育ってきた施設・出会った人々への想い、そしてこれからの夢・・・、コンテストの形をとるが、それぞれの言葉がみな本当に重く迫ってくる。
 施設を出て上の学校に進む子どもの数は増えてきたとはいえ20%ちょっと、全国の進学率よりはるかに低い。進学すれば、学費と生活費どちらも背負わなければならない。いくつかの奨学金を組み合わせ、いくらまでなら将来返済できるかを考え、高校時代からアルバイト代を貯める。18才以降の長い人生の選択の幅を広げるためなのに、子どもたちが立つスタートラインは環境によってこんなにも差があるのか、と感じてしまう。
 うちの長男は大学進学した時、家を出たいと言った。無理すれば通えない距離ではなかったが、結局彼は家を出た。首の座らぬうちから保育園に預けてきた子だった。寂しい思いもさせ、けっこう無理な要求にも応えてくれたから、私たちは共稼ぎを続けてくることができた。その息子に、何とか4年という時間をプレゼントしたかった。4年後、彼は社会人になって、経済的にも精神的にも親から自立していった。
 コンテストのスピーチはどれも立派で、感動的で時に涙を誘った。でも、スピーチを感動と涙で終わらせていいのかというと、違うだろう。親のことも含め、自身の人生を問い直し精神的に自立していくことと、経済的に自立していくことと、その両方を同時に18歳で背負うことが、どんなに過酷なことか。せめて経済的に少しでもスタートラインを近づけることができないのか。子どもたちのスピーチが、むしろ感謝に満ちたものが多かっただけに、いろいろなことを考えさせられながら過ごしている。

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写真は6月の初めに日帰りで行った尾瀬。水芭蕉は満開とは言えませんでしたが、久しぶりにブラブラ歩く山道は気持ちよかったです。花豆ソフトアイスを食べました。
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