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2015年5月23日 (土)

わたしが外人だったころ

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「わたしが外人だったころ」
鶴見俊輔・文
佐々木マキ・絵
福音館書店 本体1300円


著者は1922年生まれ、私の父母の年齢ですから今の子どもたちからすると(たとえばこのたくさんのふしぎ傑作集を読む小学校高学年の子ども)ひいおじいちゃんにあたります。母方の祖父は後藤新平、父の鶴見祐輔は1923年関東大震災がおこり、その復興の時の内務大臣でした。こんなことを説明するとともかくずっと昔のことのように子どもたちは思います。祖父母とは時代を共有する子どもがいることもありますが、それ以前の人はたとえ肉親であろうと歴史上の人になってしまいます。それこそ、物語やドラマのなかの人になっています。しかも時代は猛スピードで技術革新?がすすんでしまって、いっしょに住んでいてもなかなかわからないことが多くなってしまいました。私はともすると子どもたちのその祖父母にあたるのですが、10代、20代の人たちと話をしていると、言葉が通じないということを時に感じます。日本語という共通する言語をつかっているにもかかわらず、生活、風俗などがかわってしまったのが原因だとおもいます。
 いま、80代の人たちの生きてきた時代を伝えたいと強く思います。それは戦争があったからです。特に自分をみつめ考えた青春期を戦争のなかで、日常的に生ととなりあわせの死のなかに生きて人たちが何を見て、何を考え、何を感じてきたのか。かろうじて生き残ってきた人から聞いておかなければ、伝えなければならないと、次々に訃報に接するたびに思います。ただ、残念ながらもうほとんど不可能になっています。せめて、本として語られることによって伝えたいとおもいます。
 この本は著者が16歳、1938年秋アメリカのマサチューセッツ州コンコードにいた時の学生時代から、開戦で(その頃はハーヴァード大学生で19歳)東ボストンの収容所の生活、交換船で日本に帰ってくることになった船旅、横浜で受けたその年最後の徴兵検査で海軍に入りジャワ島でのことが書かれています。
その後著者は胸部カリエスの手術、1944年12月に日本に帰ります。
 文中著者はこう書いています。「わたしはアメリカにいた時、外人でした。戦争中の日本にもどると、日本人を外人と感じて毎日をすごしました。それでは、日本人のなかで外人として生きてきたことになります。今は、わたしは外人ではないのか。自分の底におりていくと、今もわたしは外人です。ー中略ー地球上の人間全体の中で、日本人にとっては、外人のほうが多い。日本人は、外人にとりかこまれて、この世界でくらしているのに、日本人本位に考えるのでは、わたしたちは地球上にすみにくくなります。」P38〜P40
 著者は私がもっとも尊敬する哲学者です。もっといろいろ著作を読んでみたい人に「鶴見俊輔コレクション・黒川創編・河出文庫」がおすすめです。このシリーズの3巻にはいっています。
ところでこの本は絵本の形式になっていて、佐々木マキが挿絵をつけています。これがとっても良い、抽象画ですが、ページページの著者の心理が良く表現されているとおもいます。

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