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2014年3月26日 (水)

ふたばからのおたよりー3月


            ここではない どこか

 「メアリー・ポピンズ」の原作者P.L.トラヴァースと映画化したウォルト・ディズニーのやり取りが映画になったと聞いて、ちょっと楽しみにしている。まだ見てはいない。メアリー・ポピンズは、本で読んだのが先で、それから映画を見たと思う。小学生の時だった。読み終わるのがもったいなくてもったいなくて、残りのページを指で測りながら、わざとゆっくり読んだ記憶がある。バンクス家の子どもになったつもりで、一人近くの公園まで散歩したりした。「ほら、ちゃんと歩いて。お茶の時間に遅れますよ。」というメアリー・ポピンズの不機嫌な声を夢想しながら。
 ここではないどこか、私ではないだれか、をキュンとするほど求めているような子どもだった。学校の教室や住んでいた公務員宿舎、私である毎日に蓋をして、一人ぼーっと空想の世界に浸る一時は、やはり幸福な子どもの時間だったと、今思う。
 今年も3月に、卒園式が行われた。家庭に帰る子もいるが、たいていが高校を卒業して施設から社会に一人立ちしていく。式の中で一人ひとり、みなの前に立ちマイクを手に挨拶する。あれだけ不平不満でブチ切れそうだった日々が過ぎて、選びながら正直にまっすぐに語られる言葉は感謝だったり不安だったり寂しさだったり希望だったり、聞く者の心にストンと落ちる。その中で、一足先一週間前からアパートで暮らしを始めた女の子が言った。「私さ、一人で暮らし始めてさ、今までずーっとやりたくてたまらなかったことをやってみたんだよね。髪を染めた。夜友達のうちに泊まりに行った。するとね、あんなに、やりたくてたまらなかったことだったのに、やってみると、こんなちっぽけなことだったのか、そう思った・・・。」
 ここではないどこか、私ではないだれかを求めて、おずおずと生きている子どもや若者や、そして大人たちがいる。
今年もまた、いのちが愛おしく感じられる春が来た。          
P1010032

写真は、降り積もった雪の下で何日も埋もれていたクロッカス。庭の花壇だけがいつまでも雪が溶けずに残ったままでした。多分もう駄目だろうと思っていたら、芽を出し、可憐な花を咲かせてくれました。
              (の)

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