« やまやまのへっぴりじさま | トップページ | 「きのこ」のはなし »

2013年10月 7日 (月)

キタキツネの十二か月

Photo 
「キタキツネの十二か月」
わたしのキツネ学 半世紀の足跡
竹田津 実 
福音館書店 本体2800円
 

著者はキタキツネ物語ですっかり有名になった、本職は獣医師です。「オホーツクの十二か月」を読んだ人はこの本の背景もわかって読むので、北海道のきびしいけれど豊かな水と土に恵まれた雄大な自然のなかの生き物の息づかいを感ずることができるとおもいます。けれどはじめて読む人も1ページおきにはいっている写真がしっかり伝えてくれます。その自然を背景にキタキツネの12か月を追って構成されています。
1月北海道の東部小清水町は一面の雪野原になります。雪は生あるものをすべて覆い隠してしまいますが、一方生きているものの印をあきらかにしてくれます。キツネの寿命は自然界では5年といわれている、当然住み着く場所は何代かのキツネが住んで、旅だっていきます。著者は1972年から傷ついた動物たちの保護治療にあたり、1979年からナショナル・トラストの運動をしながら生き物たちとつきあってきました。キツネは太陽光線を必要とする動物なので当然人の生活圏と重なってしまいます。フイールドワークの著者にとってそれは好都合、でも、当然人との摩擦が多いということになります。だからこの本はキツネの観察と同時にその営農地との人々のことが描かれています。キツネのことだけでなく、それがおもしろい、例えば農場のひとたち、そのなかでもいつも餌をやるというより共生している人、またキツネが大嫌いな人、観光客、管理する役所の人、いろいろな人々の生き方が出てきます。<キツネは耳で生きている動物P59><キツネはどんな価値観で子育てをするのかP90><子育てにヘルパー?がいることP362><雄ギツネの役割P166><交尾・出産>そして、<子離れ、親離れ>など12か月のカレンダー式に描かれています。これはキツネだけではないのですが(私は猫のなかでみたけれど)子どもが自立する時のきびしい状況、特に大きくなった雄は時期がきたら徹底的に追い出されるそのすざまじさ、親に虐待され捨てられた子ギツネのトラウマの悲惨さ、観光化されたキツネの悲劇、読んでいて動物の好きな人にはつらい場面がありますが、それでも無心に遊ぶキツネたちと(キツネはほんとによく遊ぶ)それを見守る人々との交歓が、読む者の心を豊かにしてくれます。最後の「竹田津さんとドロボウ猫の話ー解説にかえて」安野光雅の解説がおかしい!
 読書の秋、ぜひおすすめの1冊です。
 ー10月19日映画「キタキツネ物語・リニューアル版」が全国公開ー

« やまやまのへっぴりじさま | トップページ | 「きのこ」のはなし »

一般書籍」カテゴリの記事

児童書(Y・A)」カテゴリの記事

自然」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/110398/58335509

この記事へのトラックバック一覧です: キタキツネの十二か月:

« やまやまのへっぴりじさま | トップページ | 「きのこ」のはなし »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

6月の営業とお休み

  • 6月のお休み
    *6月5日・12日・19日・26日の月曜日                    *6月4日・11日・18日・25日の日曜日は1:30〜6:00            *営業時間10:30〜6:00

お仲間にどうぞ

  • ー元気になる集まりいろいろー
    *グループ学ぼう・話そう 定例会第2月曜日12日(月)10:00〜話し合い  *ボランティア講座 定例会19日(月)10:00〜 テーマ「科学絵本を読む・非公開」              *憲法カフェ27日(火)3期・6月学習会「いま、福島は・報告と話し合い」誰でも・予約制             *グループ放課後(公共図書員・関係のある人) 定例会15日(木)7:00〜読書会・D・J・ハスケル著「ミクロの森」               *YAの本を読む会+のんき〜ず学校図書館司書  定例会8日(木)7:00〜読書会R・M・フイッツジェラルド著「スピニー通りの秘密の絵」   *よいこ連盟・絵本の会(保育士たち)定例会23日(金)7:00〜制作「絵本を読む」                *絵本の会16日(金)7:00〜方言で昔話を聞く・絵本で見る 語り手高橋峰夫さん                 *羊毛ちくちくの会22日(木)10:00〜制作                                                                                                           

これからの会

  • 子どもと本これからの会
    読書は知識や楽しみも含めて心の栄養を与えてくれます。そして考える力になります。 被災地の子どもたちに本を届けたい、身の回りの子どもたちの環境を考えていこうという、二本の柱をたててボランティア活動をすることで出発しました。 いろいろの方たちの希望と力を持ち寄って、すばやく、やわらかく、活動を続けていきたいと思います。参加される方は参加登録してください。 世話人 坂上・宮田・大山