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2013年3月28日 (木)

ふたばからのおたより -3月―

           巣立ちゆく 子どもたちへ
 
 今年もまた3月、卒業の季節を迎えた。以前このブログでも書かせていただいたが、本園の児童養護施設では今年もささやかな卒園式が行われた。
児童養護施設では、18歳という(事情により20歳まで延長可)大きな区切りがある。住み慣れた施設を出て、独り立ちの人生に向き合わざるを得ない。高校の同級生たちと同じように大学や専門学校への進学を考えた場合、その学費・生活費をどうするのか、17,8の子どもが思い描く夢物語と現実を突き合わせていくことが、共に暮らす職員の大きな仕事になっていく。幸い、いくつかの企業等の奨学金制度そして個人的に奨学金として寄付してくださる方もいらっしゃり、養護施設から大学や専門学校に進学する子どもたちは確実に増えてきた。それでもこれからの暮らしへの不安、どんなに突っ張っても見え隠れする自信のなさ・・、そんなものを胸に今年は4人の若者が施設を巣立っていった。
 卒園式では、卒園する子ども一人一人が皆の前で挨拶をする。ニコニコと思い出を語る女の子もいれば、ぎこちなく言葉に詰まり上を向く男の子もいる。不思議なのは、どの子もどの子も自分の言葉を語ろうとすることだ。おちゃらけもしない。ごまかしもしない。そして見送る側の高校生たちは、次は自分たちの番だ、と素直に思う。卒園式に出るたびに、あたたかな気持ちになる。
 ずっと以前、東京の自立援助ホームで長く働いていた。こうした施設の出身者たちが社会で躓いて住むところをなくした後にやってきた。しばらくそこで暮らし、仕事を見つけ、お金を貯めて、また社会に巣立っていった。金がなくて食堂で食い逃げしようとして捕まった少年や暴走族の頭、自分の部屋に立てこもっていた不登校の子、男の子ばかりの家だったが、夕食後の食堂になんとなく集まってくる時があった。ある子はギターを爪弾き、トランプをする子たち、何でもない話に笑ったり、ムンとした年頃の男の子たちが、たわいなく興じあう夜の時間を、今なつかしく思い出す。
 福祉は、美化されるものではない。
 でも、ごくたまに、本当にたまに、今まで悩んできたことへのご褒美みたいに、プレゼントされる時間に出会う。それは、とっても素敵なプレゼントだ。

Photo

写真は、5か月の建替え中、母のたっての希望で庭の隅に残してもらった柿の木。若芽を育てています。10年間に1個だけ実をつけました。
                                (の)

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