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2010年8月 4日 (水)

「消費税のからくり」


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斉藤貴男『消費税のカラクリ』(講談社現代新書)
面白い。消費税の本なので、取っ付きにくい感じですが、いっきに読めます。蒙を啓く感じで、「そうだったのか!みるみる分かる消費税のカラクリ!」と勝手に惹句を付けたくなります。
 さて、消費税という深刻でトンデモナイものを扱っていながら、なぜ面白いか?世の中には、悪知恵のはたらくヤツがいるもんだという感じですか。シロをクロといいくるめる壮大な絵図と、そのカラクリを片っ端から暴いていく痛快さ。消費税だけでなく、年金でも介護保険でも、行政のさじ加減ひとつで、庶民の暮らしなんて、どうにでもなるという冷酷さにゾッとします。
 消費税の3つの問題点、■逆進性■益税■景気への悪影響はよく言われますが、本書では、もっと大きな問題があると言います。まず、消費税は間接税か、直接税か?消費税は、消費者が負担する税制だと説明されてました。ところが「問題は、その説明が意図的な嘘であった事なのである」。つまり消費税は間接税でもなく、預かり金でもないと言う事です。これは判例で確定しています。90年に『益税訴訟』がありました。これは「突き詰められると厄介な論理で、国としてはこの段階から矛盾を認めてしまうと消費税そのものが成り立たなくなる可能性がある。そこで当時の大蔵省は、消費税のつもりで消費者が支払う金額はあくまでも物価の一部であり、『益税』などという概念は法理論的に存在しないという主張を展開し、東京地裁もこれを自らの判断とした」『益税』は結果論でしかないという理屈で、逆に『損税』も合法だという事です。「東京地裁判決は預かり金だとする解釈を明確に否定し(略)そのまま確定している。一般の消費者はこうした事実を知らないか、十分には理解できないまま、いつの間にか刷り込まれた嘘を真実だと思いこまされ、何かを買うたびに消費税を支払っているつもりでいるのにすぎない。そうなるように徴税当局は世論を操作してきた」
 つまり消費税は直接税であり、赤字企業からも取り立てられる中小企業税だという事です。


 ここからの展開は本を読んでください。なお読みたくなるように、著者がいちばん言いたかった部分を引用します。本の紹介としては邪道かもしれませんが。
 「消費税とは弱者のわずかな富をまとめて強者に移転する税制である。負担対象は広いように見えて一部の階層がより多くを被るように設計されているし、中立的などではまったくなく、計算も複雑で、徴税当局の恣意的な運用が罷り通っている。大口の雇用主に非正規雇用を拡大するモチベーションを与えて、ワーキング・プアを積極的かつ確信犯的に増加させた。税収は安定的に推移しているように見えても、その内実は滞納額のワーストワンであり、無理無体な取りたてで数多の犠牲者を生み出してきた。納税義務者にしてみれば、景気の後退イコール競争のさらなる激化であり、ということは切らされる自腹のとめどない深まりを意味している。これ以上の税率引き上げは自営業者の廃業や自殺を加速させ、失業率の倍増を招くことが必定だ。社会保障費の大幅な膨張を求める税制を、同時にその財源にもしようなどというのは、趣味の悪すぎる冗談ではないか。消費税は最も社会保障の財源にふさわしくない税目なのである。」
                        (高橋峰夫)

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