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2009年9月12日 (土)

愛蔵版 みどりのゆび

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「愛蔵版 みどりのゆび」
モーリス・ドリュオン作
ジャクリーヌ・デュエーム絵
安東次男 訳
岩波書店 本体2600円

 時々岩波書店はクロス製のとてもきれいな本を出します。この本も美しい本です。その時は箱入りがあまりムダに思いません。「星の王子さま」と同じように若いファンがいます。私はおとなになって読んだのですが、やはり印象の深い本の一冊です。
 ある国にチトという小さな男の子がいました。チトについてはこんなふうに描かれています。髪の毛は金色で先っちょはカールしている、目は大きくて青い、ほおはつやつやとバラいろをしていてかわいいぼうやです。それだけでなくチトには不思議な力がありました。おやゆびを押し付けるとみどりの草花が伸び花が咲きます。でも、教室ではぼんやりとしていて、居眠りをするしまつです。先生はチトは普通の子どもでないので教育が出来ないといいます。チトの両親は大金持ち、なんといっても大砲をつくっているのです。チトは学校へ行かないで実学的な教育を受けることになりました。そして、ムスターシュという庭師が教育係になりました。ムスターシュはチトの特殊な隠れた才能を見つけます。チトは<みどりのゆび>をもっていたのです。大砲の中に親指をつっこむとタマがでないで花が咲いたのです。
 とても印象的な物語ですが、私はじつは最後の<チトは天使でした>ですこし肩すかしをくったようにがっかりしました。とても哀しく思ったのを覚えています。この物語の静かな詩的な文をとおして、まだ見たことのないフランスに憧れました。「みどりのゆび」をもっていたらいいなぁと憧れました。世の中は1960年〜70年ベトナム反戦や安保反対運動で大きく動いていた時代でした。

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