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2009年8月16日 (日)

8月15日に

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 ひどく暑い一日になった。夜中、月が明るくて流星を数えることができなかったけれど、輝く星を見ながらある人のことを思った。記号にするのは不本意だけれど、あまりあきらかにしたくないとのご家族の意向もあって、仮にAさんとしておこう。
 先月Aさんはひっそりと亡くなったと、しばらくいろいろなお手伝いをしていた人から連絡があった。ひと月ちかく前にたおれて意識のないまま亡くなったとのことだった。
 Aさんとはどれ位前からのおつきあいだっただろうか。20年以上も前、店で2歳くらいからの幼い子どもたちと母親に「おはなし」をしたり本を読んだり、その時の主力のメンバーだった。その後、近くの保育園に「おはなし」の出前に行くようになった時も、中心になっていただいた。Aさんの「おはなし」は風貌に似合わず骨太で、特に中国の昔話が楽しかった。自宅でも毎日文庫をしていたとのことで、毎日?と驚いて聞いたとき、娘さんが3歳の時の高熱が原因で知的障害があり、その娘さんと遊びに来る友だちのために、”毎日文庫なのよ”。その後、子どもたちの自立のため、千葉市でグループホームをつくる運動をして第一号になった行動力のある人だった。
 Aさんはたくさん本を読む、ファンタジー的なものが好きで、よく安房直子の本の話などもした。その他、戦争に関した児童文学もかならず読んでいた。できるだけ買って、けれどそれらの本は惜しげも無く他の人にまわしたりあげたりする、その理由はAさんの少女時代に体験したことからだった。
 ある日、店の作業スペースでおはなし会の打ち合わせをしていたとき雷がひどかったことがある。私も雷は嫌いだけれど、その時のAさんの顔は恐怖でいっぱい、驚いた私に”雷の音は焼夷弾の音なの”
 Aさんは私にとっては歳の離れたお姉さんの世代で、私は戦争のことは知らないけれど、Aさんは女子学生として工場で勤労奉仕をしていた。そして空襲、大森で焼夷弾がふるなかを逃げ回り、”焼夷弾の音は雷の音、バリバリってね”。男手のない所帯のなかでの生活と苦労の話。
 最近は緑内障でほとんど見えなくなっていても本を手放さなかった。いよいよ読むことが難しくなって、”でも、持っているだけでも嬉しいから”と「たそかれ」(朽木祥・作)を贈った時のお礼の電話が最後になってしまった。
 私も家族を次々に見送ったりしてできなかったことなのだけれど、Aさんにあの大森での体験の「聞き書き」をしておけばよかったのに、それがいまはとても残念に思う。
 

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