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「ベラスノアとキックオフ!」って?

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「ベラスノアとキックオフ!」
片平直樹 作
平澤朋子・画
福音館書店 本体1200円

 表紙の絵はワニとサッカーをしている男の子、これだけでも魅力的です。けれど、子どもたちが何を期待して手にとるかわかりませんが、じつはサッカーの本ではないのです。
 最初に書かれているようにー古くからサッカーがさかんなある国の、ある町でー主人公のぼくは母親と二人きりで住んでいます。サッカーが大好きな10歳11ヶ月の少年はこの町のプロサッカーチーム<ロケッティー>の下部組織の<ロケッティー・ジュニア>の入団テストを受けようとしています。このことは母親にはないしょ、というのも、少年の良く知らない父親が、かってはロケッティーのキャプテンをしていて、11年前なぜか八百長事件にかかわったとかの疑惑で町を離れ、それ以後ロケッティーも二部に転落、それから何かにつけていろいろのことを言われて来たからです。少年も母親もそのことや悪口も聞こえない、言わないという生活をしてきました。
 突然、その父親があらわれます。ワニになって。(もっとも少年にはまわりのサッカーがらみのおとなたちは動物にみえています。)父親、ベラスノアは臭くてオナラやゲップをして、ぼくと母親の間に割り込んでくるし、ゆるせないと嫌います。
 そうです、これはサッカーの物語でなく父と子の物語、10歳頃からの男の子はこんな感じで成長していくのかもしれません。だから、もしサッカーでなく音楽でも同じようにいえます。男の子は中学生になり、夏休みが終わった頃から急におとなになります。体つきだけでなく、いうことからすることまで、おとなをからかうようなものの言い方までします。
 決められた滞在の日が終わり、父親は町を出て行きます。追いかけて行きながら主人公ははじめて”おとうさん”と言います。実際はこんなふうに劇的には終わらないと思います。父親が社会でどういう役割をしているかということを知り、感じながらゆるやかに自立していくのだとはおもいますが、そうならない父子もいる、何が分かれ目なのか、少年の目から語っているこの物語のなかには、それも描かれているように思います。
 

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