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明日から12月

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 とうとうといおうか、あとひと月で今年も終わりです。昨日も今日も、とてもよいお天気でした。朝は日の光が樹々の紅葉を明るく、夕方は空に沈む真っ赤な太陽が、樹々の紅葉を黄金色に染めて、とてもきれいです。見るたびにいつも、それは人工のイルミネーションより数倍も美しいと思います。人口の光はあせることなくいつも輝いています。自然はそうはいきません。時はどんどん動いて、陽の輝きもあっというまに影が支配してしまいます。輝きは一瞬です。でも、闇があるから輝きも心に響くのかもしれません。 いつも歩いて通る近くの千葉高校、中学校の樹々が紅葉真っ盛りです。この学校には大きな樹が何本もあります。欅の大木は葉が随分と落ちました。銀杏も昨夜の強風で葉が散って、下は川のように黄色の葉っぱで埋め尽くされています。
 もうしばらくすると樹々はすっかり裸になりますが、もう来春の準備をしていて、良く見ると小さな芽がしっかりとついています。
 店もとても華やか、一年中で一番売り上げはありますが、慌ただしく、学校の今年度の会計もまとめなければなりません。バタバタとサンタさんの替わりにプレゼントも選びます。風邪を引かないようにサンタクロースのようにしっかり働こうと心しています。 

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ムーンレディの記憶

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「ムーンレディの記憶」
E・L・カニグズバーグ作
金原瑞人・訳
岩波書店 本体1900円


 フロリダ州のランカスター・ミドルスクールの転校生アメディオは有名人のウィリアム・ウィルコックスと知り合いになる。ウィリアムの父親が亡くなって、母親は家財の売却を仕事に選んだ。最初の仕事で信用を得た母親は、骨董屋のバートラムとレイのに相談にのってもらい仕事は順調にいった。最初の大きい仕事でウィリアムは扱ったが売れなかった屏風の価値を感じ、内緒でワシントンDCのフリーア美術館へいって売り込む事に成功する。それからウィリアムと母親は知られることになった。ウィリアムはアメディオに請け負った、風変わりなゼンダー夫人の大邸宅の財産処分を手伝うように頼み、アメディオは一緒に整理をすることになる。ゼンダー夫人は家財を処分してホームに入る事を決心したからだ。
 ゼンダーはかってオペラ歌手、お金持ちの娘で、そこそこの人気と名声があったが結婚して舞台からは離れてしまったが、大邸宅で夫亡き後も、ずっと変わらぬ生活をしていた。アメディアとウィリアムは整理をしているなかに一枚のヌード画を見つける。作品のサインはモディリアーニ、タイトルは「ムーンレディ」、なぜこの絵がここにあるのかがこの物語の主題になっている。
 アメディアの名付け親ピーターはウィスコンシン州のアートセンターの館長でちようどヒトラーが退廃的であるとして没収したり、強奪した美術品の展示会を企画していた。「ムーンレディー」はその退廃的な作品とされて、没収されたまま不明になっていた。マティス=野獣派、ルノアール=印象派、ピカソ=アフリカ部族の芸術に感化されている、ゴッホ=てんかんとの診断、シャガール=ユダヤ人、ブラック=立体派などはナチスが決めた退廃芸術家だ。
 アメディアが調べた「ムーンレディー」の謎とピーター一家の悲劇、それを知っていて持ち続けていたゼンダー夫人の生き方、物語は第二次世界大戦でヒトラーがおこなったこと、戦後のその責任の取り方、ミスティリアスで思索的で、最後にピーターの母親とゼンダー夫人が対峙する感動的な場面等、とても読み応えのある物語だ。
 何が良くて、何が悪か、最悪のことが起こったとき、どう選択するのか。そして、「境界は人をあざむくこともあれば、人を救うこともある。ずるいときもあるし、英雄的なときもある。だけど、境界はつねにあいまいだ。断然。」(本文最後P266より)80歳を迎える作者の人生経験なのかもしれない。

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ルウとおじいちゃん

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「ルウとおじいちゃん」
クレール・クレマン作
藤本優子・訳
講談社 本体1400円


 ルウとおじいちゃんはとても仲良しだ。ルウのおじいちゃん、ママのおとうさんは奥さん、つまりママのおかあさんであるおばあちゃんと暮らしている。おじいちゃんとおばあちゃんは旧市街地に、ルウたちは線路の反対側にある新市街地に住んでいる。市が新市街地の人たちに市民菜園を貸してくれて、ママはそのひとつを借りた。手入れはおじいちゃんがしてくれるし、子どもたちにとっても良いと思ったからだ。おじいちゃんとルウとおとうとのテオはそこを田舎といって、水曜日にはかならず行くことにしている。おじいちゃんは作業がおわるとパイプを取り出し、まわりをみながらなぞなぞ遊びをしたり、それにカフェに連れて行ってくれる。おじいちゃんはカード遊びが大好きなのだ。おばあちゃんは心臓が悪いので家にいる。そして、ある日おじいちゃんと出かけて帰って来ると、おばあちゃんはベットで動かなくなっていた。そして、お葬式がおわってもおじいちゃんはもう前のおじいちゃんでなくなってしまった。おばあちゃんを亡くしてあまりにも悲しくて、心をどこかに忘れてきてしまったのだ。どんどん心が離れてしまうおじいちゃんを一人にしておく事ができなくて、ママはホームに入れる決心をする。けれどルウにはわかる。そんなことをすればますますおじいちゃんの心は離れていって、きっと戻ってくる事ができなくなることを。ルウはおじいちゃんを連れ出して貨車にかくまうことにする。けれど、貨車にはすでにホームレスの人がいた。
 人は悲しみをどうやって忘れる事ができるだろうか。自分自身の経験を思っても決して忘れる事はできない。ただ、どうやって死や悲しみと共生していけるかだけだ。時間、そして他の人の力が必要なのだ。必死にルウの考えた事した事は、幼いからと切り捨てる事は簡単だけれど、生きていくことの一番大切なことを持っているように思う。ただ涙のみでなく、大切なものを気づかせてくれる物語だ。

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ココの森と夢のおはなし

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「ココの森と夢のおはなし」
文・ときありえ
絵・高山ケンタ
パロル舎 本体1200円


 ココの森とはあなたの家の前の道をずんずん行くと森があって、そこかココの森です。ココの森はいろいろな木が生い茂っていて、すてきな陽だまりがあり、きれいな水の池があり、もちろんいろいろな生き物が住んでいて、なによりも大きな木の根元にはお話の壷があります。
 ココの森の物語、3巻目にはそのおはなしが4つ収められています。
 ロキは小児科医のおかあさんと暮らしています。ロキがお休みでもお母さんはお休みでない時、犬のポンコとゆっくり散歩にいきます。今日は久しぶりに農業大学の演習園だったところに来てみました。とても広い原っぱです。帰り道の塀の脇に”ご入用ならどうぞ”という張り紙のしてある下から、小さな桐の箱を見つけ家に持って帰りました。桐の箱はむかしのロキとおかあさんに会わせてくれました。
 砂漠の町にアリという名前の若者がいました。アリは昼間日雇いの力仕事をしていて、夕方になると着替えて町にでてきます。そして、子どもたち(おとなもまじっていますが)にお話を語ります。アリはとってもお話を語るのがじょうず、それにたくさんのお話を知っています。と、いうのには金庫を持っていて、その中には戦争のさなか、おじいさんの兵士から渡されたちいさなつぼがしまってあります。それはお話のつぼでした。
 リッコは自由研究でイヌの名前を調べています。公園に来る人や駅前や通りで知らない人に尋ねて、出会ったイヌの絵を描き、名前、性別、年齢を描き込みます。きょうの公園のおじさんのイヌで20匹目が完成、描かれた3枚の紙をならべていたら、”イヌの名前がイヌ、ちょっとへんではありませんか”というイヌの声がします。そして、絵の中のイヌたちがてんでにしゃべって大騒ぎになりました。
 ココの森のブナの木の下におばあさんのたんすが運ばれました。長い間このタンスは使われたり、ちょっと納戸にしまわれたり。そして、ある春の日おばあさんが亡くなるとタンスの中のものは片付けられましたが、引き出しに青い毛糸玉が残されました。そこへカラスが何かを落として行きました。それはちいさな貝ボタンです。ボタンは毛糸玉に前に会ったことがあるといいます。このタンスのひきだしのなかにはおばあさんの昔のお話がはいっています。毛糸玉とボタンのお話です。
 この4つのお物語はお話を通して人の生き方を語っています。箱や壷や画用紙、そしてタンスのなかから紡ぎだされたお話に耳を傾けてみましょう。前作同様、挿絵がココの森のようすにぴったりです。 

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三つ穴やまへ、秘密の探検

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「三つ穴山へ、秘密の探検」
ペール・オーロフ・エンクイスト
菱木晃子 訳
中村悦子 絵
あすなろ書房 本体1300円


 物語の始まりは6歳のミーナがワニおしりをかまれたと言った事からはじまります。ミーナはベットに寝ていたし、パパもママも本気で心配してくれません。話を聞いてくれたのはおじいちゃんだけです。少し離れた所におじいちゃんは奥さんのグニッラとシベリアン・ハスキーのメス犬ミーシャと一緒に暮らしています。グニッラはミーナのほんとうのおばあちゃんではありません。ミーナの話を聞いたおじいちゃんはグニッラとミーシャとイーアとマルクスとで田舎の別荘に行くことを提案します。おじいちゃんには何か考える事があるようです。2日後おじいちゃんとグニッラ、ミーナと妹のモーア、いとこのイーアとマルクス、そしてミーシャで別荘にむかいます。途中でペットショップへよって子犬のエルサ(おじいちゃんはもう名前をつけていた)を買って車に乗せます。別荘はヴェルムランド地方の山の中、まわりは森と山ばかり、どうやらおじいちゃんは探検するという計画がありそうです。その計画とは子どもたち4人とおじいちゃん、二匹のいぬをつれて別荘の東側にある<三つ穴山>へ登ることで、<三つ穴山>には洞窟が三つあり、標高は千メートルちょっと、まずベースキャンプにする山裾にある一つ目の洞窟までいって食料などをおいてくることにしました。ところがその途中で密猟者に追われたクマと出会います。これはこの計画のとても危険なはじまりでした。携帯の電波も届きません。子どもたちといぬとおじいちゃんの秘密の探検はとてもたいへんな冒険になりました。
 ミーナの話のようですが、この物語のタイトルのように主人公は4人の子どもたちとおじいちゃん、そして二匹の犬、それぞれが重要な役割をし、それぞれの子どもたちが勇気をだして活躍する物語です。そして、比較的現実的なイーアが犬のミーシャを信じて助けを求めて一人で下山する時、くじけそうになるとき聞こえてくるパパの声”これくらい平気だ”、助けられて思わず”あとひと晩はわしはもたなかつただろう”というおじいちゃんのつぶやきに”そんなことはないわ。人は思っているより、じょうぶなものよ”というミーナの言葉、現実と夢がいつもごっちゃになってしまうマルクスを”お前を信じるぞ”というおじいちゃん、母オオカミが子オオカミを慈しむ様子を見た子どもたち、この物語の中には人と人との信頼がしっかりと描かれています。どんな子どもにも個性が豊かに感じられる、ひとりひとりを大切に思う考え方がながれています。また、かわいくて男の子に人気があっても無関心なミーナ、ママはこんなことをいいます。”人はあらゆることに、忍耐強くないといけないのよ。恋愛においてもね”そして、おじいちゃんと暮らしているグニッラについて<グニッラは男女平等論者だから、おじいちゃんは自分でそうじをしないといけないし、「なにかてつだおうか?」といってはいけない、家事はてつだうものではなく、自分から進んでするものだからだ。(P28)>など、日本の児童文学にはあまりみられない描写があります。国のちがいとはいえ、スウェーデンの人たちの生き方考え方が所々に垣間みられ、人は、たとえ子どもでも誰かの所有物でなく個としてとらえられていることに、いまの日本の子育て、生き方をあらためて考えさせられました。
 自然の描写、犬や猫だけでなく自然の中で生きているクマやオオカミのようすなど、スウェーデンの作品らしい物語に挿絵も良くあっています。舞台は冬の話ではありませんが、この冬休みに親子で読みあってみたい本の1冊です。

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ありのフェルダ

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「ありのフェルダ」
オンドジェイ・セコラ さく/え
関沢明子 やく
福音館書店 本体1400円

 なんといってもたっぷりはいった挿絵がユニークです。この原作は1933年チェコの「リドヴェー・ノヴィニ新聞」の子ども欄に連載され、大人気でキャラクターや人形劇などにもなった作品とのことです。(著者紹介より)本の見返しの絵からもその人気がおしはかられます。主人公はあり、フェルダは何でも屋でとても器用です。自分でつくった馬車をカタツムリにひせて、虫たちが音楽を奏でながら行進しています。本文ではバッタを捕まえて調教して馬車をひかせます。自分の事というより、ひとめぼれしてしまったてんとう虫のベルシカを喜ばせるためです。でも、ベルシカはわがままでうぬぼれや、自分に注目して欲しいばかりに、なんとフェルダは暴力をふるったと訴えます。おまけにベルシカの機嫌をそこねたくないばかりに不利な証言をする虫があらわれ、フェルダに死刑の判決がでます。でも、真実は。そして、フェルダの無実を支持してくれる虫たちのおかげで助かります。
 お話は勿論、絵も全部虫ばかり、とてもユニークな愉快な虫たちです。パーティをして、フェルダはクモの糸で飛行船にのってさようなら、みんなも帰りました。でも蚊のおばさんたちはベルシカに泥団子をなげつけてこらしめます。七つホシてんとう虫のベルシカに泥団子は15もくっついて、ベルシカは”えーんえーんとなきました。”おしまい(P127より)
 7歳位からの虫好きな子どもの読物におすすめです。

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シノダ!魔物の森のふしぎな夜

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「シノダ!魔物の森のふしぎな夜」
富安陽子
大庭賢哉・絵
偕成社 本体1300円

 富安陽子さんの本が続けてでました。「やまんばあさん」も「鬼灯医院のはなし」も続編がどんどん出版されました。どれも続編とはいえ、でも単独で読んでも充分楽しめます。
 ところでシノダ!のシリーズ4巻目がこの本です。シノダ!=信田家は人間で研究者のパパ、ママはキツネです。子どもたちは人間ですが、ママの影響もあって三人ともちょっと不思議な能力をもっています。パパとママ、つまりイッチとサキがはじめて出会った時の物語です。(ところが物語の舞台は夏のキャンプ場とその廻りの樹々と山、川なのでいまの季節ではちょっとちがうお話です。)
 イッチは子ども会のキャンプでキツネが人間になっているサキと出会います。物語のなかのあやしい魔物伝説は三輪山神話のような物語をもっていて、イッチの目の前で不思議な出来事がおこります。古代の伝説と謎、これらは作者の得意とするところ、でも安心して読む事ができるし、とてもおもしろくて子どもたちに人気があります。この物語は5巻に続くとのことです。それにしても同時進行でいくつかのお話を書き続ける富安さん、いくら大ほら吹きの家系(作者自身のことば)とはいえ、よくこんがらがらないと感心してしまいます。小学校高学年から。

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てぶくろがいっぱい

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「てぶくろがいっぱい」
フローレンス・スロボドキン文
ルイス・スロボドキン絵
三原泉 訳
偕成社 本体1200円

 寒い冬のお話です。あなたは手袋をなくしたことがありますか。私は良くあります。ひと冬に必ず、それも片方です。この絵本のお話も手袋をなくしたお話です。ネッドとドニーはふたごです。ある日ドニーが手袋をなくしました。やっぱり片方です。でも2時間位探しまわったら出てきました。ところが
次の日近所の人が2人が手袋を探している事を聞いたといって、てぶくろ片方持って来てくれました。それから次から次から、片方だけの手袋がたくさん届けられるようになりました。ドニーの手袋はもうみつかっています。きっと、ドニーのように手袋片方なくす人がくさんいるということなのでしょう。さぁ、どうしたら良いでしょうか。でも大丈夫、ネッドが良い事を考えました。裏庭にロープをとおして、そこに集まった手袋をつるしておいて、なくして探した人が見つけられるようにしたのです。
 この絵本はクリスマスの絵本ではありませんが、あなたのとなりにいる人のことのようにとても暖かい人たちが活躍する絵本です。スロボドキンの絵は地味ですが、淡い水彩画でその気持ちが良くでています。寒い冬にゆっくり子どもたちと読みあってください。サンタさんは出てきませんが、贈り物をもらったようなほんわかした気持ちになります。

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クリスマスの絵本ーちびうさクリスマス

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「ちびうさくりすます」
ハリー・ホース作
千葉茂樹 訳
光村教育図書 本体1400円

 ちびうさシリーズ、今度はクリスマスの巻です。ちびうさはクリスマスのプレゼントに赤い橇が欲しいとお願いしました。クリスマスの朝、くつ下には橇ははいっていません。そりゃあ、当然でしょ。橇は大きいのです。がっかりしてベソをかいたちびうさに、外にいいものがあるとパパうさぎがいいます。ありました!うれしくて、もったいなくて、誰にも触らせません。みんながうるさいので、高い所へ行ってひとりで遊びます。ところがスピードが出過ぎて吹きだまりにつっこんで、橇はバラバラになってしまいました。
 ちびうさのちょっとわがままでちょっと欲張り、これは幼い子どもの気持ちそのままです。うらやましくて”だめなんだょ!”と思いながら子どもは読んでいます。
 ところで、店のスタッフと本を並べながら、一人っ子なんかはカルタもすごろくもつまらないよね、という話がでました。何人かでワイワイと遊ぶ事のおもしろさ、ちびうさの絵本のおもしろさは、うさぎという多産な動物が主人公なのでうさぎがいっぱいいて、友だちの動物の子どもたちがいつも画面いっぱいにあそんでいたり、ママうさにベットを並べて寝る前に本を読んでもらったり、それがこの絵本の楽しさの秘密かもしれません。

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たくさんのふしぎ「好奇心の部屋デロール」

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「好奇心の部屋デロール」
今森光彦 文・写真
福音館書店 本体1300円

 この絵本これはなんだ!2003年に月刊誌「たくさんのふしぎ」で出ていた本なのに、なぜか見た記憶がない。表紙の写真によると博物館のようなところ、いろいろな動物や鳥が一緒にいるので、動物園ではないのはわかるけれど、なんとも不思議な写真だ。文・写真は今森さん、読み応えも見応えもばつぐん、とてもおもしろく何回も読んでしまった。この場所はフランスにあって、世界中からいろいろな生き物の剥製や標本を集めて、それを売ったり貸し出したりしているお店とのこと、ありとあらゆる生き物はもちろんのこと、魚や鉱石などの剥製や標本もある。小さな昆虫や蝶の標本、引き出しには剥製に使われる動物の目玉まで、整然と並んでいる。その数の多さに驚いてしまう。もうひとつ興味をもったのは動物の剥製の表情が豊かなので、ほんとうに生きている様におもわれる。シマウマはいな鳴いているのか、笑っている様にもみえる。そして、それらはきちんと手入れされているからなお生きているようにみえる。それにしても、これらを作る人がいるということなのだが、そんなことにも好奇心がわいてくる。物語のなかにでてくるような不思議なお店だ。

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クリスマスの絵本ーとんがとぴんがのプレゼント

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「とんがとぴんがのプレゼント」
西内ミナミ さく
スズキコージ え
福音館書店 本体1500円


 サンタクロースからのプレゼントを楽しみにする子どもはたくさんいますが、昔、サンタクロースへありがとうの手紙とプレゼントをあげたいといった子どもがいました。
 ニコラスおじいさんと暮らしているこの絵本の主人公、ちいさなはりねずみの夫婦とんがとぴんがも
ニコラスおじいさんのくつ下に大きな穴があいているのをみて、来年のクリスマスににはあたたかい毛糸のくつしたをプレゼントすることにします。善はいそげ、とんがとぴんがは出発して、まずまきばのマオさんに羊の毛をほしいとたのみます。羊の毛は毛糸にして染めて最後に編み物工場へ、ところがここでことわられてしまいます。というのは、とんがとぴんがはお金を出して毛糸にしたわけではありません。働いてお金のかわりに手にいれてきたのです。ここの会社では働き手はいっぱいでいらないというのです。でも、だいじょうぶ。一年たったクリスマスには暖かい赤いくつ下をニコラスおじいさんにプレゼントすることができました。
 スズキコージの絵は色彩豊かで、たくさん描きこまれた絵、見開きいっぱいにいろいろのものたちがとびはねている様子は喜びに満ちあふれています。白と青と明るい赤、ちょっと幻想的で夢の中で遊んでいるような気持ちになります。
 最後の著者紹介のなかにこの絵本ができるまでのことが書かれていますが、もし最初の企画どおりに堀内誠一さんが描いていたら、とおもいこれも興味深いことでした。堀内誠一さんも赤をうまくつかいます。クリスマスの赤色は喜びと希望を表しています。

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3びきのゆきぐま

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「さんびきのゆきぐま」
「ぼうし」
ジャン・ブレット作
松井るり子 訳
ほるぷ出版 各本体1300円


 この作者の絵は細密に描かれていて、活き活きとした動物たち、色彩も豊かでとても楽しい絵本です。「ぼうし」では好奇心いっぱいのハリネズミと動物たちがくりひろげるユーモアいっぱいの絵本でした。こんどの「3びきのゆきぐま」では、あの有名な昔話「3びきのくま」がベースになっていて、くまの家に入り込むのはイヌイットの少女です。少女が橇に犬を乗せたまま釣りをしていると、橇を乗せた氷が流されてしまいます。橇の行き着いた所、追っかけた少女の着いた所が3びきのゆきぐまの家でした。昔話のようにくまの家族は留守、少女は順番にはボールのスープを飲んで、ブーツをためしにはいて、ベットで寝てしまいます。そして、帰ってきたゆきぐまの家族にみつけられにげだします。でも、この絵本の最後はゆきぐまたちは”さようなら”と手をふって、たぶん、また少女は来る?こんどはちゃんと遊びにと思ってしまいます。
 ともかく左右に描き込まれたいろいろの動物たちのしていることが細かく、ユーモアいっぱいなのは、「ぼうし」と同じです。読んでもらうのもいいけれど、じっくり絵を読み解く、何回も楽しめる絵本です。
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 ところで、このお話の絵本では福音館書店で昔から読み継がれてきている「3びきのくま」があります。トルストイの再話でロシアの絵本なので、ロシアの風土が良くでています。3びきのくま<ミハイル・イワノビッチ>とか<ナスターシャ・ペトローブナ>、<ミシュートカ>、ふしぎなことにこの名前をこどもたちはすぐに憶えてしまいます。カナダ生まれの「3びきのゆきぐま」とちがった重厚な感じのするロシアらしい絵本で「てぶくろ」(福音館書店刊)と同じにながく読み継がれて来た絵本です
また、新しいすぐれた絵本が出版されて絵本の奥深さを感じました。

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クリスマスの絵本ークリスマスのふしぎな はこ

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「クリスマスのふしぎなはこ」
長谷川摂子 ぶん
斉藤俊行 え
福音館書店 本体743円


 こどもがサンタクロースからのプレゼントを待ちわびているようすが良く描かれています。ぼくは縁側の下で見つけた箱をそっと持って帰って、ベットの下に隠しておきました。だって、そっとのぞいたその中にはサンタさんがいたのです。おかあさんはクリスマスのケーキをつくったりして大忙しです。ぼくが”サンタさん、もう出発したかな”と聞くとお母さんは”そうね、おねぼうしていないといいけどねぇ”といいます。こっそり箱をのぞいてみるとサンタさんは出発するところでした。そうやって、ぼくは心配になると、おかあさんに聞きます。このおかあさんは笑いながら、でもいつも子どもの質問にしっかり答えています。子どものわくわくする気持ち、でもちょっぴり心配な気持ち、お母さんやお父さんに聞きながらそっと自分の目で確かめる、夢と現実、親子の絆と信頼、幼い子どもの心が良く描かれている絵本です。


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クリスマスの絵本ー聖夜のおくりもの

そろそろクリスマスの絵本などが店に並び始めました。すると店はとても華やかになります。クリスチャンではないけれど、やはり楽しみです。すこしづつクリスマスの絵本を紹介していきます。
 
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「聖夜のおくりもの」
トリシャ・ロマンス 文・絵
中村妙子 訳
岩波書店 本体1900円

 小さな森の中に、ある日大工のおじいさんが住み心地の良い自分の家を建てる事にしました。森からトナカイの子どもが出て来て、おじいさんとすっかり仲良しになり、おじいさんはこのトナカイにリトル・スタート名づけました。春から夏に、そして、秋がやってくる頃、村の人たちがおじいさんの手伝いにやってきました。小さな家は完成します。やがてクリスマスが近くなり、おじいさんは村の人たちに感謝のプレゼントを作りました。ツリーも飾り、村の人たちがおじいさんとリトル・スタートクリスマスのお祝いをする為に訪れてきました。そこで見たおじいさんが作ったもの、それに村のみんなにあげるびっくりプレゼントとはなんでしようか?
 静かなクリスマスの絵本です。赤い色が鮮やかでとてもきれいな絵本です。そして、ゆっくりと語られるおじいさんの聖書の物語を読む声が聞こえてきそうな絵本です。手作りのプレゼントを交換しあってお祝いをする人たちの喜びの声も聞こえてきそうな絵本です。 

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海からのおたより-2008年11月

山の中の貝類展

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 群馬県立自然史博物館で開催中の特別展「きれいで不思議な貝の魅力」に子どもたちと出かけてきました。わたしはときどきパソコンでどこかで貝の展覧会はないかと検索しています。貝を集めるのも好きですが見るのも大好きです。
 博物館は富岡市の(製糸場で有名です)こんにゃく、下仁田ねぎの畑がひろがる畑を抜けた丘の上にありました。常設展では恐竜の模型や群馬の自然、ダーウィンの部屋を再現した展示もあって見ごたえがありました。特別展では美しい貝を紹介しながら人と貝のかかわりや高価な貝、地元の陸貝(かたつむり)コレクションなどが展示されていました。寿司ねたになる貝や真珠の養殖などの展示もあって貝を身近に感じることができたのではないかと思います。思いがけず、個人で図鑑を作られた菱田先生のコレクション(京都青少年科学館)も見ることができ満足しました。海のない群馬の人たちは海にあこがれているのでしょうか。実際に貝を手にとることができるコーナーではみなさん貝を耳にあてて海の音をきいておられました。
 ところで、日本でいちばん海岸線から離れているところはどこなのか興味を持って調べてみました。長野県佐久市臼井の田口峠というところだそうです。佐久へは富岡から街道でつながっていて案外近いようです。たぶん日本でいちばん海から離れて開かれた海の貝の展示になるのではと思いました。
 個人の膨大なコレクション寄贈をきっかけに開かれた今回の特別展ですがその標本を活用していくことは非常にむずかしいと感じました。展示に重きをおいた地方の博物館がこれからどうなってゆくのかちょっと心配になりました。

 どんぐりつうしん変集長 谷口優子

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アメリカ大統領選挙

 昨日、店で聞かれた事。アメリカ大統領選挙で決まったオバマさん、出身のアフリカ系(黒人)のことが書かれている本はないかということだった。さわがれているわりには解りにくいという話だった。確かにアメリカは多民族の国、○○系というのは日本人にとってはわかりにくいかもしれない。日本にだって人種差別や、人権問題がたくさんあるけれど、私たちは学んでこなかった。私たちということが適当でなければ、私はといいかえてもよい。夫婦とも黒人、有名大学出身の弁護士とはいえ、アメリカ史上画期的なことだとおもう。
 11月5日の朝日新聞夕刊をみて驚いた事、<投票所となったシカゴ市内の書店で列をなし投票を待つ有権者たち>の説明付の写真、背景は大型の書店、私は本屋だからとても興味深かった。9人ほどの人の列、ともかくラフな格好をしていて、しかも、真夏の格好から真冬の格好した人たち、なぜか黒人らしい人はひとりもいない。これだけでは決めつけられないけれど、”あぁ、アメリカってこういう国なのだ”と思った。
 それにしても日本の政治、解散も選挙もいったいどうなったのかしら?!

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せんをたどって せかいいっしゅう

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「せんをたどって せかいいっしゅう」
ローラ・ユンクヴィスト さく
ふしみみさを やく
講談社 本体1500円


 「せんをたどって」3冊目のこの絵本はせんをたどって世界中の国へいく話です。まず、ページをめくってせんをたどる。暑い国へ、ケニアです。ケニアはアフリカにある国、キリンやチーター、アフリカゾウ、そのどうぶつたちもどんどんせんをのばして描いてあります。つぎはページをめくって、海の生き物です。つづけてページに描かれている動物たちには簡単な文が書かれていて、どうぶつの特徴も描かれています。せんを辿って描かれている国はケニヤ・グリーンランド・サハラ・アマゾン・スリランカ・メキシコ・なんきょく・ロシア・オーストラリア・ニューヨーク・そして最後は地球をながめます。
 折り込みの付録のなかの作者の言葉によると、描かれている生き物たちは絶滅危機にあるそうです。それにしてもこんな描き方、絵本にする発想は驚きです。

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クリスマスのサイン本

 「2008年クリスマス(新年)のサイン本が決まりました。」
 今年は斎藤隆夫さんの絵本4点です。伝統的な日本画の手法のなかにモダンな手法を取り入れた、とてもユニークな絵本です。
 1 「ずいとんさん」本体800円 日本昔話・お寺のこぞうさんはいたずらぎつねを見破った。
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 2 カエルをのんだととさん」本体800円 日本昔話 節分のおはなし
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 3 「かえるの平家ものがたり」本体1500円 かえるの源平合戦ものがたり、迫力いっぱい
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 4「まほうつかいのでし」本体900円 ゲーテ原作まほうつかいの留守につかった魔法がとまらない
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*申し込みしめきり12月3日です。
*本のタイトル、册数、プレゼント先のお名前、
*送り主のご住所 お名前 連絡先
*包装はクリスマスか新年か
*お受け取り方法 来店、郵送 その他 をお知らせ下さい。
*代金はご来店は本と引き換え、送る場合は郵便振込になります。
*お届けはサインを入れていただいて後12月18日頃になります。
*ご注文はFAX043-227-9193 メールこどもの本の広場会留府

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メイドマンガはオタクを越えた?

メイドマンガはオタクを越えた?
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 森薫(もり・かおる)のマンガ『エマ』(エンターブレイン刊)は、完結したのでしょうか? 7巻で一旦エンドマークが出たのですが 8,9巻とエピソード編が出て、10巻目の続編も出ています。でも雑誌「フェローズ」で別な連載が始まったから、たぶん完結したのでしょう。
さて、『エマ』はメイドマンガです。宮崎駿がオタクアニメの頂点に立つように(悪口でなく、裾野の広さに頂点が支えられてると言う意味です)、メイドマンガの頂点です。と言っても、作者が男だったらオタクでしょうが(女でもオタクか)、彼女はメイドへの興味にとどまらず、その背景社会へ広汎なアプローチを試みます。             
 作品は、こう始まります『19世紀末、英国ロンドン。産業革命による変化と革新の時代−、そして古い生活習慣と階級社会も、まだまだ根強く、依然として道には馬車が行き交っていた時代−』。メイドと新興財閥の息子のラブストーリーです。使用人と主人の身分の違い、そして新興財閥と貴族の階級対立。でも作者の興味は、そういった社会で生きている人間そのものにあります。読者へ説明する必要から背景に触れてますが、貧乏を憤るのでなく、そのクラス(階級)クラスの、こまやかな生活や楽しみを暖かく描いています。7巻で主人公は言います『私は昔、花売り娘をしていました』花売り娘とはストリート・チルドレンのことです『すべて教えて頂いたことです。運よく、お優しい方に拾って頂いて、歩きかたから言葉づかいまで。メイドとして働くために、何が必要か−』主人公は、寒村で親に死なれ、親戚に邪険にされていた所、人さらいにロンドンまで連れて来られ、逃げ出したのです。これでもかと言う境遇でも、彼女は誠実で控え目で優しく成長します(まるで日本女性の鑑ですね)魅力的で、感情移入しやすい設定です。そして10巻で無事ジェントリーと挙式します。
 当時よくあったロマンス小説、それをマンガで描いたのですが、作者は階級への偏見がありません。貴族でもメイドでも労働者でも、それぞれの視点で描けています。ですから英国人が描く以上の英国社会の概説書になっています。作者の興味は、社会学者のそれに近い。いや、人間と動物を同時に見る生態学者に近いかもしれません。と言うのは 9巻で、逃げ出したペットのリスの視点から描いた短編があるからです。動物マンガの傑作です。
新連載の『乙嫁語り』を見ても、そう思います。19世紀の中東カスピ海周辺が舞台です。まあよくも面倒な所を選んだものです。民族学的な資料を調べてる時が、いちばん楽しいタイプですね。少年の所に嫁った、遊牧民の年上の嫁。すでに、ウサギを狩り、殺して料理する所まで、しっかり描いています。
とにかく『エマ』は10巻まとめて読んでも、お徳用ですネ。
                   (高橋峰夫)


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カナリア王子

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「カナリア王子」
イタリアのむかしばなし
イタロ・カルヴィーノ再話
安藤美紀夫 訳
安野光雅 画
福音館書店 本体650円

 イタリアの昔話集「カナリア王子」が文庫になりました。再話者はカルヴィーノです。イタリアは地形が北から南へ長くのびているために、いろいろな風土がまじりあっているのが特徴的とあとがきにのべられていますが、そのため民話の宝庫といわれているそうです。ただ、私たちにはあまり馴染みのある国ではありません。民話以外では、「ピノキオ」や「チポリーノのぼうけん」などが良く知られています。この本には7編のお話がはいっています。不思議な生まれ方をした娘や王女の話が入っていています。私はやはり表題の「カナリア王子」がいちばん好きです。本をはじめのページからめくると鳥になり、後からくくると人に戻るというお話です。それに、イタリアの昔話はとても色彩的に感じます。それは安野さんの画で引きたっているからだともおもいます。本の間にはいっているのも挿絵でなく、口絵として入っているので本らしい?ように感じます。
 福音館文庫はどれも本の装丁がきれいです。今の子どもたちは本の絵もアニメ調のものに手を出す傾向が強い、テレビアニメがそっくり本で使われているのをみると、つまらなくおもいます。おとなの文庫本は挿絵があまりはいっていない、でも児童書は本のつくりが良くできているものが多い、活字も読みやすいので、おとなにもお薦めです。鞄の中にいれて通勤の途中にも、ぜひどうぞ!!もちろん、子どもに読んでやるのにも良い本です。

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あつまるアニマル

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「あつまるアニマル」
ブライアン・ワイルド・スミス作
アーサー・ビナード訳
講談社 本体1900円

 久しぶりにワイルド・スミスの絵本をみました。この人は色の魔術師といわれていた人です。会留府が開店した頃にたくさんの絵本がだされていました。出版社のつごうで次々にお蔵入りになり、でも、箱根に美術館があるとは聞いていましたが、行く機会がありませんでした。(身じかに本がなくなるのは残念なことです。)鮮やかな色彩、リアルな迫力のある生き物たち、画面いっぱいに描かれています。そして、訳がとてもいいです。生き物たちの集まる音が書かれています。たとえば、表紙に描かれているヒョウはこんなふうに、<ヒョウたちは しゅーしゅーと あつまる><キリンたちはすらりすらりずんずーんとあつまる><オウムたちは あーでもない こーでもないと あつまる>とユーモアいっぱいのページもあります。そして、最後はきっちりとオチがあります。29種類の生き物たちの集まり方です。ところでみんな何かを見ていますがなんでしょうか?きっと”あなたたち人間はどうあつまるのですか”と問いかけているのかもしれません。さぁ!どうやってでしょうか?子どもたちに聞いてみたいですね。

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スウェーデンの森の昔話

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「スウェーデンの森の昔話」
編・絵 アンナ・クララ・ティードホルム
訳 うらたあつこ
ラトルズ 本体1880円


 11月のこえを聞いたら急に朝、夕寒くなりました。3連休の真ん中、お天気も良くて、すこし風があるためでしょうか空のきれいなこと、里の木、樹が色ずく前のひとときです。
 寒くなると昔話が楽しくなります。私だけかもしれませんが、昔話は暑い時は想像力が落ちるためなのかあまり楽しめません。それに昔話は以外とリアルな話が多く、暑い時はちょっと避けたい気持ちです。特に外国の話は以外と生臭い、首がちょんぎれたり、殺し、殺されたりします。そのような内容の昔話でも、耳で聞く、それも寒い時に聞くとドライであっけらかんと聞く事ができます。
 このお話集には12の昔話がおさめられています。しかも「スウェーデンの森」とタイトルにあるように、深い森の中でのできごと、ちょっと怖いお話がはいっています。もちろん、それだけではありません「くぎスープ」のようなニンマリと笑いたくなるおかしな話、「仕事を取り替えたおやじさんとおかみさん」のようなユーモラスな話もあります。「太陽と月の娘」は太陽が母親、月は父親、そして母親の方が娘の困難さに手を貸します。けれど最後に娘の願いを父親が聞き入れて天の星にした、娘と子どもたちはスバル座になったという話です。全体的に森の昔話だからか、地域、風土的な理由からか、やはりグリム童話と同じような雰囲気をもっています。
 編・絵のアンナ・クララ・ティードホルムの作品、今唯一手に入る「あるいていこう!」(ほるぷ出版)の絵と感じが違うので驚きました。でも、森の昔話なのですから、この挿絵はとても良くお話の雰囲気を描いているとおもいます。秋の夜長の読書には最適です。

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