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2008年8月10日 (日)

「折り返し点1997〜2008」2

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 これが、日本のあちこちで見られる「目的と手段の取り違え」につながると私は思います。特に政治・行政に多い。「手段の目的化」とも言うべきこの現象は、私の仕事に関しても『教育の人件費を削減しなければならない。そのためには用務員を減らさなければならない。用務員を減らすためなら、どんなに金がかかってもいい』となります。私達が民間委託のほうが高くつくと証明してもムダなのです。わかりやすい例だと『タバコの税収・売上を増やさなければならない、そのためにはタバコを値上げしなければならない。値上げで売上が減ってもやむを得ない』となります。
 日本の首相が『税収が伸びない、緊縮財政をする、税収が減ってでも緊縮財政をする』という考え方なのです。もちろん外国でも「手段の目的化」はあります。でもその場合、手段の裏に本当の目的が隠されている事が多い。つまり計算高い、実利的なのです。日本はそうではない。行動としては「破滅型」とも言うべきこの考え方に、なぜみんな異を唱えないのか、どこからこの考えがくるのか不思議でしたが、この本を読んで腑に落ちました。
 なおこの「破滅型」は、秋葉原の通り魔のような「破滅型」行動とは違います。行政としては「破滅型」の行動でも、役人は破滅しません。我が身の破滅につながらないから「無謬性」を主張できるのです。ちなみに、秋葉原のような「破滅型」犯罪が起きると、すぐ教育が悪い、モラルが無いと言いますが、教育やモラルでは犯罪は防げません。「破滅型」犯罪の唯一の抑止力は「今の(今から得られる)生活を壊したくない」という思いだけなのです。人の行動は経済的条件に規制されます。守るべき生活が無ければ、犯罪を躊躇しません。
 唯物史観では、これを「下部構造が上部構造を支配する」といいます。東洋ではもっとわかりやすく「恒産なければ恒心なし」といいます。権力者の場合は、これが逆に「疑獄型」犯罪の動機になるのですが、本稿の趣旨からそれるのでやめます。
 とにかく宮崎駿の「マンガ的思考への危惧」は、本人の体験から来ています。物語の原体験は手塚治虫だとし、そこから逃げるためにジタバタし、アニメを「作る側」に回ったら、否応なく、現実的にやらなければいけない。そこから手塚への厳しい見方も出てくる。 181頁「手塚さんの中にある通俗文化のある種の少女像とか性的な未熟さとかも…それが現在の(アニメ少年達の好む)美少女キャラのお人形さんごっこに繋がっているんです」とにかく刺激的な弁解の本です。  
   (高橋峰夫)

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