コミック「あぶな坂HOTEL」
やっぱり萩尾望都はうまい。構成がいい。昔からそうだった。竹宮恵子と始めたボーイズ・ラブ系には引いてしまうが、それでも読んでしまう。それほど構成がうまい。きっちり伏線を張り、無駄なシーンがなく、洒落た会話…さすがに『残酷な神が支配する』あたりから、ついていけなくなったが。
ひさしぶりの新作『あぶな坂HOTEL』(集英社クイーンズコミックス)は持ち味を発揮している(多少デッサンが違ってるところはあるが)。萩尾望都の魅力の第一は時間の描写にある。そして悠久の時間を描写するために、家族(世代)を描く。これが第二の魅力となる。
『あぶな坂』は、中島みゆきの曲から取ったらしい。生死の境をさまよう人が泊まるホテル。そこから帰る気があるのか、帰れるのか、死んでしまうのか。ホテルの中だけを舞台にした、一幕物の芝居を見てるようで、このままそっくり脚本にできる。 シリーズ4話で、時間のはなし、家族のはなしが入り、複雑な構成を助けるSF的な設定と(さすが設定や道具立ては、今風なのを取り入れてるが)なると、とにかくうまい。舌を巻く。
そしてたぶん設定は日本。日本に設定をおいた名作では『小夜の縫うゆかた』『イグアナの娘』に続くものだろう。(ちなみにそれまでは外国の設定ばかりで、『小夜の縫うゆかた』を初めて読んだ時「エッ、日本のも描けるんだ」とびっくりした) おまけに入ってる短編『天使のはなし』もおもしろい。
(高橋峰夫)
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