« 2008年3月 | トップページ | 2008年5月 »

2008年4月30日 (水)

つみきのえほん

204263

204273

つみきのえほん
「ぼうしころころ」
「あかくんとまっかちゃん」
長谷川摂子 文
田宮俊和 構成
福音館書店 本体各1300円

積み木が主人公?いいえ、ページのなかにこどもは出てこないけれど、こどものイメージそのものの絵本といったら良いかと思います。
 4色のカラフルな(とても色がきれいです)積み木がいろいろのことをします。絵本は絵が中心、その絵を文=言葉が動きを与え、イメージを広げていきます。この絵本の場合、積み木がまるで人のように遊びまわります。しかも絵本という平面的な画面の中に、積み木という立体的なものが動き回る、それがすこしも不思議なことではないのです。たとえば、ぼうし(もちろん積み木です)をとるのに届かない、それで下に一列になって押すと上の帽子が”ぐらり”、落ちてくる一瞬をページの中に描く、実際はこれはほんとに瞬きひとつの時間なので、ありえないといっても良いわけです。
 こどもはこんな事をして、こんな想像をして遊んでいるのでしょう。それは、おとなになると形になるものを作りたがり、結果を気にするのですが、こどもはその作る過程を楽しむからなのでしょう。しかも、文も絵もシンプルでそれがこの絵本を楽しくしています。文と絵のみごとなハーモニーです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月29日 (火)

やかましい!っ?

2076183


「やかましい!」
シムズ・タバック絵
アン・マクガバン文
木坂涼 訳
フレーベル館 本体1400円

むかしむかしのおはなしです。あるところにおじいさんがいました。おじいさんは古い家に住んでいたので、他所の音が良く聞こえます。うるさくて眠れないので、ものしり博士のところへどうしたら良いか聞きにいきました。博士は牛といっしょに暮らす事をすすめました。でも、静かになるどころか牛の鳴き声がいっしょになってもっとうるさくなりました。そこでまた、博士のところへ行きました。博士は今度はロバがいいと言うので、ロバも飼いましたが、ますますうるさくなるばかりです。
 お話はこんな風にくりかえされていきます。そして、おじいさんは動物たちをみんなてばなして、また、もとの生活に。ベットや床のきしむ音も、風の音も、やかんの音ももとのままですが、なんと静かだとおじいさんは大満足です。
 おさえた色に網をかけた描き方は昔話のように素朴で愉快な様子をよく描いています。おじいさんのなんともおかしな表情もいかされています。
 絵本でもおもしろいのですが、お話で語っても充分楽しい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月27日 (日)

あまがえる先生 野いちご教室

Photo

 朝方降っていた雨も午前中であがって陽があたってきました。わが家の庭(ほんとうは空き地をちょっとつかっているだけですが)はクサイチゴが盛りです。白い花が風に揺れてきれいです。でも、もうすこしたつとあっというまに広がって薮になります。父の庭から持ってきたものですが、元気に増えました。花の中では、はやくもアリがせっせと働いています。今年は雨が多くて、蝶もちょっとみかけたのですが、今はあまり見かけません。でも、草は伸び、春たけなわです。

Htbookcoverimage


「あまがえる先生 みつけてたべよう!」
  野いちご教室
さく 松岡達英
旺文社 1238円



 あまがえる先生の教室も3冊目になりました。あまがえるの里であまがえる先生とネズミの親子が野いちごつみにでかけました。野イチゴといったっていろいろあります。食べられないものもありますが、ネズミたちはおいしいイチゴをみつけました。”先生、このイチゴはなんという名前ですか?”
”うむぅ、クサイチゴだね”
 人間界でもイチゴはさかりです。一番売れるのは12月だそうですが。私にとってのイチゴは庭のイチゴなので5月というか6月ののものでした。千葉では暖かなので庭の少しのイチゴに実がなっています。
赤くなるのが待ちどうしい思いです。クサイチゴは小さな赤い実がなります。トゲトゲは痛いけれど、小さなきれいな実を家の中に飾ります。
 あまがえる先生とネズミの一家は摘んできたイチゴでパーティーをしました。もちろん、イチゴジュースもケーキも手作りです。この絵本にはそのレシピが描かれています。6月3日の「どうぶつしんぶん」にも載りましたよ。見てくださいね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ぼくの羊をさがして

9784751522073


「ぼくの羊をさがして」
ヴァレリー・ハブズ
片岡しのぶ=訳
あすなろ書房 本体1300円



 牧羊犬ボーダーコリー、ジャックの物語です。ジャックは産まれたときからジャックだったわけではありません。ジャックはボブさんの農場で幸せな子犬時代を送りました。とても元気ないたずらだったけれど、ジャックの使命はりっぱな牧羊犬になることだと知っていました。ただ遊んでいたある日、はじめてトラックにのせられて、たくさんの羊がいるところにつれていかれました。とうさんとリーダーのオールド・デックスの仕事をみながらボブさんにいろいろなことを教えてもらえるとおもっていましたが、農場は経済的に逼迫していました。そして、嵐がきて農場は火事になり、それがもとでとうとうボブさんは子犬たちを手放す決心をして、ペットショップで売られる事になりました。新しい家に連れられていったけれど、そこではまさしくペット、みじめな気持ちでとうとう逃げ出してしまいます。
 それから、いろいろな人に出会い、飼い犬にされそうになります。そのたびに牧羊犬としてのほこり、きっと、農場に戻る事ができると信じて旅を続けます。
 ひたむきでけなげなジャックにハラハラしながら、かならずジャックは農場に戻り、りっぱな牧羊犬になると思いながら、読み進んでいきます。この物語の中には不屈な魂が込められているとはおもいますが、読者は子犬の冒険物語として読む事とおもわれます。けれどただそれだけでなく、ジャックが旅をともにする人、貧しい屋台を引っ張っているおじいさん、どろぼうの兄弟、野良犬収容所、サーカスの動物たち、父親の形見のストップウォッチを大切にしている男の子と養護施設少年の家を転々とし、最後にジャックは里親週間に少年ルークの里親になってくれる人をみつけ、ジャックもその農場で牧羊犬として暮らしていかれることになります。
 最後のおじいさんがジャックに語った言葉「生きていくことでだいじなことはそれほどない。自分なりに考え、努力をし、世の中をすこしは住み良い場所にした、と思えることだ」は新しい環境のなかでスタートをきった人たちに贈られている言葉になります。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月24日 (木)

ニューヨークのタカ

726289


「ペールメール」
ニューヨークのタカ
ほんとうにあったおはなし
ジャネット・ウインター作
福本友美子 訳
小学館 本体1500円



 高い崖や木の上に巣を作るタカのことだから高層ビルに巣が作られたとしても、特別おかしい事でないのかもしれません。このお話は北アメリカにいるタカの種類、アカオノスリという2羽のタカがニューヨークの12階建てのアパートの一番高いところに巣を造り、子育てをしたお話です。その最初のタカは尾羽の色が薄かったのでペールメールと呼ばれ、メスと一緒に1993年に巣を構え雛を産み育てました。住まいを構えたのでニューヨークの鳥の愛好家に喜こばれ、たくさんのファンがつきました。
でも世の中はみんな鳥が好きとはかぎりません。フンや食べかすを落とすので不衛生だという声があがり、なんと2004年巣や柵を撤去したとのこと、でも愛鳥家の反対署名や抗議行動がみのり、柵は撤去され、ペールメールとメスのタカ、ローラは2006年戻ってきて巣をつくりました。今もそこにいるそうです。
 この絵本の文も絵もとてもシンプルです。文では良いとか悪いとか、かわいそうとか全然書かれていません。でも、タカの目つきは鋭く、人びとが巣が撤去された事を怒って抗議している絵、タカの雛たちが次々と成長していく絵など訴えかけるものが良く伝わってきます。
 そういえば、そろそろツバメの季節です。近年ツバメは交通量の多いところ(信号機のそば)とか巣を作る事が多くなったと新聞かなにかで読んだ事があります。でも、まだツバメの鳴き声は聞いていません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月23日 (水)

スリリングなY・A小説

Image_prof


「絶対絶命27時間!」
キース・グレイ作
野沢佳織 訳
徳間書店 本体1400円



 イギリスのY・A向き小説です。ジョンは16歳、母親は若くしてジョンを産んだシングルマーザーだけれど祖父母と幸せな生活送っていた。けれど事故で祖父母は亡くなってしまい、残された遺産で母親の夢だった本屋を開くことにしてこの遠くの街に引越してきた。ジョンは転校したばかりのある日、ブルック校でまったく知らない生徒に鞄を盗まれる。追いかけたが見失って教室に戻ってみると、ジョンの机の上には鞄が置かれていて、その鞄の中には先生の財布が入っていた。しかも呼び出された教室で学年主任の重要な書類を盗まれた嫌疑もうけ、次の日の昼までに無実を証明できないと退学だといわれてしまう。犯人はどうもこの学校をしきっている不良グループらしく、自分の真実を証明するためにジョンは猛然と立ち向かっていく。まず、このブループのリーダーは誰なのか、最初に声をかけてきたホクロのある少女は敵か見方か?犯人を追っていくうちにこの学校の闇が明らかになっていく。
 27時間という限定された時と学校という限定された場所で、次々におこる事件のハイスピードとスリルで息もつかずに物語は展開してしていく。
 日本のこういう物語はとかく教育の問題点とか、家族、家庭のありかたとか、時には感傷的な話がでてくるのだけれど、この物語はエンターテイメントに徹していて、小説のもっているおもしろさをしっかり感じることができる。それはY・A小説の醍醐味でもある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月22日 (火)

エコバック

5595l


「風呂敷」
監修・ふろしき研究会
文・森田知都子
文渓堂 本体1600円

 エコで店にいて気がつく事があります。本を買われて包装やカバーの必要をお聞きすると、かなりの方が必要ないとのお返事です。そして、鞄から持参されているものを出されます。統計を取ったわけではないのですが、若い人の方が必要ないとおっしゃって、マイバックをだされます。これはやはり教育のおかげなのではないでしょうか?若い人はプレゼントなどではきれいに包装ということも多く、生活を楽しむ事も上手です。でも、男の人はあまり持っていらっしゃいません。ひとつは持ってあるくものが近年多くなって、女の人はバックそのものが大きくなっているのも理由のひとつかもしれません。
 私自身ともかくポリ袋が多くなって困るので、布の袋をいつも持ち歩いていて原則として包装は断る事にしています。ところがその袋をつい買ってしまうことがあってこれではエコにならないと苦笑してしまうことがあります。それに、売っているエコバックはデザイン料なのでしょうが案外と高価だったりします。
 そう、少し前には風呂敷というものがありました。大きいもの、例えば布団のようなものは、唐草模様の大きな風呂敷がありました。ちりめんの上等な風呂敷は贈ったり、いただいたり、色も生地も模様もいろいろなものがありました。
 この本はその風呂敷の歴史からデザインから、包み方からたくさんの事が描かれています。実用書でもあり、デザインの本としても読んでもおもしろいです。
 どこかに眠っている風呂敷があるのではないでしょうか?取り出して使ってみましょう。一番のエコバックです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月21日 (月)

てんぐのくれためんこ

9784030164703


「てんぐのくれためんこ」
安房直子 作
早川純子 絵
偕成社 本体1400円




 この絵本には今時めずらしいことがあります。ひとつは内容=めんこです。昔は良くめんこで遊びました。男の子のほうが多かったけれど、女の子たちでもやったことを覚えています。
 めんこがへたで負けてばかりいるたけし、今日も負けてみんな取られてしまいました。悔しがって歩いていると現れたてんぐ、どんなめんこにも勝つという魔法のめんこをくれます。それは風のめんこ、森のなかでこぎつねたちが遊んでいるのを見て、仲間に入れてもらいます。たしかに風のめんこは強くて、こぎつねたちをみんな負かしてしまいます。そして、気がつくとたけしはおとなのきつねにとりかこまれて、勝負を挑まれます。あたりは暗くなり、おとなのきつねが細工をしたらしく、こんどは勝つことができません。とうとう、引き分け。どこからかてんぐが歌っている声がきこえます。そのうたのとおり、家に帰って見たら、きつねにもらっためんこはいつのまにか木の葉になっていました。
 作者の物語は不思議なことがおこります。このお話のように動物、きつねも良く登場します。日本の作家ではめずらしい雰囲気があるので、亡くなった時はがっかりしました。
 この絵本の絵はその不思議な世界、魔法というよりもっと日本の土くさいお話を充分に描いています。文が多いためかもしれませんが、文は縦書きです。いまは、横書きの分かち書きがあたりまえになっているので、かえって日本語のレイアウトが新鮮です。ちょっと怖くて、迫力のある世界に引き込まれ、読者を不思議な世界に連れて行ってくれます。でも、ちゃんと戻れるからご安心を!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月20日 (日)

ふしぎな生き物

4591101134


「クラゲゆらゆら」
楚山いさむ 写真・文
ポプラ社 本体1200円



 これは何んだろう?きれい!クラゲです。こんなにたくさんのクラゲがあるのには驚きました。しかもとてもきれいです。なんといっても泳いでいる様子は優雅です。
 私は幼いとき海の近くで育ったのでクラゲは良く遊び道具になりました。そのクラゲはミズクラゲなので、特にきれいでもなく、(もっとも泳いでいるのはあまり知らなかったですが)、特に魅力的におもいませんでした。
 おぼんが過ぎると海で泳いではいけないといわれました。引き潮が強くなるから危ないといわれましたが、言われなくとも海に入りません。それはクラゲがおぼんを過ぎると多くなって刺されるからです。刺されると腫れて痛いのです。それで、見つけると暑い砂浜で投げたり埋めたりして遊びました。
暑い砂の上に放っておくと溶けてしまいます。白い透きとおったものが水のようになってしまいます。
 こうして写真をみると、とてもおもしろいものに見えます。それは泳いでいる姿がなんともユラユラと楽しく見えるからです。
 近年エチゼンクラゲが大発生して、漁業に被害が大きいとニュースになります。この本によるとまるいかさの直径は1メートル30センチもあるとのこと、私なんかいっぺんに取り込まれてしまいそう。
 でも、ミズクラゲのあかちゃんはとてもかわいい、落ち込んでいる時にいっしょにユラユラしたら、きっと気分がよくなりそうです。飼育している水族館も多いとか今度行ってみようかと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月19日 (土)

ソフィーとガッシー

B02848

「ソフィーとガッシー」
マージョリー・ワインマン・シャーマット文
リリアン・ホーバン絵
三原泉・訳
BL出版 本体1300円




この物語の主人公は2匹のリスです。森に住んでいてとても仲良しです。絵がたくさん入っている短いお話が4つ入っています。本をみると小学校1・2年生向きのように思われますが、読んでみるとむしろ中学生などに良いのではないかとおもいます。
例えば1話目、ガッシーがソフィーに遊びに来ないかと誘い、楽しみにしているとの返事をもらい、ガッシーははりきって家をきれいにしてお料理をつくります。でも、ソフィーは他所の家に遊びに行く気分にならないからと断ってきます。ガッシーはすっかり落ち込んでしまいますが、ハタとおもったことは、ソフィーが家をでかけたくないなら私が行けば良いのだということでした。作った料理をもって、ソフィーの家へ、ふたりはとても楽しい時間をもちました。思ったようにいかない、期待がはずれてしまっても、がっかりすることはありません。発想の転換です。
落ちついた色で描かれている絵、おしゃれなゆったりしたお話をゆっくりあじわってください。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月17日 (木)

詩の絵本

Htbookcoverimage


「フィリッパ・ラズベリーのうた」
エヴァ・ビロウさく・え
石津ちひろ ぶん
フレーベル館 本体1300円




エヴァ・ビロウの作品はこれで三作目、内容に会いそうな色を表紙に使っています。
1作目は「ハリネズミかあさんのふゆじたく」でブルー、2作目は「のいちごそうはどこにある」でグリーン、そして、この3作目はラズベリーだから赤どれも鮮やかな色の表紙がよくあっています。この絵本のなかには詩のようなちいさなお話が23編入っています。なかでもこの絵本の表題になっている物語は比較的長く、見開きに描かれています。フィリッパ・ラズベリーはおちびちゃんでエルフとは親戚とても仲良しです。住んでいるところはラズベリーの近くです。ある日買い物にでかけ、出会ったかぜおとこに吹き飛ばされ、気がついたところは知らないところ、かたつむりが助けてくれて、背中に乗ったまでは良かったのに一月たってもうちにたどりつけなかったとさ!
 このページは朱に近い赤一色、この絵本は丁度今の季節に相応しい色です。そして、野原のみんなを細密画面いっぱいに描き込んでいます。
 いま、イチゴが最盛期です。イチゴを横にこの絵本の詩を声をだして読みました。楽しい春の絵本です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月16日 (水)

海からのおたよりー2008年4月

近代化のなかでーゴミ問題

20082_046

 社宅から新築マンションに引っ越しました。新居には押入れがないのでいろいろなものを処分しなければなりませんでした。引っ越して半月ほど経ちましたがまだまだ段ボールに囲まれた生活です。マンションには最新の設備がついていますがなかなか使いこなせず悪戦苦闘中です。
みなさまは「キッチンディスポーザ」というものをご存知でしょうか?流し台の排水口の下で生ゴミを粉砕して流す装置です。6リットルの水を流しながらシンク下の器械に生ごみを入れて蓋のスイッチをオンにするとカッターが残飯・肉・魚・果物・野菜を砕いて流れるそうです。(まだ使っていません)マンションの地下には専用の浄化槽があり、処理をしてから下水に流すということです。最近のマンションはこれを売りにしているようですがわたしはどうもなじめないでいます。千葉市は週3回ゴミの収集があるので真夏でも生ゴミで困ったことはありません。本当に困るのは標本用に採ってきた貝の中身ですが台所ではとても処理できたものではありません。先日、テレビで日本一汚い川が付近の家に協力してもらい台所のゴミをきちんと処理して流すことできれいになった、という番組をやっていました。東京湾の汚れの7割は家庭排水が原因だそうです。排水口は海につながっています。たとえ処理するにしても生ゴミは流さない方がいいに決まっています。無洗米を使ったり、網の目の細かいネットを使って生ゴミを流さない努力をしてきたわたしにとっては必要ないものです。水を節約する?という食洗機とディスポーザはいらないのになあと“快適なくらし”の新居で残念に思っています。

どんぐりつうしん変集長 谷口優子

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年4月15日 (火)

憲法の本

生活のなかから考えよう

204783

Dscf0652


 あかちゃんの誕生にお祝いの本の選書を頼まれる事があります。時にはあかちゃんはまだ幼いので、おかあさんにも本をどうぞと薦めて決める事があります。絵本ということもあるのですが、私が良く薦めるのは月刊誌です。特に「母の友」を一年分お送りする、それは「母の友」があまり類書のない雑誌、生活のハウツウだけではなく生活を考えるということで、あかちやんの相手をしながら読む事ができる雑誌なのですが、内容が濃く編集されているからです。(「母の友」というネーミングはかえてほしいのですが)
 今月の5月号は「憲法」の特集です。2007年度に連載された内容がもとになって、それにあらたなインタビューが加わり構成されています。著者は1958年生まれの法律家の伊藤真さん。本業は司法試験対策の塾を主宰している人です。もちろん日本国憲法がどんなものかという事が書かれていますが、憲法はたんなる法律だけでなく、生活の指針であることが丁寧にわかりやすく記述されています。憲法ってなんでしょうかとの問いかけに伊藤さんはこう述べています。「わたしたちが日々の生活のなかで何を大切にして生きていくかということを考えるきっかけ」、そして、「憲法について知るということは、人が生きていくうえのものさし」と言われています。
 私はいわゆる戦後の民主教育をうけて育った世代なので、学校でこの憲法はなによりも大切なものと教えられました。おしつけなどと思ってもみない、戦争で大きな間違いを犯した日本が心する事、守るべきものと思ってきました。それは正しいと思いますが、もっと憲法は生活と大きなかかわりがあることはあまり知る事もなく社会人になっていきました。それは、考えることを深める年齢の時に憲法は教科書のなかの憲法になってしまったからだったように思います。
 次の世代を育てる若い両親にこの小冊子(綴じ込み付録になっています)を読んで欲しいとおもいます。2008年の「憲法どっち?」、今ならどっち?もみんなの声を集めて載せています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月14日 (月)

ある少年兵のこと

Htbookcoverimage

「戦場から生きのびて」
ぼくは少年兵だった
イシメール・ベア
忠平美幸・訳
河出書房新社 本体1600円


 この本を購入して少し読み始めたもののそのままに閉じて、いつも気にかかっていた。どうしても読み進まなかった、あまりにもつらかったからだ。日曜日の朝日新聞の書評でみつけ、やはりこのままにしてはいけないと思った。
 リベリアの隣、西アフリカ<シエラレオネ>、私にとってはるか遠い国である。アフリカの少年兵のことが書かれている本は日本でも少し出版されるようになった。特に9・11がアフリカをはじめてとしての内乱も含めた部族の対立、戦争は私たちをそれらに近づけた。戦争を知らない日本人の世代、私はその年齢だから戦争は本の中にある。しかも、同じ国の同士の闘いや殺しあいは、アメリカ、ロシアなどの大国の介入もあり、なんだかどうなっているのかわけがわからない、テレビをとおしてなまなましいニュースははいってくるが(もっとも、私はテレビがないので、ニュースは新聞のみ)、気持ちはますます落ち込み暗くなるので、はるか離れたところなのをこれ幸い?に見なかった事に、知らなかった事にしてしまう。自分自身にむきあうこともしないで逃げているのだから、若い人に話をしたいと思わないのが本音だ。
 1980年主人公は12歳、ラップミュージックが大好きで、兄を中心にコンクールを見るためマトゥル・ジョングにでかける。お金がないから歩いて、次の日には帰ってくるつもりで「行ってきます」も行き先も言わずにでかける。二度と戻らない旅、その留守に反乱軍が街を襲う。逃げる、隠れる、飢えと危険にさらされて。友だちの死、そして、収監されて政府軍の少年兵士として前線に送られることになる。戦闘、収奪、殺人、マリファナで身も心もぼろぼになって。
 この本の他の少年兵の本とちがうところは、1996年国連のユニセフに助けられ、リハビリ・センターですこしづつ自分を取り戻していく様子が克明に記されていることだ。偏頭痛と悪夢、ドラッグ、暴力と時々人を殺したくなる、そんな絶望感のなかで少年を支えたのは、ラップ音楽、物語ること、たったひとつ残った伯父さん家族、センターのカウンセラーエスターの人間性、そして、時に絶望的になって暴れる少年にセンターの人たちはこういう。「いいかい、これはきみのせいじゃないんだ。本当さ。きみなら乗り越えられるよ」。いまでもどんなにたくさんの子どもたちがこの言葉を待っている事だろう。
 この本は一般書ででたが、中学生位からの若い人に広く読まれる事を願う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月13日 (日)

燃えるサバンナ

9784652086216


「燃えるサバンナ」
澤見彰
理論社 本体1300円



 
表紙からもイメージされるように、真っ赤なサバンナは干ばつで動物も植物も大地もなにもかも燃え上がっている、真っ赤な太陽が照りつけてすべてが渇きに苦しめられています。マサイ族にはサバンナに訪れる4年に一度の赤い月が現れるとき、太陽の化身である赤いライオンのたてがみを取ると雨が降るという伝説があります。マサイ族は大河ナイルの豊潤な地を求めて移動し、もし拒む者がいたら力ずくでも闘いとるという勇敢な種族、率いるのは呪術師レムヤの占いです。今度の移動にナイロビに向うという占いがレムヤからでて、シバは自分の夢見から異論をとなえます。シバは忌むべき日に生まれた呪われた娘、たった一人の女戦士で、シバの夢見は当たり、しかも、不幸なことが多いので、部族からはのけものにされて1ぴきのラスカルと一人で生きていました。。昔、やはりシバという大叔母がいて、40年前に干ばつのなか赤いライオンのたてがみを求めて出て行ったきり帰ってこなかったことがあり、今度のシバの夢見も部族に災いをよぶとレムヤにいわれてしまいます。シバは同じように一人でも赤いライオンのたてがみを得てこようと旅に出て行きます。それは、部族の人を救うというだけでなく、シバ自身の生きる意味を探す旅でもありました。
 この物語は特別な能力があるために恐れられ、忌み嫌われる少女が、自分の生きる意味を求めて旅にでる、けれども、そのために乗り越える試練の冒険話だけでなく、昔の恋人を自分の勇気のなさで死に追いやってしまった老人を一緒に描く事で、生きる意味は何なのか、本当の勇気と愛とは何かを問いかけています。その意味ではいつの時代ともしれぬ、そして、単なるマサイ族の冒険話ではなく、現代の若い人たちへの問いかけの物語かもしれません。
 最後に現れる赤いたてがみのライオンもとても象徴的です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

アラブの物語

9784035404804


「漂泊の王の伝説」
ラウラ・ガジェゴ・ガルシア
松下直弘・訳
偕成社 本体1500円


作者はスペイン生まれ、物語の舞台はアラビア半島のためでしょうか、不思議な雰囲気に満ちた本です。この物語の主人公イムルーウルカイスはキンダ王国の王子として産まれました。6世紀に実在したといわれている漂泊の詩人イムルーウルカイスをモデルにして書かれているとのことです。キンダ王国の王子として生まれ、すぐれたカスィーダ(長詩)を作ったことでしられていて、この物語も詩ではじまり、詩で終わっています。王子のワリードはとても魅力あふれていました。カスィーダを詠唱するラーウィー(詠い手)でした。けれど、一番を決める大会で貧しく無名の絨毯織りの詩に栄誉を奪われてしまいます。憎しみからワリードはその絨毯織りに、人類の歴史を全部織り込んだ絨毯をつくれ、と命令します。途中でその決して出来ない命令を出した事に後悔しますが、その時はすでに絨毯織りは自分の命を全部織り込んで死んでしまいます。ワリードの王国は衰退し、国を捨てて「漂泊の王」になり遍歴して歩くうちに盗賊や遊牧民、商人たちと行きあい新しい生き方を探し続けます。そして、心を許せる人に出会ったと思ったけれど、いつもワリードをまっていたのは、過酷な事実でした。
 詩を競うということ、絨毯織り、砂漠、盗賊など、あまり身じかにある世界でないのですが、作者はファンタジーのように不思議な世界を読者に広げて見せてくれます。
 絨毯織りの4人の息子たちに4つに切り分けられた絨毯、縫い合わせる事ができるのはワリードでなく読者のあなたです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月10日 (木)

白い牛を追いかけて

Book_0804_02


「白い牛をおいかけて」
トレイス・シーモア文
ウェンディ・アンダスン・ハルパリン絵
三原泉 訳
ゴブリン書房 本体1700円


 表紙の少女の明るい笑い顔、それになんといってもその少女がたずなを取っている牛のやさしいのどかな表情にひきつけられた。下にはニワトリをはさんで6人の男たちの、これもまたのんびりとした様子。絵はかなり細かく描き込まれているのだけれど、暖色が基調になっているので、穏やかな空気が表現されている。この白い牛、ほんとうは少女のところにいたのだけれど逃げ出してしまった。父さんと牧場で働いているマシューさんは捕まえにいったけれどだめだった。雑貨屋のオリーさんからの電話、ビルおじさんもボブおじさんもいっしょに捕まえにいったけれどだめだった。次にはおじいちゃんもいっしょにでかけたけれどだめだった。その度になんだかんだと言いわけして、どんなに良い牛だったかという男たちにあきれ顔のおかあさん、画面いっぱいにながれるユーモアが楽しい。そのあと、少女はひとりで白い牛をつかまえた。<ねぇ帰ろうよ>と、でも、夜空の下ねてしまった間に<わたしはいきますよ>といなくなってしまう、みんなは言う<いっただろう。あの牛はすごい牛だって!>
 穏やかなユーモアに満ちた、そして、存在感のあふれた絵本だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月 9日 (水)

まんがサイエンス

     かなり高度かも?でも子供に読ませたい!

Htbookcoverimage

 あさりよしとお(浅利義遠)の『まんがサイエンス』11巻が出ました(学研・ノーラコミックス)。学研「5年の科学」で87年に始まり、もう20年以上連載してます。
 私は前に「まんが日本の歴史」の類いは評価しないと書きました(みなもと太郎の『風雲児たち』(潮出版社・リイド社)は例外だとも書きました)。同じ理由で「科学まんが」の本も評価しないのですが、あさりよしとおは例外です。それは、監修者の文章の漫画化でなく、漫画家オリジナルの漫画になっているからです。科学知識を、漫画家自身が血肉化したあと、漫画表現しているからです。
 20年以上の連載ということで、その評価がわかりますが、まだ11巻目では2年に1冊くらいです。いかに「科学まんが」が割の合わない連載かわかります。ほかの長編漫画で食べているから、取材に手間ひまかけられるのでしょう。
 内容は、専門家の書く啓蒙書を越えた、漫画家の視点からのオリジナル表現になっています。題材は、科学技術、自然環境、生命進化と多岐にわたりますが、著者の関心の高い分野に秀作があります。特に宇宙開発に造詣があり、2巻の「ロケットの作り方おしえます」では、人類のロケット開発の歴史を、物理、技術、政治経済まで目配りし、ツボを得た表現をしています。 漫画だから図解もお手のもの。ストーリーは、ツオルコフスキー・ゴダード・オーベルト・ブラウンといったロケット開発の錚そうたるメンバーが総がかりで、小学5年生の手作りロケットを手伝うという破天荒もの。人類はなぜ宇宙を目指すのかを描いた感動作です。4巻では、宇宙開発の日本版も描いています。ロボットものでは93年に3巻で「我が輩はロボットである」02年に8巻で「ロボットの来た道」と2回特集し、読みくらべると10年間の技術の進歩がわかります。科学技術が、思想にどう影響するかも読み取れます。
 本川達雄の『ゾウの時間ネズミの時間』(中公新書)はベストセラーですが、これを子供にどう説明するかは、結構むずかしい。6巻の「どちらが長生き!?ゾウとネズミ」は,16ページで生命とは何か?を描いています。きわめつけは、5巻の「インフルエンザ大戦争!」ウイルスと免疫の関係を16ページで描ききっています。往年の映画『ミクロの決死圏』のようです。7巻は「『見る』科学」。ビデオから顕微鏡・望遠鏡・AFカメラのテクノロジーを支える、海外の基本特許と日本の最新技術の関係、まで考えさせられます。
 とにかく現在でも全巻が入手可能なのですから、驚異的です。「科学まんが」の先達・内山安二が、あさりの本を「かなり高度なことをやっているね」(7巻)と評していましたが、あさりの苦労をかった褒め言葉と取るべきでしょう。
   (高橋峰夫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月 8日 (火)

宇宙への秘密の鍵

2ebf9953s


「宇宙への秘密の鍵」
作 ルーシー&スティーヴン
     ホーキング
訳 さくまゆみこ
岩崎書店 本体1900円




宇宙のことに興味をもったのはいつのことだったろう。私にとって宇宙は星の世界だった。アナグロ世代の私は弟がもっていた望遠鏡(たいしたものではない)を借りて、良く屋根の上にあがって星をみた。小学生の頃だった。いつの間にかそれから遠くなって、宇宙や星の世界は本の中になってしまった。最近はおもしろいというか、宇宙の写真が載っているわりあいやさしい本がたくさん出るようになった。たとえば「ハップル宇宙望遠鏡」の本だ。ほとんどが科学としての本だけれど、とても写真がたくさん載っていて私はそれを見ているだけでも楽しい。(ロケットにはあまり興味がないので、宇宙船などの本はあまりみない。)
 今回出版されたこの本は一応物語の本ではあるが、宇宙についての科学的な解説もしっかり書かれている。写真もたっぷりだ。難しいところは昔のように写真だけしっかり見るだけでも楽しむことができる。
 一方、SFを読むように物語のみを読んでもいっこうにかまわない。物語はこんなふうに始まる。ジョージの両親はエコロジストだ。特に父親は活動家なので、食べ物からすべてエコロジー、現代っ子のジョージは不満だ。ある日飼っていたブタ(これはプレゼントだった)がいなくなったので探しているうちに隣の家の庭に入り込んでしまった。そのジョージの前にあらわれたアニーという少女、誘われて入ってみると不思議な家のなか、父親エリックは科学者だという。それに、アニーの家にはパワフルなコンピューターコスモスがあり、宇宙の話を聞くうちにすっかりとりこになってしまう。次の日、アニーに誘われ宇宙に出かけて行って危険な思いをするが、コスモスとエリックにたすけられる。ジョージの担任の教師はなぜかよからぬことを企んでいて、いじめっ子を使いエリックをおびきだし、ブラックホールにおいてきぼりにしてしまう。コスモスを連れ去りエリックを永久に帰ってこられなくしようとするのはなぜか?コスモスを治してエリックを助け、リーバー先生の手から逃れる事もできたが、宇宙の謎はこれで解き明かされたわけではない。
 この本の物語性はところどころ入っている挿絵が読む人の想像力をかきたてることにある。最後のベージは屋根に上がったブタのフレディが夜空の彗星、ほうき星をながめている。1巻のこの本はブラックホールのことを書きたかったというが、2巻目は彗星かそれに関係あることなのではないだろうか。<彗星は太陽のそばを通ると、熱せられて、表面の氷が溶けはじめ・・・P300>と2巻へと物語は続く。1年に1冊づつとか、待ちどうしい。
 Htbookcoverimage
宇宙の入門書には「宇宙を読む」カラー版 谷口義明・著(中公新書)が天文学をやさしく解説している。やはり写真がいっぱい入っていてわかりやい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月 7日 (月)

アイヌの昔話絵本

204143


「セミ神さまのお告げ」
古布絵制作・再話 宇梶静江
福音館書店 本体1300円



古布絵(こふえ)制作というのは裂き布とアイヌ刺繍からつくられた絵本です。前作「シマフクロウとサケ」はアイヌのカムイユカㇻ(神謡)、この絵本は昔話から描かれています。六代の人の世を生きたおばあさんが津波を歌で予言します。信じて避難し助かった人たち、でも、おばあさんはわずかの人と大海原をただよい謡いつづけます。その謡をきいた海の主はいかり、おばあさんを六つ地獄におとしてしまいます。けれど、村の守り神アイヌ・ラックルの妹が糸を紡ごうとしていて、糸かけ棒を地面ふかくさして、六つ地獄に穴をあけたために、おばあさんは這い出す事ができてセミ神さまに生まれ変わりいまでも歌いつづけているというお話です。
 刺繍と布なので描かれたものに厚みがあり木や植物、川、海など布で表現されているので暖かみが感じられます。そして、刺繍、つまり糸がおばあさんの歌、セミの羽、山津波や大津波などの感じをうまく表現できているのも、絵で描かれているのと違った趣になっています。
 最後に作者からのアイヌの人たちの生活と信仰と歌、自然に対しての思いなどの文を読み、はるか昔の人びとの暮らしに、しばし想いをめぐらしてみました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月 6日 (日)

水ずたまを見る

204123


「みずたまレンズ」
今森光彦・さく
福音館書店 本体838円



春になるとみずたまを見る事が出来ます。冬の間みずたまは温度が低いので氷のつぶつぶになります。
春には草や花や土にこぼれた雨のつぶは、みずたまになってこぼれ落ち、また、水になってみずたまになります。みずたまには光がとどいて輝きます。虫になったつもりでちょっとのぞいてみましょう。みずたまレンズがいっぱい。この本はみずたまの観察を写真でとったものですが、読んでいるうちにもう一冊みずたまの本の事を思い出しました。
4751515659

「ひとしずくの水」(ウォルター・ウィック写真・文 林田康一/訳 あすなろ書房)
 水のいろいろの姿をとらえた写真絵本です。「みずたまレンズ」が観察の絵本といえば、この絵本は実験の絵本かもしれません。どちらも自然の美しさと不思議さいっぱいの絵本です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

マイカのこうのとり

Htbookcoverimage


「マイカのこうのとり」
ベンノー・プルードラ作
上田真而子 訳
いせひでこ 絵



マイカの家にこうのとりが巣をつくり卵を産みました。雛が三羽産まれましたが一羽だけ色が違います。そして、その一羽は親鳥に巣からつきおとされます。命が助かった雛はマイカの父親が何度か巣へ戻そうとしますが、またも落とされて、雛鳥も帰ろうとしないばかりか、犬のヴィトーの寝カゴに入ってくつろいでしまいます。しかたがないので小屋へ連れて行って巣を作ってやります。けれどある日、知らない男の人がきて、こうのとりを連れてってしまいます。
 親に突き落とされてしまったこうのとりと、それを育てようとするマイカ。でも、その考えに父親は反対です。たしかに理屈はそうなのですが、マイカの気持ちは納得しません。母親はマイカの気持ちに添ってなんとかしたいと思います。こうのとりは自然の鳥です。だからいつまでも人の手の中にいてはいけないし、ましてこのこうのとりは渡り鳥なのです。
 こうのとりはある日飛び立っていきます。その前にマイカに別れの挨拶にきました。
こうのとりをめぐっての少女の孤独感を詩情豊かに描いています。その物語に絵がとてもあっていて、絵を見ていると、マイカの気持ちがひしひしと伝わってきます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月 3日 (木)

石井桃子さんが亡くなる

News
 石井桃子さんが亡くなった。1907年生まれなので101歳、くるべくしての時だ。
 私にとっての石井桃子さんはとても不思議な人だ。生前、昔、公の場で3度お話を聞く事があった。児童文学者というより、学者=研究者のような印象、背筋を真直ぐにしっかりと話をされた。今でも思う。石井桃子さんって我も忘れて激怒されたり、号泣されたり、人間の負の感情をどうやって心に治めていらっしゃったのだろうか。昔、神戸の事件があった時、ちようどNHKのテレビにでていらっしゃって、あの少年がかわいそう(殺人をおこした少年のこと)と一言話された。いまでも心に残っていて、時々考える事がある。
 私が本を読むのが好きになった一冊の「ドリトル先生」のなかの<オシツオサレツ>は石井桃子さんの命名だったとか、訳文のユーモアは幼い子どもの、成長しようとする心そのものだ。だから、「幻の朱い実」を読んだ時、また、また驚いた。
 私にとっての石井桃子さんは10歳位までの子どもと、お年を召してから、その間はやっぱり謎である。謎であってよいのかもしれない。それほど偉大な人だと思う。
(写真は朝日新聞社より)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月 2日 (水)

母から子どもへ

255993j


「ちいさなあなたへ」
ぶん アリスン・マギー
え  ピーター・レイノルズ
やく なかがわちひろ
主婦の友社 本体1000円

 
全米の母親を号泣させた絵本と帯に書いてあるが、私はそんなふうな売にしたくないと思った絵本だ。むしろ淡々と、一人でもありすべてでもある女の人の一生を、子どもに対する思いを描いた絵本だと思う。そこでは産んだということが関係ないといっても良いくらいに思える。人はこうやって慈しみ、慈しまれて一生をつぎの世代に託していく。それは祈りのようでもある。表紙を開けると折り込まれたところにただ「すべてのおかあさんと その子どもたちに」とシンプルに一文のみが書かれている。<somedayーちいさなあなたへーいつのまにやら あなたはおおきくなって わたしのあかちゃんは、わたしのこどもになった>こんなふうに。柔らかく深い思いを表現している絵、詩のような文、新しい生活をスタートする人にフレゼントしたくなる絵本だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月 1日 (火)

4月ははじまりの月

Dscf0621
 私の店ではおもに子どもたちが読む本を扱っているので、新年はともすると4月のように思う。なんといっても日本の学校は4月から新年度になり、また、役所の年度会計も4月のためだ。今年の4月1日は陽は輝いているのに風が強くて、とても寒かった。千葉高校の新学期はじまらないことを良いことに、あいかわらず学校の中を歩いた。桜が散り、地面いっぱいに花、花、花、銀杏はまだ固いけれど、欅もうす緑でとてもきれいなので、通れなくなったら嫌だなぁと私はまだぐずぐずいっている。桜の裏側のこぶしの木が花いっぱいなのに気がついた。ほかのこぶしはもうすでに散ってしまっていたので、気にしないで見過ごしていた。
 春休みだけれど部活なのだろうか、音楽がながれる。吹奏楽の人たちの練習、ピアノの音。そして、体育系の人たちが、声をかけあって走っている。私はこんな様子を観たり聞いたりするのが好きだ。気持ちが元気になる。
 朝の新聞では市の新年度の予算のことがでていて、図書館や学校など、設備だけで人も図書館の資料費は削られる事こそあっても、少しも増えた様子がない。生活用品や食品などどんどん値上げされそうで、公共の施設が本を買わないで一体どうなるのだろう。なんといっても子どもたちに本を好きになってもらうには身じかなところに本がなくては、そして、子どもたちのまわりに本の好きなおとながいなくては!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

本と映画「黄金の羅針盤」

Htbookcoverimage2

Htbookcoverimage3

Mo5317s



 フィリップ・プルマン原作の「ライラの冒険シリーズ1 黄金の羅針盤」の映画を観た。正確に言うと上映がかかってすぐに観に行った。本を読んだのは以前出版された時、2002年だから6年も前のことになる。とてもおもしろかった。これが映画になるときいて、どんなものになるのか期待があった。ファンタジーは映像にすることがすごく難しい。とくに罪とか悪とか、ほとんどの作品がこのおおきな問題を描ききれない。心にかかわる問題だから・・・。人の心は多面的だから・・・。
 この作品も人の原罪をあつかっている。アダムとイブは神の教えに背いたために罪をしょって楽園を追放された。けれどイブのした事は堕落でなく魂の解放でなかったか。ライラの世界、みんなダイモンをもっているが、おとなになると自分のダイモンは決まってしまう。ダイモンが切り離されたらそれは死ぬことを意味する。ライラは大学寮に連れてこられ、そこで大きくなる。元気でなまいきでうそつきな女の子。その頃なぜか子どもが消えてしまう事件が頻繁におこり、ライラはそのことを知ると、子どもたちを助けようと決心する。一方この世界と違う世界からダストと呼ばれる物がオーロラの下で降りて来るが、そこをとおしてみえるもうひとつの別の世界、ライラはそれを調べているアスリエル卿から託された真理計をもって北に向う。
 作者の描くこの物語は大きすぎて、やはり映画におさまりきれなかった。けれども、観に行くと良いとおもう。見渡す限りの氷原と雪をいだいた高い山々、飛行船と帆船と気球、ライラを助け尊厳のために戦うクマの王、ライラを助ける気球乗りと魔女たち、なんといってもダイモン、冒険ハラハラの物語はとてもきれいな映像だ。たっぷりと映画のなかで楽しむ事ができた。
 できれば本を読んでから映画を観に行ってほしいけれど、幼い子どもには読みようもないのだから、割り切っても良いのではないだろうか。春休みのおすすめだ。