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2008年3月 4日 (火)

とっておきの「科学の本」2冊

        とっておきの「科学の本」2冊
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 2年前の夏、本屋で、きれいなしゃれた表紙の本を見つけました。吉村仁の『素数ゼミの謎』(文芸春秋)です。そして07年夏もう1冊見つけました。『多賀城焼けた瓦の謎』です。同じ出版社。 同じく、表紙・絵は石森愛彦、装幀は野中深雪で、夏休み向けの、さわやかな表紙です。この2冊には、ほかにも共通性があります。ルビ入り。書名にもルビが入ってます。子供にも読める、わかりやすい内容です。私は2冊しか見てませんが、シリーズ化すれば、ユニークな児童書になると思います。せっかくですから、2冊まとめて紹介します。
 遊び心でしょうが、この謎シリーズ、特に『素数ゼミの謎』は、推理小説ふうです。「大学の数学ゼミで起きた殺人事件の本」と思って手に取りました。ところが中身は小説より奇なり。帯に「子どもから大人まで楽しめる科学読みもの」とある、進化の歴史の壮大な物語。それがハードカバー、カラー挿絵入り、126ページの(判型は四六判と言うのでしょうか)コンパクトな本に入っているのです。
 要するに「素数ゼミ」というのは蝉のことです。一般に「周期ゼミ」と呼ばれる北米の蝉で、13年か17年にいっぺん大発生します。「素数ゼミ」は著者の命名のようです。この蝉の3つの謎「なぜこんなに長年かけて成虫になるのか?」「なぜこんなにいっぺんに同じ場所で大発生するのか?」「なぜ13年と17年なのか?」を解き明かすのに「素数」が必要なのです。この本は、著者の論文『氷河期における周期ゼミの進化的起源』を一般向けに書き下ろしたもので、半分数学の本で半分生物学の本です。生物学が、数字で理路整然と説明できるなんて、まさに推理小説です。「数理生態学」がこんなに面白い学問だとは知りませんでした。
 さてもう1冊は、氷河期ほどではありませんが、千二百年はさかのぼります。帯には「小学生から大人まで考古学と歴史学を感動しながら学ぶ本」とあります。このもう1冊の本『多賀城焼けた瓦の謎』は、前とは著者が違いますが、肝心の著者名がありません。監修名・工藤雅樹はあるのに。
 結局この2冊に共通するのは、画家の石森愛彦です。緻密でデザイン性に富んだ絵です。「かがくのとも」にも挿絵を書いているようです。この人の表紙なら子どもも手に取るでしょう。
 さて著者名ですが、奥付には文・文芸春秋とあります。そして著者の代わりに、画家のあとがきがあります。それによると著者は、編集者の下山進で、娘の萌子さんの夏休みの自由研究がきっかけだそうです。編集者は、本の全体の設計者であり、出来のよしあしは編集者の力量にかかっています。編集者の自由な発想と感性からうまれた2冊が子どもに贈られ、今後が楽しみです。内容の面白さは保証しますので、卒業、入学の贈り物にいかがでしょうか。                        (高橋峰夫)
『多賀城焼けた瓦の謎』はこのブログ07年10月22日に紹介しています。 

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コメント

「素数ゼミの謎」読んでみました。
おもしろかったです。
中学生にお勧めしようと思います。

投稿 sen | 2008年5月 6日 (火) 21時12分

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