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2007年12月 5日 (水)

裁判員制度について

 ブラックジョークとしての『裁判員制度の正体』
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西野喜一の、講談社現代新書の帯にはこうあります。「日本の司法を滅ぼす、問題山積の新制度2009年までに開始予定。元判事の大学教授が「赤紙」から逃れる法を伝授。恐怖の悪法を徹底解剖」。凄い言われようです。
 読んだ感想は、ふたつあります。ひとつは、わかりやすいという事です。専門的なのにスラスラ読める。知識を覚えさせる本でなく、理屈・道理を説く本になってるからでしょう。その道理も、普通の常識で腑に落ちる説明になっています。裁判官の書く文章は悪文だとよく言われますが、著者は違います。逆にこの人の判決文を読んでみたくなります。わかりやすいのは、著者の主張がはっきりしているからでしょう。おかしいものはおかしい。現職でないから、遠慮がいりません。
 ふたつめは、これだけ深刻な問題を書いているのに、おもしろい、いっきに読める事です。はっきり言って、笑っちゃう。ブラックジョークです。
 この本では、陪審制と参審制の違いも説明しています。陪審制の導入を検討してたのが、なぜ参審制の裁判員制度になったのかも、ちゃんと書いています。その司法制度改革審議会のいきさつの、ドタバタ喜劇、できの悪いテレビドラマと言ったら、テレビ局が怒るでしょうね。こんな連中が日本を動かしているかと思うと、腹が立つ前に笑っちゃいます。いちばん悪いのは、連中を任命し、答申を採用した時の首相ですが。つっこみどころ満載ですので、著者は折に触れ、審議会と最高裁の無責任さを指摘しています。
 さてこの本には、裁判員選任から逃れる技術が書いてあります。これは類書では初めてです。アナだらけの制度ですから、手はいくらでもあるのですが、まず、選任の為の呼出状を無視するという手があります。行かない、連絡をしない事です。連絡をすると、呼出状が届いたのがわかってしまいます。また受け取りを拒否したり、家族が本人に渡すのを忘れたりしても、罰則はありません。もし次の手続きに行きたい人には、質問票が送られてきます。これにウソを書くのは罰されますが、何も書かない、返送しないのは、罰されません。ここまで読んで、なにかに似ていると思った人もいるでしょう。そう、振り込めサギへの対処法です。決して、連絡したり送金したりしてはいけません。最高裁の権威も地に墜ちましたネ。
 なかでも、著者がいちばん問題にしているのは「信念として、人を裁きたくない」という理由が、まだ認められていない事です。もしこれが認められないなら、その人は最高裁まで争うべきです。ただ忙しい人もいるでしょう。なにも過料を払わなくても、その人向けには、「信念として、全員無罪にする」あるいは「全員死刑にする」「評議では絶対意見は述べない」と言えば、必ず選任から落とされると教えています。行儀が悪いかもしれませんが、まともでない制度に、まともにつきあうこともないのです。      
 裁判員制度では、周防正行が『それでもボクはやってない』で描いた冤罪は、絶対なくならない、むしろ増える事がわかります。
 この裁判員制度は、郵政民営化、地上デジタル化とともに、行政改革の3大愚策として、歴史に残ることでしょう。 
   高橋峰夫

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