« ガンと闘った少女「キャシーのほ゛うし」 | トップページ | トメックとハンナの物語 »

2007年6月20日 (水)

読書の楽しみ

            読書の楽しみ

 本には、いろんな面白さがあり、読書の楽しさも様々です。ただ、本の何がどう面白いか、他人に伝えるのはむずかしい。特に新しい本や、あまり知られていない本をいう時は、まずどんな本か説明しなければなりません。いきおい、子供の読書感想文のように、あらすじを述べておわり、になります。また、みんなが知っている本でもむずかしい。私のように、料理はうまい・まずい、本や映画は面白い・つまらない、の感想しか持たない人間は、なおさらです。
 私は、本は行き当たりばったりに読みますが、読んでいて「ああ、前に読んだ本に書かれていたのは、この事だったんだ」と、過去の本が、2・3冊つながって来る事があります。著者は、関連書は見ているでしょうし、その分野の、常識かもしれませんが、腑に落ちるのも、読書の楽しみですネ。
Htbookcoverimage_96
 前に、内田樹の『下流志向』(講談社)に触れましたが、彼は、ちくまプリマー新書で『先生はえらい』という本を出しています。編集者に「どんなことをいま、いちばん中学生や高校生に伝えたいか」と聞かれた返事が、書名になったそうです。学習は「商品交換」でも「贈与」でさえもない。「学ぶのは学ぶもの自信であり、教えるものではありません。『それが何であるかを言うことができないことを知っている人がここにいる』と『誤解』したことによって、学びは成立するのです」といった、むずかしいのか、わかりやすいのか、わからない本です。しかしその後に「子どもが母国語を学習するときのことを考えてください」と述べています。「自分にむかって語りかける母親のことばを聴いているとき、子どもはまだことばを知りません」「まわりの人々の発する音声が意味を伝える記号であることがわかったのは、意味不明の音声について、『これは何かを伝えようとしているのではないか?』という問いを子どもが立てることができたからです」と書いています。
Htbookcoverimage_88
 ここを読んで、正高信男の『子どもはことばをからだで覚える』(中公新書)を思い出しました。これを読むと、赤ちゃんが母語を習得するのがいかに大変か、赤ちゃんはみんな天才だとわかります。 しかも母語の習得は、赤ちゃんと母親、双方の「勘違い」で成り立っているのです。例えば「指さし」行動です。赤ちゃんが、手を伸ばせばとれる物を、わざわざ体を引っ込めて、指さしする(あるいは指先で触れる)のは、ヒトとサルの一部に見られる「突っついて調べる」しぐさと関係しているそうですが、それを「母親が『うわー、赤ちゃんが名前を尋ねてる。そう、これは人形よ』という返答を返すことで、指さしは指さしとなるのだ」そうです。
 それゆえ「指さしを社会的にあえて誤解することで、行動の文化的借用が起こったのではないだろうか。笑いがことばの発声練習として利用されるように、進化の過程では往々にして、前段階の『ありあわせの形式』の機能を転化して済ます『やっつけ仕事』が生ずるのだ」となります。
 ここを読んで、また遠藤秀紀の『人体 失敗の進化史』(光文社新書)を思い出しました。「進化の歴史はまたまた、行き当たりばったりに材料を探し出して、新たな役割を与えるという設計変更に頼る」と書き、人体改造の「暴挙」を実例を挙げながら、述べています。
 こんなふうに、ランダムに読んだ本がつながっていくのが、私の読書の楽しみです。なお蛇足ですが、正高信男の本には、指さし行動の説明で「ウンチをツンツンするアラレちゃん」の画まで載っています。著者の視野の広さにニヤリとしますネ。
      高橋峰夫                                                                                                                                                                   

« ガンと闘った少女「キャシーのほ゛うし」 | トップページ | トメックとハンナの物語 »

コラム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ガンと闘った少女「キャシーのほ゛うし」 | トップページ | トメックとハンナの物語 »

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

10月の営業とお休み

  • 10月のお休み
    *お休み 2日(月)・9日(月)・16日(月)23日(月)30日(月) *営業時間 10:30〜6:00 日曜日は1:30〜6:00

お仲間にどうぞ

  • ー元気になる集まりいろいろー
    *よいこ連盟(保育士・なろう とする人)13日(金)7:00〜  「絵本をみる」        *Y・Aの会 読書会(どなたで も)12日7:00〜 「とりあげ る本 赤川次郎の本を読む」   *絵本の会 「絵本づくりの現場から」講師光村教育図書編集・吉崎さん 20日7:00〜(誰でも)           *グループ放課後 読書会「蜜蜂と遠雷」(公共図書館司書・その他)18日(水)7:00〜                  *ボランティア講座 非公開 16日(月)10:00〜       *憲法カフェ26日(火)「教育と憲法2」講師千葉県若手弁護士の会・中島弁護士 9月31日(火)7:00〜         *羊毛チクチクの会ハロウィーンのカボチャをつくる 19日(木)10:30〜                                                                                                                         

これからの会

  • 子どもと本これからの会
    読書は知識や楽しみも含めて心の栄養を与えてくれます。そして考える力になります。 被災地の子どもたちに本を届けたい、身の回りの子どもたちの環境を考えていこうという、二本の柱をたててボランティア活動をすることで出発しました。 いろいろの方たちの希望と力を持ち寄って、すばやく、やわらかく、活動を続けていきたいと思います。参加される方は参加登録してください。 世話人 坂上・宮田・大山