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2006年11月 4日 (土)

宮崎駿のアニメを読むー2

 2 その後の宮崎アニメへの展開
      (11月3日のつづき) 高橋峰夫
  最終戦争後の設定からもわかるように、このアニメには、その後の宮崎アニメの多くの要素が詰まっています。
 宮崎アニメを大きくわけると、『パンダコパンダ』のファンタジーものと、『ナウシカ』のSFものにわけられると思います。「パパパンダ」に「トトロ」のキャラクターを使ってしまい、『となりのトトロ』の制作時に、ぎりぎりまで「トトロ」のキャラが決まらなかったのは有名な話です。当時の、トトロ宣伝用の別バージョンのぬいぐるみも作られました。
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DVD「風の谷のナウシカ」 
スタジオ・ジブリ制作

エコロジカルな生活のハイハーバーを侵略する、開発主義のインダストリア、それに抵抗する人民の闘争、まさに『風の谷のナウシカ』です。そうするとモンスリーはクシャナ、ダイス船長はクロトワになります。ラナやナウシカの敵役のモンスリーやクシャナの複雑な性格。上司に忠誠を誓いながらも、自分の意思と打算で行動する、ダイス船長やクロトワの健全さと明るさ。宮崎アニメの2大キャラクターが、厚みのある複雑な物語を作り出します。もっとも、テーマを語り尽くした後の、錯綜した物語の収束は、いささか強引ですが。『コナン』では結局、世界を再び洗い流した大津波が収拾します。『ナウシカ』では、王蟲が押し寄せる大海嘯(だいかいしょう)で収束します。ちなみに『コナン』の原作、アレクサンダー・ケイの『残された人びと』の原題は“ THE INCREDIBLE TIDE”『大海嘯(だいかいしょう)』です。(英語では、潮汐が原因の海嘯(かいしょう)・高潮と、地震が原因の津波の区別がないようですね)
 『コナン』では、地殻は物理的ダメージは受けますが、海の生態系には、あまり影響しませんでした。つまり自然が回復したのです。 しかし6年後に制作された『ナウシカ』はもっと深刻です。世界は回復不可能なまでに汚染されます。「自然環境」の自浄力の限界が認識されます。それでも世界は、王蟲と腐海によって徐々に回復します。それはそうです。自然が滅んだら人間も物語も滅びます。 自ら滅びに向かう人類、というテーマを推し進めると、ではなぜ、いつからこうなったのかという疑問が出てきます。
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DVD
「もののけ姫」
スタジオ・ジブリ制作

日本人の回答のひとつが『もののけ姫』です。時は室町時代です。鎌倉時代までが古代で、室町時代から中世になります。私たちの日常生活の基本は、室町時代に作られたと言います。「むかしむかし」で始まる昔話の舞台や衣装は、室町時代です。古代と中世の違いは何か。日本人の畏敬の対象だった自然は、中世から開発の対象になります。つまり「神殺し」です。アシタカ(人間)とサン(自然)はともに生きることはできないのです。アニメの最後で、アシタカが「ともに生きよう」と言うのは、欺瞞であり、原罪なのです。ここまで重いテーマの『もののけ姫』は、子どものアニメではありません。そもそも子どもは、ひとりも登場しないのです(故郷でサンを「あにさま」と慕う娘はサンの婚約者であり、子どもではありません)
 『ナウシカ』を作った後、宮崎駿は『天空の城ラピュタ』を作ります。主人公はバズーとシータ、好きな女の子を救う為に、男の子が活躍する、コナンとラナのような物語です。ムスカは『コナン』のレプカ局長ですね。『ラピュタ』は『ナウシカ』よりも楽しんで作ったようですが、宮崎駿が一番楽しんで、のびのびと作ったのが『未来少年コナン』だと思います。(明日につづく)

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