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2006年10月30日 (月)

戦いに行かなかった人たちーブラッカムの爆撃機

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「ブラッカムの爆撃機」
ロバート・ウェストール 作
宮崎駿・編+タインマスへの旅
金原瑞人・訳
岩波書店 本体1600円



前に出版されてそのまま手に入らなくなってしまったのが、出版社が変わり、構成も変えてだされた。
豚のような風貌の(いつものことだが)宮崎駿がタインマスに着くところからはじまる。タインマスはこの作者のはじめての長編小説「機関銃要塞の少年達」の舞台だ。そして、この本の主人公が乗るブラッカムの爆撃機、正式な名前は「ウェリントン中型爆撃機」C号機に乗るために、今ある「ブルックランズ博物館」を訪れたのだ。(爆撃機の絵はすごい。)物語は読んでもらうしかないが、爆撃機にとりついたドイツ人ディーター・ゲーレン中尉の幽霊、狂気、宮崎駿がこの本にひかれたわけをこう書いている。«ブラッカムは日本にもたくさんいた»«空想の中で、何千というB29をゲキツイした»と。「ブラッカムの爆撃機」を読み「チャス・マッギルの幽霊」「ぼくを作ったもの」を経て、読者は彼に案内されウェストールの話を聞くことになる。(ウェストールはなぜか犬のような風貌)ウェストールは語る。この爆撃で10万の若者を失った、そして、タウンゼント大尉の戦い、«少年達の勇気は本来悲劇的なのです。しかしこの世界の重要な一部です»«ぼくの勇気はいつだって出口がなかっただけだ・・・ »。
以前読書会で「海辺の王国」を読んだ時、やっと親を探し当てた少年を、自分たちが生きていくために拒否する最後が納得いかないといきどおった人がいた。ウェストールの本はあまりにも正直であるために酷い、けれどその現実のなかにこそ、真実と願いがこめられているのだと私は思う。
ロバート・ウェストール 1929年生まれ、宮崎駿 1941年生まれ、金原瑞人 1954年生まれ 日本式にいうとひとまわりづつちがう年代、ウェストールは実際爆撃を経験し、宮崎は記憶のなかに空襲があり、金原は戦争のひとかけらもない世代の合作のようなこの本を、いま、若い人はどう読むだろうか。

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