2017年7月19日 (水)

よい子への道

  おかべりかさん亡くなる
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「よい子への道」
「よい子への道2」
福音館書店刊


最近時々新聞の死亡欄に目をとおすようになった。それは時々児童文学に関係のある人の告知があるからだ。80歳代の人が多いのはいたしかたがないことかもしれない。今朝もなにげなく見ていて驚いてしまった。
 <おかべりかさん>私はここしばらく読み返すことがなかったが本だったけれど「よい子への道」はいつでもぽつぽつと売れて行く。学校図書館では新刊がでることもあって「おばけやさんシリーズ」の注文がある。66歳8日に亡くなられたとのこと。
 この本は前にでていた「おおきなポケット(通称おおポケ)・月刊誌福音館書店刊」に連載されていたものを加筆されて書籍化された。はじめて読んだ時、もちろん福音館書店からこんな本が出たとちょっとビックリしたものだ。
良い本路線の福音館から、漫画本、もちろん絵本の形態はとっていたものの子どものもっている多様性、感覚を描いている楽しい本、時々読みながらどきっとする本、驚きながらもうれしかった。でもちょっと思ってみると漫画家で絵本を描いている人は多い。彼らはおとなになっても子どもの物の感じ方を忘れないでもちつづけている。また、ひとり亡くなってさびしい。あらためて読み返してみた。
そうだ、仕事からのストレスでめげているあの人にすすめてみよう。

2017年7月18日 (火)

手おけのふくろう

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「手おけのふくろう」
ひらののぶあき ぶん
あべ弘士 え
福音館書店 本体1400円


毎日暑い日が続いて、店はあまりお客さまがありません。かといって学校図書館の仕事がまだまだ終わっていないので、それと細かいことがきちんとできていないので(たとえば伝票の整理など)それなどに追われています。今日から8月まで店の営業時間を変えての初日です。3時開店などとどんな様子になるのかとおもいましたが、なんのことはない、私は取り次ぎからの荷物を受けるのに10時前から店にでているので、実質的にはあまりかわりません。お客様からどういう意見がでるかまだ良くわかりません。
 ところでいつものように9時頃千葉高校をとおりかかって不思議なことがありました。セミが鳴いて、私は今年初めて聞いたので”あぁ!夏!”としばらくどこで鳴いているのかとキョロキョロしていたら、なんと、鶯の鳴き声が聞こえてきました。この暑さの中鳥たちは静かです。いつもなら4時頃にはちょっとうるさいくらい鳴き声が聞こえるのですが静かです。もう子育ても終わり、幼鳥がうろうろするのが見られるのですが、それもあまり見受けられません。
 この絵本は大きな木のウロが使えなくなって、古い民家に乾かす為に軒に吊るしておいた手おけのなかで子育てをしたつがいのフクロウの話です。無防備な手おけのなかでの子育て、それを静かに見守った農家の人、それから毎年手おけのなかでフクロウが子育てをした話が描かれています。北の国で実際にあったはなしを作者は淡々と語っています。画家の絵は丹念に描かれていて、いっとき忙しすぎて(動物園に勤めていた)絵が荒いのが気がかりだったのですが、最近は丁寧に描かれています。たとえばこの絵本の雄のフクロウと雌のふくろうの目なざしが違います。フクロウの神秘性も良く描かれています。きびしい自然のなかでの生きもののくらし、静かに見守るのが私たち人間の心しなければならないことなのでしょう。

2017年7月17日 (月)

営業時間の変更お知らせ


  営業時間の変更お知らせ 

あまりにも暑いのでこれからの営業時間の変更をいたします。すべて3時から8時までになります。夕涼みがてらお出かけ下さい。
 もし、他の時間にご来店ご希望の方はメール (左上のメールをクリックください)または☎043-227-9192ー留守番電話もありますーまでご連絡ください。よろしくお願いいたします。

2017年7月15日 (土)

さかさことばー東君平

久しぶりに、というか東君平の新刊をなつかしく見た時、亡くなって30年もたったというのに驚いてしまった。そういえば新刊がでなかったこともあって、いつのまにか小さなお話集はなくなってしまった。
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「こねことこねこ」
「うたうたう」
さく・え 東君平
廣済堂あかつき 本体各880円



この2册は著者没後30年の記念出版、2冊ともいわゆる回文=さかさ言葉の絵本です。こういう絵本をみると絵の力をつくづく感じます。昔話でもいえるのですが本来は言葉から言葉、聞くー話すがもとになっていました。だからきわめて限定的なものでした。昔話でいうとその地方の言葉だったり、ものだったり、だから日本列島のように長細い国ではそのところで使っている言葉、いわゆる方言で語られ、聞くと解るその人たちにはとてもおもしろいのですが、聞くことだけではなにを表現しているかわからない、ましてこどもたちには経験がすくないこともあってとてもわかりにくい、言うー聞くには制約があります。けれどそこに絵という見て理解するものが入ってくるとしっかり解ります。絵や音楽の強さ、特徴です。
この本の回文はただならべられても解りにくいところがありますが著者の独特の絵では眉毛の描かれている犬や猫たちがいっしょになって唱えます。実際は良く解らないものの名前がありますが、となえているうちに人間臭い犬や猫が語りかけてきます。しかもカラーはとても鮮やかです。
ーとなえてみよう、さかさことば=うえからよんでもしたからよんでも同じ1巻目は「生きもの」2巻目は季節、唱える時は元気良く、大きな声で、まわりの人たちで読んでみると楽しい!

2017年7月13日 (木)

動物たちが教えてくれる海の中のくらしかた

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「動物たちが教えてくれる 海の中のくらし」
たくさんのふしぎ 8月号
佐藤克文 文
木内達朗 絵
福音館書店 本体667円


この本の表紙にはくじらが描かれています。海の中のようです。ところが裏表紙電車の中から外を見ている主人公でも外の景色はタワーがたっていて家も川原の緑もみえるのに左側には氷山らしきもの、空にはペンギンや魚が翔んでいて、なんといってもアザラシがたっています。なにかいいたそうです。なんだかおかしな絵です。内容は海のなかで動物はどうやって暮らしているかと、主に南極海でのウェッデルアザラシと亜南極のクロゼ諸島で繁殖しているキングペンギンから解ったことが描かれています。当然海の深いところでの様子が描かれていますが、写真をとることが非常に難しいので実際水中観察管から見たことなどなどを絵に描いています。ウェッデアアザラシの子育てから餌をとるために水中に潜ること、そして、水上に浮き上がってくる様子、これはほかの動物たちのことも描いてあるのですが、科学の発達はたくさんの力のある機器を発明して、人が行くことができない深海での動物たちの様子が調べることができるようになりました。
動物たちと海、水、そして空気の関係など、生物は環境によって生存し、環境によって進化していることがよくわかります。たくさんの生き物たちに計器を取り付け調査、データーを記録しています。
 裏表紙で主人公とアザラシがあいさつしているように感じます。”やぁ、また来たからよろしくね!

2017年7月11日 (火)

いいおてんき

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「いいおてんき」
こどものとも年中版 8月号
なかのゆき 文
井上文香  絵
福音館書店 本体389円


毎日ひどく暑い日が続きます。風があるので日陰にいくと少しは涼しい、木陰で本を読む、家でちょっと昼寝をする、どちらもいい感じです。でも、九州のほうでは洪水、崖崩れでまた、たくさんの人が家族をなくしてしまったり、被害がひどいと連日ニュースで読むとなんだかそんなことを言ったらら申し訳ありません。
 この絵本の主人公ともちゃんは夏休みにおじいちゃんとおばあちゃんのところにお泊まりに行きました。おじいちゃんおばあちゃんの家は田舎にある、そして、畑にいって経験したことが描かれている絵本ですが、おじいちゃんおばあちゃんの家はどうやら農家のようです。趣味の家庭菜園だったら畑に行くのにトラックは使わないと思います。いま全部とは言いませんが夏休みにおじいちゃんおばあちゃんの家に行く子どもは少なくなったのではないかとおもわれます。ともちゃんのおじいちゃんおばあちゃんはともすると私の世代かもしれません。ともちゃんくらいの子どもで田舎をもっている子どもは少ないのではないか、私の世代でも兄弟が少なかったりして、両親が亡くなると生家に帰ることが少なくなります。兄弟が元気でいてくれると帰ったりしますが、お墓参りに行くのが精一杯です。
 それはともあれ私にはとてもなつかしい夏の日の絵本です。トマトはトマトらしく育っていますし、とげとげのキュウリもりっぱなカボチャも一瞬幼かった頃にかえった、農家ではなかったのですがこういう風景はふつうに見られました。土くさくて、夏くさくて、人間くさくて、雨が降ると一瞬土煙りがたって、乾いた大地がごくごくと水を飲むような情景になります。
”あぁ!いいてんき”ともちゃんのようにおもわず大声をあげたくなりました。

2017年7月 9日 (日)

えるふの棚

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えるふの棚にあたらしいところが増えました。とはいうものの店が広くなったわけではなく、雑誌棚を動かして、ひと棚一般書をいれるところをつくりました。なんで一般書の場所?と思われるかもしれませんが近年会留府のお客様がちょっと変わったと思ったからです。ただし、このことは私が目をとおさない本が入ることになります。店の本は一応私が全部目をとおしてからと40年していたことなのですが、一般書まで目を通してというようにはいきません。
 じつはもうしばく前から言っていたことですが、子どもたちが店に来ることは一時期をのぞいてほとんどありません。それは高校生くらいまで続きます。もともと児童書は読むのは子ども、選ぶ(買う)のはおとなという構造になっていました。それはますます読むのは子ども、買うのはおとな、それもおじいちゃんおばあちゃんが多くなりました。子どもがこなくなった一番の理由は学校の様子に連動して、*学校からの帰りがおそくなった。*塾やお稽古で時間がない。*スマホの影響*交通事故や不審者の事件があって子どもひとりで出かけない、近所といっても近所の子ども達でつるんで遊ぶ場所も時間もいない、本がたかくなったし街の本屋がなくなってきた、図書館に子どもたちでいかれるほど図書館が多くない。それに比べて児童書を読むおとなは多くなりました。良く読むおとなには児童書だけの本屋というのはおまけがないので、ちょっとつまらないかなとまず棚ひとつちょっと違う雰囲気に!!!というのが理由です。
 ご要望・意見をおよせください。


2017年7月 7日 (金)

アイちゃんのいる教室

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「アイちゃんのいる教室」
6年1組にじ色クラス
ぶん・しゃしん 高倉正樹
偕成社 本体1200円


ダウン症のアイちゃんの成長を記録した本3巻目がでました。この本は読売新聞宮城県版で2014年2月25日〜28日 2015年3月25日〜31日 2016年3月22日〜31日に連載された記事がもとになっています。著者は読売新聞社の盛岡支局、東北総局の記者(いまは東京本社)です。ダウン症の女の子アイちゃんの1年1組、3年1組、そしてこの本6年1組の成長記録です。アイちゃんの家庭はもちろんですが、東北のある小学校でのアイちゃん、当然アイちゃんたけでなくクラスの子どもたちの成長が書かれています。アイちゃんのクラスはにじ色クラス、帯にあるように虹はほんとうは円なのに、半分しん見えない、その見えない部分にいじめや悪口があるのではないか、アイちゃんはダウン症でクラスのなかに問題なくいる場所があるけれど、もしかしたら見えない部分にハンデキャップのある人に 対しての反感や偏見やいじめがあるのではないかと、教師は子どもたちに問題提示して「自分で考えよう、正しい答えはない」ということをつねに言い続けていきます。
アイちゃんはできないのでなく、ずるけていやなことはやろうとしないだけではないのか、特に課外活動などみんなで協力しあって取り組むことには、アイちゃんに対しての風当たりはつよくなります。それにちょうどクラスのみんなだけでなく、アイちゃん自身も「ダウン症って」「わたしは誰?」と問いかけるように成長しています。本のなかのアイちゃんとクラスのみんなは、自分たちがいたクラスの記録から読者に問いかけます。最後に書かれているクラスのみんなの一口感想、決して聞きやすい、心地よい言葉ではない、私たちもこの言葉をとおしてともに成長する、ともに生きるということはどんなことなのか考えていかなければならないとおもいます。

2017年7月 5日 (水)

おばけえんはすぐそこです

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「おばけえんはすぐそこです」
ーこどものとも8月号ー
山﨑るり子詩
石黒亜矢子絵


湿っぽい梅雨の毎日、ニュースでは豪雨の九州北部の様子がとぎれることなくながれてきます。私の家はテレビがないので、ラジオのニュースを聞くだけですが、予断をゆるさない大分県や福岡県の様子です。耳から聞くことと違って目で見えることは瞬時といえ心に強く残ってしまうことです。
 今月の月刊誌は目につく、売れることでもあるけれどちょっとためらってやめてしまう人もあります。それは絵が強烈、おばけがでてくるのだけれどそれはあたりまえですが”子どもには怖いことだから”といいながらも”でもどうしてこういう絵が好きなのかしら?と私に同意を求められてぶつぶつと・・・。でも私はこの絵描きさんの絵は好きなので”愛嬌があって私は好きだけれど”と言います。おばけえんのせんせいはふたまたしっぽのふるギツネです。生徒は表紙を見てください、みつめ小僧を先頭に十人?化け猫ものっぺらぼうもみんな古典的なお化けです。おまけに詩と書いてあるようにことばあそびの文です。でも、こわいという子にはすすめません。先生が皆に読んでやるとおもしろい、みんなで声に出して読んでもおもしろく感じます。大きな声でおまじないのように!
 

2017年7月 3日 (月)

カーテンふわり

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「カーテンふわり」
こどものとも0・1・2  8月号
澤口たまみ 文
どいかや 絵
福音館書店 本体389円


今日は今年最高の暑さとか、千葉市は33度とニュースはいっています。昨夜も暑かったと今日の読書会に来た人たちがいっています。でも、陽が落ちて夕闇が迫る頃の帰り道、ゆっくりと学校の木々の間を歩いてくると風が吹いてきます。この絵本の表紙のように7月の風はゆっくりカーテンの間を吹いていきます。時々カーテン越しにお客さまがみえます。この絵本のようにチョウは入ってくることがあっても雀がはいってくることはありません。絵を描いているどいかやさんは千葉にお住まいです。そこは同じ千葉ですが街中でなく、山間部なので、雀や時にはリスもやってくるかもしれません。わたしの住んでいるところでは、これから夏盛りになると夜の電気に誘われて、カブトムシやカンブンは良く入ってきます。特になるべくエヤコンをつかわないようにしているので、風といっしょに昆虫類は良く来ます。セミはかしましく鳴きながら入ってきますが、あとは電燈のまわりをうるさく”きたぞ!きたぞ!”とバタバタと音をたててさわぎまわるのでつかまえて外へ、でもまた光をめがけて入ってきます。
 カーテンを揺らす風はやさしい風、できれば風の下でちょっと一休みとねっころがって本でも読む、あぁ!これはおとなの願望ですね。幼い子どもは風に揺れるカーテンの向こうに何をみているのでしょうか。

2017年7月 2日 (日)

れっしゃがとおります

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「れっしゃがとおります」
ーかがくのとも8月号ー
岡本雄司さく
福音館書店 本体389円

今月の福音館書店の月刊誌「かがくのとも」はなんといってもまた、千葉の小湊鉄道をはしっている列車の話なので紹介したいとおもいます。電車といってもディーゼル列車で市原市の五井駅からホームを乗り換えて上総中野までの小湊鉄道を走るようすが描かれています。あさ出発です。!列車は走ります。最初にはさまざまな家があり人も見えます。そのうちに緑一面、農作業をしている人が1人、道には車が1台きり、川をわたり所々の駅につくと人が乗ってきますが、まわりではテニスをしていたり、バスがとまっているだけです。また走り出した列車の廻りは今度は動物があちこちに見えます。働いている人というより観光地、虫取りの家族がいたり、廻りは山というか森が続いていて、その中をただ、ただ列車は走ります。いよいよ終点の駅上総中野です。(この鉄道は会社はかわって海にむかってJR大原駅までいすみ鉄道が続いています。)付録についている大判一枚の絵地図、空から見た様子が描かれているのですがこの沿線のようすがよくわかります。
 この場所には「出発進行!里山トロッコ列車」 (かこさとし作 偕成社刊)が刊行された時に会留府にいらっしゃる人たちで行ったことがあり、このブログでもそのことを紹介しました。その時の目的は列車に乗るということより、途中にみられる逆転層を見るのが目的でした。
 この本ではそれとちがって列車に乗ることが中心です。ともかく電車が大好きな子どもたちはきっとぼろぼろになるくらいの愛読書になることでしょう。子どもだけでなく毎日があまりにも気ぜわしい生活をしていると、こんな風景のなかにしばらくぼっとひたっていたいような気持ち。
 いよいよ7月がスタートしました。千葉市の公立小中学校は15日から夏休みがはじまります。

2017年6月29日 (木)

青空のかけら

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「青空のかけら」
S・E・デュラント作
杉田七重 訳
すずき出版 本体1600円


カバーにもカバーをはずした表紙にも青空の中を2羽のツバメがとんでいます。2羽のつばめはこの本の主人公姉弟かもしれません。物語の舞台は1980年代のイギリスのスキリー・ハウスです。スキリー・ハウスは日本でいうと養護施設にあたります。私のブログで毎月1回コラムを書いている(の)さんはその児童養護施設の職員です。いま、(の)さんは里親キャンペーンに力をいれています。この物語の姉はミラ、弟はザックといい両親のことは何一つ知りません。いくつかのところを転々としてきました。前に引き受けてくれた人が年をとり、突然このスキリー・ハウスにやってきました。とても古めかしい建物、階段を上って行くと天国にいけるのだと想像力豊かなミラは思います。ザックは元気というか他の思惑なんかすこしも考えなく、とんでもないことなどをしてしまうこともあります。ミラは自分が守ってやらなければならないと必死のおもいです。近いうちに自分たちを引き取ってくれる人が見つからないと、明日はないと思うくらいあせっています。(スキリーハウスにいる子どもは同じように思っています。)二人いっしょに引き取ってくれる人などいるのでしょうか。
ある日ミラは自分たちに割り当てられた部屋のベットの脇の床下から手紙をみつけます。グレンダと署名された手紙、1947年に書かれた手紙です。グレンダはスキリーハウスに暮らしている女の子で、もちろん昔の話なので、いまグレンダってだれ?ミラはグレンダに返事を書きます。
 この物語には魅力的な女の人がでてきます。とくにスキリーハウスの経営者ミセス・クランクスと一時ミラとザックを受け入れてくれた画家のマーサは二人の、とくにミラにとってはつらい状況のなかで見つけた青空をもっているおとなです。二人もこの姉弟をかわいそうという気持ちだけではありません。各々のつらい中でも自立してきた女性です。だからこそミラの気持ちもザックの行動にも寄り添えるおとななのです。
 もうひとつこの物語にはスキリーハウスの自然がすばらしく描かれています。そして、マーサの家に行った時の自然も。冬の景色そのなかでマーサの犬と遊ぶようすや新年を迎える人びとや施設の子どもたちの声が本のなかから聞こえてきそうです。
 家族とはなんだろうか。自分の意志ではなく運命にもみくちゃにされながら、必死で自分の居場所を探すこどもたち。いまでもその物語は物語だけでなく続いています。

2017年6月27日 (火)

    ふたばからのおたより -6月―

     
            山谷のコーヒー店のこと

 昔、山谷のあるコーヒー店で待ち合わせたことがある。何で読んだのだったか、山谷に暮らす人たちに、本物のコーヒーの味を知ってもらいたいという志で本格的なコーヒー店を開店させた人がいる・・・そんな記事だった。
 たまたま同じ仕事仲間の女性ばかり4、5人集まる機会があったので、わざわざその店で待ち合わせた。店に来る途中の橋のあたりで、男の人たちが喧嘩していた。「わあ、怖かったー」と飛び込んできた友人もいれば、ニコニコと歩いてきた友人もいた。コーヒーを1杯ずつ飲んで、それからどこに行ったのだっけ、覚えてない。調べてみると、その『バッハ』という店は、まだ山谷にあるらしい。
なぜ急に思い出したかというと、先日、野本三吉さんという方のお話を、たまたまある研修で聞いた。野本三吉さんの本は、一時期何冊か続けて図書館から借りて読んだ記憶がある。
横浜寿町の生活館相談員から横浜児童相談所の児童福祉司、後に沖縄に移住された方だが、私が読んだのは児童相談所時代の本が中心だったと思う。お話を伺いながら、何となく山谷で飲んだコーヒーのことを思い出した。
 自立援助ホームで働いていると、それまでの人生では出会わなかった少年たちに、何人も出会った。M君は、ニヤーっと笑うのんびりした男の子で、当時18歳くらいだったろうか。給料日にお金を使い込んで帰ってきた。その頃のアルバイトは、みんな現金払いだった。職員に注意をされると、日頃のM君からは想像できない激しさで、唾を飛ばしながら喰ってかかってきた。
「あんたらはいいよ。大学行って、結婚して、家庭持って。俺たちに何があるんだよ。学校にも行けねえ。結婚だってできねえ。自分で稼いだ金でパチンコして何が悪い!」
そこまで言ってバツが悪くなったか「なあんちゃって・・・」とニヤリと笑ってごまかしたと思う。それがM君の表現だったから。そのうちM君もホームを出て、日雇い労働者になった。たまに、お金を借りに来て、たまに返しに来た。いつもニヤーっと笑ってた。どんなおっちゃんになったろうか。

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写真は、そのコーヒー店のマッチ。確かとってあったはずだと探したら出てきました。気にいった喫茶店のマッチ箱を大事に集めていた時代もありました。  (の)

2017年6月25日 (日)

あめのひ

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「あめのひ」
サム・アツシャー作・絵
吉上恭太 訳
徳間書店 本体1600円


今日は雨降り、早くやまないかなぁ!男の子が外に行きたくて窓の外をながめています。雨が降っていてもへいちゃら。どのくらい雨を食べられるか?水たまりは飛び込む為にあるんだよ!長靴はいてばしゃばしゃと歩くのもおもしろいよ。でも、おじいちゃんは!雨がやんだらだ”と手紙を書いている。やっと書き終わって”手紙をだしに。”あめやんだよ!”男の子の元気な声が本の中から聞こえてきそうです。水で体が濡れてもへいきなのは犬と子ども?ちなみに猫は体がぬれるのはきらいです。
 この絵本の物語は男の子の想像だろうか。現実に舟が出るほど雨が降ったら大変だ。おとなのおじいちゃんも楽しかったようだ。雨をめぐって幼いこどもとおじいちゃんは楽しい時を共有できた。おじいちゃんと子どもには同じ時間がながれている。rain千葉は今日も梅雨の空でした。
 

2017年6月24日 (土)

ふしぎな銀の木

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「ふしぎな銀の木」
スリランカの昔話
シビル・ウェッタシンハ 再話・絵
松岡亨子 市川雅子 訳
福音館書店 本体1400円


日本の昔話「ならなしとり」と少し似たお話です。3人の息子に王さまが難題をだします。このお話では王さまが見た不思議な夢のなかにでてきた「銀の木」を探して持ってきた者には王国を分け与えるというものです。日本の昔話では母親のために、やはり3人の息子が挑戦します。そして、途中の誘惑に勝ち沼の主?と戦って勝った末息子がならなしを持って帰る、上の兄さんたちを救ってめでたし!めでたし!になります。この物語で持ち帰るのは銀の木というだけでなく、三人の乙女、白の乙女と金の乙女と銀の乙女もいっしょに連れ帰って各々の王子と結婚、末の王子は次の王さまになって国は繁栄したというようなお話になっています。物語は少し長い、それは隠者に力をもらうことと蛇の大王を殺すだけでなく、娘の乙女たちもつぎつぎに殺すことによって次に進んで行けること、しかも救った兄たちの計略で牢に入れられ、乙女たちは塔に閉じ込められてしまいます。でも三人の乙女が王に進言し、末の王子は牢から出されるのですが、やはり王子は三人の乙女を剣で殺してしまいます。殺すことは呪いを解くことなのでしょう。そんな風にこのものがたりは魔法と不思議さがたくさんあります。隠者にもらうちいさなタネ、途中で拾う卵は王子の身を救い、帰り道で隠者にまた、バナナと水をもらい、その2つは兄の呪いを解きます。
 絵も日本の昔話絵本とはずいぶん違います。極彩色にちかく、線もはっきりしています。スリランカはいったことがないけれど、このようにエネルギーがほとばしるような絵があうのだとおもったり。ただ、お話はながいので絵本というより絵物語に近く、絵のないページ、逆に文のないページをいれることで構成されていますので、読み聞かせには工夫がいります。ゆっくり絵だけ見ていたくなるような本、描かれている人物の眼差しが印象的です。

2017年6月22日 (木)

つちづくり にわづくり

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「つちづくり にわづくり」
「ゆきのうえ ゆきのした」
ケイト・メスナー文
クリストファー・サイラス・ニール絵
小梨直 訳
福音館書店 本体1600円


この2冊の本はほとんどが同じような構成で描かれています。最初に出版された「ゆきのうえ ゆきのした」では表題どおり雪におおわれた地面の上と地面の下での生き物の生の営み、今度の絵本は春からはじまって1年間の地面の様子、それは地面の上でおばあちゃんといっしょに畑作りをする、それと同じように地面の下ではいろいろの生き物が、とくに小さな生き物たちが植物が育つように土づくりをしているようすが描かれています。その小さな生き物たちの働きがあってこそ、人間は食べ物を(作物)を育てて、その恩恵に浴することができるということが、すてきなイラストで描かれています。
 この絵本は5月に出版されているのですが、ちょうど私のPCは壊れていてブログはお休みしていたころでした。いま、日本はこの生き物たちの土作りだけでなく梅雨という水の恩恵を受けているところです。梅雨は湿っぽくてなかなか動きにくい、時には凶暴になる困ったものですが、土づくり庭づくり、畑作りには欠かせない自然の恵みです。自然は時には牙をむきますが、人はその自然の一部、生き物と共生していかなければ生きていかれない、そんなことをおとなと子どもたちが話あえると良いとあらためて思います。


2017年6月21日 (水)

子どもの心の育て方

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「子どもの心の育て方」
佐々木正美
河出書房新社 本体1300円


店をはじめて40年からたつと子どもをとりまく環境はひどくかわったと思う。いつ頃から変わったのか私のなかでは、はっきりと線引きできない。子どもの本を売る仕事をしているのだけれど、店を始めた頃はまず親たち、それもほとんどは母親だった。父親はプレゼント本が動く頃(クリスマスなど)など来店されることはあっても、普通は車を運転して店の前で車にのったまま待っていることが多かった。だから本選びはほとんど母親、後は教師や図書館に務めている人、保育士などだった。今は若い父親が土曜日などにカンガルー抱っこをして店に入ってくる。父親の場合はほとんどが自分で見てちょっと読んで選ぶ。母親は本選びというより実際に育児に繋がることの相談受けることが多い。母親以上に相談を受けるのはじじ、ばば世代、孫の面倒を見ている人がとても多い。千葉の場合ともかく子どもが1歳になるのをまって働きだす若い母親が多くなった。
 この本は「こどもへのまなざし」福音館書店刊があたらしい育児書として多くの人、特に母親に読まれたのだけれど、また、あたらしい装丁で出版された。まえよりずっとこぶりで読みやすい。前とくらべると呼びかけるような形式と文体であらためて新鮮に読み返した。私はこの本を自分が子育てをしてときとあまりにもちがってしまってとまどっている祖父母世代、それと若い親にすすめたい。
ー「なんでもひとりでできるようになること」が自立ではありません。他人との調和のなかで主体性を発揮して暮らしていくことが本当の自立です。ー
ー子どもは、親の社会性を見て、自ら社会性を身につけます。家庭が孤立せず「社会化」することはとても大切です。ーなどの記述は子育てだけでなく自分育てにも学ぶことが多い本だからだ。

ホウホウフクロウ

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「ホウホウフクロウ」
井上洋介 作
福音館書店 本体1700円


今日待っていた本が入ってきた。お客さまにファンがいて、”楽しみだね”と言っていた。想像以上に大型(37×27センチ)しかも画面いっぱいに描かれた生き物たち。「ふくろう」「せみ」「みみずく」「とんぼ」との作者の対話。作者でもあり子どもでもあり、わたしでもあり、あなたでもある。1ページにいっぱいに墨で描かれている絵。片面には言葉=呼び交すことば。下に記されている年は描いた年?
 今年はとくに最近あまり良いニュースがなかった。生きていることさえ無力感におそわれる。ゆっくりめくりながらみていくと、そんな思いを吹き飛ばすように生き物たちがうたう。”みんな いいこえで うたうよ あしたはまちどうしい きっとよあけはくるんだから”

«つきよ

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7月の営業とお休み

  • 7月のお休み
    *7月2日臨時(日)・3日・10日・ 24・31 日の月曜日               *7月9日・16日・23日・30 日の日曜日は1:00〜6:00            *その他の営業時間3:00〜8:00

お仲間にどうぞ

  • ー元気になる集まりいろいろー
    *グループ学ぼう・話そう 定例会第1月曜日3日(月)1:30〜話し合い  *ボランティア講座 定例会24日(月)10:00〜 テーマ「お話会の小道具づくり 会員」               *憲法カフェ25日(火)3期・7月学習会「いま、福島は・報告と話し合い」誰でも・予約制             *グループ放課後(公共図書員・関係のある人) 定例会12日(水)7:00〜読書会              *YAの本を読む会+のんき〜ず学校図書館司書  定例会13日(木)7:00〜読書会宮下奈都「スコーレーNO4」                  *よいこ連盟・絵本の会(保育士たち)定例会14日(金)7:00〜制作「手遊び」                  *絵本の会21日(金)7:00〜ロングセラー絵本の魅力           *羊毛ちくちくの会20日(木)10:00〜制作                                                                                                           

これからの会

  • 子どもと本これからの会
    読書は知識や楽しみも含めて心の栄養を与えてくれます。そして考える力になります。 被災地の子どもたちに本を届けたい、身の回りの子どもたちの環境を考えていこうという、二本の柱をたててボランティア活動をすることで出発しました。 いろいろの方たちの希望と力を持ち寄って、すばやく、やわらかく、活動を続けていきたいと思います。参加される方は参加登録してください。 世話人 坂上・宮田・大山