2017年11月24日 (金)

テオのふしぎなクリスマス

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「テオのふしぎなクリスマス」
キャサリン・ランデル文
エミリー・サットン絵
越智典子 訳
ゴブリン書房 本体1500円


クリスマスイブなのにテオはひとりぼっちです。テオのおとうさんとおかあさんは仕事でとても忙しく、ベビーシッターにテオの面倒をみてもらってまだ帰ってきません。そして、そのベビーシッターは台所でいねむりをしています。クリスマスの飾りもまだ、テオは去年のかざりを箱からだしました。ほとんどの玉飾りは割れたりかけたりしていました。底の方に木馬とコマドリと太鼓をもったブリキの兵隊、そして天使がでてきました。木馬は足台のところがところどころ虫に食われたあとがあり、コマドリははげちょろ、ブリキの兵隊は錆びだらけ、天使の羽は抜け落ちていて、なんだか惨めな飾りです。それでもテオはもみの木に飾ってみましたが、とても寂しくなって窓の外の夜空を見上げました。前におとうさんが言っていた「願い事をするときは心臓のありったけで願わなくてはいけないよ」と言っていたことを思い出して、ありったけの力をこめて「ひとりぼっちでないのがいいです。だれかいっしょにいてください」と願いました。すると不思議なことがおこりました。飾った木馬もコマドリもブリキの兵隊も天使も降りてきたり、針金を外してほしいといいました。テオはびっくりすると「あなたといっしょにいるためにわたしたちは目覚めた」といいます。木馬はおなかがすいている、コマドリは忘れてしまった歌を歌いたい、兵隊はブリキの太鼓をたたきたい、天使は空をとびたい、とテオに頼みました。そして、どうしたら良いか考えます。テオとクリスマスのお人形たちの冒険がはじまります。そして、テオにもすてきなクリスマスがやってきます。物語が少し長いのですが、子どもたちの共感を呼ぶ楽しい物語です。
 この本はただそれだけの本でなく、表紙は華やかな金があしらわれていてとても美しい装丁です。各ページ一杯に描かれている絵は派手でなく押さえた色、精密に描かれている背景などクリスマスのできごとらしく最後の両親との場面も暖かさと喜びが充分に描かれています。
 もうひとつ私が感じたのは両親にかまわれなかったテオは、でも最後にはハッピーエンド、これだけだと良くある話なのですが、この物語のテオは他者に贈り物をする、たとえば、天使の羽になる森のなかに鳥の羽を探しにいって、のりがないのでガムを使って鳥の羽をくっつける、おかげて天使は羽ができて空を飛ぶことが出来るようになります。他者に工夫して贈り物をつくる、テオは単なるかわいそうな少年ではないこの考え方は現代の日本人が忘れがちのことで、それがただ美しいというだけでなく絵本のなかにきちんと描かれている、こどもたちだけでなく、おとなにこそ渡したい絵本の1冊です。(今年の会留府のサイン本の1冊です)


2017年11月23日 (木)

ふたばからのおたより -11月―

       
           日々の暮らしの中で

 勤めている児童養護施設が60周年を迎え、つい先日記念式典があった。その中で、他施設の施設長の方がお祝いの言葉として次のような話をされた。
「昔は、千葉あたりで飲みすぎると、おお、泊まってけと言われて、よく泊まらせていただいた。ある朝、目が覚めるとね、ほら、昔の園舎は長い廊下があっったでしょ、そこの障子に日が当たっていてね、男の子が炬燵にあたりながら、一心に本を読んでいるのが見えた。何をそんなに熱心に読んでいたんだろう。おだやかな時間だった。僕はね、あの光景が養護の原点だと思っている。難しい理屈じゃない。今でも、そう思っている。」
 そんな旧園舎は10年ほど前に取り壊され、改築されたホームに今もたくさんの子どもたちが暮らす。
 60周年記念に合わせて、というか、それを目標にして、後援会のホームページも作成した。パソコンをいじるのが得意な若い職員の人がいて、何とか間に合わせて仕上げられた。ホームページの表紙には、懐かしい昔の写真を何枚か使った。そうしてブログの形で何でもない日々の暮らしを支障のない範囲で載せていきたいと思っている。
 私の個人的な気持ちだが、このホームページは一番、卒園した子ども達に見てもらいたいと思って作った。特に社会に出て色々なことがあって、施設の敷居が高いな、顔向けできないなと足が遠のいてしまった卒園生たちが、ふと手にしたスマホをいじって覗きに来てほしい。遠い土地でそれぞれの人生を送っている元子どもたち、いいことばかりではなかったろう人生にふっとため息をつく時、スマホの中に見るのは、遠いおだやかな時間、長い廊下に陽があたたかく降るような、そんな光景であってほしい。そう願っている。
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写真は、今関わっている養育プログラムの会場に飾っている折紙。うさぎさんは、お月見のころ、ねこさんはハロウィンのころ。「香香(シャンシャン)」にちなんで親子パンダを飾った日もありました。              (の)


2017年11月22日 (水)

クリスマスからお正月に 2017年最後のイベントその1

      〜会留府恒例のイベントのお知らせ〜
2017年も数えられる程、残り少なくなってきました。今年いろいろの本に出会うことができましたか?
忙しかったり、病気をしたり、家族にいろいろのことがあったり、あまり本が読めなかったと思っていらっしゃる方にも、今年の最後の会留府がのイベントのお知らせです。
 *会留府の開店日記念セール
 12月1日41年前に会留府は稲毛で誕生しました。まだのんびりしていた頃です。でも、市民が子どもの本を見たり買ったり選んだりできるようになりました。子どもたちに〜あなたへの本〜を考えるようになり著者のサイン、宛先の名前をいれた本をお渡しできるように計画しました。以後15年位前から毎年皆様のご希望をとってサインをいれていただきそれをお渡しいたします。
 今年は3冊、選書しました。お申し込み締め切り12月4日 5時 お渡し日は12月18日。注文の本の名前、宛先のお名前(例〜ちゃんへ)冊数は1冊ごとに申し込みください。注文主のお名前 連絡方法を明記の上FAX043-227-9193 またはメール(ブログ左上を使ってください)でお申し込み、facebookやTwitterでのお申し込みはできません。
 
present プレゼントには絵本を!!〜

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「十二支のおもちつき」
すとうあさえ さく
早川純子 え
童心社 本体1200円
おなかをすかせたネズミはおじいさんとおばあさんにご恩返し。そして十二支を呼んでみんなでおもちつきをします。日本の昔話風のお話と絵 幼い子どもたちに

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「テオのクリスマス」
キャサリン・ランデル文
エミリー・サットン絵
越智智子 訳
ゴブリン書房 本体1500円

とてもきれいなイギリスの絵本です。両親は忙しくて一人ぽっちのテオ。そこへ去年のツリーの飾りたちがテオをいろいろのところへ連れて行ってくれます。でもテオの両親は忘れていたわけではありません。目をさましたテオが見たものは。静かな心が優しくなるクリスマス絵本。7歳位からおとなへ
この本のサインは訳者です。

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「あからん」
西村繁男
福音館書店 本体1400円

「あ〜んまで」の言葉遊びの絵本。これでみんなが盛り上がることうけあいます。言葉はこうやって豊かになっていく。楽しい絵本 一家に一冊!

2017年11月20日 (月)

わたしたちのたねまき

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「わたしたちのたねまき」
ーたねをめぐる いのちたちのおはなしー
キャスリン・O・ガルブレイス作
ウェンディ・アンダスン・ハルパリン絵
梨木香歩 訳
のら書店刊 本体1600円


この絵本も命のつながりを描いています。そのつながりは「たね」です。「たね」というものをつかって植物はくりかえしくりかえし繋がっています。ただまっていても「たね」は自分で動くことができないので運び手をじょうずにつかいます。運び手は風や水、土などがあります。動物にくっついて運ばれていき、そこで芽をだしていくこともありますが、くっつくことや流されことだけでなく、動物(たとえばリスは木の実を埋める)によって埋められることもありますし、(もちろん人間の種蒔きだって土に埋めていきます)いろいろな動物たちが自分たちの方法をもっています。
 ところがいま、私たちのまわりでは遺伝子工学の方法でつないで行く方法があります。病気などに強い種類のものが作れる、自然にとらわれないで収穫ができる、新しい色などをつくりだす、など期待も大きく一瞬良い方法のような気がしますが、どんどんコピーをつくれたり、また病気などに強くなるのは良いのですが人工でつくりだしたものなので、古来からもっている知恵(植物も生き物すべてそれは知恵と私はおもっていますが)が失われてしまい、いくつく果ては似ても似つかないものなってしまう、そして、強いものが勝っていく、人間を例にするとそれは恐ろしいことに思われます。
 柔らかい色をつかった大型な科学絵本です。私はこの絵を描いている画家の「白い牛をおいかけて」が大好きです。

2017年11月17日 (金)

テディが宝石を見つけるまで

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「テディが宝石を見つけるまで」
パトリシア・マクラクラン
こだまともこ 訳
あすなろ書房 本体1200円


吹雪のなかで車が立ち往生をしてしまい、ニッケルと妹フローラは車に残され母親は助けを呼びにいってしまいます。そのままいたら車ごと雪に埋もれてしまうということで二人は車を出て雪道を歩いて行きます。でも、迷子になってしまい途方にくれているとどこからともなく一匹の犬があらわれます。犬は話ができる、ただ出来る相手は子どもと詩人だけだといいます。名前はテディ、この森の奥で詩人と暮らしていた、でも今はひとりぼっち、テディはその家に二人を案内してくれます。どうして犬が森の家でひとりぼっちで暮らしているのか、テディが一緒に暮らしていたのは詩人のシルバさんといいます。テディはどうやって人の言葉をおぼえたのか、教えてくれたシルバさんのことをテディは少しずつ語り始めます。でも、そのシルバさんは亡くなってしまいます。残されたテディが生きていかれるように配慮してくれてはいましたが、テディにとっては深い悲しみ、その悲しみと苦しみを子どもたちに語るなかですこしずつテディはたちなおっていきます。そして、それはテディだけでなく、子どもたちにも伝わっていきます。
 文中ニッケルは母親がもしかしたら自分たちをおいてきぼりにしていったのではないとちょっと思うシーンがあります。それはニッケルにとっては口にだせない恐怖であり不安です。見つけてくれたキッカケは妹のフローラが車の後ろ座席に母親宛に手紙を書いていたことでした。幼いフローラが必ず母親は見つけて迎えに来てくれると信じとおしていました。
不思議なことにシルバさんは父親の先生でした。作中にはテディが大好きな絵本「にぐるまひいて」ほかシルバさんがテディに読んだたくさんの本のことがでてきます。悲しみと不安から少しずつ自分をとりもどしていく、それは支えてくれる人と言葉だということがこの小さな作品に静かに書かれている、宝石のような物語です。作者は「のっぽのサラ」を書いていて、これもまた静かな感動をあたえた本です。

2017年11月15日 (水)

とうふやのかんこちゃん

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「とうふやのかんこちゃん」
吉田道子 文
小林系 絵
福音館書店 本体1300円


とんがり山に新しいとうふやが開店しました。かんこはそのとうふやの子どもです。とうさんとかあさんの三人家族で、もちろんとうふはとうさんとかあさんが作っています。でも、なかなかお客様は来ません。とがり山というにぎやかな通りから外れているからか、でもそれだけではないととうさんはちょっと自分のとうふ作りに自信をなくしています。そんなとおふやのかんこの家に事件がおこりました。突然あらわれた大きつねと子ぎつねがとうふの味見をしながら、いまひとつ足りない味を最高の味にする方法を教えてくれます。さぁ!それはどんな方法でしょうか?
 私もとうふは大好きです。冷や奴も良いのですが、これからの時期はなんといっても湯豆腐、野菜をいっぱいいれて鍋風に食べます。この物語のなかに大ぎつねからかんこが教わったとうふをおいしくする歌をうたいながらつくってみましょう。
 カラーで挿絵がたくさん入っていて、読みやすく楽しい幼年童話です。モミジバフウの黄色がとてもきれいです。
 

2017年11月13日 (月)

ずんずんばたばたおるすばん

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「ずんずんばたばたおるすばん」
ーこどものとも年少版 12月号ー
ねじめ正一 文
降矢なな 絵
福音館書店 本体389円


「今日もまたおかあさんが かいものにでかけたとたん てんじょうからこざるがつぎからつぎから おりてくる」ということは前にもあったということ?さるからペンギンからぞう、くじらまでたくさんの動物があらわれてお手伝い?おおさわぎ!おるすばんに一人で残って寂しいというような話はたくさんあるけれど、これはそれどころか元気に騒ぎまわるのだから。お留守番はこうでなくちゃ。それにみんな一人でできちゃうのだ。縦開きのページは絵をワイドに動きがあっておもしろい。
 リズムのある文とこれも動きのある絵がぴったりです。

2017年11月11日 (土)

うしさんぎゅうにゅうくださいな

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「うしさんぎゅうにゅうくださいな」
ーちいさなかがくのとも12月号ー
あおきあさみ さく


この本の表紙の牛いいですね。この絵本は牛乳の本かもしれないのですが、表紙の絵から牛の本みたいにおもいます。ピンクの舌をだして、”わたしの牛乳おいしいよ。飲みにおいで”といっているようです。牛乳も大好きです。幸いに乳製品のアレルギーはないので、制限も無く充分に口にすることができます。昔、昔子どもだった頃しばらくの間牛でなく山羊のお乳を飲みました。父の友人のおかげで県立の農業高校まで橋をわたって20分位あるき、瓶をもって山羊の乳をもらいにかよったことがあります。でも、帰り道に飲んでしまってしかられたことが記憶にあります。そして、その橋のたもとには捕虜収容所があって、捕虜のあつかいがひどかったとかの話はずっとおとなになって知ったのですが、牛乳を飲む時に時々思い出したりしました。山羊のお乳は青臭くて、牛のお乳とくらべるとちょっと飲みにくい、でも食料が充分でなかった頃はあまりじょうぶでなかった私には貴重な栄養源でした。くらべると絞り立ての牛乳はとても濃くておいしい!乳搾りの経験は残念ながら私にはありません。この絵本のなかで乳搾りをしている場面はいいですね。
 今日は11日、月命日の人がいるとおもいます。大震災の日です。そして、「希望の牧場」の牛たちのように、いまなお被爆したままの動物たちがいます。そんなことを思うと、この表紙の牛は何か言いたそう、それは私のうがちすぎでしょうか!
 

2017年11月 8日 (水)

今、世界はあぶないのか?ー争いと戦争/難民と移民

 <今、世界はあぶないのか?>

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「争いと戦争」
ルイーズ・スピルズベリー文
ハナネ・カイ絵

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「難民と移民」
セリ・ロバーツ文
ハナネ・カイ絵


大山泉・訳
佐藤学・解説
シリーズ4冊後に「貧困と飢餓」「差別と偏見」が12月刊行になりますので、今回2冊をとりあげました。
今世界中でおこっている問題を絵本のかたちで出版されました。解りやすく子どももおとなも一緒に考えようと問題提起をしています。開くと中扉には「世界人権宣言」-争いと戦争-では第1条・難民と移民では第1条と第14条、第15条とその説明が書かれています。そして、内容はたとえば「争いと戦争」では人はだれでも集団のなかにいて仲良く暮らしているのだけれど、一方いつもそういうだけでなく、仲が悪くなることがある。そのことからはじまって、争いが起きる原因やどこでどんな形でできていくのだろうかと、絵が丁寧に描かれていることにもよるけれど、解りやすい絵を読んでいくのに大いに力になる。もうひとつ特徴的なのは、読むだけでなく考えようという問題提起がされていることです。そして、できることをしよう、そのできることはなんだろうかということも力をいれて解説しているので、この絵本は戦う?力になるのだと示しています。子どもたちにできることも描いています。
 小学生にはもうひとつ解説した方が良いのですが、中学生位には単に読むだけでなく、具体的に自分の手足をつかって読み、はなしあってみると、とても良いテキストになるのではないかと考えました。

2017年11月 3日 (金)

オオカミを森へ

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「オオカミを森へ」
キャサリン・ランデル
原田勝 訳
小峰書店 本体1700円


久しぶりに一気に冒険小説のおもしろさを堪能した。この物語の最後のクライマックスの舞台は、1917年に実際にあった労働者や兵士によるクレスティ刑務所の襲撃をモデルにしている(訳者覚え書きによる)とのことです。現代のサンクトペテルブルク・私の年代ではレニングラードといった方がわかりやすいが、そのロシアの森深くオオカミと母と暮らしているフェオと呼ばれている少女がいました。その頃ロシアの貴族の間ではオオカミをペットとして飼っている風習があった。けれどオオカミは犬のように飼いならすことはむつかしく、やがて手に負えなくなると、迷信から殺したりできないため預かり人といわれる人のところにつれていかれます。預かり人はオオカミを森のなかで暮らしていかれるよう訓練して森奥深く放す、フェオの母親はその預かり人でした。フェオも母親といっしょに、時には母親のかわりに傷ついたオオカミを手当てして、森に帰すことをしていました。フェオはその仕事を4歳のころからしていて、その仕事に満足していました。けれど、フォアの母親は反逆罪でラーコフ将軍につれさられ刑務所に送られてしまいます。ファオは母親を助け出そうと行動します。はからずしもその行動はその頃圧政に苦しんでいた人びとや兵士の心を揺り動かし反乱をおこします。こういう筋書きだけの話は単純で良くある物語のひとつでしかないといわれますが、読んでいるうちに冬のロシアの深い森の中の描写やアフリカのジンバブェで子ども時代を送ったという作者の動物観が感じられる美しいオオカミたちの描写、フェオといっしょに冒険する仲間たちや、無気力だった民衆のなかで動き出していく人びと、みんなひとくくりができないくらいに状況と性格がみごとに書き分けられています。そして、なによりも民衆のもっているエネルギーが本のなかからたちあらわれ、読み人の心をゆすぶります。赤いマントが象徴的です。
 フェオの母親を求める愛とオオカミにとって母親のようなフェオとのきずなは単なる動物物語や愛情物語ではない力があり、観念的で情緒的な児童文学が多い中で、児童文学の原点にも通ずるように読みすすめられたのは私だけでしょうか。次作も小峰書店で予定されているとのこととても楽しみです。


2017年11月 2日 (木)

くるみのなかには

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「くるみのなかには」
たかおかゆうこ
講談社 本体1400円


 ”くるみのなかにはなにがある?”と呼びかけからページを開くと”ゆらしてごらん”真っ黒のくるみの絵のページ、いいおとがしたら、なかにはちいさなちいさなたからもの。チリンチリンと音がします。もしりすがかくしたくるみだったら、りすのさいほうばこ。あなたがひろったくるみのなかにはなにがある?
小さな小さなくるみのなかに、あなたの夢がつまっています。
 昔、千葉に引っ越して来たばかりの時、近くの家に大きなくるみの木がありました。くるみの木は山にあるものとばかり思っていた私はびっくりしました。銀杏の実のようにくるみもまた、実は外側は包まれていて、それを剥くと固い実があらわれます。しいて剥かない時は土に埋めておくと外はくさって実があらわれます。それを洗って干す、めんどうですが、その殻をわると実があらわれます。なかにつまっている実を食べるのに、音楽やお話でもあるように固い殻を割るクルミ割り人形があります。実は耳のような形をしているのはきっとあなたの声を聞いてくれるからでしょう。店にも誰かのおみやげ、ちいさなクルミ割り人形がおいてあり、時々子どもたちが手にして、お人形の口を動かして遊んでいきます。
 とても美しい絵本です。言葉数は少なく、くるみのなかには小さないろいろのものが細かく描かれています。開いてみるとあなたの夢もきっちりと描かれているのに驚かれると思います。やがて、木になったたくさんのくるみは風に吹かれて、運ばれて土の中で夢を見続けて1本の木に育ちます。
 club私は大きな木が好きです。

2017年11月 1日 (水)

11月になりました

 いつものことながら、決算の作業が終わり、税金を納めると11月になる。今年も赤字ながら新しい期をむかえた。ともかく友人たちの同業者とも顔を合わせるたびに厳しいという。新聞などによると景気は上向いてきたとか、どこで?!誰が!実感はまるでない。それは私たちだけでなく、平均的市民であるお客様とも感じる気持ちだ。特に若い家庭に守りが強い。
 これから本屋にとっては一番いそがしい日が続く。忙しくあれ!でもこの文字のように心を失わないように。なんといっても私たち、子どもたちの本のみならず、本をあつかっている私たちはみんなが心豊かに過ごせるように仕事をしているのだから・・・(10月の終わりに突然飛び込んできたニュース、えるふにとって大先輩の本屋が3月で閉めるというニュースを前に)

2017年10月29日 (日)

母の友11月号


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「母の友」11月号
福音館書店 本体505円


気がつけば10月も終わりちかくなった。後2ヶ月で新年、毎年のことだけれど少しも実感がわかない。開店記念日からクリスマス、お正月までイベントが目白押しになる。もちろん店のイベントもあるけれどクリスマス(施設によってはいろいろの国籍の子どもがいたりすると宗教的な意味合いからお楽しみ会とする)をしたりするのでそのお手伝いをしたりする。本選びから包装まで子どもたちの顔を思い浮かべながらの仕事なので忙しくて大変だけれど元気がでる。
 ところでもう雑誌は12月号が発売になるので、あわてて紹介する。ネーミングにはちょっと意見があるけれど「母の友」がおもしろい。いま、こんなふうに手軽に手頃の定価で読むことのできる雑誌はめずらしい。ある種の総合雑誌、子育てのことだけでなく読書ぺージや映画のページもあるし、社会的なことをあつかっていることも多い。自分自身にプレゼントにと、隠れてのベストセラーになっている。社会的なことはちょっと物足らなく思うこともあるけれど、充分に入門書になる。ちょっとした隙間の時間に読むことができる。この11月号、ハイライトは特別企画「一日一話」見開き一ページで読み切りちょうど三十話が入っている。創作あり昔話あり、挿絵も充分に入っていて読みやすい。それと特別記事「ラジオがすき」NHKアナウンサー村上里和さんの話がおもしろかった。これはお話をする人は読むととても参考になるとおもう。きせずして私が良く聞いている(我が家はテレビがないためもあって良くラジオを聞く)深夜便のこともでていた。聞き逃した場合ネットで聞くことができるとあった。
聴き逃しサービスちょうど松岡亨子さんのインタビューの番組があって、朝の4時仕事をしながら聞いていたのだけれどもう一度聞きたいと思っていた。
(そんな時間仕事をしているの?ときかれるけれどこれは良くあることです。)
 ぜひ「母の友」の読者に、おすすめです!

2017年10月28日 (土)

クマと森のピアノ

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「クマと森のピアノ」
作デイビッド・リッチフィールド
訳俵万智
ポプラ社 本体1400円


大判の絵本、表紙の絵はクマがピアノを弾いています。森の中みたいですが舞台で、背景の絵が森のなかという描き方がされています。お話の背景の森の中でそれから都会に出て有名になる、けれど何か足りなくて、それが昔のピアノと出会った森であり、その頃の友だち、仲間だと悟って森に帰って行くという物語です。この物語にはことさら目新しいものはありません。おとななら”いいおはなしね”とじぃーんとくるかもしれませんが、子どもは”なぁ〜だ”と思うかもしれません。そして、どうしたのと問われるかもしれません。大切なのは友だちであり仲間なのですから、子どもなら名声を捨てることに抵抗はないとおもいます。おとなは、とくにいわゆる働き盛りの人なら、お金や名誉が欲しい、というかお金と名声は誰にでも手に入る物でないだけに欲望はすてがたいものです。だからこの物語に「きっと森の生活にも満足できなくて、また都会に出て行くか、すっかり欲望を捨て去って暮らす」かなと自分で結論つけるのだとおもいます。だから、この物語そのものには私はあまり大きな魅力は感じないけれど、やっぱり描かれている絵はとても気になります。ベースはコラージュの方法、それと細い引っ掻き傷のような線が気になります。森で放置されて忘れられていたピアノ、子グマがそのピアノを見つけて、音にひかれいつのまにかちゃんと弾けるようになっていく様子が良く描かれています。
 口語体の独特な口調の訳者の文はやさしく問いかけるよう、話言葉なので声をだして読んだ方が良いとおもいます。


2017年10月27日 (金)

ふたばからのおたより  ―10月―

        
       きぼーるパネル展示 無事終わる

 千葉市中央区きぼーるアトリウムをお借りしての里親制度啓発パネル展示が23日(月)、無事終わった。1週間で推定でも800人以上の方々に見ていただいた。(推定というのは、土日の子ども対象のイベント時には、もうワーッと来ていただき、とてもきちんとカウントできなかったから)
1
 今年の目玉は、段ボールで作った迷路をお城のようにして、塔の上にジャック・オー・ランタンがのっている形(写真、見てください!!)、まさにハロウィンで、魔女の衣装も置いておいたところ、記念撮影をする親子連れがたくさん足を止めてくださった。土日には、さらに縁日風に、輪投げや射的、缶積み、それに同じ施設仲間の協力も得てバルーンアートの実演、風船の着ぐるみまで作ってくれたので(これも写真あります!)
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もう子どもも大人も大喜び、かくしてカウント不能な大賑わいになったのである。
 こうして足を止めてくださった方々に、リーフレットを渡して制度について一言説明する。今年度の各地での展示会場でも感じることだが、リーフレットを受け取った皆さんの感触がとても柔らかくなった。「この頃耳にすることが増えたわ」「やはり、里親さん、足りないの?」「以前、里親になろうかと思っていたことがあったんですよ」さまざまな反応が返ってくる。少しずつだが、制度への理解が広がっているのを身をもって実感でき、やはり嬉しい。
 里親登録をされる方には、子どものいらっしゃらないご夫婦で子どものいる生活を体験したいからという方々と、そろそろ子どもの手が離れたけどもう少し社会貢献したいと考えられての方々との二つのタイプが多いように思う。そしてまた、里親にはなれないけど何か協力できることがあれば、というたくさんの方々とも出会う。里親啓発・支援の仕事とは、こうした素敵な方々との出会いなのではないか、と思ったりもする。そして、同時に家族ということについて、ものすごく考えさせられる。親を抱えた生活に悩み、時に持て余し、時にこれでいいと思う生身の人間である私が、仕事というものを超えて、家族とは何かと考える。そうして悩み続ける人間として、家庭を失った小さな子どもは施設ではなく代わりとなる家庭で育ってほしいとやはり思う。そのために自分にできる小さなことをしていく、それが私の今の仕事なのだと思う。   (の)
         

«やもじろうとはりきち

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11月の営業とお休み

  • 11月のお休み
    *お休み 3日(臨時)・6日(月)・13日(月)20日(月)27日(月) *営業時間 10:30〜6:00 日曜日は1:30〜6:00

お仲間にどうぞ

  • ー元気になる集まりいろいろー
    *よいこ連盟(保育士・なろうとする人)10日(金)7:00〜 「おもちゃと子ども」おもちゃカフェサンタ・西宮さんを囲んで話を聞く          *Y・Aの会 読書会(どなたでも)9日7:00〜 「とりあげる本 紙の動物園」        *学ぼう語ろう〜13日10:00〜「母の友10月号を読む・子どもの貧困とは(どなたでも)   *絵本の会 今年のクリスマスの絵本をみよう 17日7:00〜(誰でも)         *グループ放課後 読書会「くまのあたりまえ」(公共図書館司書・その他)15日(水)7:00〜            *ボランティア講座 非公開 20日(月)10:00〜       *憲法カフェ28日(火)「沖縄は今」レポーター沖縄在住石坂さん 28日(火)7:00〜(事前参加申し込み受付)       *羊毛チクチクの会30日(木)10:30〜クリスマスの飾り(事前参加申し込み受付)                                                                                                                         

これからの会

  • 子どもと本これからの会
    読書は知識や楽しみも含めて心の栄養を与えてくれます。そして考える力になります。 被災地の子どもたちに本を届けたい、身の回りの子どもたちの環境を考えていこうという、二本の柱をたててボランティア活動をすることで出発しました。 いろいろの方たちの希望と力を持ち寄って、すばやく、やわらかく、活動を続けていきたいと思います。参加される方は参加登録してください。 世話人 坂上・宮田・大山